- 年収1500万円の手取り年収は約1000万円前後である。
- 手取り月収は約84万円である。
- 年収1500万円は給与所得者の内3%程度しか存在しない。
- 収入が高いことで受けられない控除がいくつかある。
- 預貯金があれば生命保険も加入しなくてよい。
公開日:2019年10月30日
国税庁の調査によると、自営業者や公務員などを除く民間企業に勤務している方の内、実に半数近くの方が年収300~400万円です。
そのような中、今回のテーマである「年収1500万円」とは一体勤労者の何割程度を占めているのか、そして手取りの年収や税金など生活レベルはどうなっているのかなどを項目別にわかりやすく検証していきます。
記事中、国や公共機関のデータも紹介しながら進めていきますので、より具体的にイメージできるかと思います。
目次
年収1500万円とは、かなりの高収入であることは容易にわかると思います。この高収入をより具体的に理解するために、あらゆる角度から年収1500万円に関するデータを紐解いていきます。今回は国税庁の調査結果を主に利用します。
この調査報告書の20ページ目に【給与階級別分布】がまとめられています。簡単に言うと、年収を100万円区切りで階級に分け、その階級にどの程度属しているかを人数と割合で表示しています。この中で年収1500万円が該当するのは男女合計の【1000万円超〜1500万円以下】です。
調査結果として、年収1500万円前後の方は、割合で言うと全給与所得者のうち3.6%に当たるということです。同調査では直近5年分の推移を表にまとめて確認できますが、この年収の階級は3%台を推移しているということがわかります。
同調査のうち、別の角度から年収1500万円について知ることができます。調査報告書22ページに【企業規模別の給与階級別構成割合】という結果がありますが、これは企業の資本金や個人またはその他の法人など、企業の構成別に年収をまとめています。
ここでは、どの業種だと年収1500万円の人が多いのか参考にすることが出来ますが、一番多いのは【資本金10億円以上の企業】に勤務している方ということが調査結果よりわかります。
ただし、一番多いとはいえ、そもそも年収1500万円の方の割合は勤労者の内の3%程度ですので、非常に少ないという事だけ覚えていただくと良いでしょう。
資本金10億円の会社とは「大企業」「大会社」のことです。厳密には資本金5億円以上(または負債合計200億円以上)のことを大企業・大会社と呼びます。
年収1500万円を超える職業として一般的に挙げられるのは「医師」「弁護士」「公認会計士」「税理士」などです。商社勤務や金融機関勤務でも年収1500万円の方も当然いらっしゃいますが、企業の資本金や規模によって大きく差があります。
さらに勤続年数も長く、何かしらの役職についている場合がほとんどでしょう。会社員の中でも1500万円を目指すことは可能で、不動産会社や金融機関に勤務するサラリーマンの内、営業職の方で1000万円~1500万円の年収の方は多くいらっしゃいます。
年収1500万円だけに限らず、年収からだいたいの手取り額を知るには「年収の2割程度を差し引いた金額くらい」と考えると良いでしょう。
この後、税金のことは詳しく紹介しますが、日本の税制は累進課税制度というシステムを取り入れているため、年収1500万円の方は年収が高い分、引かれる税金も高額となります。
従って年収1000万円以上の高収入の方の場合、手取り額の目安としては「年収の3割程度が差し引かれる」と考えた方が無難です。つまり、年収1500万円の手取り額は1000万円前後であると推測されます。
手取りの年収が1000万円程であるとした場合、単純に12月で割ると一か月あたり約83万円ということになります。ただし、均等に割っただけであり、ボーナスは加味していません。夏冬ボーナス分を引いた場合は、だいたい手取り月収が70万円前後になると推測されます。
独身で年収1500万円というと、かなり贅沢な暮らしができると推測されます。その方の年齢にもよりますが、独身で1500万円の年収があれば早い段階でマンションや自家用車を購入しているのではないでしょうか。
また、これからご結婚などを考えるにあたり、少なくとも金銭面の不安はほぼ無いと考えて良いのではないでしょうか。
もし独身の内にマンションや一戸建てを購入するとした場合、住宅金融支援機構のウェブサイト内「フラット35」のページにて、現在の年収や希望借入金額などから各種シミュレーションをご活用ください。
同シミュレーションにて年収1500万円でいくら借り入れできるか計算してみたところ、フラット35の借入上限額8000万円に達してしまい、それ以上は計算できませんでした。(金利1.2%として、他の借り入れが無いものとした場合)
フラット35のシミュレーションでは、他の借り入れ状況を入力する欄があります。ここに現在の借り入れがある場合は具体的に入力しましょう。そのことで、シミュレーション結果がより具体的になります。
その他のローンには、自動車ローン、教育ローン、他社での住宅ローン借入額などが含まれます。
フラット35についてはコチラの記事もおすすめします。
既婚の方で世帯主のみが働いていて年収1500万円だとしても、夫婦またはご家族で特に不自由なく生活を送ることが出来るでしょう。
ただし、この後の税の項目でも詳しく書きますが《児童手当》《保育料無償》などの一部が利用できませんので、ご自身の家計の中から捻出しなければなりません。このことから、お子様の人数や年齢によっては、大幅に生活レベルが高い暮らしをしているとは言えない場合も考えられます。
近年「パワーカップル」という言葉を耳にする機会も増えてきました。一般的なパワーカップルの定義として、夫婦共働きで世帯収入として1000万円超であったり、夫婦それぞれの年収が6〜700万円を超えているご夫婦のことを指します。
昭和から平成に入り、女性の働く環境が著しく改善しつつあることなどが、このパワーカップルが近年増えている背景にあります。年収600万円でも、日本の平均年収500万円程度を大きく上回っており、十分に高収入の部類に入ります。
年収600万円について詳しく解説した記事はコチラです。どうぞご参考になさってください。
子育てにかかるお金は、オール国公立だとしても大学卒業までに1000万円は最低でも必要です。私立進学や他県での一人暮らしの場合は、さらに1000万円〜2000万円は教育費として必要となってきます。これは年収に関係なく、子ども一人当たりに換算しています。
年収1500万円世帯の子育てで考えられることは金銭的に不自由がない場合が多いので、教育費に関して出費が増えるご家庭も多いのではないでしょうか。
お金をかけて良質な環境を整えることは、お子さんの将来の選択肢を限りなく広げることになりますから、家計に負担のない範囲でご家族の意思通りに進められても良いと考えます。
子育てにかかるお金についてはこちらが詳細にまとめられています。
ここまでにも書きましたが、年収1500万円は紛れもなく高収入の部類に入ります。税の基本的な考え方は「累進課税制度」といって、給料に応じた額の納税額が所定の計算式で決まりますから、高収入の方は比例して高い税金を納めることになります。
この際いくつか注意点がありますので、以下で確認していきましょう。
年収が高すぎると、いくつかの税控除や優遇制度が使えません。代表的の例はこちらです。
年収が高くてもどなたでも平等に受けることが出来る控除の代表的な物は以下のものです。年収1500万円世帯の方も積極的に控除を活用しましょう。
ふるさと納税を利用して「寄付金控除」を受けることもできます。具体的な上限額はお住まいの地域やご本人を取り巻く環境によって変わります。昨今ふるさと納税については非常に注目されており、民間のホームページも多くあります。
ほとんどのホームページにて返礼品の比較検討もできますし、控除シミュレーションを無料で行うことが出来ます。是非活用してご自身の控除額上限を調べてみませんか。
住宅ローン控除の申請方法などについてまとめられた記事はコチラです。是非お読みください。
保育料無償化に関して所得制限があるのは、0~2歳までのお子さんをお持ちの方のみです。この場合は住民税非課税世帯などの制限があります。しかし3~5歳のお子さんをお持ちの場合は住民税によって制限がありません。
つまり年収制限がないということですから、年収1500万円世帯の方でも、お子さんが3~5歳に該当すれば保育料無償化の対象になるということになります。
年収1500万円で、手取り1000万円前後である方も、貯金や保険は必要なのでしょうか?日本の平均年収は約500万円位ですから、およそその3倍の年収の方々は、どのように貯金・保険・資産運用を考えていったらよいのか、項目別に検証していきます。
年収1500万円の方でも、やはり貯金はしておくに越したことはありません。特に自営業で年収1500万円の方は、社会保険や厚生年金がありませんので、万が一の際の生活費として、最低でも年収と同額程度は貯金しておくと安心でしょう。
サラリーマンの方でも、退職後に現役世代から生活レベルを落とさずに老後生活を楽しむためには、やはりできる限り貯金はしておきましょう。
生命保険とは、月々負担のない掛け金を支払うことで、万が一の際の大きな保障を持つことが出来る仕組みです。
たとえば働く世帯のうち大半を占める年収300〜400万円世帯の方が、万が一の死亡保障として3000万円の準備をしたい場合、加入時の年齢などにもよりますが、掛け捨てであれば毎月数千円の掛け金で収まります。
3000万円貯めることは決して容易ではありませんが、月数千円なら払うことが出来ます。
一方、年収の高い世帯の方で、既に預貯金が3000万円あるとした場合、少なくとも月数千円の死亡保険に入らずとも、その金額がそのまま遺族に残りますから生命保険は必要ありません。基本的に生命保険は、預貯金などの備えがあるのであれば加入する必要はありません。
年収1500万円の方が生命保険の加入を検討される場合は、現在の保有資産残高なども念頭に置いて決断されることをおすすめします。個人事業主の方で、お子さんがいらっしゃらない場合は、配偶者の遺族保障として預貯金以外にも生命保険の形でお金を遺すことをおすすめします。
国民年金のみ加入の場合で世帯主に万が一のことがあった場合、遺族基礎年金の受給権が発生しますが、その条件は【子、または子のある妻】です。お子さんの居ない自営業のご夫婦の場合は、配偶者に対する遺族保障は自助努力で補う必要がありますのでご注意ください。
資産運用をする場合、生活に支障を来たさない額で運用することが鉄則です。しかし年収1500万円の方の場合「生活に支障を来たさない額」が高額である場合も考えられます。いくら生活には影響のない額であったとしても、資産運用の大原則である【分散投資】は守るようにしましょう。
いくら年収が高くても、大きなお金の資産運用の結果、損害が出てしまっては身も蓋もありません。是非ここは慎重に運用していきましょう。
資産運用についてこちらの記事も是非ご一読ください。
いかがでしたか。年収1500万円は給与所得者のうちの3%というかなり少ない割合の方ですが、暮らしていく上での注意点はその他の年収の方と然程変わりません。唯一のデメリットとしては、年収が高いことによって使えない税控除や公的扶助があることです。
また、累進課税制度により年収が高ければ高いほど納める税金が高いのは当然ですが、年収制限がない控除を漏れなく申請するなどして賢い消費者として知恵を絞っていきましょう。
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