- 老後破綻は誰にでも起こり得る。
- 予期せぬ事、準備不足、どんぶり勘定による事で生活が一変するので注意。
- お金をしっかり貯め、計画を練る事が重要。
公開日:2020年1月28日
今回は老後破綻という事をテーマに解説していきます。メディア等でたまに聞く言葉で、高齢者による破産が増えていっていますが、どんな実態なんでしょう。
もし自分が老後を迎えた時に貧困な生活を送っている事は考えたくないですが、今頑張っておかなければ、家賃や生活費が払えないかもしれません。今の話題を自分に置き換えてみて考えて頂きたいテーマです。
はじめに年金で生活している方の実態を解説しておきます。破産するという事は年金額が不足しているか、必要以上に生活費がかかり過ぎていて支払い過多になっているか等挙げられます。今の高齢者の生活を少し覗いてみましょう。
国の調査を元に解説します。まず生活費ですが、65歳以上の高齢者の1ヶ月平均の生活費は238,000円となっていて、夫婦2人での生活費です。単身者世帯での平均生活費は142,000円となっています。
この金額が毎月恒常的に発生する事になりますので、1年間にすると夫婦で2,856,000円、単身者で1,704,000円になります。
では次に平均的な年金受給額についてですが、国民年金で1ヶ月55,000円、厚生年金で145,000円となっています。この金額は1人分の受給平均額ですので、仮に単身者であれば平均生活費と比べても厚生年金受給者の場合はギリギリである事が分かります。
次に高齢者の蓄えについて解説しておきます。こちらの表をご覧ください。
内閣府発表の資料ですが、調査は総務省が行っています。60歳以上の貯蓄の割合をグラフにしたもので、平均額は2,396万円となっているようです。4,000万円以上の貯蓄を持っている割合も高く、資料を拝見すると老後破産ってあり得るのか?と疑ってしまいますね。
ここまでは必要な平均的な支出、収入、貯蓄に関して解説してきました。現在の高齢者の実態がイメージできたのではないかと思います。先程の解説にもありましたが、4,000万円以上もの資産を保有している割合は非常に高く、返って余裕のある生活が出来ると考えられますよね。
しかし、実際に老後破綻する方の中には高額な資産を持っている方も含まれていたりします。次にその事例をご紹介していきたいと思います。
ここからは実際に起きた事例を元にお話しします。もしも皆さんがこの方達の立場だったらどうしますか?読みながら考えてみてください。
Aさんは大手の会社に勤続し、60歳で定年を迎えました。退職金も1,000万円ほどあり、子供もみんな結婚し巣立っていきました。
定年後にご夫婦で生活をするにあたって、新居を現金で購入する事にしました。立地は良く、スーパーや病院も近いので年を重ねても問題無いと判断したようです。程なくして、Aさんの奥さんが認知症を発症し、自宅での介護が始まりました。
しかし、一人で介護するとなると大変です。そこで、老人ホームを検討しましたが、費用の安い施設は順番待ちの状態となっており、いつ入所できるか分かりません。同時にAさんも通院が必要な病気になり、待つことに限界が近づいてきました。
子供に相談しようにも他県へ移っており、孫も小学校、中学校と転校したくない様子。家族の支援を諦め、高額な介護付きマンションへの入居を決断しました。
入居するにあたり一時金で2,000万以上の費用負担が発生。これまで住んでいたマンションを売却するも思っていた以上に低い価格で売れ、蓄えと合算して何とか入居する事ができましたが、この時点で貯蓄は底をつきました。
奥様の体調は日々進行する一方で、生活にかかる費用だけでも月に20万円ほどかかると。とくにおむつ代等消耗品費がかさみ、予想していた資金繰りがうまくいかない事に気づきました。
この段階で誰かに相談でもしていれば良かったのですが、子供を頼れないAさんは遂に消費者金融から軽い気持ちでお金を借りる事になります。気づけば借り続け借金は膨れ、返済出来ずに破産宣告といった事例です。
破産するまでの経緯ですが、少し辛口な解説になります。これまでの生活が続くと思い込んで、60歳以降の健康不良を考えて無かった点は少々甘い様に思います。
確かに結果論ですので、仕方ないと思う事もあるでしょう。しかし、お金が手元に多く残っているとこれ位大丈夫だろうと、つい自分に甘くなるのが人間です。想定が甘くなった原因でもあります。
子供などの近親者を頼る事が出来なかった事も原因の一つでしょう。現在は核家族化が進み、老々介護という言葉があるくらいです。
そして最後にキャッシングをしてしまった事です。私もかつては金融機関に勤務していました。その時に借りる方を数多く見てきました。一度借りると、10万円でも返済は大変なんです。
そして借りる癖がついてしまい、「借りれば凌げる」という思考になってきます。この思考って物凄く大変で、我慢する事などで抑制しますが、脳内の事ですので、ついつい甘くなってしまうんです。その結果借金が膨らみ返済不能に陥ってしまったという事です。
Bさんは自営業を継ぐ2代目として家業を切り盛りしていました。次に継ぐ方もいない為、自分の代で終わるだろうと考えていました。
また自宅も代々住んできた自宅で、ご両親と同居していましたが、ご両親は他界。お墓などを守る事で供養を続ける律儀な性格のBさんです。子供も巣立ちましたが、ある日、子供が離婚し帰省する事に。子供は親権も相手方に取られ、住宅なども渡す格好で帰ってくる事になりました。
子供も離婚がショックなのかふさぎ込んでしまい、結果引きこもりの生活を送る事になりました。こうなると子供の生活費の面倒まで見なければなりません。
しかし、高齢のBさんは体に異変を感じており、商売をそろそろ辞めようと考えていた矢先の事です。遂にBさんの体も限界に達し、入院する事になりました。幸いにして命に別状はありませんが、もう仕事が出来る体ではありません。
これまで自営業としてやってきたので、国民年金だけでの生活になり、日々の生活費は限られ、節約に節約を重ねる日々になったそうです。住宅も傷んでおり、改修も出来ず、子供の復調の様子も無く、毎日が辛い日々になったそうです。
Bさんの場合蓄えを十分に出来なかった事、子供の帰省が重なってしまった事が原因です。商売という事ですので、退職時期は自分で決められます。
しかし、体調を崩してしまったので、収入源である商売は行う事が出来ず、という事が原因でしょう。この時、キャッシングにまでは手を出す事はありませんでしたが、固定資産税の支払い、お墓の維持費等の負担がかさんでいたそうです。
加えて医療費等も発生するので、一気に目の前が暗くなったと仰っていました。AさんBさんとお二人の事例をお話しましたが、皆さんならどうしますか?とはいえ、事が起きてからの対策と事が起きる前の対策とでは違ってきますね。
では老後破産しない為に何をするべきなのか解説します。対策のお話をする前に、こんな方が破産し易いですという解説を挟みます。
上記のような方は老後破綻し易いかもしれませんので注意しておきましょう。それぞれの理由を解説しますと、どんぶり勘定は論外でしょう。沢山お金を持っている場合は勘定が緩くなってしまうので、シビアになるべきです。借金などの借り癖のある方は癖を治すのは非常に大変です。
健康に気を付けていない方も注意が必要です。病気は選ぶ事は出来ません。そして、いつどんな病気になるか分かりません。風邪の様に2~3日で治れば良いですが、毎日、毎月の通院が必要な病気であれば医療費が膨れるでしょう。予防出来る事はしっかりと予防したいですね。
貯蓄できていない方はまず家計から見直しましょう。無駄な費用を削りしっかりと貯蓄出来る体力を作る事が先決です。
最後に物事を自分で解決しようとする方は、誰にも相談できない性格かもしれません。相談する事で解決出来る事だって沢山ありますので、抱え込まない様にしてもらいたいです。
最後に老後への対策となりますが、やはりお金を準備する事が大きな要素である事は間違いありません。お金には魔力もあり、魅力もあります。使う人によってはいい方向へ向かったり、最悪な結果を生むこともあります。
まずはお金を貯めるに当たって、しっかりと計画を立てる事は重要ですし、使う際にも計画は必要です。
おすすめの貯め方としては今の時代であれば投資信託を活用する事でしょう。もちろんその他に預金や、保険でリスクを分散させる事も大事です。なぜ投資信託がおすすめなのか次に理由を解説します。
投資信託は一言で言えばほったらかしで良い積立のようなものです。運用商品ですが、運用はプロが行ってくれます。毎日の株価や円相場を気にする必要が無いのもおすすめの理由の一つです。
また50代の方でも始める事は可能です。時間を要する商品ですが、長期に渡って運用する事が出来れば、結果は必ずついてくるでしょう。
利回りも平均すると最低でも2%~、高い利回りだと8%前後もあり得ます。金利の力を借りてお金に働いてもらう事で、毎月の積立負担を軽減できると共に複利の効果で増やせる力があるからです。
投資信託に関しては過去の記事に解説してありますので、そちらをご覧頂ければと思います。
今回は老後破綻をテーマに解説しましたが、破産する方は、予期せぬ出来事やどんぶり勘定が原因の場合が多く見受けられます。回避するためには、しっかりとお金の使い道を考えておく事、しっかりとお金の準備をしておく事は非常に重要です。
この記事を通じて老後に備える方が1人でも増えれば幸いです。
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