- 教育費対策をする前に、まず平均額を知っておこう。
- 幼稚園から高校まですべて公立で約544万円、すべて私立で約1,830万円かかる。
- さらに大学進学や一人暮らしの費用が上乗せとなる。
- 早めに預貯金や学資保険で対策をしよう。
公開日:2020年7月28日
ご家族が増え、にぎやかで楽しい毎日を過ごし、お子さんの成長を喜ばしく思う反面、将来の教育費は果たしていくらくらい必要なのだろう?と少し心配になる瞬間もありますよね。お子さんが一人、二人…と増えていくと、なおさら不安に感じる方も多いかもしれません。
今回は「子供の教育費」にスポットを当てて、まとめていきます。過分に不安にならず、本記事を参考にできる範囲で対策を立ててみませんか。
子育て必要については、以下の記事もご参照ください。
文部科学省では、平成6年から2年に1度のペースで「子供の学習費調査」を実施しています。一般の方でも文部科学省ホームページから閲覧することができます。
そのうち、直近の最新データ(平成30年度分)を参考に、幼稚園から大学までの学費の平均をご紹介します。目安としてご参考になさってください。
※同調査の調査対象は、公立および私立の幼稚園、小学校、中学校、高校(全日制)の幼児、生徒の保護者です。平成30年度の調査では、全国1,140校、29,067人を対象として取りまとめています。
最近では、公立の幼稚園は数が減りつつあります。その代わりに「認定こども園」などが増えてきました。お子さんの教育費において、すべて公立での進学を考えている場合でも、幼稚園だけは私立に入園する場合が一般的になりつつあります。
幼稚園にかかる費用に関しては、こちらもご参照ください。
小学校は在学する期間が6年と長く、その分公立と私立の学費総額の差が大きいです。6年間の総額で比較すると、約766万円の差があります。これには、通学費などの交通費も含まれますが、例えば遠方の私立小学校に進学する場合などは、この総額の目安よりも上回る場合もあります。
中学校では、学校外の費用として学習塾や習い事の費用のウエイトが高くなってくるのが特徴です。しかし、公立でも私立でも、学習塾などにかかる費用の平均に差は少なく、一番差がついている費用は「授業料」です。
令和2年(2020年)4月より、年収590万円未満の世帯では私立高校の授業料が実質無償化となる制度が始まりました。公立高校の支援に関しても「高等学校等就学支援金」という制度がすでに始まっています。
お子さんの成長過程で制度の改変が行われている場合もありますので、必ず最新情報をご確認ください。
高校の学費については、こちらもご参照ください。
大学の費用に関しては、文部科学省のデータではなく、日本政策金融公庫による「令和元年度・教育費負担の実態調査結果」を参考にまとめます。なお、大学費用の総額とは、入学費用と在学費用の合算とします。
自宅以外から通学する場合(一人暮らしなど)では、上記の学習費以外に、生活費などの仕送りも上乗せして必要となります。さらに、進学する学部によっても授業料などには大きく差があります。
令和2年(2020年)4月より、一定の年収制限のもと、大学無償化の制度が始まりました。教育費が不足している世帯でも、将来を担う子供たちに学ぶ機会を均等に与えるために配慮された制度です。
大学無償化の詳細に関しては、こちらもご参照ください。
ここまで、ステージ別の費用総額の中でもいくつかご紹介しましたが、高校無償化や大学無償化など、主に少子高齢化対策の一環として、子供一人当たりにかかる教育費負担をなるべく減らすような取り組みが国を挙げて始まっています。
それらも踏まえ、一体どのくらい教育費として貯めていけばいいのか、必要な資金の目安についてまとめていきます。
まだお子さんが小さい場合など、大学に進学するかどうかも含めてイメージが湧かない場合もあるでしょう。日本の義務教育は小学校と中学校ですが、実質は高校まで進学する場合がほとんどです。
高校卒業後の進学や就職についてはその都度考えていただくとして、いったん幼稚園から高校までの総額についてまとめます。その後、大学や一人暮らしについてもまとめますので、適宜必要な分を合計して目安になさってください。
幼稚園から高校まですべて公立の場合、総額は約544万円です。
幼稚園から高校まですべて私立の場合、総額は約1,830万円です。
進学する大学によって、総額は大きく差があります。一般的な目安としては、国公立では約500万円、私立大学文系では約717万円、私立大学理系では約822万円です。(上記、【大学】費用の総額の項目をご参照ください。)
医学部や歯学部など6年制の専門学部や、音楽や芸術などの学部に進学した場合は、さらに学費が高額になることが予想されます。在学中の海外留学経験が卒業要件である学部などもありますので、入学前にわかる範囲で費用を調べておくと安心です。
高校卒業後、大学などで自宅外通学をする学生は、全体の約27%にのぼるという結果があります(日本政策金融公庫の調査より)。都心部よりも地方のほうが自宅外通学となる割合が高いという結果もあります。
自宅外通学の年間仕送り額は約102万円です。月額にすると8.5万円ということになりますが、学費以外にさらに毎月8.5万円が必要となると、決して負担が軽いとはいえません。
自宅外通学の生活費に関しては、預貯金を取り崩すか、学生本人がアルバイトなどを行い補っているということが、同じく日本政策金融公庫の調査でわかりました。自宅外通学になる場合は、このようなことも踏まえ家族で話し合ってみると良いでしょう。
お子さんの教育費対策だけでなく、貯金をするための鉄則として「明確な目標をもって貯める」ことがまず挙げられます。教育費対策ではこの明確な目標が立てやすく、現在のお子さんの年齢から逆算してゴール設定が可能です。
ただし、貯蓄しながら同時に日々の教育費もかかりますので、貯めては遣いの繰り返しになる場合も考えられます。
現在お子さんが0歳とした場合、ここまでの算出データを参考にすると、高校卒業までに必要な総額を18年で割れば、必要な貯蓄年額がわかります。
上記の貯金額の目安は「現在0歳と仮定した場合、18年で高校卒業までの資金を貯める場合」のものです。その後大学に進学する場合は、さらに上乗せとなります。
また、お子さんの教育費に関しては「貯めながら同時に遣う」ことが予想されますので、実際はもう少し多く貯金しておくほうが安心です。
ここまでの項目で、公立や私立などの進学先ごとに目安となる教育費をご紹介しました。その総額がとても大きい数字になっても心配することはありません。
それらすべてを世帯で負担するのではなく、各種支援制度や無償化の動きも捉えつつ、必要最低限の金額を準備しておくことが効率的です。
子供に関する貯金については、こちらもご参照ください。
ここまでにご紹介した教育資金の目安などをご覧いただいて、なるべく早く教育費のために対策を打っておくことが必要であると感じていただけたのではないでしょうか。
そう思ったときから、対策は始まっています。ご家族と今後の対策について話し合い、どのような方法で、いつまでに、いくら貯めようという資金計画を立てるとよいでしょう。
具体的な教育資金対策として、以下ご紹介します。どれか一つだけで対策をするのではなく、いくつかを並行して利用すると、より安心です。
お子さんの教育資金対策として、最もポピュラーなのは「学資保険」「こども保険」など、民間の生命保険会社が販売しているお子さん向けの生命保険です。生命保険とはいえ、貯蓄性が高く、主にお子さんの将来の教育資金を貯める目的でご加入する方が多いのが現状です。
学資保険に関しては、こちらもご参照ください。
学資保険などの特徴として、契約者(一般的には親)が万が一死亡した場合は、その後の保険料は免除され、当初の期間満了まで契約は継続するという「保険料払込免除」の制度があります。
その際、節目のお祝い金や満期時に受け取る満期金なども契約どおりに受け取ることが可能なので、親の万が一の際でもしっかり教育資金を残すことができて安心です。
教育資金名目で貯金をする場合、定額積立預貯金はスタンダードな手法です。一定期間に確実に資金を確保する方法としては最適です。
ただし、現在は超低金利時代ですので、定期預金の金利も0.05%前後となっており「増やす」ところまでは期待できないでしょう。定額積立預貯金は、貯めることに特化していると思ったほうが確実です。
金融広報中央委員会(事務局、日本銀行情報サービス局内)が提供している、金融に関する情報提供のホームページ「知るぽると」では、「しっかりシミュレーション」というページが設けられています。
こちらでは、積立合計額シミュレーションを使って無料で試算することができます。毎月の積立額、積立期間、金利などがわかれば簡単に結果を知ることができます。金融商品の比較をする際に、ぜひご活用ください。
日本学生支援機構(旧・日本育英会)の調査によると、大学生の3人に1人は奨学金を利用しているということです。
一番有名な奨学金としては、この日本学生支援機構がありますが、ほかにも大学独自の奨学金を設けているところもあります。成績によっては、返済義務のない奨学金を設けている場合もありますので、進学予定の学校の奨学金制度について事前に調べてみることをお勧めします。
資金計画の一つとして奨学金を取り入れるのはとてもよいと思いますが、一つだけ注意点があります。奨学金は、入学後4月~6月の間に振り込まれます。すなわち、入学前に必要な教育資金に関しては世帯で準備する必要があります。
奨学金の利用を検討する場合でも、入学前の一時金相当分は預貯金などで準備しておきましょう。
教育ローンは、国の機関が実施しているものと、民間の金融機関のものの2つがあります。制度や借入目的によって適切に検討しましょう。
日本政策金融公庫が実施している国の教育ローンがあります。世帯年収などいくつかの条件によって、金利や返済期間が優遇される場合がありますので、教育ローンを検討する場合は、まず日本政策金融公庫の教育ローンを検討しましょう。
民間の教育ローンは、主に銀行が実施しています。民間が運営しているということもあり、無金利という商品は存在しません。金利が発生する以上は多少の家計の負担になりますので、民間の教育ローンは優先順位として最後のほうが賢明でしょう。
民間の教育ローンも、使い方次第ではそこまで負担にならない場合もあります。一つ上の項目でも紹介しましたが、奨学金の審査が通り、入学後に奨学金を受け取ることができる約束があるとします。
万が一、入学前に納入しなければいけないお金が足りない場合、あくまで一時的な「つなぎ」として教育ローンを利用することは、必要な借り入れであるといえるでしょう。
貯金を成功させるポイントは「目的意識をしっかり持つ」ことです。なかでも教育費に関しては、お子さんの成長に合わせて具体的に「何年後までに、いくら貯める」と意識付けしやすく、成功する確率が高いと言えます。
現金による預貯金と並行して、学資保険や資産運用なども上手に取り入れ、目安となる平均額を参考に、お子さんのための教育費の備えを万全にしておきましょう。万が一足りない場合は無償化制度などの支援や、奨学金制度なども上手に取り入れながら進めていくことをお勧めします。
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