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投資のリスク・リターンについて基本的な内容をわかりやすく解説します

投資のリスク・リターンについて基本的な内容をわかりやすく解説します

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大川 敦士

大川 敦士

おおかわ1級FP技能士事務所代表、日本FP協会認定CFP®、1級ファイナンシャルプランニング技能士

大学卒業後、大手証券会社にて株式や投資信託等の販売営業に従事。2016年に退職し、FP事務所を開業。現在は、老後資金対策や介護と仕事の両立等の個別相談を中心に活動中。

この記事のポイント

  • 投資のリターンは2つに分類できる。
  • 投資のリスクとはリターンの振れ幅のこと。
  • 代表的なリスクの説明。

投資に興味はあってもリスクが怖くて躊躇している人は多いのではないでしょうか。

もちろん投資にはリスクが付き物ですが、先入観だけで判断するのは得策とは言えません。まずは、投資判断の基本となるリターンとリスクについて正しく理解することが重要です。

なお、資産運用に関する基礎知識についてはこちらの記事をご覧ください。

 

 

リターンは大きく分けて2種類

リターンは大きく分けて2種類

投資のリターンにはキャピタルゲインとインカムゲインがあります。

一般的に、この2つを合わせて「トータルリターン」、もしくは単に「リターン」と呼びます。

投資資産のパンフレット等では過去の平均値を用いた年率表示が一般的で、1年後にどの程度増えるかを予測しています。

 

キャピタルゲインとは?(売却益)

資産を売買することで発生する収益です。

「値上がり益」や「売却益」と呼ばれることもあります。

キャピタルゲインを狙う方法はいくつもありますが、株式投資が最もイメージしやすいのではないでしょうか。

損失が発生した場合はキャピタルロス(売却損)と呼びます。

 

インカムゲインとは?

資産を保有することで発生する収益です。

不動産投資の家賃収入等が該当します。

キャピタルゲインが一時的な収益に対して、インカムゲインは比較的安定した収益と言えます。

ただし、投資の基本は安く買って高く売ることです。

インカムゲインが期待できても資産価値が値下がりする資産は投資妙味が少ないと言えます。

 

リスクとは

リスクとは

投資判断においてリスクの見極めは非常に重要です。

投資におけるリスクは日常生活とは異なる意味を持っています。

ここでは意味の違いとリスクに対する考え方を紹介します。

 

日常生活の場合

日常生活においては「リスク=危険性」として考えられています。

例えば、病気のリスクや失敗のリスク等、ネガティブな状況になる可能性に対して使われることが多いのではないでしょうか。

 

投資の場合

投資におけるリスクとはリターンの振れ幅のことです。

リターンと同様に年率表示されることが多く、1年後のリターンの予測に対してどの程度の誤差が生じるかを予測しています。

例えば、現在の価値が100万円・リターンが5%・リスクが7%の投資資産の場合、統計学の正規分布という考え方に基づいて計算すると1年後には約95%の確率で資産価値が91万円~119万円になると予測できます。

一般的にリターンとリスクは比例するため、ハイリスク・ハイリターンやローリスク・ローリターンと言われることが多いです。

当然、振れ幅が大きくなれば予測が難しくなり、不確実性が高くなります。

そのため、老後資金形成等の将来の支出に備えた投資においてはリスクを小さくすることが非常に重要だと言えます。

 

代表的なリスク

代表的なリスク

投資には様々な種類のリスクが存在します。

全てを網羅することは困難ですが、ここでは投資における代表的なリスクを紹介します。

多くの投資に共通しているリスクもあるため、大まかなイメージだけでも掴んでおくようにしましょう。

 

 

価格変動リスク

資産の価値が変動する可能性です。

ほとんどの資産に共通するリスクです。

変動する要因は様々ですが、一般的に大きなリターンが期待できる投資は、価格変動リスクも大きく、小さなリターンしか期待できない投資は、価格変動リスクも小さい傾向にあります。

 

信用リスク

政治的要因や経済的要因等により、債務者の返済が滞り、債務不履行になる可能性です。

債券に投資する場合には要注意です。

債務不履行になると投資金額がゼロになる可能性が非常に高いです。

また、債務不履行の予測が拡大すると、投資から撤退する人が増え、資産の価値が下落します。

そのため、投資先の最新状況を把握しておくことが重要です。

客観的な情報として格付を参考にすると効果的です。

格付は複数の格付機関によってそれぞれ設定されているので、できるだけたくさんの格付機関の情報を確認すると良いです。

例えば債券投資の場合、格付が「BBB」以上の債券を投資適格債と呼び、安全性を重視した投資判断の目安とされています。

また、格付が高い債券は金利が低く、格付が低い債券は金利が高い傾向にあります。

つまり、格付と金利は反比例の関係にあり、金利が高い債券は債務不履行になる可能性が高く、細心の注意が必要です。

 

為替リスク

為替相場の影響を受ける可能性です。

海外資産に投資する場合に重要なリスクです。

基本的には、為替相場も需要と供給のバランスで変動します。

端的に言うと、人気がある国の通貨が買われ、人気のない国の通貨が売られます。

海外資産に投資する場合は、当該通貨に対して円安になると有利です。

例えば日本とアメリカの場合、1ドル110円の状態から1ドル120円になれば何らかの理由でドルが買われ、円が売られたと考えられます。

つまり、ドルの価値が高くなり、円の価値が安くなっているので円安になったと言えます。

この場合、10円分の差額が発生するため、FX投資等を利用してドルに投資していればキャピタルゲイン(売却益)を得られます。

また、為替相場は企業の業績にも大きな影響を与えることがあります。

具体的には、円安になると輸出関連企業の業績が良くなり、円高になると輸入関連企業の業績が良くなります

そのため、株式投資においても為替リスクの重要性は高く、為替相場の変動・見通しは定期的に確認しておく必要があります。

 

金利変動リスク

金利変動の影響を受ける可能性です。

債券に投資する場合に重要なリスクです。

債券の価値(債券価格)と金利は反比例の関係にあり、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が下落すると債券価格が上昇します。

例えば、すでに市場に出回っている債券A(金利3%)と新しく売り出される債券B(金利5%)があった場合、金利以外の条件がすべて同じであれば、金利の高い債券Bの方が投資価値が大きいと言えます。

その結果、債券Aを保有している人は債券Bに乗り換えることを検討するでしょう。

ところが債券Bと比べて投資価値が小さい債券Aを債券Bと同じ価格で売ることは不可能です。同じ価格で買うのであれば誰もが金利の高い債券Bを選ぶからです。

そこで、同じ価格であれば売れないので価格を下げて売り出します。そうすると金利が低くても債券Bよりも価格の安い債券Aを買う人が出てきます。

このようにして「金利が上がると債券価格が下がる」という関係が成り立ちます。

また、金利が上昇すれば債券投資の人気が高まり、株式を売却して債券に投資する人が増える傾向にあります。

一般的には株式投資の方がリスクが大きく、債券で一定水準以上の金利が期待できるのであれば、株式投資の必要性が相対的に小さくなるからです。

 

リスクとリターンの理解度が投資判断に影響を与える

適切な投資判断にはリスクを正しく理解することが欠かせません。

投資には様々なリスクがあり、全てを網羅することは困難ですが、基本的なリスクについては把握しておくと良いでしょう。

価格変動リスクは多くの投資に該当し、変動要因を見極めることが重要です。

信用リスクは債券に投資する場合に重要度が高く、格付を参考にして客観的に判断すると良いでしょう。

為替リスクは海外資産に投資する場合だけでなく株式投資等にも影響を与えるため、為替相場の変動・見通しは定期的に確認しておく必要があります。

金利変動リスクは債券投資に与える影響が特に強く、金利と債券価格が反比例の関係性にあることを考慮して投資することが重要です。

投資の種類によって影響を受けるリスクは異なりますが、様々な視点から考えれば多かれ少なかれ複数のリスクを考慮する必要があると言えるでしょう。

繰り返しになりますが、投資判断においてはリターンだけでなくリスクも正確に把握して検討することが重要です。

 

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