公開日:2020年2月7日
これから起業しようと考えている場合に、一番気になる問題とは何だろうかと考えた時、「資金の問題」と答える人が多いです。
確かに、今までサラリーマンなどのように毎月決まった収入のある人が、自分自身の力で収入を確保しなければならなくなると考えると、お金の問題は避けられない問題と言えます。
さらに、創業期は設立に要する費用や経費が何かと多く発生します。そんな創業期における費用について、国がサポートしてくれる制度として「創業補助金」があります。
今回は、具体的に「創業補助金とはどのような制度なのか?」「受給するまでの流れがどのようになっているか?」について、解説していきます。
新しく事業を開始したり、創業したりするときに、その開業等に要した費用を補助するための助成制度を創業補助金といいます。
起業をするときは費用が掛かるため、会社を退職して始める人であれば、貯蓄を取り崩したり、退職金を活用して行うことが多いと思われます。しかし、実際に事業が安定した収入を生み出すまでには、それなりに長い期間を要することになることが多いです。
創業して期間が短いと、銀行などの金融機関やビジネスローンなどによる融資を受けることは難しい(【理由】:審査要件として「2事期分の確定申告書」を要することが多い)ため、運転資金の確保が難しいと言われる人が多いです。
資金繰り対策の一つとして、創業してまだ期間が経っていない人たちを対象とした制度が「創業補助金」という制度です。
国が行うサポートの内容として「助成金」と「補助金」の2種類あります。いずれも、国が中小事業主等に行う支援ではありますが、その趣旨が全く異なるものとなっております。
助成金は、厚生労働省が管轄して行う「雇用安定事業」の一つとして行われる制度です。具体的には、雇用を新たに創出することを目的としたり、職場環境の改善を行うことを目的とした支出の一部を補助するものを言います。
補助金は、経済産業省が管轄して行う中小企業の経済支援や、地域活性化を目的とした金銭的なサポートを行う制度です。
今回の創業補助金のように創業期の経費を補助することで、企業の活性化や地域の活性化につながるような支援を行うものは「補助金」となりますが、実施している自治体によっては、補助金の内容であっても「助成金」というケースがあります。
創業補助金以外にも、製造業などを支援する「ものづくり補助金」やIT導入を推進することを補助する「IT導入補助金」などがあります。
創業補助金は、創業して間もない個人事業主や中小事業主などに対して、その開業に要した費用を助成するために国から支給される補助金です。補助金は各地方自治体ごとに行われるもので、創業支援を目的とした経済振興制度の一つとも言えます。
創業補助金は事業計画書を作成し、事業所の所在地の地方自治体に対して申請したうえで、審査が通った場合に補助金として支給される流れとなりますが、審査を受けて実際に補助金が支給されるまでの流れを把握しておく必要があります。
支給対象者は、以下のいずれの要件を満たしている創業期の事業主や第二創業で開業している事業主などです。
創業補助金は、自治体にもよりますが、毎年4月ごろになると募集が開始されます。そのため、4月の募集開始時点において創業又は会社設立をしているか、創業を検討している事業主などが対象者となります。
創業補助金の申請を行うには、従業員を1名以上雇っている必要があります。申し込み時点で雇用している人がいない場合であっても、将来的に雇用する予定であれば申請を行うことが出来ます。そのため、従業員を1人以上雇っていれば、個人事業主であっても申請をすることは可能です。
認定市町村の特定創業支援事業などで認定を受けている必要があります。区や自治体が実施している創業塾のようなものを1ヶ月以上に渡って受講すると認定がもらえます。
創業補助金は、創業して間もない事業主などが、事業計画書において今後展開していきたい事業の内容などを記載したものを提出して、その事業計画の内容が採択される必要があります。
採択後、6か月の「補助事業期間」を経て完了報告を行います。その後、完了報告をもとに実際に計画通りに事業を進めているかなどについて調査する「確定検査」が行われ、問題なく通過するとようやく補助金の支給が行われます。申請から入金まで約1年かけて行われる仕組みとなっています。
毎年4月から創業補助金の申請に関する募集がスタートしますので、その時期に合わせて「事業計画書」の策定を行っておく必要があります。補助金ですから、早い者順で受付が行われます。
そのため、なるべく早い時期から「事業計画書」を策定する準備を行っておくことが重要になると言えます。さらに、申請の通過率が約3割ほどであることも考慮すると、しっかりと準備をすることが望ましいでしょう。
なお、創業補助金の募集が開始しましたら、申請書と事業計画書を認定市区町村の窓口にて受付をします。
創業補助金の申請において提出する「事業計画書」の中で、記載しておかなければならない主な内容は以下の通りです。
事業計画書は提出先の目的によって記載すべき内容が多少変わりますが、根本的には、どのような事業展開をしていくかということを明確に打ち出しておくことが大切です。
具体的に、会社設立をしてからどのような事業を展開していくかについて書く必要があります。創業した事業の骨格部分とも言えます。
「従業員を何人雇うのか?」や、「法人」または「個人事業主」のどちらで事業活動を行う予定なのかをはっきりさせます。
創業してからの収入源をどのように確保するのか?資金繰りはどのように行うのか?(銀行からの融資なのか、公的機関からの支援なのかなど)を明確にする必要があります。
創業補助金が受給されるまでには、約1年かかります。そのため、1年間の年間計画を出すことはもちろんのこと、3年後や5年後といった中長期的な計画があるならば、そこも明確に示しておくことが望ましいです。
申請書と事業計画書を窓口で受け付けたら、その申請書と事業計画書を基に、補助金の支給をするべきかどうかについての審査が行われ、その審査に通過した事業主が補助金を受ける権利を有することになります。
あくまでも書類審査となるため、審査結果が出るまでには約1~2か月ほどの時間を有することになります。例年では、7月ごろには補助金の受給者が告知されています。
採択を受けるために押さえておきたいポイントは以下の通りです。
これから行う事業が、今までにないような独創性に富んでいるかどうかということです。
事業計画の内容を計画通り行うことが出来るかということです。実現可能性が低いようなことを書くと、実現可能性が低いとみなされて、採択される可能性が低くなってしまいます。比較的、実現できるイメージが出来るような内容であることが必要です。
事業が安定的に行うことが出来るかということです。開始して間もなく終わってしまうような事業に対して投資しようと考える人はいないでしょう。また、継続できるかどうかについては、資金調達がしっかりできるかという部分もとても重要な要素と言えます。
審査の結果については、書面にて申請者に対して通知されますが、審査を通過した場合(採択された場合)は実施している自治体のホームページなどでも掲載されますので、そちらからも審査に通過したかどうかが分かる仕組みになっています。
採択されてからは、補助金交付規定を確認したうえで「補助金交付申請書」を事務局に提出しなければなりません。この時に、事業計画における「経費の見積もり」についてもセットで提出しなければなりません。
これらの書類を提出した後に、正式に「交付決定通知書」が事業主のもとに郵送で通知されますので、交付決定通知書が送られてから正式に事業を開始することになります。
創業補助金が採択されて交付申請書を提出したら、事業計画書に従った事業を開始することになります。この事業を開始した日から6か月間については「経費補助期間」いい、実際に支給される補助金の額を決定するための期間です。
そのため、採択された事業計画の通りに事業展開をしているか、発生した経費は適切なものであるかといったことなどの審査対象となる期間とも言えますので、領収書等の証明祖類の保存をしなければなりません。
原則として、事業計画書の内容を経費補助期間内に変更することはできないですが、変更を余儀なくされてしまった場合は「計画変更申請」を行わなければなりません。その時に、それまでの期間について適切に行われていたかについての審査(中間審査)が行われます。
経費補助期間の6か月を経過したら、実績報告書とその期間に発生した経費の額を集計したうえで、経費エビデンス(証跡)を作成します。
事務局では、この提出された実績報告書と経費エビデンスを基に、実施状況についてヒアリング等を行い、正式に補助金の支給をすべきかの検査を行います。
そして、検査を経て正式に支給が決定したら「補助金確定通知書」によって補助金の正式な支給額が決定通知されます。
補助金額が確定したら、実際に掛かった経費を基に請求書を作成して事務局に提出します。事務局に請求書が届いたら、事務局からその請求書に記載された金額の補助金の支給が行われます。
補助金が支給されるまでには、請求書が届いてから約1~2か月ほど期間を要します。
創業補助金は人気の高い補助金の一つで、個人が経営計画書を1から作成して申請書を作成するとなると多大な時間がかかってしまいます。そうした手間を解消するために、認定支援機関による経営相談などを活用することが望ましいです。
認定支援機関は、商工会議所や商工会などの公的な団体や税理士、会計士、弁護士といった経営に関するスペシャリストが認定を受けています。
創業補助金の支給を受けるために必要な事業計画書の作成サポートなども認定支援機関で行っていますので、そういった支援サポートをしっかり活用していくことが、創業補助金の申請を通過させるために必要なことと言えます。
事業計画書の作成以外にも、創業に関する相談や資金繰り対策といった経営に関するあらゆる問題や疑問を解決するためのサポートを行っています。
また、中小企業庁が行っている「ミラサポ」という中小事業主の支援サイトのサービスなどにおいても、創業補助金の電子申請のサービスなどを行っているので、併せて活用することで、経営に関する課題を解決できるでしょう。
創業して間もない時期は、様々な場面においてサポートを受けなければ、続けることもままならないところがあります。そして、新しいことを始めるときは多額の費用が掛かるため、創業補助金を活用することでその費用をカバーすることもできます。
最初の関門とも言える「創業補助金の採択」を受けるためには、「事業計画書」をどのようにして作成するかがポイントになります。
認定支援機関などが行っている創業支援制度は、補助金の受給サポートだけでなく、金融機関などの融資を受ける際などの資金繰り対策など、様々な経営における問題点を各分野の専門家がサポートしてくれるのでぜひ活用しましょう。
昔よりも創業に対するリスクは少なくなってきましたが、今の時代においても、いかに準備を徹底的にしておくべきかという点は、昔と変わらず重要な要素であると言えます。
創業補助金の申請を通すことは、創業間もない事業主にとっては今後の事業拡大などにつながる重要な要素ですので、万全な準備をしましょう。
「起業・創業や独立に際して活用できる補助金、助成金、給付金一覧」は「スマート補助金」をご確認ください。
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