- FXは必ず儲かるわけではない。しかし、儲けた人がいるのは事実。
- FXとは2か国の通貨を売買し、その差額を利益(損失)として受け取る取引のこと。
- FXを始めるにはリスクを把握することが必須。
公開日:2020年9月3日
FXというと「儲かる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに「FXをして1年で1億円儲かった」「FXで毎月30万円儲けている」なんて景気のよい話は、インターネット上ではたくさん転がっていますよね。
では、果たして本当にFXは必ず儲かるのでしょうか?今回は投資初心者のそんな疑問にお答えしていきます。また、後半にはFXをする上で理解しておきたい、FXの仕組みや注意点なども解説します。
最初に、「本当にFXって必ず儲かるの?」という疑問からお答えしていきたいと思います。疑問の答えとしては、「人による」です。あまり納得のいかない答えかもしれませんが、それが現実なのです。
この章では「FXは必ず儲かるの?」に対する詳しい答えと、儲かる方法について解説していきます。
FXは儲かるか否か、統計的なデータを見て答えを出していきましょう。
2018年に一般社団法人金融先物取引業協会が、FXを現在取引中の者もしくは直近の取引が調査時点に近い人を対象に調査を行いました。調査結果によると、FXで年間で利益を上げられた人は60.3%だそうです。
ただし、調査対象が「現在取引中の者や直近取引をした者」のため、この60.3%を鵜呑みにできるかは個人的には疑問が残ります。なぜなら儲からずに損失を出した人がずっとFXを取引しているとは思えず、損をして退場した人がそもそもの調査対象になっていない可能性があるからです。
また、インターネット上のさまざまな情報源では実際に儲けているのは約1割~3割程度、という声が多かったです。これらの調査や声を考えると、FXで儲けられなかった人のほうが多いと見たほうが自然でしょう。
前章で見てきたとおり、FXは儲からない人のほうが多いと考えるのが自然かと思います。しかし、だからと言ってFXが儲からないわけではありません。なぜなら、儲けている人は現に存在するからです。
ですので、「FXは必ず儲かるの?」という疑問に対しては、「人による。統計的には儲からない可能性のほうが高いかもしれないが、儲けている人が存在している以上、あなたも儲ける可能性を持っている」というのが私なりの答えになります。
では、知る人ぞ知る必ず儲かる方法はあるのでしょうか?これも残念ながら存在しません。
相場は日々変わります。極端な話、1秒前の常識が今通用するとは限りません。そのため、日々相場と向き合って、動きを予想し、売買を繰り返すことによって、相場観や売買タイミング、自分の感情との向き合い方を学び、トータルで利益を出すことが求められるのです。
「損を出しながらも利益を伸ばしていき、トータルで大きく儲けた」という人はいますが、一度も損を出さずに大きく儲けた人など存在しないでしょう。この観点からも必ず儲かる方法は存在しないといえます。
FXで利益を出すにはFXの仕組みを正しく理解しなければいけません。ここではFXの基本的な仕組みを整理していきます。
FXは2か国の通貨を売買して、その差額を利益(損失)として得る仕組みです。
まず、押さえておきたいのは為替は日々動いているということ。「円高」・「円安」というワードをニュースなどでも聞いたことがあるのではないでしょうか。
「円高」は「ほかの通貨に対して円の価格が高くなった」という意味で、逆に「円安」とは「ほかの通貨に対して円の価格が安くなった」という意味です。このように日々為替は上下しており、この上下をFXは利用します。
簡単に、FXで利益を上げる例を見てみましょう。
例えば現在1ドル=100円だとします。あなたは100円を出して1ドルを買いました。その後、円安になっていき、1ドル=110円になったとします。
その時、あなたは1ドルを110円で替えました。つまり、110円ー100円=10円の利益を上げることができたのです(ただし、もし逆の売買をしてしまうと、10円の損失になってしまいます)。
このように「2つの通貨の価格の上下を利用し、売買を行い、その差額が利益(損失)になる」、これがFXの仕組みです。
FXは「Foreign Exchange」の略で、直訳すると「外国為替」という意味です。
ここでは、FXを始める前に初心者が知っておきたい5つの用語を説明していきます。
通貨ペアとは、FXで取引をする通貨の組み合わせのことです。FXは2つの通貨を取引して、利益を狙います。この取引する2つの通貨を通貨ペアと言います。
例えば円を売って、米ドルを買う場合は円と米ドルが通貨ペアです。
FXでは通常、通貨をアルファベット3文字で示します。例えば円はJPY、米ドルはUSDで表示されるので「USD/JPY」は円と米ドルの通貨ペアという意味です。
レバレッジとは、小さな力で大きなものを動かす「てこの作用」といった意味があります。FXでレバレッジをかければ、預けた金額の何倍もの金額で取引することが可能になります。
通常、100万円分の金額を取引する場合は当然100万円を用意しなければいけませんよね。しかし、レバレッジを25倍かければ、最低4万円で100万円分の取引をすることができるのです(100万円÷25倍=4万円)。
このように預けた金額は少額でも、「レバレッジ」をかければ大きな金額を取引できるのです。
日本の個人の投資家がかけられる最大レバレッジは25倍です。もちろん25倍までであれば、5倍や10倍など適当な倍数を設定することが可能です。
ほとんどのFX会社は取引手数料が無料です。「じゃあ何のコストがかかるの?」と思うかもしれませんね。FXにおいて投資家が負担する取引コストが「スプレッド」です。
さて、その「スプレッド」とは「買値(Ask)」と「売り値(Bid)」の差のことです。そして、FX会社は買い値と売り値、スプレッドを掲示しています。
画像:著者作
例えば上記の価格が掲示されていたとします。この時のスプレッドは110.115(買値)ー100.112(売値)で0.003円(0.3銭)です。
このスプレッドが狭ければ狭いほど、利益を上げたときはより利益額が大きく、損失を出したときはより損失額が少なくなります。そのため、なるべくスプレッドの狭いFX会社を選ぶことをおすすめします。
スワップポイントとは日本円のような低金利通貨を売って、トルコリラや南アフリカランドなどの高金利通貨を買った際に毎日得られる収益のこと。
例えば、外為どっとコムにおいて、「(低金利通貨の)円を売り→(高金利通貨の)南アフリカランドを10万通貨の買い」を実行した場合、2020年8月6日時点では50円のスワップポイント(1日分)が利益として付与されています。
「南アフリカランドを10万通貨の買い」とは「10万南アフリカランド」を買うという意味です。2020年8月11日現在1ランド=6円ですので、日本円で60万円あれば「10万南アフリカランド」を購入可能です。なお、レバレッジ25倍をかければ、24,000円で「南アフリカランド10万通貨買い」ができる計算です(60万円÷25倍=24,000円)。
高金利通貨を保有して、コツコツとスワップポイントを狙い、利益を貯めることも可能です。
ただし、逆に低金利通貨を買って、高金利通貨を売った場合にはスワップポイントを支払わなければいけないので注意しましょう。
スリッページとは、注文レートと約定レートの差のことです。
例えば「100.00で買い注文」を出したにも関わらず「100.001」で約定した場合、注文レートと約定レートの差である「0.001」がスリッページになります。
このスリッページは投資家が注文を出したタイミングと、注文を受けたFX会社のシステムが約定処理するタイムラグによって生じてしまうものです。
もしスリッページが気になる人は、自分が注文した金額よりもスリッページによって不利な注文が約定されるのを防ぐ設定をするのがおすすめです。
最後にFXを取引する上、把握しておきたい4つの注意点を解説します。
FXは投資です。投資ですので、リスクが存在します。もしFX投資をする資格があるとすれば、「リスクを理解する」のが必須資格になると個人的には考えます。それではFXにおける4つのリスクを簡単に説明します。
為替変動リスクとは「為替が上下することにより、資産の価値も上下する可能性のこと」・・・というと少し固いですが、つまり「為替は上下するため、損することも儲かることもある」ということです。
通貨ペアの中には相対的に値動きが激しいものや、また経済指標の発表時など大きく動く瞬間があります。予想が外れて為替が大きく動いた場合には、大損失を被る恐れもあるのです。
「為替が動くからこそ、FXは損をするし、逆に利益も上げられる」というリスクをしっかり把握しておきましょう。
流動性リスクとは「売買する量が少なく、希望通りの売買ができない可能性がある」というリスクのことです。
FXもほかの買い物と同様に「売り手がいるから買える」・「買い手がいるから売れる」のです。もし売買量が少ないと、自分の希望する価格で売る/買う人がいない=自分の意図した取引ができない可能性が出てきてしまいます。
米ドルやユーロなど流動性のある通貨を取引する分にはほとんど気にしなくていいかと思いますが、ポーランドズロチやハンガリーフォリントなど流動性が低い通貨を取引する場合は注意が必要です。
金利変動リスクとは「金利の変動により、スワップポイントの受け取り額が変動したり、場合によっては受払いが逆になる」というリスクです。
スワップポイントは「低金利通貨売り&高金利通貨買い」のポジションのときに毎日受け取ることができます。
しかし、金利が変動し、例えば通貨間の金利が逆転してしまうと、「低金利通貨売り&高金利通貨買い」から「低金利通貨買い&高金利通貨売り」のポジションになってしまい、スワップポイントを支払わなければならなくなります。
そのためスワップポイントは定期的にチェックするようにしましょう。
信用リスクとは「取引しているFX会社もしくはカバー取引先が倒産などしたら、損失を被る可能性がある」というリスクです。
カバー取引先:FX会社が取引している金融機関。
文章だけを見ると怖いですよね。ただし、国内のFX会社は「信託保全」といって、顧客の資金を自社の資産と区別して信託銀行などに管理をお願いしています。
そのため、例えFX会社やカバー取引先が倒産したとしても、顧客の資産は守られる仕組みになってはいるので、個人的には過度な心配は要らないかと思います。
FXは投資ですので、必ず余裕資金で取引しましょう。余裕資金とは「生活費+緊急時に備えているお金以外の資金」のことです。言い換えると「例えなくなったとしても、現在や将来の生活に影響を及ぼさないお金」です。
「そんなの簡単だよ」と思うかもしれませんが、つい負け込んでしまうと「1回だけ生活費を使って、一気に負けを取り返そう。負けを取り返したらもう生活費には手を付けない」なんて思ってしまう場面が出てくるかもしれません。気をつけましょう。
余裕資金内での投資を継続するためには、自分の余裕資金はいくらなのかを把握し、余裕資金以外のお金に手を付けない意志を持つことが大切です。
レバレッジをかければ少ない金額で大きな金額を取引することが可能です。このレバレッジですが、投資効率を上げるためのもので、決して自分のキャパシティ以上の金額を動かすためにあるものではありません。
例えば手元に100万円があるとします。レバレッジがなければ100万円分の取引しかすることができません。
一方、レバレッジを利用すると、例えばFXに20万円を預けて100万円分の取引を行い(レバレッジを5倍かければできますね)、80万円を株式へ投資するなど、100万円で合計180万円分の取引を実行することも可能になります。
このようにレバレッジは投資効率を上げるものであって、自分のキャパシティを超える金額を取引して一気に儲けるものではありませんので、ご注意ください。
FXは日々勉強が必要です。なぜなら為替相場は日々変化するため、今までの取引スタイルや常識が今も最善とは限らないからです。勉強の大切さは、デイトレードと言われる短期売買をする人であっても、長期で売買をする人でも同じです。
「なぜ為替はこう動いたのか」「もっと自分に合う取引スタイルはないのか」「各国の金融政策に変化はないか」など日々勉強をして、FXでより利益を上げられるようになりましょう。
今回はFXは必ず儲かるのか、また取引の仕組みや注意点などを解説してきました。実際FXで儲けることができず、むしろ損失を被った人もたくさんいます。その一方で、着実に利益を重ね、儲かった人もいます。
いずれにせよ、FXで売買をしないことにはFXで儲けることはできません。今回ご紹介した仕組みや注意点などをしっかり頭に入れ、関心がある方はFXに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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