公開日:2018年11月10日
様々ながん保険の商品が発売されていますが、その中に保険期間が終身というタイプの商品があります。この終身タイプのがん保険について、その特徴と検討に際しての注意点をわかりやすく説明していきます。
「そもそもがん保険って?」という方にはこちらの記事がおすすめです。
「がん保険 終身タイプ」といわれる商品の特徴を見ていく前に、まずはがん保険の基本的な仕組みを押さえておきましょう。
がん保険とはがんと診断された時、がんの治療で入院・通院・手術した時、その他特定のがん治療に該当した時などに、給付金が支払われる保険です。一方医療保険などは、ほとんどの全ての治療を目的とした入院・手術などに給付金が支払われる商品です。
この観点から、がん保険は医療保険と比較すると保障される範囲は狭いものの、がんと診断されて治療する場合の保障は手厚くなっていると言えます。
20年ほど前のがん保険と言えば、以下の保障が主流でした。
がん診断給付金 | がんと診断された時、 一時金として100万円など |
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がん入院給付金 | がんの治療のために入院した時、一日につき1万円など |
がん通院給付金 | がんの治療のために通院した時、一日につき5千円など |
がん手術給付金 | がんの治療のために手術した時、手術の程度により10〜40万円など |
上記のように、がんとなった時、がんの治療で入通院・手術した時に給付金を支払うという内容がほとんどでした。
そして直近の10年ぐらいから、がん保険を発売した保険会社数が増加したことや、銀行などの金融機関の窓口でも保険が販売されるようになったことなども影響して、がん保険の商品数は増加してきました。
さらにいうと商品数の増加にともなって、がん保険が保障する範囲も広がっていったのです。いくつか具体例を挙げてみましょう。
上記の給付金名称のとおり、がん治療に際して負担となる各種費用の自己負担額を経済的にサポートする保障が増えてきています。
またこれらの給付金以外にも、女性特有のがんに罹患した場合に上乗せ金額を支払う保障や、がん治療に関する健康相談やセカンドオピニオンを無料で利用できる付帯サービスと言われるものがある商品も増えてきたのです。
こうした保障の広がりを実現した商品を一つご紹介しましょう。
アクサダイレクト生命の「がん終身 女性プラン 保障重視タイプ」です。この商品は、基本となる診断給付金や入院・手術給付に加えて、抗がん剤治療、がん先進医療、女性特有のがんの場合の上乗せ給付、自宅療養給付が保障されています。更にがん治療に関する健康相談、セカンドオピニオンといった付帯サービスもあります。
一方で、できる限り保険料の負担を押さえたいというニーズに応えた商品も発売されるようになりました。これは保障の範囲を逆に絞り込むことで、保険料を安くしつつも、最低限必要ながん保障を用意することができるという商品です。
こちらも代表的な商品を一つご紹介しましょう。
ライフネット生命の「がん保険ダブルエール シンプルタイプ」です。
この商品は、がん診断給付のみに絞り込んだ保障給付です。がん診断給付金(正式名称はがん診断一時金)100万円の場合、30歳女性の月払保険料は1437円となって低廉な保険料です。
そして、がん保険の進化は保障の範囲の広がりだけではありません。10年間や60歳までぐらいしか選択肢がなかった保険期間が、徐々に長くなった商品が発売されるようになったのです。
そもそも生命保険商品のカタチは、基本形として3つのタイプがあります。定期タイプ、終身タイプ、養老(ようろう)タイプです。
定期タイプの商品とは、一定期間(10年や60歳まで)を保障する保険で、保険の支払事由に該当しなければ、何も支払われず保険が満了(終了)します。いわゆる掛け捨て、と呼ばれる商品です。
終身タイプの商品とは、先ほどの定期タイプとは異なり、保険を続ける限り一生涯にわたって保障し続けます。
養老タイプの商品とは、先ほどの定期タイプと同じで一定期間だけ保障します。ただし定期タイプと異なるのは、その満了(終了)時に、満期金という返戻金があることです。
この3つのタイプを皆さんが支払う保険料の大小で比較すると、定期→終身→養老の順番で保険料は大きくなり(高くなり)ます。
そうであるならば保険料が一番小さい(安い)定期タイプが良いのではないかと考えがちですが、一概にそうとも言い切れません。
いくら保険料が少なくて済むといっても定期タイプの商品で10年間で保障がおわってしまって本当に良いのか、ということを考えなければならないからです。
そのように真剣に考えた時に、途中で途切れない一生涯の保障、すなわち終身タイプの保障が望ましいというニーズも増えてきて、「がん保険 終身タイプ」が発売されるようになったのです。
先程ご紹介した2つの商品(アクサダイレクト生命のがん終身・ライフネット生命のがん保険)は、ともに保険期間は終身となっています。
このがん保険 終身タイプが発売された当初は、保険期間は終身ですが、保険料の払込期間は60歳まで、というように決められていたものが一般的でした。
少し専門的になりますが、保険期間(保障される期間)と払込期間(保険料を支払う期間)が一致したものを、全期払(ぜんきばらい)といいます。
これに対して、先程のように保障は終身期間だけれども、払込期間は60歳まで、というようになっているものを、短期払(たんきばらい)といいます。
では、なぜ短期払が一般的であったかというと、当時は職業で会社員等の定年が60歳までが一般的であり、給与収入を得ることが出来るのが60歳までと考えると、そこまでに保険料を全部払い終えると考えるのが合理的であったためです。
ところが、しばらくすると保険に加入を考えるお客様から保険料負担が大きいという声があがることになりました。
どういうことかというと、一生涯を保障しながら60歳までに保障に必要な保険料を支払うということは、前倒しで支払っていく必要があり、全期払で支払うより、保険料の負担は大きくなるためです。
そこで、保険会社はがん保険 終身タイプを全期払で支払える商品を発売しました。
これが意味するのは、保険期間も終身ですが、払込期間も終身(払い)ということです。
こうすることで短期払の商品よりも保険料負担は少なくなりましたが、1つ注意しなければならないのは、全期払(終身払い)ということは、保険を続けている限り、保険料を支払うことが必要となる点です。
先程ご紹介した2つの商品も全期払(終身払い)となっています。
保険料の払込期間とともに注意したいのが、返戻金の有無です。
返戻金とは、保険が必要でなくなり、解約する場合に、保険会社から保険加入者に支払われる清算金と位置付けられるものです。
がん保険 終身タイプでみていくと、先程ご説明した全期払(終身払い)の場合、途中で解約すると返戻金は全く無いか、あってもごくわずかです。
これに対して短期払(60歳までなど)の場合は、途中で解約した場合に一定の返戻金があるものがほとんどです。
最近ではこの返戻金の代わりに、それまでに支払った保険料相当額と同額を給付する商品も発売されています。
先程紹介した2商品も全期払ですので、解約した時の返戻金はありません。
それでは最後のチェックポイントをご説明していきましょう。
保険商品は主契約と特約という2つのパーツに分かれています。
料理に例えると、主契約がメインメニューで特約がサイドメニューとなります。
ここで注意いただきたいのが、特約は無くても主契約だけで商品は成り立ちますが、特約だけで商品加入はできない、ということになります。
これも料理で例えれば、メインメニューを注文することなしに、サイドメニューだけではご注文できませんよ、ということです。
そして、がん保険 終身タイプで最大の注意点は、この主契約と特約で保険期間の設定が異なることが多いということです。
先程ご紹介したアクサダイレクト生命の「がん終身 女性プラン 保障重視タイプ」も、抗がん剤治療や先進医療は10年間の保障となり80歳まで更新が可能という保障になっています。
よくある勘違いが、主契約と特約をごっちゃにして終身タイプだと思ってしまうことです。特約は10年でも自動で更新される商品が多いですが、その際に特約部分の保険料は高くなりますので、注意してください。
逆から言うと、当初の10年間は保険料が安く抑えられるというメリットもあります。したがって10年更新だからといって一方的にネガティブに捉える必要はないのです。
がん保険終身タイプの特徴について説明をしてきました。
最大の特徴は保険期間、すなわちがんになった時の保障が一生涯続く、ということです。
しかしながら、この終身期間というのは主契約の保障にのみ言えることで、特約として付帯されている保障は10年更新であることが多いので、よく理解して検討することが必要です。
また保険料払込期間が全期払(終身払い)なのか、60歳などと定まっている短期払なのかも重要です。
短期払の商品には解約した際に、一定の返戻金があることがほとんどです。中にはそうした返戻金の代わりに保険料相当額が給付される商品もあります。
これに対して全期払(終身払い)の場合には、一定の年齢に達した時の給付金などはありません。また解約した時の返戻金も全くないか、あってもごくわずかとなります。
その代わり、同範囲・期間・金額の商品で比較すると、全期払(終身払い)の商品の方が短期払の商品よりも保険料は低くなります。
がん保険終身タイプを検討する際には、こうしたチェックポイントを押さえておくことで、見落としなく、自分に合った商品を選びやすくなるのです。
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