- 1か所だけでの勤務先での勤務の場合は、年末調整によって所得税の精算が完了する場合が多い。
- 2か所の勤務先で掛け持ちでアルバイトをしている場合や、副業などによって所得が20万円を超えるような場合は確定申告をする必要がある。
公開日:2019年10月2日
年末が近づいてくると、年末調整の対象になるのか又は対象じゃないのかという話を耳にする機会があるかと思いますが、そもそも年末調整とはどのような手続きのことをいうのでしょうか?
年末調整とは、会社で行う各個人の所得税の精算の手続きのことなのですが、そもそもアルバイトやパートの人の場合も年末調整をされているのかどうかも気になるところです。
今回はアルバイトやパートの人が年末調整の対象になるのか、収入が103万円以内の人やアルバイトなどの掛け持ちの人の場合も含めて紹介していきます。
なお、年末調整についてはこちらの記事からも詳しく知ることができます。
会社や個人事業主の事業所に勤務している人は、アルバイトやパートの人でも扶養している家族がいない場合、月88,000円以上の給与収入があれば概算の所得税が差し引かれて給与が支給されています。この給料収入から概算で所得税を差し引く処理を源泉徴収と呼びます。
年末調整の手続きは、学生であることや派遣で勤務していることなどの条件に関わらず行われます。年末調整とは源泉徴収された所得税を、最終的に12月までの各個人の所得控除分を考慮して精算する手続きのことをいいます。ではなぜその年の12月までの所得控除分で所得税の精算をするのでしょうか?
理由として個人の所得税の計算期間が、暦上の1年の始まりである1月から1年の終わりである12月までの間の期間で計算される点が挙げられるからです。
このように源泉徴収では概算で毎月の所得税が差し引かれていて、最終的に個人の計算期間である1年間で計算した給与収入の金額が103万円以内の人は、年末調整によって最終的に所得税はかからない形になります。
年末調整の計算によって、最終的に各個人から源泉徴収された所得税の金額が多すぎた場合はその分の金額を還付し、逆に源泉徴収した所得税の金額が少なかった場合は、不足分の金額を徴収して年末調整の手続きが終了する流れになります。
よく103万円の壁という話を聞く場合が多いかと思いますが、なぜ103万円以下だと税金がかからないのでしょうか?基本的には収入から経費を差し引いて残った金額に%をかけることによって所得税は計算されます。給与収入の場合、経費に該当するものとして給与所得控除が挙げられます。
2019年現在、103万円以下であれば給与所得控除は65万円取れます。この結果、給与収入103万円から給与所得控除65万円を差し引いて残った額が38万円となります。
残った額の38万円というのは、人が基本的に誰でも取れる所得控除である、基礎控除の38万円と同じ金額になります。こうして残額の38万円から基礎控除38万円を差し引くと0円ということになるため所得税がかからないというわけです。
それでは掛け持ちでアルバイトやパートをしている人はどうなるのでしょうか?結論としては掛け持ちでアルバイトやパートをしている人は、主なアルバイト先のみの給料額で年末調整されます。しかし二か所目の勤務先では年末調整を行うことができないため確定申告をする流れになります。
そもそも年末調整の手続きは、給与所得者の扶養控除申告書という書類を提出した会社や個人事業主の事業所で行われます。この書類は主な勤務先にのみ提出ができる書類で、主な勤務先の判断基準としては収入額が多いか少ないかで決めるケースが一般的です。
なぜ収入額が多い勤務先を主な勤務先にするかというと、主な勤務先では源泉徴収する税額を甲欄と呼ばれる低い税額で計算できるのですが、二か所目の勤務先は従たる勤務先という扱いになり、源泉徴収する税額が甲欄より高い乙欄の源泉徴収税額で差し引かなければならなくなるからです。
例を挙げると、月88,000円で扶養家族がいない人の場合、甲欄で源泉徴収される税額は130円なのですが、乙欄で源泉徴収される税額は3,200円になります。同じ金額を稼いでも甲欄と乙欄の税額ではこれだけの違いがでてくるため、一般的には収入額で主な勤務先と従たる勤務先を判断する形になります。
このように主な勤務先でのみ年末調整が行われる形となり、確定申告が必要になる流れとなります。
先述のように、掛け持ちでアルバイトをしている場合、二か所目の勤務先が従たる勤務先という扱いになり源泉徴収が乙欄で行われています。
このようなケースでは、確定申告をすることによって乙欄で高めに源泉徴収されている所得税の金額を年末調整をした所得税の金額と合算して最終的な所得税を計算することができる形となります。合算すると乙欄では、やはり高めに差し引かれているケースが多いため最終的に所得税が還付になる可能性があります。
確定申告の対象者は、次の通りです。
ここからは特に、確定申告の対象者となっている給与所得のある方について詳細を紹介していきます。
先ほど記載したとおり、通常ですと給与所得のある人は年末調整で所得税の精算手続きが終了していると考えられるため確定申告は不要です。
しかし次のような場合は確定申告が必要とされています。
つまり給与収入を得ている人で、2000万円を超える金額の場合や、給与や退職所得以外の副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合(収入から控除などの経費を差し引いたものが所得という形になります)がこれに当たります。
また二か所以上から給与を受けていて、従たる勤務先の給与収入と副業などで得た収入から経費を差し引いた残りの金額が20万円を超えている場合は確定申告が必要ということになります。
先述したとおり、確定申告が必要な条件に当てはまっている場合は、当然のことながら確定申告が必要になります。手続きとしては自分で作成するか、専門家に依頼するかのどちらかで作成していく形になるかと思います。
インターネットを使える方は、インターネットで国税庁HPに確定申告等作成コーナーがあるため、その指示に従って入力していけば自分でも簡単に作成することができます。例として二か所から給料を受けている場合、具体的な必要書類としては二か所から給与を得ているため、二枚の源泉徴収票が必要になってきます。
年末調整通りの内容の場合は、二枚の源泉徴収票に記載されている内容をそのまま入力することによって合算された最終的な所得税が精算される形になります。
また、その他個人確認用の書類としてマイナンバーの記載や、マイナンバーカードの写しの添付が必要となります。もしマイナンバーカードを取得していない場合はマイナンバー通知書と写真付き身分証明書の写しが必要となってきます。
このようにして作成できた書類を添付書類と一緒に管轄の税務署に直接持ち込むか、又は書類を管轄の税務署に郵送すれば確定申告は完了です。なおもう一部同じ書類を作成し、控にも収受印を押してもらうことをおすすめします。
確定申告書は二か所から給与を受けているだけのケースの場合は、自分でも時間をかければ作成することは可能かと思います。しかし時間がなかなか取れなかったり、他にも医療費控除などの所得控除を受けたいという場合もあるかもしれません。
そこで時間の節約や間違いを未然に防ぐ意味でも、確定申告が複雑になりそうであれば税理士などの専門家への依頼を検討することをおすすめします。
あまり意識されていないかもしれませんが、年末調整は給与所得者の扶養控除申告書という書類の内容を基に手続きが進められます。ではそもそも給与所得者の扶養控除申告書とはどのような書類なのでしょうか?
給与所得者の扶養控除申告書とは、別名、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書ともいいます。会社で保管義務のある書類で、本人の氏名や扶養する家族の有無、人数を把握するための書類になります。会社ではこの書類の内容に基づいて毎月差し引く源泉徴収の金額を計算します。
具体的には、まず書類上部の左から会社の所在地を管轄する税務署名や会社名などを記入する欄がありますが、この部分は会社の方ですでに記載してくれているのが一般的です。自分たちで記載しなければいけないのは下記になります。
書類の中央の欄は扶養親族について記載する箇所になります。なおこの箇所は、独身の方であれば書類の上部の記載のみで終了という形になります。
基本的には配偶者を記載する形になります。しかし配偶者の控除の条件が2018年分からさらに厳しくなったため、次の条件に該当する場合に記載する形になります。
上記の他にも細かな条件はありますが、基本的にはこの条件に該当する場合が源泉対象控除配偶者ということで控除が取れる形になることをご承知おきください。
基本的には、その年の12月31日時点の年齢が16歳以上の人で、給与のみの収入の場合は103万円以下の人を扶養している場合に記載します。
その他、障害者、寡婦、寡夫、勤労学生に該当する人を扶養している場合に記載します。
書類の下部は、16歳未満の扶養親族がいる場合には住民税の控除の対象となるため記載します。
以上、ここまで年末調整について紹介してきました。
基本的には、1か所だけでの勤務先での勤務の場合は年末調整によって所得税の精算が完了する場合が多いかと思います。しかし二か所の勤務先で掛け持ちでアルバイトをしている場合や、副業などによって所得が20万円を超えるような場合は確定申告をする必要があります。
確定申告については、国税庁のHPで作成しやすいような工夫がなされていますが、それでも自分だけで作成するのは時間がかっかったり難しかったりするケースもあります。そのような場合は無理せず税理士などの専門家への依頼を検討することも1つの方法です。
この記事が少しでも、お役にたてれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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