- サラリーマンの平均年収は約441万円。
- サラリーマンの内、約250万人の方が年収600万円である。
- 年収600万円の手取り年収は450万円前後、手取り月収は28万円前後である。
- 家族世帯でも十分に生活できる年収であり、単身世帯ではかなり余裕のある暮らしが可能。
公開日:2019年10月17日
2019年9月に国税庁より発表された【平成30年分民間給与実態調査結果】によると、民間企業に勤務している方の平均年収は約441万円ということです。この平均年収より少し高い年収600万円の世帯の方は、実際どのような生活水準の暮らしをしているのでしょうか。
様々な公共のデータを用いながら、本記事では詳細について紹介していきます。現在の年収が600万円に近い方はもちろん、年収600万円を目標としている方もぜひご参考にされてください。
目次
今回の記事の中で用いている数値や各種データの根拠となる【国税庁・民間給与実態調査結果】の調査対象は、以下に該当する方です。
国税庁・民間給与実態調査とは、総務省の(日本標準産業分類)に基づいた広い業種へ向けて調査を行っているものです。
平均年収とともに、給与所得者の平均年齢は45歳前後であるということも発表されています。詳細データを見れば細かい数値の違いはありますが、だいたい45歳前後ぐらいの方の平均年収が441万円くらいであると考えると良いでしょう。
これを基準に、30代・40代の方はそれよりも少し少なめの平均年収であり、50代以降リタイア前の方はこれより上回ると考えられます。
ひとつ注意点として、国家公務員・地方公務員など官公庁等に勤務している方はこちらのデータには含まれていません。あくまでも民間企業に勤務しているサラリーマンの方の年収がどのくらいなのかを調べています。
また、民間企業に勤務していれば従業員の所得税の納税の有無も関係ない調査対象となっていますので、このデータの調査対象はかなり幅の広いものとなっており、様々なスタイルで勤務されている方の目安となります。
平均年収は約441万円であると紹介しましたが、内訳として男性は約545万円、女性は約293万円となっています。国税庁HPでは、平成20年度分から最新のデータである平成30年度分まで過去10年分を時系列で見ることができます。
これによると平均年収は前年度比で男性は2.5%、女性は2.1%の増加であるということです。
最新のデータでは、正規従業員の年収は約504万円・非正規は179万円であるということです。これらはいずれも前年より増加しており、正規では2.0%、非正規では2.2%のアップとなっています。
同調査では、1年を通じて働いた給与所得者の数の総計も知ることが出来ます、平成30年の結果によると、その人数は5026万人であり、内訳として男性2946万人、女性2081万人であるという結果になっています。男女いずれも前年より増加しているということです。
さらに、正規労働者と非正規労働者の別について、正規労働者3322万人、非正規労働者1167万人ということです。正規及び非正規に関しても、前年比増加となっています。
同じく国税庁の民間給与実態調査の結果によると、年収600万円の方は250万人程度いらっしゃるとの事です。内訳として男性約220万人、女性約36万人ということです。ちなみに同調査によると、年収300万円及び400万円の方が給与所得者の年収割合のうち半数近くに上っています。
年収600万円といっても、そこから社会保険や各種税金を引かれると、実際に受け取っている額面はこれよりも150万円前後低くなります。つまり年収600万円の方の手取り年収は約450万円前後であると推測されます。
年収から差し引かれる項目は以下のものがありますが、独身か扶養家族がいるかどうかで控除金額は変動します。
ここまでで、年収600万円の手取り額は450万円前後であるとわかりました。この手取り額を「可処分所得」と呼び、稼いだ年収の内、必ず支払わなければならない税金などを差し引いた後の実際に使える金額のことです。
実際に使えるお金「可処分所得」=年収ー(社会保険料+各種税金)
年収600万円の方の月収は約35万円前後です。これは夏冬の賞与を省いて12月で割った概算の数値です。厚生労働省のデータによると、賞与一回あたりの平均は月収の約2.5倍であるということで、ここから逆算すると月収35万円前後であるという結果になります。
厚生労働省【年末賞与の支給状況】によると、賞与(ボーナス)は一回あたり月収の約1.5~2.5倍であるということです。当然、企業の全従業者数や業績によって賞与額は変動しますが、月収からだいたいのボーナス額を測ることができます。
一つの目安として、月収または年収の2割分くらいが大体の控除額であるとされています。つまり、2割を引いた残りの額が実際に使える手取り月収(可処分所得)であるとわかります。このことから、月収35万円の場合の手取り月収は28万円前後とわかります。
同調査では、業種別の平均年収も確認できます。今回のテーマである年収600万円を超えている業種は以下の通りです。カッコ内の金額は平均年収です。
この調査からわかることは、年収600万円以上という高い水準の給与をもらえる業種は、全国どこで勤務しても、あまり給料の差が少ない業種です。地方でも都心でも、そこまで大きな給与差がありません。
なおかつ金融業(銀行)、ガス会社電力会社などライフラインに関する業種、情報通信業いずれも生活に密着した業種であることがわかります。暮らしになくてはならない業種が高収入であると言えます。
年収600万円は、全給与所得者の中でもかなり高い年収であるとわかりました。職業や世帯形態によって年収や月収から控除される額は違いますが、実際の生活費に充てられる手取り金額として、年間で約480万円・ボーナスを省いた月間で約28万円が一つの目安となります。
いよいよここからは実際の住居費や生活費について詳しく見ていきます。
生活費を考えた際に、衣食住にかかる費用は生きていく上で必ず必要です。まずは住居費について見ていきましょう。購入し住宅ローンの契約を検討する際の目安や、賃貸の目安について紹介していきます。
住宅購入を考えた際に一般的に使われる住宅金融支援機構の「フラット35」では、年収に占める年間平均返済額の基準が設けられています。
年収600万円の場合は、年間返済額が210万円以下であればフラット35を利用できるということになります。
この場合の「年間返済額」には、フラット35ではない他の住宅ローンや各種ローン(マイカーローン、教育ローンなど)も含めます。更にカードローンやクレジットカード使用による購入代金も含まれます。住宅ローンを組む際に、例えば配偶者などと合算して世帯収入として住宅ローンを契約をする場合は、この年間返済額も当然合算することになりますのでご注意ください。
住宅金融支援機構の「フラット35」HP内では様々な条件からシミュレーションを行うことができます。
一例として、年収600万円で他にマイカーローンとして月5万円、ボーナスで10万円支払っている場合の借入可能額の目安は、3,768万円ということです。(適用金利は1.110%、元利均等返済としています)
フラット35についてはこちらの記事も是非ご参考にされてください。
賃貸の場合、概算で年収の2割〜2.5割以内だと他の生活費に影響を与えない範囲の住居費であると言われます。年収600万円を当てはめてみると、年間120~150万円、月にすると10~12.5万円までなら住居費に充てても十分に生活が成り立つ計算になります。
家賃の目安についてはこちらコチラの記事に詳しくまとめられています。
結婚している家族世帯の場合、世帯主が年収600万円であれば生活水準として一般的なレベルよりもかなり上であると考えられます。
ただし、お子様の年齢や人数によって変わってきますが、乳幼児に対する各種手当や控除などを考えると、そこまで大きな負担にはならない場合がほとんどでしょう。
総務省統計局が算出した統計によると、4人家族の場合の平均的な生活費は約32万円であるそうです。これまでに、年収600万円の手取り月収が約28万円前後であるという数値をご紹介しましたが、この手取り月収が全て生活費になるということになります。
住居費や教育費、共働き夫婦であるかどうかなど前提条件の違いはありますが、もし世帯主だけが働いていて年収600万円である場合、4人家族で十分に生活していけるレベルであることがわかります。
子どもを育てる上でかかる費用については、是非こちらをご参照ください。
独身の方で年収600万円となると、かなりの高収入で高いレベルの生活が可能であると言えます。
先にもまとめていますが、例えば住居費を考える際、10万円~15万円程度のマンションを借りるにしても、単身向けの間取りであれば駅近かつ広くて築浅な部屋を借りることも十分可能です。
逆に、住居費を少し抑えて浮いたお金を貯蓄に回すこともできます。いずれにしても独身で年収600万円とは、かなり自由な生活ができそうです。
総務省統計局のデータによると、独身世帯の生活費の平均は約10万円前後であるという結果になっています。年収600万円の手取り月収が約28万円前後であることから、独身の方は普通に生活をしても随分手元に残るようです。
生命保険に関してもあまり多くかける必要がありません。単身者の場合は遺族保障を高く設定しなくてよい場合がほとんどですし、必要最低限の入院・医療保障など「ご自身が生きている間に受けられる保障のみ」に加入すれば安心です。
生活費があまりかからない上に、出費も最低限に抑えることで、かなりの金額を趣味に当てたり、老後資金対策として資産運用に回したりすることが可能です。
独身も含めた各世帯の生活費については、こちらをご参照ください。
これまでに、家族世帯か単身世帯かに分けて生活費の内訳見てきましたが、これはご本人(世帯主)の年齢によって大きく差があります。
例えば、同じ単身世帯であっても20代と50代では、年収600万円のうち「何に対しての出費が一番大きいか」は全く違います。50代といえばリタイアを目前に控え、これまで遊興費に使っていたお金を、少しでも老後資金のための貯金に回したい方が増えてきます。
年齢によって差があることに付随して、社会保険料の観点から、40代以降になると一律介護保険料も引かれることになります。つまり同じ年収600万円であっても、年収から控除後の可処分所得が変わってきます。
たとえ可処分所得が減ったとしても、その際は家計の見直しをして、その世代に応じた調整をすればよいだけです。
例えば可処分所得が減った時期に、ちょうどお子さんの教育費がかからなくなる時期であれば、むしろ家計全体に与える影響としてプラスになる場合もあります。先のことを恐れず、その都度臨機応変に対応していけば大丈夫です。
いかがでしたか。年収600万円は、民間企業に勤務する方の年収のうち、かなり上位層であるとおわかりいただけたと思います。そこから深堀りして、生活費や住居費など詳しく見ていくと大体の生活レベルの目安になったのではないでしょうか。
もちろん年齢や家族形態、住んでいる地域によって生活費などの出費は大きな差がありますが、本記事の内容は全国平均としてお考えいただければと思います。皆様のお役に立てましたら幸いです。
「保険チャンネル」は、リクルートが運営するサービスで、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に「保険の見直し」「家計」「老後資金」「教育費・子育て費用」について無料で何度でも相談できるサービスです。
大手企業が運営しており安心して利用できますのでぜひご検討ください。