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介護保険を使って在宅介護をするためのポイントを幅広く紹介!

介護保険を使って在宅介護をするためのポイントを幅広く紹介!キーワードは、サービスと工夫

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表、日本FP協会CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士。 税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

この記事のポイント

  • 初めて介護に関わる方が知っておくべき介護保険制度の基本を紹介しています
  • 介護保険を利用するために必要な要介護認定の目安と自己負担額を紹介しています
  • 在宅介護を無理なく続けていくための4つのサービスを紹介しています

在宅介護は、通常、自宅で高齢の両親や祖父母の介護をすることを指す場合が多いのですが、実際には、自宅で介護をするだけに限らず、介護施設へ通ったり、短期的に介護施設へ入所して介護サービスを受けるなど、その内容はさまざまです。

一般に、家族が在宅介護に関わるきっかけとなるのが、やはり、近親者の高齢による虚弱や病気などが多くあげられますが、1人で介護を続けることは、介護に伴う離職をはじめ、介護うつや高齢者の虐待といった大きな問題も否めません。

このような場合に、真っ先に考えたいのが介護保険の申請と利用になるのですが、本記事は、初めて介護に関わる家族の方を対象に、介護保険を使って在宅介護をするためのポイントを幅広く紹介していきます。

 

初めて介護に関わる家族が知っておくべき介護保険制度の基本

現在(平成30年)の介護保険制度は、年齢が40歳になりますと強制的に加入することになる仕組みになっておりますが、以下、簡単に介護保険制度の基本を紹介しておきます。

  • 介護保険を利用するためには、お住まいの市区町村に対して申請を行い、要介護認定という認定を受けなければならない
  • 要介護認定を受けた人は、原則として1割の自己負担で介護サービスや予防サービスを利用することができる
  • 介護保険には、居宅サービスや施設サービスなどさまざまな介護サービスがあり、利用することができる

周りの家族が介護を必要となる身体状態になってしまいますと、経済的負担、精神的負担、肉体的負担などがエンドレスに付きまとってしまうことも十分予測できることから、介護保険制度を利用して、専門職の協力を得ながら生活をすることが大切になってきます。

 

要介護認定の目安と自己負担額

介護保険を利用するために、お住まいの市区町村から要介護認定を受けた場合、認定された介護度合い(全部で7段階)によって1ヶ月あたりの自己負担限度額が異なる特徴があります。

介護度合い 介護認定の目安 支給限度基準額(自己負担額)
要支援1 社会的支援を要する状態

日常生活上の基本動作については、ほぼ自分で行うことが可能であるが、現在の状態が悪化し、要介護状態にならないように支援が必要と見込まれる。

1ヶ月あたり50,030円(自己負担額5,003円)
要支援2 社会的支援を要する状態

要支援1の状態から、日常生活上の基本動作を行う能力がわずかに低下した状態。

1ヶ月あたり104,730円(自己負担額10,473円)
要介護1 部分的な介護を要する状態

①排泄や食事はだいたい1人でできる。

②立ち上がりや歩行が不安定。

③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作に何らかの介助や見守りが必要。

④問題行動や理解の低下がみられることがある。

1ヶ月あたり166,920円(自己負担額16,692円)
要介護2 軽度の介護を要する状態

①排泄や入浴などの動作に何らかの介助や見守りが必要。

②立ち上がりや歩行に何らかの支えを必要とする。

③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作全般に何らかの介助や見守りが必要。

④問題行動や理解の低下がみられることがある。

1ヶ月あたり196,160円(自己負担額19,616円)
要介護3 中等度の介護を要する状態

①排泄や入浴などの動作が1人でできない。

②立ち上がりや歩行が自分1人ではできない。

③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作が自分1人ではできない。

④いくつかの問題行動や理解の低下がみられることがある。

1ヶ月あたり269,310円(自己負担額26,931円)
要介護4 重度の介護を要する状態

①排泄や入浴などの動作がほとんど1人でできず、介助が必要。

②立ち上がりや歩行が自分1人ではできない。

③身だしなみや居室の掃除などの身の回りの動作が1人でできず、介助が必要。

④多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある

1ヶ月あたり308,060円(自己負担額30,806円)
要介護5 最重度の介護を要する状態

①意思の伝達が困難。

②生活の全般について全面的介助が必要。

③多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

1ヶ月あたり360,650円(自己負担額36,065円)

 

1ヶ月の自己負担限度額は、お住まいの地域によって単価が変わり、東京23区や首都圏、政令指定都市などは、介護の単価が高めになっています。

 

在宅介護を無理なく続けていくための4つのサービス

介護保険を使って在宅介護を無理なく続けていくためには、在宅介護には、どのようなサービスがあるのかを詳しく知り、自分たちにあった工夫をしていくことがとても大切になります。

そこで、ここでは在宅介護を無理なく続けていくための方法として、以下、4つのサービスをそれぞれ個別に紹介していきます。

 

①在宅介護を続けるために訪問サービスを利用する

介護保険の訪問サービスは、在宅介護をする上で最も基本的な介護サービスにあたり、家事などを手伝ってもらう生活援助、食事や入浴などの介助を受ける身体介護、病院への通院に対する通院等乗降介助の3つのサービスがあります。

訪問サービスは、非常にサービスが多岐に渡りますが、以下、介護サービスをまとめて紹介しておきます。

訪問サービスの種類 サービス内容
訪問介護 ホームヘルパーや介護福祉士が自宅へ訪問して介護サービスを行う

生活援助:食事の準備・洗濯・掃除・衣服の整理・ベッドメイク・日用品の買い物など

身体介護:服薬の介助・食事、入浴、排せつの介助・衣服の着脱・おむつ交換・外出・通院の付き添いなど

通院等乗降介助:乗車や降車の介助・通院先での受診手続きなど

訪問看護 看護師などが自宅へ訪問し、医療サービスを行う

血圧測定・注射・服薬管理・リハビリテーション・清潔指導など

訪問入浴介護 介護職員や看護職員が自宅へ訪問し、入浴車や持ち込んだ浴槽で入浴介助を行う
訪問リハビリテーション 理学療法士が自宅へ訪問し、自宅でリハビリテーションを行う

訪問サービスを利用することによって、高齢者の見守りとしての効果が期待できるほか、他の人との交流につながるため、孤立の予防に効果が期待できます。

 

②在宅介護を続けるために通所サービスを利用する

通所サービスとは、介護サービスの内容は先に紹介した訪問サービスと大きな違いはありませんが、自宅ではなく、施設に通う通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)のことを言います。

通所サービスを利用するおもなメリットは、以下の通りです。

  • 通所施設で知り合った方との交流が図れ、生きがいや元気につながる
  • 通所サービスの間、家族は介護から解放される
  • 認知症の方に対応した施設もあるため安心

通所介護は、介護をする家族にとって自分の時間を作ることができるため、先に紹介した訪問サービスと合わせて通所サービスを利用される方も多くおられます。

そのため、自分たちのライフプランや時間を考慮した介護サービスの利用の仕方や工夫が大切になってくると言えます。

 

③在宅介護を続けるために短期入所サービスを利用する

短期入所(ショートステイ)サービスは、介護を必要とする方が一時的に施設に入所して介護サービスを受けるものになります。

ここで言う一時的というのは、おおむね1週間程度ですが、この間、介護に追われる家族としては、介護から解放されることになるため、介護疲れが深刻になった場合や介護者が入院した場合などは、利用を検討されるのも良いでしょう。

ただし、短所入所サービスを利用する場合には、施設に入所する本人の意思を尊重した判断が必要であるほか、認知症を患っている方は、認知症が進んでしまう恐れがある点も視野に入れた工夫が必要となってきます。

 

④介護支援にかかる助成サービスを利用する

介護保険を利用した介護サービスが必要になる場合、車いすや歩行器などの福祉用具が必要となる場合が多くなるほか、自宅を改修する、住宅改修やリフォームをする方も少なくないと思われます。

このような場合において、福祉用具の貸与や住宅改修に対して助成があったり、リフォームをすることで税優遇が受けられたりもしますので、これらの活用予定がある場合は、ケアマネジャーなどの専門家をはじめ、FPや税理士などの専門家のアドバイスを取り入れるようにしたいものです。

 

まとめ

介護が必要な家族がいる場合は、介護保険を使って在宅介護をするところから始まることと思われますが、在宅介護の介護サービスの利用の仕方や工夫によって、周りの家族の負担が大きく変わることは確かです。

介護が一度始まりますと、基本的に介護者が亡くなるまで続くエンドレスとなるのが通常であることを踏まえますと、それに向けた事前準備や介護の基本的な知識を持っておくことも大切だと言えます。

特に、お金の面につきましては、毎日の生活に直接影響を与えることになるため、介護する側、介護される側の双方が危機意識を持った準備をしておくことが極めて重要になると言い切れます。