- ふるさと納税の制度趣旨は地方創生であり、各自治体、消費者ともにメリットのある制度と言える。
- ふるさと納税を初めて行う方は、民間業者のポータルサイトを利用した手続きがおすすめ。
- 年末のふるさと納税の申込期限は、同じ自治体でも決済方法ごとに期限が異なるので早めの手続きがおすすめ。
- ふるさと納税後は税金等の手続きも必要。納税先の自治体から送付される寄付金受領証明書をもらい忘れないようにする。
公開日:2019年11月11日
みなさんは、ふるさと納税という言葉を聞いたことはありますか。ふるさと納税ポータルサイトの企業CMや返礼品競争に関するマスコミの報道等により、一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。
ただ興味はあっても、ふるさと納税の中身や手続きついて、正確にご存知な方は多くはないように思います。そこで今回は、これからふるさと納税をやってみたいとお考えの方を対象に、その概要と仕組みについて解説していきます。
「納税」という言葉がついていますが、実際には都道府県や市区町村への「寄付」です。一般的に、自治体に寄付をした場合には確定申告を行うことで、その寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。
しかし、ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。
地方で生まれ様々な住民サービスを受けて育ち、進学や就職を機に生活の場を都会に移して、そこで納税を行う方が数多くいらっしゃいます。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、生まれ育った故郷の自治体には税収が入らないケースが多々発生しています。
そこで、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思でいくらかでも納税できる制度があっても良いのではないかという問題提起から、ふるさと納税制度が生まれました。
ふるさと納税は、個人の方だけでなく企業にも認められています。国が認定したプロジェクトに対して企業が寄付を行った寄付額の3割が、当該企業の法人税から税額控除されます。
例としては、創業地が北海道である(株)ニトリホールディングスが北海道の夕張市に寄付を行うという事例などがあります。
ふるさと納税制度は自治体と消費者の相互にとって意義があります。代表的なものとしては、下記の事項が挙げられます。
自治体 | ・財政再建の手段になる。
・地元の特産物や観光をPRする手段になる。 ・行政サービスの向上につながる。 |
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消費者 | ・納税に対する意識が高まる。
・社会貢献に対する意識が高まる。 ・税金の勉強がなる。 |
ふるさと納税の受入額及び受入件数に関する平成30年度の実績は、約5,127億円(対前年度比:約1.4倍)、約2,322万件(同:約1.34倍)となっています。金額も件数も大幅に増加しており、社会の関心の高さを確認することができます。
出典:自治税務局市町村税課の作成したふるさと納税に関する現況調査結果(令和元年度実施)P2
※受入額及び受入件数については法人からの寄付金を除外し、ふるさと納税として認められる寄付金のみを計上。
※平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等については含まれないものもあり。
ふるさと納税が注目される理由は一言で言えば、納税する側から見ても受け取る自治体側から見ても様々なメリットがあるからです。具体的には6つあります。詳細を以下解説します。
各地で発生した災害支援の寄付として、ふるさと納税を利用することも可能です。今般全国各地で猛威を振るった台風19号の災害支援寄付金のふるさと納税による受付も、現在様々な自治体で実施しています。
出典:長野市ホームページ
なお、「ふるさとチョイス」、「さとふる」といったふるさと納税に関連した民間業者のポータルサイトにて、災害支援寄付金を受付している自治体を一覧で探して納付手続きを行うことが可能です。
「ふるさと」という言葉がついているものの、寄付する自治体は自分の好きな自治体を選べます。実際の出身地等ではなくても、納税者の「こころ」の「ふるさと」がある自治体に寄付することができるのも、1つのメリットです。
寄付のタイミングや金額は納税者1人1人自由に選べます。自分で自由に意思判断して寄付ができる自由度も魅力の1つです。
ふるさと納税では募集する際の使途を選択できるようになっている場合がほとんどです。その使途は、まちづくりや地域振興、子育てや福祉、災害支援や防災等様々であり、受入額実績・活用状況の両方を公表している自治体が大半です。
一般的な寄付の場合は、寄付したお金が何に使われているか不透明になっているものも少なくありません。しかし、ふるさと納税の場合は国の指導もあり、そうはなりにくいです。
ふるさと納税を行うと、納税先の自治体から返礼品を受け取ることができます。返礼品の品は、米、肉、魚介類の農産水産物、日本酒などのお酒、自治体の伝統工芸品などバラエティに富んでいます。
またこれから冬に向かっていきますが、スキー場の利用券等を返礼品していたりと物品以外の返礼品を用意している自治体もあります。
ふるさと納税の民間業者のポータルサイトを利用すれば、返礼品から寄付する自治体を選べます。
ふるさと納税は自分の選んだ自治体に寄付を行うと、返礼品がもらえるだけでなく控除上限額内の2,000円を越える部分について税金が控除されます。税金控除を受けるためには、「確定申告」をするか「ワンストップ特例制度」の適用に関する申請が必要です。
ふるさと納税の寄付先の自治体が5つまでの方が利用できます。利用した場合は寄付をした年の所得について確定申告をすることなく、ふるさと納税後の税額控除の手続きができる制度です。
ふるさと納税という言葉は知っていても、実際の寄付の手続きについてはわからない方も多いのではないかと思います。そんなふるさと納税の初心者の方向けに寄付の6つの手順について以下解説します。
ふるさと納税を受け付けている団体は、各自治体のホームページやポータルサイトで確認できます。最初から特定の自治体へのふるさと納税に関心がある場合は、各自治体のホームページを確認するとよいでしょう。
特定の自治体まで決まっていない場合は、ポータルサイトにて返礼品や寄付金の使い道等から気になる自治体を検索してみるとよいでしょう。
寄付をしたいと思う自治体を選んだら、実際に寄付を申込みます。申込の窓口は以下の2種類です。
まず、1つ目は各自治体との直接のやり取りです。方法は自治体により異なりますが、電話やFAX、メール等で「寄付する金額」「返礼品の選択」「入金方法」について確認することになります。
民間業者のポータルサイトにて手続きする方式もありますが、自治体のホームページから直接寄付手続きができるケースもあります。
様々な民間業者が運営するポータルサイトを利用すれば、ふるさと納税の申し込みから「返礼品選択」「自治体への寄付金の入金決済手続き」までを1つのサイト上で完結することができます。
自治体のホームページでは手続きがわかりづらい場合もありますし、手続きに不安のある方はポータルサイトを使った方法がおすすめです。
銀行振込、クレジットカード決済、コンビニ決済等により支払うことが可能です。クレジットカード払いに対応している自治体であれば、申込みと同時に寄付も完了するため便利です。
また、最近はポイントを利用して支払いに充てられるサービスも登場しています。例えば、KDDIが運営する「au Wowma!ふるさと納税」というポータルサイトでは、auWALLET ポイントを利用してふるさと納税をすることが可能です。
手続き後一定期間が経過すると、自治体からのお礼品が届きます。なお、ふるさと納税の返戻品は、ご自身で楽しむだけでなくプレゼントやお中元やお歳暮などのギフトとして利用することも可能です。
ふるさと納税を行った証明として、寄付先の自治体から寄付金の受領証明書が送られてきます。これは確定申告の際に必要となるため、必ず大切に保管して下さい。
なお、自治体により、返戻品と一緒に同封されているケース、後日送られてくるケースの両方があります。ですので、受け取り忘れがないようにどのタイミングで送られるか、寄付先の自治体ごとにあらかじめ確認しておきましょう。
ふるさと納税は、確定申告することにより所得税と住民税から寄付金控除が受けられる仕組みとなっています。ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用しないで寄付金控除を受ける方は、確定申告を行う必要があります。
確定申告を行う場合には、寄付金受領証明書の添付が必要です。確定申告期間は決まっているため、期限内に忘れずに申告しましょう。
ふるさと納税には所得税からの控除、住民税からの控除が認められていますが、控除には金額の上限があります。
ふるさと納税の自己負担額は最低2,000円ですが、所得や家族構成の違いにより自己負担が最低で済む寄付金額の上限が異なるため、寄付金の限度を超えると自己負担が2,000円を越える場合もあります。
所得控除額の計算方法の詳細、ふるさと納税の年間上限額の目安は、総務省のふるさと納税ポータルサイトにて確認可能です。例えば、夫婦世帯でお子さん1人(高校生)がいらっしゃる給与収入500万円のご家庭では、最大限度額が40,000円となります。
出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税の仕組み」
個別の具体的なケースについても当該ホームページにて寄付金控除額のシミュレーションも行うことが可能です。(正確な金額を確認したい場合は市町村に問い合わせしましょう)
ふるさと納税を年末ギリギリに行う場合は、いつまでに行わないといけないか必ずチェックしましょう。同じ自治体でも決済方法によって期限が違うケースもありますので要注意です。
クレジットカードで申込と決済を同時に行うことで12月31日まで手続可能なケースもありますが、ギリギリの時期はシステムのサーバーに負荷がかかり、決済までに時間がかかることが原因で翌年に持ち越しになる可能性も否定できず、おすすめできません。
年末のふるさと納税は申込手続の期限に加え、返礼品の受取りにも注意が必要です。年末年始の帰省中に生鮮食品の返礼品が届くというケースも想定されます。
最近では年内発送するためにいつまで手続きすればよいか案内をする自治体もあります。自宅を長く留守にする場合は、各自治体のホームページをよく確認して返礼品の受取時期についてもしっかり確認しましょう。
ふるさと納税のポータルサイトの中で、「ふるさとチョイス」や「ふるぽ」などでは、ふるさと納税の決済でポイントが付与され、後に希望の返礼品を選択することも可能です。
この仕組みを活用すれば、返礼品が留守中に届いてしまうリスクを回避することが可能です。また、一定の時期にキャンペーンとしての返礼品がある自治体もありますが、このポイントを利用すればタイミングよく返礼品を受け取ることも可能です。
ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告をする必要はありません。ただ、ワンストップ特例制度の申請書とマイナンバーおよび本人を確認できる書類の写しを、ふるさと納税を行った先の自治体に送付する必要があります。この手続きは忘れないようにしましょう。
期限は寄付した翌年1月10日までです。ただ予期せぬトラブルを避けるため、できるだけ早めの手続きがおすすめです。
返礼品競争が過熱した結果、2017年4月に総務省より全国の自治体に指導が入りました。ふるさと納税の趣旨に反する返礼品は見直す旨、また返礼割合は3割以下とする旨がそこでは明示されています。
ふるさと納税制度は良くも悪くも返礼品に焦点が当てられている側面もあり、今後制度やその運用面でルールの変更等も考えられなくもありません。このような動向には納税する立場でもこまめな情報収集が必要です。
ふるさと納税は返礼品や所得控除等のメリットも大きいです。ただ、手続きに注意点があり返礼品受取りや税金手続き等も合わせチェックする必要があります。
そして、制度の趣旨は地方創生です。各種メリットの確認はもちろんですが、応援したい自治体への寄付が前提です。また、災害支援等の社会貢献にも利用できる制度でもあります。
幅広い活用ができますので、どのように制度を利用していくかという点もぜひ考えてみて下さいね。
ふるさと納税をこれから初められる方には、ネットでカンタンにふるさと納税が行えるCMでもお馴染みの「さとふる」がおすすめです。
自身の利用できる限度額の計算ができる控除額シミュレーションや、確定申告・ワンストップ特例制度の仕組みなどもわかりやすく解説されていて初心者の方でも利用しやすいです。