- 低所得世帯の人に対して大学などへ通うための金銭的な支援を行うため、大学教育無償化法が施行される。
- 大学教育無償化法の対象となるのは、世帯収入と世帯保有資産の少ない学生。
- 授業料等の減免と給付型奨学金が支給される。
公開日:2019年12月8日
現在高校生の方、またはお子さんが高校生の方で、「大学に行きたいけれど、お金がないので行けない」「子供に大学へ行かせてあげたいけれど、家計が苦しい」などと悩んでいらっしゃる方はいませんでしょうか?家庭の事情のために進学が出来なくなるなんて、残念ですよね。
でも来年からは、少し光明が見えてきました。来年四月から始まる、大学無償化法によって、授業料が免除されたり奨学金がもらえたりするかもしれないからです。
そこで、この記事ではその制度の対象になるための年収条件や、補助してもらえる金額について解説していきます。
目次
2019年10月からはじまった消費増税。この財源を用いて「人づくり革命」を行うという方針が示され、その一つとして「高等教育無償化」という政策が行われることとなりました。
具体的には、2019年にこの法律が制定されました。そして2020年4月より施行されることになっています。この法律の目的は一体どのようなところにあるのでしょうか?
平たく言うと、低所得世帯の人に対して大学などへ通うための金銭的な支援を行い、それによって少子化を防ぐ、ということのようです。世界的に見ると大学の学費など無償の国もあるので、少子化対策というにはかなり不十分で遅すぎましたが、まあないよりはましでしょう。
私の場合をお話しますと、家庭がそれほど裕福ではなかったので、国公立大学にしか進学をできない状況でした。しかし、受験に失敗し、私立大学に通うことになってしまいました。
親に申し訳なかったので大学に通いながら受験勉強をして(仮面浪人といいます)、受験にかかる費用はアルバイトをして捻出し、受験をして国立大学に合格しました。こんな制度が受験生の時にあれば、私の人生も違ったものになっていたことでしょう。
文部省の説明によりますと、「意欲ある学生のみなさんの学びを支援します」とのことです。まずこの法律は、2020年4月1日より開始となります。ちょうど年度の変わり目ですね。
また、支援内容としては、授業料等の減免や減額、給付型奨学金の支給になります。このあたりのことについての詳しい説明は、後述します。
それでは、この法律が適用される対象学年・年齢はいったいどうなっているのでしょうか?
それは大学進学を控えた高校3年生や高等専門学校の3年生が4年へ進学する時からとなります。2019年12月現在高校生の申し込みは終了していますが、大学に進学した後からでも申し込みは可能です。
また、すでに大学に進学している在学生であっても利用できます。ただし、さかのぼって請求するというようなことはできません。そして、浪人は2年までの猶予が与えられます。2浪までならOK、ということのようですね。
対象は大学・短期大学・高等専門学校・専門学校です。ただし、これらの学校でありさえすればどこでも対象になるのかというと、そういうわけではないということは注意が必要です。
これはどういうことかというと、対象になる要件というものが定められていて、経営に問題のある学校は対象外にされてしまうのです。
具体的にどの学校が対象なのかは、こちらで確認できます。なお、リストは更新されることがあるので、最新のものを確認するようにしましょう。
この法律の適用対象となるためには、その他にも条件があります。まず、国籍については、日本国籍を有するものやそれに準ずるものが対象となります。この制度を目当てに大勢の外国人が来られても困りますからね。また、成績についても、上位者が対象となります。
実は所得制限がつけられています。これは、この法律のそもそもの目的を考えると仕方のないことです。しかも、その条件としてはかなりの低所得でないと受けられないような制度になっています。
それでは、そのような支援の対象になるような学生とは、具体的にはどのような条件となっているのでしょうか?
これには、大きく分けると二つあります。まず、世帯の収入が低い学生です。そしてもう一つが、世帯の資産が少ない学生です。これは、収入が少なくても資産があればそれを取り崩して学校へ通わせればよい、という考え方ですね。
収入の基準は、住民税の金額となります。これにより、受けられる支援のレベルが変わってきます。詳しくは後述します。
また、資産については資産2,000万円未満または資産1,200万円未満が適用を受けられる上限(金額は1人暮らしかどうかなどで変わる)となります。
世帯の収入がおよそ270万円以下で収めている住民税が100円未満の場合です。この場合には、支援される標準額を満額受けることができます。
準ずるとはどういうことでしょうか?これには二つのケースがあります。まずは、世帯の収入がおよそ300万円以下で収めている住民税が25,600円未満の場合です。このケースでは、支援される標準額の2/3受けることができます。
また、世帯の収入がおよそ380万円以下で収めている住民税が51,300円未満の場合ですが、この場合、支援される標準額の1/3受けることができます。
ただし、上にあげた数字はモデルケースを参考に算出したものですので、実際の収入条件は家族構成などにより異なってきます。「自分の場合はどうなっているのかな?」と気になった場合には、下記の日本学生支援機構 進学資金シミュレーターで調べることができます。
なんとか、この制度による支援の対象になったとします。そうなると、一体いくらぐらいの補助を受けることができるのでしょうか?
この場合の補助とは、具体的には先にあげた通り、授業料等の減免と給付型奨学金です。以下でそれぞれについて説明してまいります。
これは、入学金と授業料が減免されるということになります。とはいえ、完全に免除されるというわけではありません。
国公立ならほぼ全額支援を受けられ無償になりますが、私立の場合にはもともとの学費が高いため、支援額自体は国公立より多くなりますが、75%程度の支援となります。
さらに、国公立と私立で支援額が変わるだけではなく、昼間制・夜間制・通信制でも差があります。夜間制の場合は本人が働けるため、さらに通信制では通学の負担も少なく学費も安めのため昼間制よりは支援額が少なくなります。
これは、返済不要の奨学金が支給されることになります。返済が必要であれば就職後の返済の負担が大きいですが、これなら気持ち的にも楽ですね。これも、国公立と私立で金額に差があります。
また、奨学金については自宅から通うのか、下宿など自宅外から通うのかによって金額に違いがあります。自宅外から通う方が生活費がかかるので、支給額は高くなります。
大学無償化法の対象について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
勉強を続ける意欲と能力がありながら、家にお金がないので進学できないというのは国家にとっても損失です。こうした人達を救うためならば、増税も我慢できるというものです(本当に増税分を充ててくれるのであれば、という話ですが)。
家にお金がないけれども学校へ行きたい、と考えている人は、この制度を積極的に利用しましょう。
大学無償化法の申請手続きについては、こちらの記事をご覧ください。
「保険チャンネル」は、リクルートが運営するサービスで、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に「教育費」はもちろん、「保険の見直し」「家計」「老後資金」「子育て費用」について無料で何度でも相談できるサービスです。大手企業が運営しており安心して利用できますのでぜひご検討ください。