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遺産分割協議書とは?作成方法&手続きの流れをFPが徹底解説!

遺産分割協議書とは?作成方法&手続きの流れをFPが徹底解説!

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西村 浩至

西村 浩至

CFP認定者、宅地建物取引士

大学卒業後、IT関係の事業所や会計事務所で主に経理関係の業務に携わって参りました。お客様とのお話の際に少しでもお役に立てればと思いFPの勉強を始めましたが、勉強を通じて世の中には知らないと損をしてしまう事柄がたくさんあると感じました。現在はそのような知らないと損をしてしまう知識をわかりやすく世の中に発信していきたいという思いからライター活動をしています。

遺産分割協議書と聞くと何か難しそうな印象の書類が思い浮かびます。そのため、どんな書類なのだろう?と疑問に思うこともあるかもしれません。また、相続を専門的に扱っていなければ、一般的にはなかなか聞きなれない書類かと思います。

遺産分割協議書とは、相続が起こった際に相続人の間でどのように財産が分割されたのかといった話し合いの結果を記載する書類のことをいいます。では、どのような理由で作成し、提出先はどこになるのでしょうか?

今回の記事では、遺産分割協議書の作り方や遺産分割協議書を使用する手続きの流れについて順番を追って紹介していきます。

 

手続きの流れ

手続きの流れ

ここでは手続きの流れについて順番を追って紹介していきます。

 

遺言書が有るのかどうか?

相続が発生した場合の手続きの流れとして、まず遺言書の有無を確認します。

遺言書があった場合、遺産分割協議で相続人の間で自由に遺産を分割できなくなる可能性も出てくるため、遺言書の確認はとても重要な作業になります。

そして遺言書の有無の確認後、遺言書がなかった場合、誰が相続人なのかを確定させていく必要があります。

 

相続人は誰なのか?

そこで誰が相続人に当たるのかを確認する方法として、戸籍謄本を確認する方法があります。入手方法として、役所で被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本を発行してもらい確認していきます。

この確認によっては、今まで存在を知らなかった相続人がいるケースも考えられるため、こちらもしっかりと調査する必要があります。

 

相続財産はどのくらいあるのか?

相続人の確認後、相続財産がどのくらいあるのかを確認しなければなりません。この際、後にトラブルに発展する可能性もあるため、可能な限りその時点での財産の額を確認する必要があります。

それでも万が一新たな財産が見つかった場合、どうするのかも念のため相続人の間で話し合っておくことをおすすめします。

また、相続人が1人の場合は1人で引き継げばいいだけですが、相続人が複数人いる場合は、遺産を相続人ごとに分割する話し合いをしていく必要があります。

この相続人の間で行われる遺産分割の話し合いのことを遺産分割協議といいます。

 

遺産分割協議

遺産分割協議書は、この遺産分割協議で行われた話し合いの結果をまとめた書類になります。

財産の分割については各相続人による話し合いが必須となります。その際、口頭だけでは言った言わないなどの思わぬトラブルが生じる可能性もあります。

このようなトラブルを防ぐため、遺産分割協議書という書類に相続人同士の話し合いの結果をまとめる必要があります。このような役割から、遺産分割協議書はいわば契約書のような役割を持っていると言えます。また、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。

例えば相続人の中に未成年者が含まれている場合は、未成年者の代理人も含めて遺産分割協議を行わなければなりません。

もし相続人が欠けた状態で遺産分割協議を行っても、その協議は無効とされます。そのため被相続人の出生から死亡までの謄本を取得し、相続人を正しく調査することが重要となるのです。

 

遺産分割協議書が必要な手続き

遺産分割協議書は主に次の手続きに必要となります。

  • 預貯金の名義変更
  • 不動産等の名義変更登記
  • 株式等の名義書換
  • 相続税の申告

各手続については後述します。このように遺産分割協議書によって、相続財産の名義変更をする際、誰にどの財産が分割されたか第三者が確認することが可能になります。

こうした点から遺産分割協議書は、証明書のような役割を持っていると言えます。

 

相続財産の名義変更等

相続財産の名義変更等

遺産分割協議書によって可能となる各種の手続きはどのようなものがあるのでしょうか?また、提出先はどの役所になるのでしょうか。

ここでは遺産分割協議書を添付資料として使用できる各種手続きについて紹介していきます。

 

預貯金の名義変更手続き(提出先:銀行等)

銀行等の名義変更手続きは、被相続人名義の口座を解約し、相続人の口座に預貯金を移していく形になります。その際、どの相続人にいくらを移せばいいのか第三者から確認することが書類なしでは困難となります。

しかし、遺産分割協議書があれば、遺産を誰が引き継ぐのかの証拠となるため名義変更の手続きに書類が必要となるのです。

 

不動産等の名義変更登記(提出先:法務局)

不動産等の名義変更は、不動産登記をすることによって行います。不動産登記については第三者が確認するために必要な手続きですが、自分で行うことは難しいため専門家に依頼して確実に行うことをおすすめします。

その際、登記の必要書類として遺産分割協議書が必要となります。

 

株式等の名義書換(提出先:証券会社等)

株式の名義書換は、上場会社の場合、取引のある証券会社等で行います。その際に名義書換の根拠資料として遺産分割協議書が必要となります。

 

相続税の申告(提出先:税務署)

相続税の申告の際も、遺産分割協議書が必要となります。遺産分割の話し合いの結果によっては、相続税が高くなってしまう可能性も考えられます。

そのため遺産分割の話し合いをする前に、相続専門の税理士等にどのような分割方法が相続税が低くなるのかを相談するのも有効な選択肢の1つと言えます。

 

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書の作成方法

 

 

書式などの要件

遺産分割協議書の作成についての書式ですが、特に決まった書式はありません。そのため縦書きや横書き、手書きでの作成やパソコンで作成して印刷することも可能です。ここでは一般的な書式について紹介していきます。

 

タイトル

何の書類なのか分かりやすいように「遺産分割協議書」と記載するのが一般的です。

 

本文の内容

次に本籍地、最後の住所、被相続人(亡くなった人)の氏名を記載します。氏名の横には死亡年月日も記載しておきます。

例として、下記のような内容になります。

 

  • 本籍:○○県○○市○○町○○丁目○○番地○○号
  • 最後の住所:○○県○○市○○町○○丁目○○番地○○号
  • 被相続人:○○ ○○(令和○○年○○月○○日死亡)

そして下記のような一文を入れるのが一般的です。

  • 上記の被相続人の相続人全員が、被相続人の遺産について協議を行い、次の通り分割することに同意した。

この同意する一文の後、相続人ごとに財産の記載をしていきます。

 

相続財産の記載について

不動産について

土地、建物などの不動産については、自宅などの自分たちだけが分かる書き方では、第三者が確認する書類としてはふさわしくありません。そこで第三者が確認しても意味が通るように登記事項証明書(登記簿謄本ともいいます)の記載に従って正確に記載することが求められます。

仮に間違えて記載してしまうと、法務局での手続きの際、受け付けてもらえない場合があるので注意が必要です。

例としては土地の場合は所在、地番、地目、地積の順に記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などの記載が必要となります。例を挙げると下記のようになります。

 

1.相続人○○ ○○は次の遺産を取得する。

<土地>

所在:○○市○○町○○丁目

地番:○○番○○

地目:宅地

地積:○○㎡

<建物>

所在:○○市○○町○○丁目

家屋番号:○○番○○

種類:居宅

構造:木造かわらぶき2階建

床面積:1階○○㎡ 2階○○㎡

 

現金、預貯金について

現金の場合は、金額に換算できるため金額をそのまま記載して問題ありません。また預貯金の場合は、金額の他、銀行名、支店名、預金種類、口座番号の記載が必要となります。

預貯金の金額は銀行等から残高証明書を取得して、正確に記載する必要があります。

理由として、遺産分割協議書は相続税申告の際の添付書類としても使用するため金額の記載があると、相続税申告の際に税務署のほうでも遺産の分割内容が把握できるためです。

例として、記載内容としては下記のようになります。

 

2.相続人○○ ○○は次の遺産を取得する。

<現金>金○○○○○○円

<預貯金>○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○ 口座名義人○○ ○○ 金額○○○○○○円

 

株式について

株式については会社名、株式の種類、株数の記載が必要です。

例として、下記の通りになります。

<株式>○○○○株式会社 普通株式 ○○○株

 

その他入れておきたい文言について

遺産分割協議の際は、全ての財産について話し合いをしたつもりでも、新たに財産が見つかる場合もあります。そのような場合もトラブルに発展することを未然に防ぐために、新たに財産が見つかった場合はどうするのかを記載しておくことをおすすめします。

例として次のように記載します。

  • 3.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人○○ ○○がこれを取得するものとする。

人の気持ちは変わりやすいものなので、その時考えればいいなどと安易に構えていると思わぬトラブルに発展する可能性があります。

面倒かもしれませんが、この一文については誰が相続するのかよく話し合いの上、記載しておくことをおすすめします。

 

日付、住所、氏名の記載と押印

最後に記載した日付と相続人ごとに住所、氏名を自署し、押印するのが一般的な書き方になります。なお押印の印鑑ですが、認印ではなく実印での押印が望ましいです。例としては、下記の通りとなります。

 

上記の通り、遺産分割の協議が成立したので本書面を○○通作成し、署名押印の上、各自1通ずつ保管する。

令和○○年○○月○○日

住所

相続人 ○○ ○○   実印

住所

相続人 ○○ ○○   実印

住所

相続人 ○○ ○○   実印

 

遺産分割協議書の作成枚数

遺産分割協議書が複数ページにわたってしまうようでしたら契印も必要となります。印鑑をページとページにまたがるように各相続人が押印するようにして下さい。

遺産分割協議書の作成枚数は、公平に相続人の人数分作成するのがよいでしょう。

なお提出については写しでも受け付けてもらえる場合もありますが、原本を提出して原本還付の手続きの上、原本を返還してもらうことをおすすめします。

 

参考:各相続人が集まるのが距離的に難しい場合

各相続人がそれぞれ離れた地域に住んでいて、一同に会するのが難しいケースもあります。このような場合は、電話などで連絡を取り合い、最終的な書面を郵送でやり取りして自署押印してもらうというのも方法の1つになります。

 

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼するメリット、デメリット

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼するメリット、デメリット

 

 

専門家に依頼するメリット

ここまで遺産分割協議書の作成について紹介してきましたが、あくまでも一例にすぎず、ご参考までにお考えいただきたい点にご注意ください。また、自作で書類を作成するのはチェックも大変ですし、想像以上に労力を要するものと思います。

そのため遺産分割協議書の作成を専門家に依頼することも一つの方法としておすすめします。

専門家に依頼するメリットとして、自分で作成すると万が一修正しなければならない箇所が見つかった場合、何度も作成し直したりする手間が生じる可能性がありますが、専門家に依頼すれば手間もかからず正確な書類が出来上がります。

また相続税申告についても遺産分割協議書の作成とともに専門家に依頼している場合は、相続税の節税についても期待することができます。

 

専門家に依頼するデメリット

一方デメリットですが、なんといっても費用がかかることが挙げられます。専門的な書類も多く、また相続財産の金額によって報酬を決める税理士も多いため、相続財産の金額によっては思わぬ高額な費用が発生する可能性もあります。

しかし初めて作成する人は、自分で作成するとどうしても時間がかかってしまいます。専門家に依頼すればその分時間の節約が期待できますし、より短時間で正確な書面が作成される可能性があります。

このようにメリット、デメリットを考えると、遺産分割協議書の作成を専門家へ依頼することも選択肢の1つとして検討の余地はあるかと思います。

 

遺産分割協議書に関するまとめ

以上、遺産分割協議書の作成方法と手続きの流れについて紹介してきました。

遺産分割協議書の作成は慣れていないと時間も手間もかかってしまい、間違えてしまうと手続きが進まなくなる可能性も出てくるので専門家に依頼することをおすすめしたいと思います。

手続きの流れとしては、相続の発生、相続人の調査、相続財産の把握、遺産分割協議書の作成、相続税の申告、各相続財産の名義変更というのが一連の流れとなります。この記事を参考に、少しでも手続きがスムーズになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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