- 家賃収入がある人はサラリーマンで源泉徴収されていても別途確定申告をする必要がある。
- 確定申告書Bを使用し、必要書類については原則としてすでに手元に保管されているものが多いので早めに準備することが大切。
- 国税庁のホームページからe-Taxによる電子申告が可能。領収書などの必要書類の提出も省略できる。
公開日:2019年12月10日
不動産投資で家賃収入を得ると必ずやらなければならないことがあります。それは確定申告です。
年末から年明けにかけて、不動産投資家の方から確定申告の方法や必要書類にするご質問を多くいただきます。
そこで本記事では、確定申告をやったことがないという方にもイメージできるよう基本的な知識や流れ、必要書類などについて解説したいと思います。
確定申告とは、個人が1月1日から12月31日までの間に生じた収入や支出などについて計算し、納税額を税務署に申告する手続きのことをいいます。
不動産投資については、毎月発生する家賃収入などから修繕費用などの必要経費を差し引いた不動産所得について計算しなければなりません。
サラリーマンの方は勤務先が毎月源泉徴収し、年末調整によって税務申告されているため原則として別途確定申告をする必要はありません。
ただし、不動産投資によって家賃収入が発生している場合はサラリーマンでも年収に関係なく確定申告する必要があります。
不動産所得については勤務先が把握できないため、勤務先の年末調整では正しい税金が計算できていません。そのため、年末調整をしていたとしても自分自身で税務署に対して確定申告書を提出する必要があるのです。
不動産投資で課税される主な税金は所得税です。
賃貸経営における収入から必要経費を差し引いた利益である不動産所得に対して所得税が課税されますが、所得税については総合課税なのでサラリーマンの方は給与所得などと合算して所得税の税率が決まります。
確定申告は毎年1月1日から12月31日までの期間の所得を計算して、翌年の2月15日~3月15日(曜日によって多少変わります)までの間に住所地を管轄する税務署に対して申告する必要があります。
期限を過ぎてしまうと無申告加算税(税額50万円までについて15%、50万円を超える部分については20%)が課税されるため注意が必要です。
また、申告期限を過ぎてしまった場合でも1ヶ月以内に自ら自主的に申告すれば無申告加算税は課税されません。
確定申告の手続き自体は申告書と必要書類を提出するだけなので非常に簡単です。確定申告書の作成と準備を正確に行うことが最大のポイントになります。
ここからは不動産所得の確定申告で必要となる書類について解説していきたいと思います。
始めての確定申告する人でもわかるよう、書類の意味についても簡単に触れていきますので参考にしてください。
確定申告書はAとBがあり、不動産所得について申告する方については確定申告書Bを使います。また、確定申告書Bとセットで年間の家賃収入や必要経費を記載した収支内訳書の添付が必要です。
確定申告を初めてする場合、青色申告と白色申告どちらで申告したらよいのか迷ってしまう方がよくいます。
結論からいうと、初めて不動産所得について確定申告をする方については白色申告で問題ありません。
青色申告とは簡単にいうと、ちょっと細かい複式簿記という帳簿をつけることで65万円の特別控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりといったメリットがある申告方法なのですが、不動産投資においては以下の規模を超える事業的規模でなければ利用することができません。
不動産投資を始めてしばらくの間は青色申告に該当しないため、白色申告で申告しましょう。
不動産所得は総合課税なので他の所得がある方については、それを証明する書類についても一緒に提出する必要があり、サラリーマンの方については勤務先が年末に発行する源泉徴収票が添付書類として必要になります。
源泉徴収票は原本の提出が必要になるため、別途収入証明として利用する予定がある場合は必ずコピーをとっておきましょう。
自営業の方については源泉徴収票は不要です。
不動産所得を裏付けする証拠として以下の書類が必要となります。
不動産売買契約書と決済時の精算書は、売買の仲介会社もしくは販売会社から発行されている書類です。賃貸借契約書と家賃送金明細書については、賃貸管理を委託している会社から発行されている書類です。
登記簿謄本は購入した際の権利証と一緒に司法書士から受け渡されている書類です。(※必要書類は原則としてコピーで問題ありません。)
これらの書類はきちんと保管されていればすでにお手元にあるはずなので、確定申告の時期が近くなったら書類の所在について確認しておきましょう。
節税対策において最も重要となるのが必要経費の申告です。
不動産投資で利益を出していくためには税引き後のキャッシュフローがとても重要になるので、不動産所得を圧縮できる必要経費については漏れなく申告する必要があります。
毎月管理会社に管理料を支払っている場合は、管理委託契約書の写しを必要書類として添付します。
区分マンションの場合は、管理組合が毎月引き落としている管理費や修繕積立金の領収書が必要です。
毎年1月1日時点の所有者に課税される税金で6月頃に納付書が届きます。
エアコンや給湯器などの修理や交換などが発生した場合は、それらの領収書の提出が必要になります。
また、入居者が退去した際のルームクリーニング費用やクロスの張替え代金などについても必要経費として計上できるので領収書の提出が必要です。
火災保険をかけている場合は、火災保険料も必要経費になりますので保険証券の写しを提出します。
物件現地を訪れた際に支出した交通費や、契約などのために費やした交通費については必要経費として申告することが可能です。
バス代や電車代であれば領収書は不要で、いつ、どこに、何のために行ったのかわかるよう記載した交通費明細書を作成して提出しましょう。
不動産所得に関連して必要となる上記書類以外にも、医療費控除を受ける方は医療費控除の明細書、住宅ローン控除を受ける方は住宅ローン控除明細書なども一緒に提出する必要があります。
また、マイナンバーカードの写しも必要になりますので源泉徴収票と一緒にコピーしておきましょう。
確定申告は大きく分けて次の3つの方法があります。
税務署に備え付けてある確定申告書Bをもらって、手書きで記入して作成したうえで直接税務署に提出するやり方です。
パソコンなどの環境がない方はこのやり方になりますが、不動産所得の確定申告は記入する場所も多く、計算についても自分自身で電卓を叩かなければならないため計算ミスが起こりやすいです。
国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーからログインして、必要事項を入力することで確定申告書を作成しそれを印刷して税務署に提出するやり方です。
入力画面が非常にわかりやすいため、手書きで作成するよりも簡単で基礎控除などの計算についても自動で行ってくれるため計算ミスが起きないというメリットがあります。
作成したデータはコンビニなどでも印刷できるので、自宅にプリンタがなくても問題ありません。
ネットで作成した確定申告書をそのままネットで送信して申告するやり方です。
最も素早く簡単な方法ですが、専用のカードリーダーが必要になるなど面倒な点があったため利用していない人が多くいました。
ですが、現在では税務署で電子申告用(e-tax)のIDとパスワードを発行してもらえばカードリーダーがなくても電子申告できるようになりました。
電子申告は24時間受付しているため、平日の昼間に税務署に行く時間がないサラリーマンの方でも簡単に申告ができます。また、さきほど解説した源泉徴収票や領収書関係の必要書類についても提出が省略できます。
もちろん保管しておく必要はありますが、提出する必要はなくなるためとても簡単です。
不動産所得が発生する方については必ず確定申告が必要ですが、所得額が20万円以下の場合については所得税としての確定申告は不要です。
ただし、これはあくまで所得税について言えることで、住民税については別だという点を間違えると追加納税が発生する可能性があるため注意しなければなりません。
たとえ20万円以下だとしても、住民税の申告は必要になるため基本的に必ず確定申告が必要と考えておきましょう。
不動産所得は給与所得と損益通算できるため、たとえ赤字だとしても確定申告することで給与所得から赤字分を相殺できるので、源泉徴収された所得税の還付が受けられるというメリットがあります。
不動産投資が節税になると言われているのはこのためなので、サラリーマンの方は赤字でも必ず確定申告をしましょう。
今回は確定申告の基本的な流れや必要書類について解説してきました。
確定申告は複雑でややこしいというイメージを持っている方が多いと思いますが、国税庁のホームページから確定申告書を作成すると指示に従って入力するだけで簡単に申告書を作成できます。
基本情報については保存しておいて翌年に使用することもできるのでとても便利です。e-TaXについてはカードリーダーが必須だった頃に比べると非常に利用しやすくなっていますので、これを機会にぜひチャレンジしてみてください。
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