- 交通事故の場合は、相談料や着手金を無料で対応してくれる弁護士が多い。
- 弁護士に依頼したことで増加した利益に対して10~20%程度が成果報酬で必要になる。
- 弁護士費用特約を利用できれば、弁護士費用はすべて保険金でまかなうことができる。
公開日:2020年2月1日
交通事故で被害に遭った際には相手に対して損害賠償請求をすることになりますが、この時に悩みどころなのが弁護士に依頼するかという問題です。
弁護士に依頼すれば楽なのはわかるのですが、かかる費用を考えた場合にどっちのほうが手元に残る金額は多くなるのでしょうか。
そこで本記事では、交通事故の弁護士費用の相場をご紹介するとともに、具体例を用いてかかる費用が交通事故のどのような要素によって変わってくるのかについて詳しく解説します。
交通事故を弁護士に依頼した場合にかかる費用相場を、項目ごとに細かく見ていきましょう。
弁護士に法律問題について相談すると、相談料がかかるケースが一般的になります。金額は統一されていないため、弁護士によって異なりますが比較的多いと思われる金額設定は、1時間1万円もしくは30分5,000円のようです。ただ、交通事故の相談料となるとちょっと変わってきます。
交通事故を得意としている法律事務所のほとんどは、相談料を無料にしているケースが非常に多い傾向があります。なぜほかの法律相談だと相談料をとるのに、交通事故だけ無料にしてくれるのでしょうか。
交通事故は弁護士から見た場合、数ある法律案件の中でも喉から手が出るほど受任したい案件で、1案件当たりの利益率が非常にいいのです。
個人間で生じる法律問題には交通事故以外にも、離婚、相続、債務整理などがありますがどれも損害賠償という類ではないので、扱う金額が低くなりがちです。
一方で交通事故については、怪我の程度によってはかなりの損害賠償額になりますし、後遺障害が残れば総額は数千万円から億単位になることも少なくありません。
弁護士報酬は勝ち取った損害賠償金の〇%という設定になっていることが多いので、損害賠償金が膨らめば膨らむほど弁護士の1案件当たりの利益がどんどん増えるのです。
交通事故が他の損害賠償案件と違うのは、自動車保険が使えるということです。例えば、他人から暴行を受けて損害賠償請求をする場合、仮に裁判で100万円の賠償金が認められたとしてもその金額は加害者本人から回収しなければなりません。
人を殴るような人ですから、お金をほとんど持っていないことも十分考えられます。つまり、損害賠償請求は相手に認めさせることがゴールではなく、賠償金を回収してこそのゴールなのです。
交通事故の場合、加害者が自動車保険に加入していれば勝ち取った賠償金は保険会社が責任を持って支払ってくれるので、弁護士としては非常に安心できますし、弁護士費用をとりっぱぐれる心配もなくなるため、こぞって交通事故案件をやりたがるのです。
結論としては、交通事故の相談については相談料は無料のところを選んで相談したほうがよいでしょう。
弁護士に依頼して動き出す際に前もって支払う金額で、弁護士費用総額の10~30%くらいが相場のようです。ただし、こちらについても交通事故とそれ以外の法律案件で異なる部分が出てきます。
先ほどの相談料と同じで、交通事故については着手金無料で受任している弁護士がかなりいるようです。
そもそも交通事故で被害を受けた方というのは、突然仕事ができなくなったうえに予期せぬ治療費や車両の修理代まで発生するので、加害者との示談がまとまるまではお金に余裕がないケースがよくあります。
そのため、弁護士がサービスとして交通事故被害者については着手金を無料にしているケースが多いのです。
交通事故を受任すると、現場に行ったり相手と電話したりとすぐに経費が掛かってくるため、それらの費用に充てるために弁護士報酬のうち一定割合を前払いしてもらっているのです。
ただ、交通事故の場合は前払いにしなくても後で確実に保険会社から賠償金が出るので、着手金無料でも弁護士が安心して受任するのです。結論としては、着手金についても交通事故が得意な弁護士に依頼すれば無料の場合が比較的多いと言えます。
弁護士がもたらした経済的利益に応じて支払う報酬のことで、交通事故の場合弁護士費用の大部分を占めることが多いです。
通常、裁判によって勝ち取った賠償金は加害者側の保険会社から被害者の口座へ一括で振り込まれるので、そこから事前に取り決めしていた割合に応じて成功報酬を支払います。
相場としては20~30%程度が一般的なようです。弁護士報酬の多くを成功報酬にすることで、弁護士もやる気が出ますし依頼人としても安心して依頼できるようになるというメリットがあります。
時々交通事故を得意としている弁護士の中に、完全成功報酬制を謳っているケースがあります。完全成功報酬制とは、成功報酬が発生した場合には報酬を支払いますが、発生しなければ報酬がかからないというような料金体系です。
交通事故の場合は受任する時点において、交通事故の経験が多い弁護士であれば賠償金額の予想がつくため、思い切って完全成功報酬制にしていることが時々あります。
例えば、自分で途中まで示談交渉をして弁護士にバトンタッチをする場合、成功報酬の金額は勝ち取った全額に対してではなく、バトンタッチしてからの伸びしろをベースに計算するのです。
自分で示談交渉をして100万円が限界だったところ、弁護士に相談して900万円まで増額できたのであれば、差額の800万円から一定割合を成功報酬として支払います。
弁護士が事案に対応するために、事務所以外の場所に出張するなどといった場合に必要となる費用です。拘束時間が半日か丸一日なのかによっても次のように金額が変わってきます。
日当は弁護士によって金額が結構違いますので、正式に依頼をする前に確認しておくことをおすすめします。
事案の処理にかかる実費については弁護士が立て替えて支払ってくれますが、あとで精算が必要になります。
例えば、交通事故現場まで行くために必要な交通費や必要書類を取得するために必要な発行手数料など、ありとあらゆる実費がかかりますので依頼する際には大体どのくらいの金額を見ておけばよいのか、弁護士に確認しておくとよいでしょう。
交通事故を弁護士に依頼した場合にかかる費用は概ねこのような感じです。交通事故に関しては、勝訴すれば相手の保険会社から賠償金が支払われることが約束されているため、弁護士としても依頼人から報酬を回収不能になるリスクがなく、安心して受任できるようです。
そのため、相談料や着手金など通常であれば必要になる可能性が高い初期費用について、ほとんど負担なしで受任してくれる法律事務所が数多く存在するということは、被害者にとってはとても心強いことではないでしょうか。
弁護士に依頼しようか悩んでいる人の中には、かかった弁護士費用もすべて含めて加害者に請求してやると意気込んでいる人をよく見かけます。弁護士費用を相手に請求できるとなれば、正直なところ相場なんてどうでもよくなるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。
原則として弁護士に依頼した場合の裁判費用について、負けた側に負担させるという制度は日本にはありません。ただし、交通事故など相手の不法行為で損害賠償請求しているような場合については、例外的に相手に対して弁護士費用を請求することができます。
ただし、請求できる金額は実費ではないため注意が必要です。加害者に対して請求できる弁護士費用は、裁判で認められた損害賠償額の10%程度と目安が決まっています。
弁護士に支払った実費の領収書があったとしても、加害者に対して請求できるのはあくまで損害賠償額の10%程度が限度となりますので覚えておきましょう。
交通事故の弁護士費用については、賠償金を増額できた分に対する成功報酬の占める割合が非常に大きいことから、賠償金をいくら増額できるかによって金額もかなり変わってきます。
さらに言えば、賠償金の項目の中でも多くの割合を占めている慰謝料については、弁護士報酬に非常に大きな影響を与えるのです。
ここでは追突事故でよくある後遺症で、むちうちになった場合の弁護士費用についてシミュレーションしてみたいと思います。
むちうちで後遺障害に認定されるとした場合、自覚症状が主体で客観的な医学的根拠が弱い場合第14級、レントゲンやCT、MRIなどでむちうちの所見が確認できる場合第12級に認定される可能性があります。
裁判上認められる可能性が高い後遺障害慰謝料の金額は次の通りです。
第12級:290万円
第14級:110万円
仮に弁護士費用の成功報酬が20%で他の賠償金を無視した場合、第14級だと22万円、第12級だと58万円と弁護士費用が大きく変化することがお分かりいただけたかと思います。
弁護士に依頼して賠償金が増額した場合と、自力でやった場合でどっちの方が得なのかと悩む人もいるかと思います。
例えば、先ほどの事例の場合、自力で第14級の認定までとれたところで弁護士に依頼して第12級に上げることができたとすると、どっちの方が得になるのでしょうか。
自力でやった場合に手元に残る金額は、第14級の後遺障害慰謝料である110万円です。対して、弁護士に依頼して第12級に上げることができた場合、依頼人が受ける経済的利益は次のように計算します。
弁護士報酬は次のようになります。
よって、手元に残る金額は、290万円-36万円=254万円となります。
実際は後遺障害慰謝料以外にも逸失利益などの項目についても比例して賠償金が増額できるため、結果的には弁護士に依頼して慰謝料の増額を狙った方が、被害者の方の手元に残る金額は弁護士費用を支払ったとしても多くなるのです。
弁護士費用を全く気にせず弁護士に依頼したい方については、自動車保険のオプションである弁護士費用特約を付帯させることをおすすめします。
弁護士費用特約とは、交通事故の被害に遭った際に弁護士に支払う費用について一定の限度額(だいたい300万円)まで保険金が下りるという保険のオプションのことで、ほとんどの自動車保険に任意で付帯させることが可能です。
弁護士費用が300万円を超えることは滅多にないので、弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用を気にする必要なく迅速に弁護士に相談できます。
交通事故の被害者であっても自分にも多少落ち度(過失)があるような場合については、よほど相手と争っていなければ自分が加入している保険会社の担当者が相手方と直接交渉してくれます。
ところが停車中の追突事故のようなもらい事故については、自分の保険会社が保険金を支出する必要がないため示談交渉を代行してもらうことができません。
そんな時に弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用を気にすることなくすぐに弁護士に示談交渉を依頼できるというメリットがあります。
弁護士費用特約で依頼できる弁護士は保険会社に指定されると思っている人が時々いますが、実際は本人が選んだ弁護士にも使うことができます。
ただし、親族など一定の関係にある弁護士については使えませんので注意が必要です。また、利用する際には事前に保険会社の承諾をとる必要があるので覚えておきましょう。
弁護士費用特約という名称から弁護士にしか使えないように感じるかもしれませんが、実は訴訟の予定がなくて司法書士や行政書士に依頼する場合でも弁護士費用特約を利用することができます。
例えば、後遺障害認定を専門にしている行政書士などに依頼したい場合でも、弁護士費用特約を使えば費用負担なしで依頼することが可能です。
交通事故の弁護士費用は他の法律関係の事案に比べると、相談料や着手金などが優遇されていることが多いので初めての方でも依頼しやすいのではないでしょうか。
費用対効果を総合的に考えると、弁護士費用がかかったとしても弁護士に依頼した方がより多くの賠償金を獲得できるでしょう。
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