- 売却希望時期の4ヵ月以上前には準備を始める
- 一括査定サービスを利用して複数の業者に査定を依頼する
- 査定額の根拠が明確で売却計画や対応のしっかりしている業者を選ぶ
- リフォームやハウスクリーニングは不動産業者と相談して決める
- 業者に丸投げせず積極的に売却活動に関与する
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マンション売るのであれば、なるべく高く売りたいもの。ここではマンションを高く売るためのポイントについて、売却の各ステップごとに解説します。
マンションの売却は不動産業者を介して取引するのが一般的です。
売却方法には大きく「仲介」方式と「買取」方式の2つがあります。
それぞれの方式には以下のような違いがあり、希望する売却時期や物件の状態などに応じて選択します。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
買主 | 第三者の個人など | 不動産業者 |
売却までの期間 | 買い手を探す必要があり、売却までに時間がかかる。数ヶ月以上かかることも多い。 | 買い手を探す必要がなく、売却価格に納得できれば比較的短期間で売却できる。 |
売却価格 | 相場に近い価格で売却できる可能性が高い。 | 不動産業者が再販のためのコストやリスクを負うため、相場よりも売却価格は低くなりやすい。相場の8割程度が目安となりますが、条件によっては相場価格と同程度で買い取ってもらえることもあります。 |
メリット | ・売却価格が高め | ・短期間で売れる ・仲介手数料が不要 ・瑕疵担保責任を負わない ・売り出していることが公にならない |
デメリット | ・売却までに時間がかかる ・仲介手数料やがかかる ・リフォーム費用などがかかるケースもある ・瑕疵担保責任を負う ・売り出していることが公になる ・内覧などの対応が必要(居住中に売り出す場合) |
・売却価格が低め ・ある程度資金力のある業者などに限られる |
瑕疵担保責任:売却したマンションに、隠れた瑕疵(外見からはわからない欠陥)があった場合に売主が負う責任のこと。買主は売主に契約解除や損害賠償を請求できる
仲介方式のほうが売却までに時間と手間はかかるが高く売れる可能性が高い
マンションの売却は基本的には以下のような流れで進めていきます。それぞれのステップにおいてマンションを高く売るためのポイントを確認していきましょう。
どのくらいの価格でマンションが売れるかを確認するため、まずは不動産業者へ査定を依頼します。その際のポイントは、複数の不動産業者に依頼することです。
不動産業者にはそれぞれ得意・不得意(エリア・物件種類・販売方式など)があり、売りたいマンションの条件を得意とする業者のほうが、希望の条件でスムーズに売却できる可能性は高くなります。大手業者は販売実績が豊富で安心感があります。また長年地域密着で営業している業者は、規模は小さくてもそのエリアに独自のつながりを持っていることが多いなど、それぞれに特徴があります。
査定額や対応などは不動産業者によって異なり、メリットも異なります。その違いを外から見極めるのはなかなか難しいもの。実際に査定を依頼して比較するのが、最も早く確実な方法です。
複数の業者へ査定を依頼する際には、不動産の一括査定サービスを利用して手間と時間を減らすのがポイントです。
一括査定サービスを利用して複数の業者に査定を依頼する
マンションの査定では、主に取引事例比較法という方法で査定額が算定されます。
取引事例比較法:物件の立地や築年数、床面積、構造、間取りなどが類似する物件の過去の取引事例(売買価格)を参考に不動産価格を算出する方法
査定の方法には、「机上査定」と「訪問査定」があります。
訪問査定は手間と時間がかかりますが、より正確な査定額が得られます。
リフォームやリノベーションが行われていれば査定にはプラスです。ただし、すでに売ると決めてから査定額アップのためにリフォームを行うのは待って下さい。ハウスクリーニングについても同様、自分で掃除するのは構いませんが、清掃業者に依頼してまで行う必要はありません。
不動産業者による査定では、構造や設備などより根本的な部分に重点が置かれるため、表面的な綺麗さは査定にそれほど影響しません。そのためリフォームや設備の修繕、ハウスクリーニングを行うかは、訪問査定の際に不動産業者と相談して決めるのが賢明です。
リフォームやハウスクリーニングを行うかは、訪問査定の際に不動産業者と相談して決める
査定額や売却計画、対応を比較した上で仲介を依頼する業者が決まれば、媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あり、1社のみに依頼する場合は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」のいずれか、複数社に依頼する場合は「一般媒介契約」を選択します。
契約内容 | 業務状況報告義務 | |
---|---|---|
専属専任媒介契約 | 依頼者(売主)は媒介を依頼した業者以外には重複して媒介を依頼できず、依頼した業者が紹介する相手以外とは取引できない契約形態。依頼者自ら取引相手を見つけた場合でも、依頼した業者を介す必要があります。他の業者に横取りされる心配がなく、業者の積極的な努力と丁寧な業務が期待できるメリットがあります。 | 1週間に1回以上 |
専任媒介契約 | 依頼者(売主)は媒介を依頼した業者以外には重複して媒介を依頼できない契約形態。依頼者自ら見つけた取引相手と取引することはできます。専属専任媒介契約同様、他の業者に横取りされる心配がなく、業者に積極的な努力を期待できるメリットがあります。 | 2週間に1回以上 |
一般媒介契約 | 依頼者(売主)は、複数の業者に媒介を依頼でき、自らも取引相手を探して取引することができる契約形態。幅広く取引相手を探せるというメリットがあります。 | – |
不動産業者が提示する査定額は絶対的なものではなく、その業者が仲介した場合に買い手が見つかると“見込まれる金額”です。業者は仲介を依頼してもらわなければ利益が得られません。そのため、他社をより高くなるよう実際よりも高い査定額を提示する業者もいます。そのような業者に仲介を依頼してもその金額で売れず、結局売却価格を下げざるを得なくなる可能性が高くなります。
査定額は根拠を確認することが大切です。すでに見込み客がいるなど、その業者独自の要因があって高い査定となっているのなら依頼を検討すべきです。しかし根拠が曖昧であれば、信頼性という面でもそのような業者へ依頼するのは見送るのが賢明といえます。
また希望する条件(時期・価格)でマンションを売れるかは、売却活動の内容によっても大きく左右されます。売却計画や対応がしっかりしているかも業者を選ぶ重要なポイントです。
査定額の根拠が明確で売却計画や対応のしっかりしている業者を選ぶ
媒介契約後から購入者の募集が始まります。状況に応じて募集条件の変更、居住を続けながら募集を行う場合には、内覧の対応なども適宜必要となります。
マンションが売れるまでには通常3〜6ヵ月、場合によってはそれ以上かかります。希望する売却時期まで余裕がなければ売り急ぐことになり、売却価格を妥協しやすくなります。
なるべく高く売るためには時間的な余裕を持ち、査定などの準備期間を考慮して売却希望時期の4ヵ月以上前には準備を始めることがポイントです。
マンションが最も売れやすいのは3月、次に9月。可能であればこの時期に合わせて売却準備を始めるのが理想です。
売却希望時期の4ヵ月以上前には準備を始める
部屋が綺麗な状態であれば購入希望者にいい印象を与え、高く売れやすくなります。特にキッチンや浴室などの水回りは気にする人が多く、清掃業者に依頼してハウスクリーニングをするのもおすすめです(最初の内覧前に業者に依頼し、その後は自分でその状態をキープするようにしましょう)。
また、モノが多い部屋は汚い印象を与えやすいため、最初の内覧前までに掃除とあわせて片付けを行い、なるべくモノを減らしておくようにします。
水回りの掃除と片付けを重点的に行う
既存住宅瑕疵担保責任保険では、マンションの欠陥(瑕疵)が見つかった場合に補修費用などが補償されます(補償期間は1年または5年)。加入にはインスペクション(専門家による建物状況調査)に合格していることが条件となっており、保険に加入していること自体が安全性の担保となります。買主の安心につながるため売れやすくなります。
マンションの売却活動は不動産業者が主導してくれますが、なるべく高く売るためには丸投げはよくありません。担当者からの連絡を待つだけでなく、自分から電話するなどして状況を確認することは、担当者の士気を高める効果があります。
また広告などは自ら確認し、問題があれば改善を求めたり、改善点などを提案しましょう。部屋の写真や、実際に住んだ上での利点・欠点などの情報は積極的に提供し、業者と協力して売却活動を進めていくことが大切です。
業者に丸投げせず積極的に売却活動に関与する
買い手が見つかれば売買契約を結びます。買付申込書で契約条件を確認し、問題なければ契約に進みます。売買金額のほか手付金額と引渡し希望日の確認は特に重要です。
住み替えの場合には、直前になって引越業者を手配しようとすると繁忙期と重なってなかなか手配できず、費用が割高になってしまうこともあります。引っ越しと引き渡しがスムーズに進むよう余裕を持って準備しておくことが大切です。
マンションを高く売るためポイントはいくつもありますが、最も大切なのは不動産業者選びです。また売却希望時期までに余裕があれば売却活動を有利に進められます。マンション売却を検討しているのであれば、まずは一括査定サービスなどを利用して複数の業者に査定を依頼し、比較することから始めましょう。