- 被相続人の残した財産が基礎控除額以下なら相続税はかからない
- 基礎控除額は法定相続人の数によって変わる
- 相続税の計算では法定相続人に含められる養子の数に制限がある
- 生命保険金には基礎控除とは別に非課税枠がある
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相続が発生したときに、心配になるのが相続税ではないでしょうか?相続税は、場合によっては大きな負担になることがありますが、財産を相続しても相続税がかからないこともあります。
今回は、相続税発生の有無を分ける基礎控除の額について説明します。基礎控除額の計算方法を理解しておき、生前の相続対策などに役立てていただければ幸いです。
目次
相続税発生の基準となるのが、基礎控除です。相続税の基礎控除の意味や基礎控除の金額を計算する方法を知っておきましょう。
相続税は、相続や遺贈により財産を取得した人に課税される税金です。相続税がかかるかどうかは、相続の規模によって変わります。亡くなった人(被相続人)が残した財産が一定規模以上の場合、その相続で財産を取得した人に相続税がかかるしくみです。
その相続が、相続税がかかる規模かどうかを判断する基準となるのが基礎控除です。基礎控除は、相続税だけでなく贈与税や所得税にもありますが、課税対象から無条件で差し引きできる金額になります。
相続税は、相続税の課税対象となる財産の合計額(課税価格の合計額)から基礎控除額を差し引きした課税遺産総額をもとに計算します。
課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合には、相続税はかかりません。基礎控除額は、相続税の非課税枠ということになります。
相続税の基礎控除は、次の計算式で計算します。
相続税の基礎控除は、2015年1月に改正により引き下げられました。2014年12月以前に発生した相続については、次の計算式で計算します。
相続税の基礎控除額は、相続人数によって変わります。
法定相続人の数 | 基礎控除額 |
---|---|
0人 | 3,000万円 |
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
6人 | 6,600万円 |
7人 | 7,200万円 |
8人 | 7,800万円 |
たとえば、相続人が1人の場合、相続税の基礎控除額は3,600万円ですから、被相続人の残した財産の額が3,600万円を超える場合には相続税がかかります。一方、財産の額が3,600万円を超えない場合、すなわち3,600万円以下の場合には、相続税はかかりません。
被相続人の残した財産が相続税の基礎控除額を超えている場合には、相続開始を知った時から10か月以内に相続税の申告が必要です。相続税の申告をする前提として、遺産分割を終わらせなければなりません。
基礎控除額を超えており相続税がかかるケースでは、速やかに遺産分割協議を終わらせるようにしましょう。10か月以内に遺産分割が終わらない場合でも、法定相続人が法定相続分で財産を取得したものとして、期限内の申告が必要になります。
相続税の基礎控除は法定相続人の数によって変わりますが、ここでいう「法定相続人」には民法上の法定相続人すべてが含まれるわけではありません。相続税における法定相続人のカウントの仕方を知っておきましょう。
民法上、養子には実子と同様の相続権があります。子は第1順位の相続人ですから、養子を増やせば法定相続人を増やすことができます。
しかし、相続税の基礎控除を計算するときには、養子を全員法定相続人としてカウントできるわけではありません。養子については、次のようなルールがあります。
相続税の基礎控除の計算においては、次の場合には養子であっても実子とみなします。
民法上、相続放棄すれば最初から相続人でなかった扱いになり、法定相続人ではなくなります。しかし、相続税の基礎控除の計算では、相続放棄をした人も法定相続人としてカウントします。相続放棄をした人がいても、基礎控除額が減ってしまうことはありません。
財産を相続するのではなく、生命保険金として受け取った場合には、一部が非課税になることをご存じでしょうか?相続の際に、生命保険金がある場合の相続税の計算方法や基礎控除との関係を知っておきましょう。
被相続人が亡くなったことにより、生命保険金(死亡保険金)を受け取ることがあります。生命保険金は、民法上の相続または遺贈により取得した財産ではありません。しかし、生命保険金は、みなし相続財産として、相続税の課税対象になります。
相続税の計算において、生命保険金には基礎控除とは別の非課税枠が設けられています。生命保険金の非課税枠は、次の計算式で計算します。
たとえば、法定相続人が3人の場合、生命保険金は1,500万円まで非課税です。相続人が受け取った生命保険金が1,000万円の場合には、全額非課税になります。もし相続人が受け取った生命保険金が2,000万円なら、500万円のみが課税対象になります。
生命保険に加入すれば、相続税の課税対象になる財産を減らすことができます。相続税対策として、財産を現金や預金で残すのではなく、生命保険に加入することは、有効な方法の1つです。
相続税において、生命保険金の非課税枠を計算する際の「法定相続人」には、民法上の法定相続人全員が含まれるわけではありません。養子の数について制限があり、相続放棄をした人も「法定相続人」の数に含めることは、基礎控除の場合と同様です。
生命保険金について、非課税の恩恵が受けられるのは、相続人が受け取ったもののみになります。相続人以外が受け取った生命保険金は、非課税にはなりません。
相続放棄をした人が受け取った生命保険金も、非課税枠には含めないことになっています。たとえば、相続放棄をした人が1,000万円の生命保険金を受け取った場合、法定相続人の人数に関係なく、1,000万円全額が課税対象になります。
相続税がかかるかどうかは、課税対象になる財産から生命保険金の非課税分を差し引きした金額が、基礎控除額以下であるかどうかで判断します。
たとえば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円です。被相続人の残した財産額が6000万円で、そのうち相続人が受け取った生命保険金が2,000万円の場合、生命保険金については1,500万円が非課税になりますから、相続税の課税対象になる財産額(課税価格の合計額)は4,500万円です。
つまり、このケースでは課税価格の合計額は基礎控除額以下であるため、相続税はかからないことになります。
相続財産の額が基礎控除額を超えていれば、相続税がかかります。基礎控除額は法定相続人の数によって変わりますが、法定相続人の数はほぼ変えることができません。相続対策としては、相続財産の額を減らすことが有効です。
生前贈与をしたり、生命保険に加入したりすることで、課税対象になる相続財産の額を減らせることがあります。相続税が心配なら、あらかじめ対策をしておきましょう。
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