- 現在の確定申告では領収書ではなく明細書を添付する。
- 領収書は5年間の保管義務がある。
- 医療費控除に該当するのか、特に交通費は注意しよう。
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こんにちは、婚活FP山本です。確定申告を聞きかじったことがあるような方なら、「医療費控除の申請には領収書が必要」と認識されているのではないでしょうか。そして確定申告の難しそうなイメージも手伝って、医療費控除を使えるのに使わない方も一定数おられるようです。
少なくとも、その認識のままでは少し損かもしれません。そこで今回は、医療費控除の現在の申請や確定申告上の基礎についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。
目次
まずは早速、現在の確定申告における医療費控除についてお伝えします。実は現在の確定申告の出し方では、医療費控除を受けるのに領収書添付は必要ではありません。これは平成29年分の確定申告から新しく始まったルールになります。
これまでに医療費控除を受けたことがある方なら、大量の領収書を添付してパンパンに膨れ上がった確定申告書を提出していたことでしょう。実はこれ、簡単にいえば税務署サイドから見ても不評だったわけです。そのような声を受けての簡略化の措置になります。
なお、平成29年分から令和元年分までの確定申告においては、経過措置として従来の領収書添付の形式でも提出可能です。とはいえ、わずか3年分の話ですから、早めに慣れる意味でも領収書添付は控えるよう努めましょう。
注意が必要なのですが、領収書は添付の必要はなくなったものの、5年間は自宅などで保管しておく必要があります。これは必要に応じて、税務署が確認(のための電話など)をするときのためです。税務署の請求に応じるため、5年間はしっかり保管しておきましょう。
この保管義務を考えると、確かに確定申告書への添付義務はなくなったものの、しっかり領収書をもらっておく必要性は変わっていません。領収書を保管しておくことさえ面倒に感じる方もいるでしょうが、随分と確定申告がラクになったのは事実ですから、しっかり対応しましょう。
次は、領収書ではない現在の確定申告方法についてお伝えします。現在の確定申告における医療費控除の提出方法は、領収書の代わりに「明細書」の添付が必要です。この明細書というのは、領収書などを元にして自分で作成することになります。
ちなみにこの明細書で書くべきことというのは、以下のとおりです。
なお、この明細書は領収書1枚ごとではなく、医療を受けた方や病院ごとにまとめて記入することができます。本人が同じ病院に頻繁に通院しているようなケースなら、かなりまとめて書けるでしょうから、随分と労力は少なくなるのではないでしょうか。しっかり覚えておきましょう。
病院で領収書がもらえないケースは稀ですが、なくしてしまうと(無料で)再発行してもらえないことがあります。医療費控除に関係する「交通費」なら、領収書そのものがもらえないことも多いです。そのような領収書がないときは、メモしておけば問題ありません。
明細書に記入すべき項目・内訳は先ほどのとおりですから、特に領収書がないときは即座にメモしておく必要があります。ちなみに病院の領収書をメモする前になくした場合は、代わりになるものがもらえることもありますから、まずは病院に相談してみましょう。
今度は、さらに別の確定申告提出方法についてお伝えします。これは医療費控除の領収書が明細書に置き換えられたことに合わせての処置ですが、健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」を明細書に代えることが可能になりました。
簡単にいえば、「医療費のお知らせ」を確定申告書に添付すれば、明細書を新たに作る必要もありませんし、領収書の保管も不要になります。使いたいと思っている医療費控除の内容がすべて載っていれば、「医療費のお知らせ」をそのまま添付するだけでよいわけです。
今まで膨大な量の領収書を確定申告書に添付していたような方なら、大幅に手間を省けることになります。何ともうれしい変更ですから、ぜひ一度早めに試してみましょう。
少し注意が必要なのが、「医療費のお知らせ」は中途半端な年度途中で区切られていることが多いという点です。つまり、あなたが使いたいと思っている医療費の全部は載っていないことも多々あります。特に、医療費控除に関係する「交通費」は載っていないのが普通です。
このような医療費のお知らせに載っていない部分については、別に明細書を作って添付する必要があります。とはいえ、大幅な労力カットには違いないでしょうから、大きく喜びましょう。
ここからは、医療費控除を確定申告する際の注意点についてお伝えします。まずそもそも、その支払いが医療費控除に該当するのかどうかには注意が必要です。一般的な「医療費控除に該当しそうで該当しない支払い」には、以下のようなものがあります。
勝手に医療費控除に該当すると考えて確定申告をして、あとに税務署とトラブルになるような話は意外と多いです。まずは自分で調べて、分からないときは事前に税務署などに相談し、ちゃんと医療費控除に該当するときに限って、正しく確定申告をしましょう。
医療費控除の要件を満たさない支払いなら、額に関係なく医療費控除の対象外です。たとえば美容整形など、高額な支払いをしたときには、つい少しでも取り戻したい心理が働くものですが、不正はダメといえます。あとで税務署から連絡が来たりすると大ごとになります。
もちろんこれは、「知りませんでした」は通りません。特に後述する交通費については、不正の温床といわれることもありますから、少なくとも納税者側も十分に注意しておきましょう。
なお、医療費控除とともに生命保険料控除が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
今度は、医療費控除に関係する交通費についてお伝えします。医療費控除というのは、元になる医療費だけが対象ではなく、関係する交通費についても対象です。ただしこの交通費は、対象になるか否かが細かめに決められており、基本的に以下のようになっています。
電車やバス | 基本的に対象。通勤途中で立ち寄るなどはNG |
---|---|
タクシー | 基本的にNG。どうしても必要なら対象 |
新幹線や飛行機 | 基本的にNG。どうしても必要なら対象 |
ガソリン代や駐車場代 | NG |
高速料金 | NG |
定期料金 | NG |
ガソリン代や駐車場代がNGというのは、車社会が一般的な地方には厳しいルールかもしれません。またタクシーや新幹線などは、どうしても必要なら対象になりますが、こじつけのような理由では通りませんから注意が必要です。
当てはまるのは、深夜帯で電車やバスがなかった、どうしても遠方の病院でしか治療を受けられない、などといったケースになります。あとでしっかり説明できるよう、利用の経緯についてもちゃんとメモしておきましょう。
先ほどの一覧を見ると分かるとおり、病院に行くときは「電車かバス」を使うのが一番確実です。そうでなければ、医療費控除に交通費を含めるのは諦めたほうが無難かもしれません。もちろん、あくまで医療費控除の対象にならないだけで、自家用車で病院に行くのは問題ありません。
とはいえ、頻繁に病院に通院しているような方なら、年間の交通費も相応の額になりがちです。なるべく交通費も医療費控除に含められるよう、通院の手段についても考えて動きましょう。
最後に、大切な補足情報についてお伝えします。医療費控除というのは、確定申告をする際に使う控除の1つです。そして確定申告とは税金に関することですから、基本的には税法というものが定められている一方、税務署や国税庁が管轄している内容になります。
そもそも医療費控除どころか、確定申告さえよく分からないという方も多いです。確定申告は相応に知っていても、「例外的な事柄」についてはネットなどでは調べきれないこともあります。そういうときには、そのまま税務署などに相談してみるのがおすすめです。
税務署は確定申告を管轄しているのですから、確定申告の方法や例外的な事柄についても丁寧に教えてくれます。どうするか分からないというときには、ぜひ税務署を有効活用していきましょう。
なお、そもそもの税金計算の方法が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
確定申告の作業については、一度でも経験すれば慣れますから、次からは意外と簡単にできるようになります。一度では無理でも、何回か経験すれば大丈夫でしょう。ただし、それこそ今回の医療費控除のように、「途中で制度が変わる」という点には注意が必要です。
税法というのは、本当に毎年のように何かが変更されています。これからは、そのような「変更情報」についても敏感に収集するとともに、不安なときには税務署に相談するよう心掛けていきましょう。
現在では制度が変更され、確定申告に医療費控除のための領収書を添付する必要はありません。ただ5年間の保管義務がありますから、医療費控除に使った領収書はまとめて保管しておくことが必要です。
大幅に手続きが簡略化されたのですから、これからは積極的に医療費控除を活用していきましょう。
なお、会社員の確定申告が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
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