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お金のあるなしに関わらず遺産相続のよくある問題とは?対策方法も併せて紹介

お金のあるなしに関わらず遺産相続のよくある問題とは?対策方法も併せて紹介

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佐藤 元宣

佐藤 元宣

佐藤元宣FP事務所代表CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士、経理実務士

税理士や社会保険労務士といった士業事務所経験と保険代理店を行った経験などを活かし、生活する上で避けて通れない「お金」の相談に幅広く応じている独立系FP。家計の収支状況と専門性を融合したプランニングを提供しています。

遺産相続は、私たちが生きている限り何度か関わることがあるものとなりますが、お金のあるなしに関わらずトラブルは付きものです。

遺産が多くある方の場合ですと、遺産相続の問題に加えて相続税の問題も発生することになるのですが、本記事では、相続税が発生しない多くの方を対象にした遺産相続のよくある問題と対策方法について紹介していきます。

いつかは訪れる遺産相続に備えた予備知識として最後まで目通しいただき、揉めない相続の解決策としてお役立ていただければと思います。

 

遺産相続開始によって判明した使途不明金の問題

遺産相続開始によって判明した使途不明金の問題

相続は、人が亡くなったことによって、故人の財産を相続人などが引き継ぐことを言いますが、実際のところ、生前中に故人の財産が多額に引き出されていることがしばしばあり、このお金は誰が引き出したものなのか、そのお金の使い道は何なのかなどが大きな問題となる場合があります。

また、故人が生前中に保管していた通帳や印鑑を利用して、勝手に預金を引き出してお金を取得した場合なども含め、いわゆる使途不明金が相続人の間で大きな問題となる場合もあります。

特に、故人が生前中に病気療養中や意思疎通ができない場合などでは、故人が保有している財産を生前中に、本人に代わって引き出すこともしばしばあると思われますが、仮に、相続人ではなく回りの親族が代行した場合などは、相続が始まってからお金の引き出しが無断で勝手になされたなどの理由でトラブルになってしまう可能性も否めません。

 

使途不明金の問題を解決するための対策方法

使途不明金の問題を解決するためにおすすめの方法は、配偶者や子供などの推定相続人に対してあらかじめ、ご自身が病気療養や意思疎通ができない場合にどこからお金を引き出すのか明確に伝えておくことが望ましいでしょう。

たとえば、筆者の場合ですと、筆者個人名義の預金通帳の1つが緊急予備資金のためのものとしており、そこからお金を支出するような取り決めを家内にしています。

仮に、子供が成人になった場合には、子供にも同じことを伝えることになりますが、回りの親族に対して金銭の引き出しをするように依頼することは、後々のトラブル防止のために筆者は依頼しないことも決めています。

 

推定相続人が対応できない場合

仮に、推定相続人が対応できない場合は、親族や第三者に依頼する形になると思われますが、使途不明金が生じないようにするためには、やはり、お金の引き出しは記録が残る通帳からの引き出しを厳守すると共にお金の管理を人任せにしないことも必要になるでしょう。

もちろんお金の支出に際して証拠となるレシートや領収証をはじめ、これらの支出履歴と通帳の引き出し金額に対して整合性が取れていることが大前提となりますので、常日頃から細かくチェックや管理を行うことも大切です。

なお、親族や第三者に病気療養中の世話やその他の雑用などを依頼する場合においては、口頭ではなく書面による契約書などを作成し、その中での取り決めをしっかりと明記しておくことを筆者は強くおすすめします。

 

揉めない遺産相続を実現するために、寄与分について考慮する

揉めない遺産相続を実現するために、寄与分について考慮する

死亡をきっかけに故人の財産を引き継ぐ相続が開始されることになりますが、亡くなるまでの生前中に病気療養の世話や介護の世話などについて、一定の助力をされる方も少なからずおられるはずです。

たとえば、父親の世話をしているのが長男で次男と長女が遠方に住んでいるため、長男に父親のことはまかせっきりなどといったパターンは、広く多くの方にあてはまる事例であると思われます。

仮に、このような事例の場合で父親が死亡したことによって相続が開始された場合、少なくともこれまで父親の世話に助力してきた長男をねぎらい、遺産相続の取得分は多くする、いわゆる寄与分について、他の相続人は考慮するように努めたいものです。

法律上、寄与分は、夫婦間の協力扶助義務や親族間の扶養義務の範囲内の行為は、特別の寄与にはあたらないとされているものの、揉めない相続を実現するためには、事前に相続人同士が協力や話し合いをしながら、それぞれできる助力をされることが望ましいでしょう。

 

 

遺産相続とは別に発生する葬儀費用の問題

遺産相続とは別に発生する葬儀費用の問題

葬儀費用は、故人が亡くなったことによって生じる支出であり、この葬儀費用を誰が負担するのかといった問題が、時として大きなトラブルになってしまうことがあります。

通常は、亡くなった方が生前中にどのようにしたいのか尊重して決めたり、故人の遺産相続をする相続人や親族などの関係者が話し合った上で、それぞれが合意して決めたりすることが一般的であると思われます。

しかし、話し合いなどが事前になく、たとえば、喪主が一時的に葬儀費用を立て替えた後に費用を関係者に請求する場合や極端に高額な葬儀費用を負担しなければならなくなってしまう場合などにおきましては、特に、遺産相続の問題とは別に大きなトラブルになってしまうことも否めません。

 

葬儀費用と香典の性質や意味についても知っておこう

故人の葬儀がすべて終わるまでの間におきましては、相続人や親族をはじめ、故人と関係があった多くの方々から香典を受け取ることがありますが、そもそも香典とはどのような性質や意味があるものなのでしょう。

一般に、香典とは、亡くなった故人の供養のためや遺族の悲しみを慰謝するといった意味があり、これに加えて、葬儀費用などの金銭的負担を軽減するための相互扶助を目的とした性質があるともされています。

そのため、香典返しやお金のあるなしをはじめ、葬儀費用の実費が伴うのか否かに関わらず、香典というものは、まずもって葬儀費用に充当されるべきものと考えられます。

ちなみに、喪主となった相続人が、故人に対する香典を取得しながらも故人の遺産にあたる預貯金から葬儀費用を払い出したことによって、葬儀費用のトラブルが発生し、裁判沙汰になった判例も実際にあることは確かです。

他の相続人からしますと、ご自身が相続できる遺産が不当に減ることになりますので、裁判をする、しないは別として、前述したことに対して不服があるのは当然のことだと思われます。

 

葬儀費用の問題を解決するための対策方法

葬儀費用の問題を解決するために最も望ましいのは、相続人に金銭負担をかけないようにするために計画的な貯蓄はもちろん、生命保険などにあらかじめ加入しておき、亡くなった際は、相続人が受け取った死亡保険金の中から支出するように備えておくのが最も望ましいと考えられます。

もちろん、その旨をしっかりと配偶者や子供といった推定相続人に伝えておくことが重要であり、しっかりと遺言書を作成し、明記しておくことができれば、より良いでしょう。

なお、故人の生命保険金や遺産がなく、相続人同士で葬儀費用などを負担しなければならない場合は、必ず相続人の間で話し合いを行った中で決定し、たとえば、喪主個人の独断で行動するようなことは、後々のトラブルになる可能性が非常に高くなるため、絶対に避けるようにしておきたいものです。

 

遺産相続の問題に関するまとめ

お金のある、なしに関わらず、遺産相続のよくあるトラブルについて紹介させていただきましたが、基本的には、故人が生前中に相続対策を取っておくことや相続人の間で事前に話し合いをしっかりとされることによって解決できることばかりです。

また、お互いを尊重し合って協力し合うといった当たり前のことがしっかりとできていれば何も大きな問題が発生することも基本的にはありません。

しかしながら、相続では、無償で多額のお金が入ってくることがある場合や、逆にご自身の資産から葬儀費用を負担するなど、お金の収支が絡むことから大きなトラブルがつきものであることは確かです。

このようなことを踏まえた時、遺産を残す側、残される側の双方が、将来開始される相続について事前に自分の考えをまとめ、対策を取っておくことが大切だと言えます。

 

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