- 雇用保険には様々な給付制度がある。
- 一番代表的なものが「失業保険」。
- 離職したらまずは書類を持ってハローワークへ。
- 働く意思を持って求職活動を続けよう。
- 一定期間の求職活動を経て失業保険が給付できる。
公開日:2019年12月11日
様々な理由から、これまで勤めていた会社を辞めることになった場合「失業保険」について考える方がほとんどではないでしょうか。
会社員として勤務していた場合は「雇用保険」の加入義務があり、月々の給与から少額ではありますが保険料を天引きされ続けています。
その雇用保険の内、失業手当の受給について、今回の記事では順を追ってわかりやすく解説をしていきます。
雇用保険とは、雇用保険法に基づいて制定されたもので、簡単に言うと「失業の際や、雇用を継続したい際に困らないようにするシステム」のことです。
雇用保険の代表的なものは、離職の際に受給できる「基本手当(いわゆる失業手当)」ですが、他にも育児のサポートをする手当や、高齢者の雇用を促進する手当などもあります。
雇用保険は、ほとんどの場合どこで働いても適用されます。これは強制加入ですので、雇用保険の加入の有無を働く側が選ぶことはできません。雇用保険に加入している人のことを「被保険者」と呼びます。
また、以下の項目のいずれにも該当しないことが加入要件です。他にも細かい要件がありますが、以下代表的なもののみ抜粋します。
雇用保険は、加入要件を満たせば必ず加入しなければなりませんが、その保険料は毎月の給与から自動的に差し引かれています。
基本的には労使折半となっており、企業側が6~7割を負担し、残りの3割程度を働く側が給与天引きされているイメージです。この保険料はどのように定められているかというと、勤務先の業種によって違います。
一般事業の場合、建設業の場合、農林水産や清酒産業の場合の3つに分けられており、各業種によって保険料率に差があります。
この雇用保険料の仕組みについては、厚生労働省HP内に雇用保険料率についての年度別データがありますので是非参考になさってください。
雇用保険に加入していると、退職時だけでなく様々な場面で給付を受けることができます。具体的には以下の給付があります。意外と知られていない給付もありますので、是非この際に知っていただき活用していただければと思います。
60歳以降の働く方のことを、雇用保険の制度上では「高年齢雇用」と呼びます。
一般的に定年を60歳とした場合、その後再就職や雇用継続となり現役時代よりも給与が一定の割合より下回ることになったときは、「高年齢雇用継続給付」を受給できる場合があります。
また「高年齢雇用継続給付金」や「高年齢再就職手当金」という給付金制度もあり、60歳以降の方でも働きやすい制度を設けています。
教育訓練給付とは、簡単に言うと「働く人のスキルアップやキャリア形成を応援するの為の給付金」です。
「一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」の3種類があり、それぞれ給付を受けられる要件や給付額に差があります。この相談窓口もハローワークですので、詳しくは直接お尋ねください。
雇用継続給付は、雇用を継続するための給付です。これが適用された場合に受けることができる手当としては「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」の3つがあります。
これらはいずれも「今働いている場所で働き続ける意思があるが、事情により給与水準が下がることが見込まれる場合、離職せずに雇用継続を可能にするための給付金」というイメージです。
雇用保険のうち、あまり知られていない可能性の高い給付ですが、非常に心強い給付でもありますので、これをきっかけに覚えていただければと思います。
これまで働いていた職場を退職(離職)し、その後の生活費として次の仕事が見つかるまでの間に受け取ることができる給付を通称「失業手当」と呼びます。
実際に失業手当の受給手続きをするためには、必要書類の準備を揃えてハローワークにて受付をします。
失業手当も含め、雇用保険全般に関する対応窓口はハローワーク(旧・職業安定所・職安)です。
ただし、ハローワークプラザやヤングハローワークなどの簡易的な機能のみのハローワークではなく、お住まいの地域を管轄する一番大きなハローワークにて雇用保険の手続きを行うことになります。
ちなみにハローワークでは、この手続きの他にも、職探しの相談からスキルアップのための教育訓練の案内など、働くことに関する様々な相談に対応しています。
雇用保険の申請に必要な書類は以下のものです。このうちの「雇用保険被保険者証」に関しては、在職中にその有無を確認しておくと後の手続きがスムーズです。新たに発行することは可能ですが時間がかかります。
失業手当の振込先となる金融機関に関して、同じ金融機関でも、お住まいの地域によって指定できる場所とできない場所があります。
退職して一番初めにハローワークへ手続きに行く際にもらう書類などに金融機関に関する記載がありますので、ミスのないように必ず確認しておきましょう。
ここからは実際の請求の手順について流れに沿って解説していきます。失業保険の申請の流れは、ほとんどどなたでも以下の同じ手順で行います。
ただし、離職後ハローワークに行く時期や退職(離職)した理由などにより、受給開始時期に差はありますのでご留意ください。
実際に給付可能となる時期に関して、以下【失業保険の給付制限について】にまとめていますので、是非ご参照ください。
雇用保険請求手続きは、以下の1~7の順に進めていきます。一般的に、この順番が前後することはほとんどありません。ただし求職活動に関しては、一定期間の失業認定日に関わらず前向きに行い、一日でも早く新しいお仕事に就く方ももちろんいらっしゃいます。
ご自身の都合や、倒産などの会社側の都合により、仕事を辞めた状態のことを「離職」といいます。離職の際に、これまで勤めていた会社から退職に関する書類一式を受け取ります。後日郵送される場合もあります。
雇用保険被保険者証など、退職時に受け取った書類を持参し、お住まいの地域の要となるハローワークにて雇用保険の手続きをします。まずは「働く意思はあるが、働く場所がない」状態を解決するために「求職の申し込み」をする必要があります。
ここで「働く意思がないのに雇用保険の受給手続きをして手当を受給する」という行為は不正受給に当たり、厳しく罰せられます。
不正受給に関する内容は、こちらにまとめていますのでご参照ください。
失業保険受給に関する初回説明会は、必ず受けなければなりません。管轄のハローワークによりますが、毎月1~2回程度はこの説明会の開催日が決まっており、決められた期間内に求職の申し込みをした方たちが一斉に参加します。
毎回の参加人数が多いため、ハローワークとは別の大きな会場で開催される場合が多いようです。
この説明会に参加することで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。これらを受け取ると、いよいよ求職活動のスタートです。
初回の説明会の参加時に、一回目の失業認定日がわかります。この後、決まった期間の内の失業認定日には、少なくともハローワークや付随する機関に出向き、この間の求職活動について申告しなければなりません。
この場合の「求職活動」とは、一般的に求人票の閲覧や、実際に面接の申し込みをする等が挙げられます。
4週に1度の失業認定日までの間に、具体的にどのような活動をしたのか「失業認定申告書」に記入し、「雇用保険受給資格者証」と一緒にハローワーク窓口へ提出しなければなりません。求職活動の具体例は以下のものがあります。
これまでの一連の手続きと求職活動を経て、ここからやっと失業手当の受給が開始します。もちろん、ここまでに再就職が決まれば失業手当を受給することなく、いち早く希望のお仕事に就かれる方もいらっしゃいます。
この場合は「就職促進給付」のうち「再就職手当」の対象となる場合がありますので、ハローワーク担当窓口まで相談しましょう。
再就職手当とは、基本手当の給付期間を残した状態で次の仕事が決まった方のうち、一定の要件を満たした場合に受給できる手当のことです。
いかがでしたか。失業保険に関する手続きを済ませ、実際に基本手当を受給できるまでの期間は自己都合と会社都合で変わります。
しかし、離職後にハローワークで申請手続きを済ませると、ご自身のおおまかなスケジュールが解りますので、その後の流れはそのスケジュールに沿って進めていくのみです。
基本手当の額の違いこそあっても、スケジュールに関してはだいたいどなたも同じくらいの期間です。これから退職される方や、すでに雇用保険の手続きを行っている方のご参考にしていただければと思います。