- 失業保険の管轄はハローワーク。
- 離職時に受け取る書類一式を持ってまずはハローワークへ。
- 申請手続きが終わると一定期間で失業認定を受ける。
- その間は決められた求職活動を継続。
- 要件を満たせば失業手当の振込がある。
- 給付額や日数は離職時の条件により個人差がある。
公開日:2020年1月9日
転職を希望していたり、親族の介護など様々な理由から、定年を待たずに退職(離職)する方は増えています。正社員で働いていた場合や、パートでも条件を満たせば雇用保険に加入する義務があります。
従って、退職時にはいわゆる「失業保険」を受給することができます。今回はこの失業保険のもらい方について、順を追ってわかりやすく解説していきます。
パートの雇用保険加入条件については、こちらもご一読ください。
雇用保険全体の窓口となる機関はハローワークです。一般的なハローワークのイメージとして、求人票の閲覧や職業相談ではないでしょうか。
もちろんそれらも大事な業務ではありますが「現在働いている人の環境の保全や、スキルアップのためのサポート」なども行っています。
ハローワークの種類にはいくつかあります。雇用保険全般の手続きや申請ができるのは公共職業安定所の位置づけであるハローワークのみです。公共職業安定所以外で、雇用保険上の実際の手続きを行うことは基本的にできません。
ハローワークには以下のような種類がありますが、その特性に応じて使い分けると良いでしょう。
雇用保険とは、簡単にいうと「働く人の金銭面や環境面の徹底サポート」というイメージを持っていただくと非常に解りやすいかと思います。
雇用継続のためのサポートや、新たに雇用されるまでの間の生活費のサポートが、雇用保険の主な役割と覚えておくと概要が掴みやすくなります。
雇用保険は、任意で加入や脱退が出来る性質ではなく、加入要件を満たせば必ず加入しなければなりません。また、加入要件を満たしているにもかかわらず、加入させていない企業は、雇用保険法にのっとり厳しく罰せられます。
雇用保険料は、毎月の給与の一部を給与天引きで差し引かれていますが、実際に勤労者の給与から引かれている金額は、勤労者の自己負担部分のみです。自己負担部分以外の金額は、勤務先が支払っています。
いわゆる労使折半ということになりますが、完全に半分ずつに按分するのではなく、ほとんどの場合企業が負担する雇用保険料の方が多くなっています。また、この按分の割合に関しては、業種によって様々です。
一般的に「失業保険」と呼ばれるものの正式名称は「雇用保険」です。失業保険とは俗称です。また同じようなもので「失業手当」とは俗称であり、本来の名称は「基本手当」です。
つまり、退職(離職)した後に受け取ることが出来る給付金について、本来は「雇用保険における基本手当」ということになります。
また、この失業手当は次の仕事に就くまでの生活資金としての側面があり、受け取った給付金は基本的には非課税扱いとなります。(一部、非課税とならない場合があります)
詳しくはこちらをご確認ください。
失業手当とは、雇用保険の中でも要となる給付金(手当)です。失業手当と一般的に呼ばれているように、簡単な概要としては「失業した際にもらえるお金」であると考えて良いでしょう。
ただしこの場合の失業とは、単に仕事を失って無職の状態であれば良いというわけではありません。あくまでも「働く意思と環境、能力を持っているにも関わらず、希望する仕事に就いていない状態」を雇用保険上では「失業」とみなされます。
働く意思はあっても、健康上の理由から長期療養を余儀なくされる場合や、妊娠出産育児などの理由から、万が一仕事が見つかってもすぐに働くことが出来る状態ではない場合は、失業とはみなされません。
また、働く意思がない場合は、そもそも雇用保険における失業状態にはあたりません。このような制度を逆手にとって不正受給をする人が少なからず居ます。不正受給は厳しく罰せられることになり、いわゆる「3倍返し」のペナルティを受けることになります。
詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険の中でも一番受給者が多い給付金は、失業手当(基本手当)です。では他にどのような給付金があるのか補足としてご紹介します。
もちろん、雇用保険に加入している方は、基本手当と同様にこれらの給付金についても受給する権利を有しているという事になります。各給付金の概要については、お近くのハローワークか、ハローワークインターネットサービスにてご確認・ご相談ください。
失業保険は、失業したら誰でも貰えるわけではありません。アルバイトやパートなどで、そもそも雇用保険の加入条件を満たしていない場合は退職しても当然給付金を受け取ることはできません。
雇用保険に加入しているかどうか確認する一番わかりやすい方法は、給与明細を見ることです。
毎月の給与から雇用保険料が天引きされているのであれば加入しているということになるので、いわゆる失業手当(基本手当)だけでなく、雇用保険上のさまざまな給付金を受給することができるという事です。
その他の給付金に関してはひとつ上の項目にまとめましたが、これらに該当する場合で判断に悩む場合は、是非お近くのハローワークまでご相談ください。
雇用保険に加入していることは大前提ですが、他にも以下の受給資格を満たすことで実際に失業手当を受け取ることができます。
一般被保険者とは、雇用保険に加入している65歳未満で正社員として働いている場合を指します。パートやアルバイトでも週20時間以上の労働があり、31日以上継続して働くことが見込まれる場合は、一般被保険者とみなされます。
ここから、いよいよハローワークにて実際に申請をする段階の解説に入ります。事前に準備しておく当日の持ち物についてや申請手続きの流れについて等、以下項目ごとに順を追って詳しく紹介していきます。
ハローワークにて失業保険の手続きをする際は、以下の持参物が必要です。離職票などの必要なものは失業する前に働いていた勤務先から受け取ります。ほとんどの場合、退職した後に自宅に郵送されてくるか、ご自身で全勤務先へ受け取りに行くことになります。
勤務していた会社から受け取る離職票の記載事項として離職理由を記す欄があります。受け取ったら必ず記載内容に間違いがないか必ず確認しましょう。離職理由の間違いは、この後の受給に際して大きく影響します。
申請手続きは簡単に以下の順番で行います。ここでは、待期期間や給付制限などを考慮せず、一般的な手続きの流れについて記載しています。
退職後なるべくすぐに手続きをしなければ、受給期間(おおむね1年間)が終了してしまい、本来ならもらえるはずの給付金が少なくなってしまうことがあります。やむを得ない場合には受給期間の延長もできますが、特段の理由がない場合は退職(離職)してすぐにハローワークにて手続きをしましょう。
勤続年数や、離職時の年齢・離職直前の給与など様々な条件の違いから、同じ会社を同じ日に退職した人同士が必ずしも同じ金額・同じ日数の失業手当を受給できるわけではありません。手当の額や日数を決めるには、様々な条件が考慮されます。
近年では、一定の項目を入力すると、概算の給付金額と給付日数が簡易的に解るサイトもあるようですが、あくまでも目安としてお使いください。
給付日数は基本的に1年間です。場合によっては、最長の場合330日の日数が与えられます。330日の給付日数を受け取ることができる条件として「45歳以上65歳未満で、特定理由離職者・特定受給資格者に該当し、算定基礎期間が20年以上である場合」です。
特定理由離職者とは、本人及び所定の範囲の親族の病気や介護などを理由として離職せざるを得ない方のことを指します。特定受給資格者とは、倒産や解雇など会社都合での離職を余儀なくされた方のことを指します。
一通り申請の手続きを済ませたら、あとは基本手当が振り込まれるのを待ちます。ただし、この実際の受け取りまでの期間については退職時(離職)の要件によって変わります。いわゆる給付制限の有無によって受給が始まる時期に差があります。
この給付制限に関してはコチラの記事にまとめていますので、あわせてご一読ください。
今回の記事は、失業保険を受給するための具体的な条件と流れに関してまとめました。一度でも退職を経験され、ハローワークでこの一連の流れを経験した方でも、改めて時系列で確認してみると面白いのではないでしょうか。
というのも、実際の動きに関しては、ハローワークの雇用保険受給資格説明会に参加した後に受け取る書類にスケジュールが全て記載してありますので、今がどの段階なのか意識せずとも、ハローワークで指示された通りに行動している方がほとんどだと思います。
条件を満たした人であれば、期限を守って求職活動を行い、その指示をきちんと守っていれば受給できるようにわかりやすく統一されています。あまり不安にならず、決められたルールを守って正しい求職活動をしていけば受給できるようになっています。
どうしてもご不明な点は、お住まいの地域のハローワークまでお尋ねください。