- 相続が発生した場合、まず被相続人の死亡届の提出と遺言書の有無を確認する。
- 相続税の申告は専門家によっても金額が異なる場合があるため、専門家に依頼する。
- 不動産の名義変更についても時間と手間を考えると専門家に依頼したほうがよい。
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親が土地や不動産などの財産を持っていて、もしその親が亡くなってしまった場合は相続が発生する形となります。
しかし相続では自動的に手続きが行われるわけではないため、自分たちできちんと段取りを踏んで手続きを行っていかなければ損をしてしまうケースも考えられます。また一生のうちに多く経験することではないので、やり方がわからないという方も多いかと思います。
今回の記事では、相続が起こってからどうすればいいのかを順番を追って紹介していきます。
今回のケースではお父様が亡くなって(この記事では、以降亡くなった人を被相続人といいます)、お母様と子供2人が相続人というケース、つまり被相続人と相続人が3人の場合という事例で紹介していきます。
お父様が亡くなって、まず最初にしなければいけないことは死亡届の提出です。こちらは市区町村役場へ、死亡の事実を知ったときから7日以内に行わなければならないことになっています。
同時に遺言書があるのかどうかについても確認しましょう。
遺言書があると財産の分配に影響してくる場合があります。
なお、今回のケースでは遺言書はなかったものとして紹介していきます。
その後、行っていく手続きとしては相続税の申告と不動産などの名義変更といったところになります。
なお。相続税の申告については、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。
一方不動産などの名義変更には期限は特に定めはありません。
死亡届の提出と遺言書の確認を行ったら、次に被相続人の財産を相続人の間で分割する話し合いをしていかなければなりません。その際、現金でしたら単純に金額を分配していけばいいのですが、土地や建物などの不動産の場合そういうわけにもいきません。
それでは土地、建物などの不動産の分割にはどのような方法が考えられるのでしょうか?
ここでは分割方法について紹介していきます。
相続財産が土地だけで建物がない場合は、単純に土地の面積を相続人の人数で割って分割する方法が考えられます。これを現物分割といいます。
相続財産が土地だけではなく建物も一体となっている場合は、1人の相続人が相続するというケースがあります。このケースでは他の相続人に対して代わりの財産を分配することで公平に財産を分配できる形になります。これを代償分割といいます。
換価分割とは親から引き継いだ土地や建物などの不動産をそのまま引き継ぐのではなく、売却して現金に換金してから財産を分配する方法をいいます。
以上が土地、建物などの分割方法の種類になります。なお、分割方法ではありませんが、これとは別に相続人複数で土地、建物などを共有するという相続の方法もあります。
計算は煩雑になってしまいますが、賃貸用マンションを相続して共有名義にするといったケースもあります。
相続人の間で話し合いがまとまった後は、遺産分割協議書という書類を作成し遺産分割の内容を書面に残します。
口約束でのトラブルが防げるのはもちろんですが、この遺産分割協議書が存在することで、第三者に対してもどのような内容で財産を分配したのかを示すことができます。
上記のように遺産分割協議がスムーズにまとまれば良いのですが、相続人の人数が多くなってくると遠方に住んでいるケースなどもあり、なかなかスムーズに話し合いが進まないといった状況も考えられます。遺産分割協議が相続において一番の難関であると思います。
そのため、被相続人が亡くなってすぐに遺産の分割の話し合いというのはなかなか難しい面もありますが、なんとか相続人同士で協力し合って早めに話し合いの場を持つことをおすすめします。
相続人の各人にどのように財産の分配をするのかを決定したら、その内容に基づいて相続税の申告準備を進めていく形となります。相続税の申告と相続税の納付の期限は同じで、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内という期限になります。こちらは期限を過ぎると罰則があるため、遅れないように申告と納付を行わなければなりません。
ここでは相続税の申告と納付の手続きの流れについて紹介していきます。
相続税は現金、預金や土地、建物といった不動産、その他の財産の価値を集計して計算していきます。集計した金額からは次の控除額を差し引くことができます。
今回のケースでは父が亡くなって、母と子供2人が相続人という形になるため、相続人の人数が3人になります。上記の控除額の計算式にあてはめると、相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×3人で4,800万円という形になります。
なお相続税の基礎控除額が下がってしまったため、今後相続税を申告、納付する世帯が増えてくると思われます。相続税を納めるほどの額の財産はないという人も、念のため財産の価額を確認することをおすすめします。
上記のようにおおよその計算をして、もし財産の価額が基礎控除額を上回りそうだとなった場合は、相続税の計算をして申告と納付をしていく形になります。しかし現金や預金などの財産は金額が表示されているため、誰が計算しても同じ金額になりますが、建物や土地などは誰が計算しても同じ金額とはなりません。
理由として、不動産の評価金額の計算方法が専門家によって異なる場合があるためです。このことから、専門家でも不動産などの財産の評価は難しいということがわかります。
そのため相続税の計算や申告は相続を専門に行っている会計事務所などに依頼することをおすすめします。なお相続の経験があまりない会計事務所もあるため、ご注意ください。もちろん依頼する分、費用がかかってきますが、結果的には時間と手間を節約できることがメリットだと思われます。
相続税の申告が必要というケースでは、どんな書類が必要となってくるのでしょうか?
ここでは相続税の申告に必要と思われる書類を紹介していきます。
基本的には上記の書類が必要です。書類については会計事務所によって取り扱いが異なることもあります。会計事務所などに依頼する場合は、依頼している会計事務所などに確認していただければと思います。
相続税申告書が出来上がれば、相続税の金額も計算されていることと思います。なお、相続税の納付については現金で納付することとされています。
そのため現金や預金などの財産が多ければ、相続税の納付も相続財産から行うことができます。
しかし不動産などの財産が多い場合は、評価額によっては現金や預金で用意できないケースもあります。
そのため、相続税を納付するために不動産を一部売却するといった事態が起こる可能性も確認いただければと思います。
相続税の申告と納付を無事済ませたら、その流れでそのまま財産の名義変更をすることをおすすめします。
名義変更には期限はありませんが、名義変更を放置するとデメリットが生じる可能性があります。
ここでは名義変更の手続きに必要な書類及び、名義変更を放置した場合のデメリットについて記述します。
こちらの必要書類についても、専門家に依頼する場合は、念のため専門家に確認いただければと思います。
不動産の名義変更とは、手続きとしては不動産の名義を被相続人の名義から相続人の名義に変更するという手続きになります。
また登記の申請には登録免許税という税金が別途かかる形となります。
登録免許税の金額は、相続の場合、固定資産評価額の1,000分の4と定められています。
例えば不動産の固定資産評価額が1,000万円の場合は、4万円といった形になります。
このように自分で登記をする場合は上記のような書類が必要となりますが、相続税申告とほぼ同様の書類が必要となるため、相続税の申告まで進んでいる段階であれば書類を集めることは難しいことではありません。
しかし自分で不動産登記を行うとなると思わぬ手間がかかってしまったり、時間も思いの外かかってしまうといった可能性が高いです。
そのため不動産登記についても、相続税申告のときと同様、専門家に依頼することをおすすめします。
不動産登記申請の専門家は司法書士です。依頼している会計事務所に提携している司法書士がいる場合は、相続税申告の際、名義変更の登記申請の必要書類ができている形になるため、専門家への費用が抑えられる可能性もあります。
詳細については、会計事務所に相談して提携している司法書士がいるかどうかなどを確認することをおすすめします。
遺産分割協議をした時点では、話がまとまっていたとしても他の相続人が不慮の事故などで亡くなってしまった場合など、思わぬ展開になることがあります。
例えば今回は母と子供2人の相続人3人のケースを考えてきましたが、仮に子供の一方をAとして、Aに奥さんがいたとします。
このAが不慮の事故で亡くなった場合は、相続の権利がAの奥さんに引き継がれます。名義変更を放置していると、本来遺産分割協議ではもう一方の子供Bに財産が引き継がれることになっていたとしても、Aの奥さんにも財産を相続する権利があるため、Aの奥さんが財産の分配に反対した場合は再度話し合いをしなければならないといった事態が起こります。
このようなケースになってしまうと、遺産分割協議のとおりに相続することができないといった可能性が出てきてしまいます。
1のケースのように財産の引継ぎで揉めることはなくても、相続人の人数が増えてしまった場合はどのような問題が生じるでしょうか?
例えば今回のケースでは母と子供A、子供Bは全員近所に住んでいたとします。
しかし、子供Aが不慮の事故で亡くなってしまい、奥さんと、新たに子供Aと同居していない孫C、孫Dがいたとします。
孫C、孫Dが近所に住んでいなかった場合は、それだけで書類のやりとりが煩雑になってしまいます。
この上、孫C、孫Dが財産の分配に反対してきたとしたら、余計に手続きが煩雑化してしまいます。
このようなケースになってしまうと話し合いの場を持つことも困難でしょう。
以上のように、引き継ぐはずだった財産が引き継げなくなってしまう可能性も出てきてしまうのです。このように相続人各人の環境は永遠に不変のものであるとは言い切れません。
権利を確定する意味でも、名義変更などの手続きはいつでもできるといって放置せず、なるべく早めに行う必要があると言えます。
ここまで紹介してきたように相続の発生は、人の一生が終了してしまうという重大な出来事であるため冷静に対処することが難しいですが、まずは落ち着いて被相続人の死亡届と遺言書の有無を確認しましょう。
その後、相続税の申告を専門家に依頼することと、相続財産に土地や建物などの不動産があれば名義変更を専門家に依頼すれば、まずは一安心ではないでしょうか。
流れとしては、
といった形です。なお2、3は同時に進めていくことも可能です。詳細は専門家に確認していただくことをおすすめします。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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