- 年末調整と確定申告の違いをわかりやすく解説しています。
- 年末調整と確定申告が両方必要な場合を紹介しています。
- 年末調整後に確定申告をした方が良い場合を紹介しています。
公開日:2018年12月26日
年末調整や確定申告は、個人の方が1月1日から12月31日までに得た収入を基に所得を計算し、それに対して税金の精算をするための手続きのことを言います。
通常、会社員や公務員、アルバイト、パートといった職業で、勤務先から給料の支払いを受けているのみである場合は、勤務先が行う年末調整によって1年間の税金の精算が終了するのが一般的です。
ただし、給料のほかにも異なった収入があった場合やその他特殊な事情がある場合は、確定申告をしなければならないこともあり、この辺をしっかりと知っておくことは大切です。
そこで本記事では、会社員や公務員などのように、勤務先から給料のみの支払いを受けている方を対象に、年末調整と確定申告の違いをはじめ、どちらの手続きも必要な場合を合わせて紹介します。
年末調整や確定申告は、個人の方が1月1日から12月31日までに得た収入を基に所得を計算し、それに対して税金の精算をするための手続きですが、最も大きな違いは、給料を貰っているか、貰っていないかで大きく分けることができます。
職業 | 税金の精算手続き | 誰が精算手続きを行うのか |
---|---|---|
会社員・公務員など | 年末調整 | 勤務先 |
自営業・フリーランスなど | 確定申告 | 自分自身 |
会社員や公務員などのように給料などの支給を受けている方は、勤務先が毎年、11月から12月にかけて行う年末調整によって、1年間の税金の精算が終了するため、基本的に確定申告をする必要はありません。(例外については、後述します)
また、給料の支給を受けていない自営業やフリーランスといった方は、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に確定申告をすることによって、1年間の税金の精算をすることになっています。
つまり、年末調整や確定申告は、いずれも個人の税金精算手続きではあるものの、就いている職業や置かれている立場によって、精算手続きの方法が異なることを意味します。
一般に、会社員や公務員は、年末調整で1年間の税金精算手続きが終了することになりますが、以下にあてはまる場合は、会社員や公務員などであったとしても、年末調整と確定申告の両方が必要な場合があります。
初めて住宅ローン控除の適用を受ける方や医療費がかさんで医療費控除の適用を受ける場合などは、会社員や公務員といった職業に就いていても十分考えられますので、特に、注意が必要なポイントと言えるでしょう。
初めて住宅ローン控除の適用を受ける方や医療費がかさんで医療費控除の適用を受ける場合は、年末調整後に確定申告をした方が良い場合と言えますが、これらのほかにも、年末調整で適用できる所得控除を付け忘れた場合などもございます。
年末調整は、勤務先によって書類の提出期限日を設けていることが多いことから、書類提出後や年末調整が終了してから適用できる所得控除を記入し忘れていたなどといったことが時にはあると思います。
このような場合は、年末調整後に確定申告をすることで、適用し忘れた所得控除の適用が可能です。
上記は、ほんの一例ですが、筆者個人の主観では、源泉徴収票や確定申告書の内容と相談されるお客様の家族構成や置かれている立場や状況などを相談の中でヒアリングしますと、所得控除の適用忘れやそもそも適用できることがわからない場合などが目立っていることを率直に感じます。
そのため、所得控除の適用忘れや本来ならば適用できる所得控除が無いのか、改めて再度確認されてみることをおすすめします。
年末調整後に、ご自身が適用した所得控除について間違えてしまっていたことに気が付いた場合は、年末調整後に確定申告をしてやり直しをすることをおすすめします。
場合によっては、勤務先で再度年末調整をしてくれる場合もあるのですが、そちらの対応がしていただけない場合は、ご自身で確定申告をしてやり直しをする必要があり、これをしない場合は、後に、税務署からのお尋ねがあり、結果として、修正申告を行わなければならないことにつながります。
また、本来支払わなくてもよかったはずの無駄なお金を納めなければならない可能性も生じるため、あまり考えにくい事例ではあるものの、このような場合は、忘れずに確定申告でやり直しをされるようにしたいものです。
筆者の相談事例としては、夫婦間で配偶者控除の重複適用があったパターン、本来ならば配偶者控除や配偶者特別控除が適用できないのにも関わらず、適用されていたパターンといった2つの事例がこれまでの経験上ありました。
配偶者控除については以下の記事をご覧ください。
1月1日から12月31日までの1年間において、年の途中で勤務先を退職し、年末調整が未済である人は、場合によっては、確定申告をすることで所得税の還付が受けられる場合があります。
以下、国税庁のWEBサイトからの引用となります。
給与所得者は、通常所得税を毎月の給料やボーナス等から源泉徴収されます。この源泉徴収は概算で行うことから、源泉徴収された所得税の合計額は、必ずしもその人が納めるべき年税額と一致せず過不足が生じます。
そこで、年末調整によってこの過不足額を精算します。大部分の給与所得者はこの年末調整によって所得税の納税が完了しますので、原則として確定申告の必要はありませんが、年の途中で退職しますと所得税が納め過ぎになる場合があります。
このうち、中途退職した同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっていますから、所得税の納め過ぎは解消します。
しかし、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられませんから、所得税は納め過ぎのままとなります。この納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられます。
この申告は、退職した翌年以降5年以内であれば行うことができますが、申告に必要な添付書類がそろい次第早めに行うことをお勧めします。また、その際には、退職した勤務先から交付される給与所得の源泉徴収票(原本)を添付する必要があります。
年の途中で退職し、年末調整が未済である人は確定申告をすることで還付が受けられる場合があることがわかりました。
また、記述の中では、退職した翌年以降5年以内であれば還付申請を行うことができるとなっていますが、これは、いわゆる更正の請求と言って、本来納めるべき税金が所得控除の適用忘れなどで納め過ぎていた場合に、還付申請することで所得税の還付が受けられる制度です。
更正の請求によって、所得税の還付を受けた場合、納めるべき住民税の金額にも影響を与えることになるため、住民税も調整されて納めるべき税金額が少なくなる効果が認められます。
筆者の相談事例として、同居している親がいるのにも関わらず、長年に渡って扶養控除を適用していなかったものがあり、その理由として、年金額が多いことから、そもそも扶養控除が適用できないと思っていたといった事例がありました。
ただ、家族構成や状況をヒアリングした時、明らかに扶養控除として適用が可能であることから、連携している税理士の協力の下、更正の請求手続きをとっていただき、相談者様は、過去5年にさかのぼって所得税の還付を受けられたといったものがあります。
過去に適用し忘れた所得控除がある場合などは、還付申請することができる場合があるため、こちらにつきましても、合わせて再確認されるのがよろしいかと思います。
年末調整や確定申告は、いずれも税金の精算手続きであり、就いている職業や確定申告しなければならない方の条件にあてはまっているかどうかで手続き方法が異なります。
また、年末調整と確定申告をいずれもする必要がある場合や確定申告をした方が良い場合なども広く知ることができたと思いますので、現在だけでなく過去も振り返ってみて再確認されるのが望ましいと思います。
併せて、これからの将来にも役に立つこともあると思いますので、ぜひ、ポイントをしっかりと押さえていただきまして、今後に役立てていただければと感じています。
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