- ふるさと納税を行った方の中には、確定申告を要する方とそうでない方とがいる。
- 確定申告を要しない場合もワンストップ特例を利用している場合は、その手続きが必要になる。
- 確定申告を行う場合は、所得が増えることでかえって損をする場合もあるため、金額のシミュレーションを行うことも大切。
- ふるさと納税を行った方の確定申告の書類や書類の書き方は、国税庁のHPや民間業者のウェブサイトに様々な資料等が掲載されている。
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ふるさと納税には、返礼品がもらえたり節税等の様々なメリットが存在します。ただ、本来住所地の市区町村への納税の実施を他の市区町村に行うので、その手続きをしなくてはなりません。すなわち、確定申告やその他の手続きが発生します。
そこで、ふるさと納税をされている方向けに、確定申告等の手続きの要否とそのやり方をまとめて記載をします。
そもそも、ふるさと納税って?という方にはこちらの記事がおすすめです。
目次
確定申告とは、1年間の所得のうち税金を計算して税務署に申告と納税を実施することをいいます。確定申告には、申告必須の方と任意の方の2パターンが存在します。
任意でも場合によっては税金に関する還付や控除の適用を受けることもあり得るので、手間はかかるものの申告した方がよい場合存在します。
結論から記載すると、申告が必須なパターンとそうではないパターンがあります。下記、それぞれのパターンに応じて申告の要否についてまとめてみたいと思います。
以下の対象になる方は、ふるさと納税の有無に関わらず申告が必要です。
自営業者の方 | 無条件で必要 |
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会社員の方 | ・年間のお給料が二千万円超
・複数の会社から一定額以上のお給料あり ・給与以外の二十万円以上の副収入あり |
ワンストップ特例制度を利用されている方は申告を要しません。これは、納税する市区町村が1年間で5つまでであれば、申告を実施せずともふるさと納税の寄付金の控除を受けることが可能な制度です。
5つ以下とは、「納税先が5自治体以下」ということを指します。すなわち、同じ自治体であるならば2回以上申込しても計算上は1自治体です。
ですので、例えば、すでに4つの市区町村に申し込んでいたら、もう1つの自治体に季節ごとに年に4回申し込むことは可能となります。
会社にお勤めの大半の方々は、会社が年末調整して1年間の所得と税金が決まります。このようにご自身で申告を行う必要のない方であれば、ワンストップ特例制度を利用可能です。
この特例制度を使う場合は、その申請書を必要書類と合わせてふるさと納税を実施した市区町村へ送付しなくてはなりません。次は2020年の1月10日までです。
ふるさと納税をしていてもワンストップ特例制度が使えない場合は、申告が必要となります。具体的には、以下の2つ場合です。
特例制度をあえて使わずに申告してみた方がよいパターンも存在します。検討の余地がありそうなケースを以下いくつか記載いたします。
医療費控除を実施する場合、申告をすることが必須になります。その場合に医療費控除の申告を実施することで課税所得が減少するので、減ずることのできる上限額も減少します。よって、医療費控除と実際に併用するべきかの判断は金額のシミュレーションを要します。
1月1日から12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合でその金額が一定額を超えるとき、その医療費額をベースに計算した金額分の所得を減ずることのできる制度です。
平成29年度以降は、通常の医療費控除との選択で、特定一般用医薬品等購入費の合計額のうち、1万2千円を超える金額(8万8千円を限度)を控除額とするセルフメディケーション税制も存在します。
減税利用の初年度は申告が必要です。ローン開始の2年目以降は年末調整の利用することができます。この減税は、ふるさと納税と一体で利用可能です。
住宅ローン減税とは、個人が住宅ローン等を使って、マイホームの新築、取得又は増改築等をしたときに、住宅ローン等の年末残高の合計額等を基礎に算出した金額を決められた年数の間、所得税額から減ずるものです。
正式名称は、住宅借入金等特別控除と言います。詳しい内容や適用条件等は国税庁のホームページをご参照下さい。
このパターンは、通常通り申告して差し支えありません。
住宅ローン減税により所得税と住民税が減じられ、その残りの金額の中からふるさと納税分の住民税が控除されます(当特例制度を使ったふるさと納税では住民税のみから全て控差し引く)。
この際、ローン減税分の住民税からの差し引く額には上限があり、ふるさと納税分は残りの住民税で全額減ずることができます。
この場合は、併用して申告した方がよいか金額のシミュレーションが必要です。この特例制度を利用せず申告をする場合は、ローン減税の計算の基となる課税総所得そのものが減少します。
そのため、ローン減税を控除額の全額を所得税・住民税から減ずることができなくなるおそれもなくはありません。
民間業者ポータルサイトの「ふるさとぷらす」にて住宅ローンも加味した減ずることのできる金額を計算できます。対象となる方は、住宅ローン減税とふるさと納税を併用するときとしないときの計算書をそれぞれ作って比較してみて下さい。
株式投資等の資産運用の所得に関連する税金もふるさと納税の控除対象です。会社勤めの方なら、申告でこれらの所得を給与所得と合算し納税額を計算できます。合算して合計所得が増えれば、減ずることのできる限度額も上がることになります。
ただ、証券口座の種類によってパターンが分かれるため、以下それぞれのケースについて解説いたします。
特定口座源泉徴収ありの口座を選択した取引では、基本的には申告を実施する義務は存在しません。ワンストップ特例制度を使ってふるさと納税によって所得から減ずることが可能です。
申告は必須ではありませんが、実施すればふるさと納税の上限額が上がります。少しでも寄付金額を増額したい場合は、申告を行うことも可能です。
申告を実施した場合には、以下の点に注意が必要です。
こちらの口座を選択した取引では申告を要します。給与所得者で給与以外の所得が二十万円以下のケースでは、基本的に所得税の申告は要りません。
しかし、住民税の申告は実施する必要があり、その場合はワンストップ特例制度を利用できなくなるので、ふるさと納税で所得から減ずることができるよう申告を実施する必要性があります。
上記のパターンでは、ふるさと納税で所得から減ずることのできる上限額を増加できる一方で、課税対象が拡大し、全体としてマイナスになる可能性がある点は気をつけないといけない点です。
FX取引では源泉徴収という制度は存在しません。所得が二十万円以下でも株式投資等の場合と同様にふるさと納税を実施するなら申告をしないといけません。
ふるさと納税と申告に関してよくある失敗例も記載した方が上記の話をより理解できるのではないかと思い、いくつか典型例を記載します。
申告を要しないときでも、ワンストップ特例を使いたい場合は、その申請手続きが必要です。そういった方は、その申請書を納付先の市区町村から郵送される寄付金受領証明書と合わせて納税する市区町村に送付する必要があります。
締め切りが1月10日までと年始となるため、期限にも気をつけましょう。
ふるさと納税は金額の上限額が所得金額に応じて決まっています。上限を超えた場合は申告を行っても節税にはなりません。年末までにされる方は注意しましょう。
収入のない専業主婦の方が旦那様ではなく自分名義でふるさと納税を行い、かえって損をする失敗例も存在します。ふるさと納税は収入ありが前提なので、こちらも年末までに実施する予定のある方は注意を要します。
確定申告の要否を確認してみて必要だとわかれば、手続きについても押さえることも大切になります。手続きを行う場合に必要な項目について順次説明いたします。
確定申告は原則は2月16日から3月15日までとなります。(来年度は2020年2月16日~2020年3月15日)
確定申告の期日が過ぎてしまったときであっても、その期日からみて5年以内のケースは確定申告の期日後に申告が可能な寄付金控除を行えます。
確定申告を実施したものの寄付金の控除の申請を失念したときには、確定申告の書類を提出する期日から5年以内ならば、更正の請求の手続きを行い寄付金の控除可能です。
ただ、当然ながら当初の段階でこの手続きをあてにせず、期日内に手続きの実施を要するのは言うまでもありません。
確定申告を実施するケースで必要となるものは主に下記の通りです。
申告するために作成する書類を
作るために使うもの
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・源泉徴収票(会社勤めをしているなら)
・個人番号を確認可能な書類 ・印鑑 ・金融機関の口座番号が確認可能な通帳等 |
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書類を送るために必要となるもの
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・寄付金の受領証明書
・本人確認書類 ・マイナンバーカード ・通知カードや住民票(番号記載あり)など +身元確認書類(例:運転免許証) ※e-Taxを利用するなら、本人確認書類を提示したりその写しの提出は不要です。 |
寄付金の受領したことを証明する書類は忘れがちですので、手元に持っているのかしっかり確認するべきです。これから、納税を実施する方はあらかじめどのタイミングで納税をする市区町村より当証明書が手に入るのかチェックしましょう。
すでに行っている方はお手元にあるかチェックし、なければただちに再発行手続きを実施するのが無難です。
税金を納付する税務署が提出先となります。提出手段は、郵送・持ち込みで提出する場合と国税庁のウェブサイト経由の2種類です。
まず、確定申告書を国税庁のウェブサイトよりプリントアウト、もしくは国税庁の確定申告専用サイト上で必要事項を入力申告書類完成後にプリントアウトし、次に税金を納付する税務署に郵送するか窓口まで持ち込みます。
申告するための書類の種類はどんな所得があるかによって多少異なります。複数のタイプが存在すると認識した上で書類を間違えないように気をつけることも大切です。
まず、国税庁にある申告専用サイトでe-TAX利用を選択、次に申告する書類の完成後、WEB上で書面を送信します。
従来は、番号カードとICカードライタが必要でしたが、2019年度からは、税務署等でID・パスワード方式の届出をすることで不要となっています。詳細は国税庁のウェブサイトよりご確認下さい。
申告する書類を記入するとなると大変だと感じられる方が多いと思います。確かに簡単ではありませんが、記入をサポートする資料は充実しています。
具体的に見ると、国税庁ウェブサイトに確定申告集というページがあり、ここで確定申告に必要となりそうな情報を一覧性のある形で確認することができます。平成30年度版のページになりますが、ご参考にリンク先を記載します。
国税庁ウェブサイトには、申告する書類の書き方・記載例の見方とは別に、さらに申告する書類の作成時の注意事項や間違えやすいポイントまでまとめられています。まずはここをチェックした上で申請書を作成したり、作成後の最終チェックでも利用するとよいでしょう。
文字だけではわかりづらいという方には動画の活用もおすすめです。国税庁のウェブサイトには「Web-TAX-TV」という税金について解説する動画のリンクページがあります。
こちらから、ふるさと納税で寄付金控除を利用する方向けの動画や、確定申告書等作成コーナーから申告書を作成して書面提出を行う方法等について動画で確認できます。
申請書の記載方法については、ふるさと納税の民間業者のホームページにも丁寧に記載されています。記載のフローに沿った記載例が書いてありますので、合わせて参照するとよりベターです。
ふるさと納税を利用すると税金の手続きも必要になる点も忘れてはいけません。今回の記事にて確定申告の要否を確認して、対象なら上記申告手続きについても参考にしていただき、締め切りまでに手続きを済ませて下さい。
ふるさと納税をこれから初められる方には、ネットでカンタンにふるさと納税が行えるCMでもお馴染みの「さとふる」がおすすめです。
自身の利用できる限度額の計算ができる控除額シミュレーションや、確定申告・ワンストップ特例制度の仕組みなどもわかりやすく解説されていて初心者の方でも利用しやすいです。