- 児童扶養手当とはどのような手当てなのか?
- 児童扶養手当の申請から支給されるまでの流れ。
- 児童扶養手当の支給金額の仕組み(全部支給と一部支給の支給の違い、具体的な金額)。
公開日:2019年11月8日
子供がいる世帯について支給される給付と聞くと「児童手当」を思い浮かべる人が多いかと思います。児童手当は、15歳の誕生日を迎えた日以降の最初の3月31日までにある子の人数に応じて支給される給付の事です。
児童手当以外にも、子供がいる世帯について支給されることがある給付として「児童扶養手当」というものがありますが、児童手当に比べると、受給している人が少ないため、知っている人は少ないのではないかと思われます。
今回は「児童扶養手当」について、児童手当との違いを交えながら、わかりやすく解説していきます。
児童手当に関しては以下の記事で詳しく説明しています。
児童扶養手当は、父母が離婚した児童、父または母が死亡した児童、父または母が一定の障害状態にある児童などのように、何らかの理由によって、子の養育が困難な状態にある世帯の養育者に対して支給されます。
そのため、養育する子がいることが支給要件とされている児童手当に比べると、受給している人の数は少ないということになります。
児童扶養手当の受給対象者は、父母が離婚をした児童、父母のいずれかが死亡した児童、父母のいずれかが一定以上の障害状態になっている児童などが対象となります。
つまり、ひとり親世帯の児童や両親のいずれかが障害状態になってしまった世帯などが支給される対象とされている点が、児童手当とは大きく異なる点です。
【児童手当】:15歳に達した日後の最初の3月31日になるまでの子がいること
【児童扶養手当】:ひとり親世帯、両親のいずれかが一定の障害状態である世帯など
児童扶養手当は、支給要件に該当した時から申請をすることはできますが、注意点としては、他の手当等についても同様の事が言えますが、「さかのぼっての支給はない」ため、要件に該当したらできる限り早く、申請手続きを行うことがです。
※児童手当の場合は、申請した月以降最初の支給月に、その支給月の前月までの4ヶ月間の児童手当がまとめて支給されます。
つまり、該当することとなってから2,3カ月経過してから申請したとしても、支給要件に該当することになった時から支給開始となったときまでの期間については、さかのぼってその期間分をまとめて支給するということはないため、申請が遅れた分だけ、もらえたはずのお金がもらえなくなるということが出てしまうので注意が必要です。
なお、申請から受給までの流れについては、児童手当の場合とほぼ同じような流れとなりますが、用意しなければならない書類は世帯に関する証明が必要になるところがあるため、児童扶養手当のほうが多くなります。
児童扶養手当の支給を受けるための手続きは、住んでいる市町村の窓口(民生こども課など)に直接行います。
申請の際に必要になる書類は、受給要件を満たす内容によって異なります。また、申請の方法についても、住んでいる自治体によって若干異なる部分がありますので、事前に確認をすることが望ましいです。
そのほか個別の事情に応じて、各種申立書、除籍謄本、ご家族の個人番号、独身証明書(婚姻要件具備証明書)などが必要となる場合があります。
支給開始時期は、最短で「申請を行った月の翌月」からとされていますが、申請を行った時期や申請書類の精査に時間がかかることがあるため、目安としては「申請をした日の属する月の翌月又は翌々月」となると考えられます。
児童扶養手当は、児童手当の場合と同様に「所得制限」があり、支給額についても所得状況によっては、「全部支給」と「一部支給」の2種類に分かれています。
そのため、児童扶養手当を受給するには、支給を受けるための要件を満たす。そのうえで、所得制限をクリアし、さらに、所得によって支給される額が全額または一部に変わってしまいます。
児童扶養手当の所得制限は、実際の収入金額を基準に判定するものではなく、所得税の計算上、課税対象とされる金額(給料等の場合は「収入金額から給与所得控除額を控除した金額」の事です。)を示していますので、所得制限や全額支給・一部支給の所得制限の判定を行う際には注意が必要です。
つまり、給料をもらって生活している人であれば、源泉徴収票の中に記載されている「給与所得控除後の給与所得の金額」が所得制限の判定に使われる金額となるということです。
(1)前年の所得の金額の計算
前年の所得の金額は、基本的に1年前の所得の金額をもって前年の所得の金額とするのですが、1月から6月までに申請を行う場合は、前々年の所得の金額をもって判定を行います。
(2)養育費の金額の計算
養育費は、前年中に実際に子供の養育のために支払われた金額(1月から6月までについては、前々年に支払を受けた分)をもって計算した金額の8割相当額をもって、養育費として計算されます。
(3)各種控除金額の計算
扶養控除や障害者控除などの一定の要件に該当する人がいる場合については、その内容に応じて控除金額が設定されています。
(1)から(2)と(3)の金額の合計額を控除した金額が、所得制限の判定の際に用いられる所得金額となります。なお、この金額については、全部支給と一部支給の判定にも用いられます。
児童扶養手当は、所得金額によっては全額が支給される場合(全額支給)と一部しか支給されない場合(一部支給)とがあります。
これは、児童手当とは大きく異なる点です。(児童手当の場合は、子供の人数、年齢などによって、支給される金額に変化がありますが、所得によって支給される額の調整は行われません。)
全部支給とは、児童扶養手当を毎月満額(平成30年度は月額42,500円(子供が1人の場合)です)支給されることで、平成30年8月からは所得限度の金額が30万円引き上げられ、全部支給の対象となる範囲が拡大されました。
※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定
一部支給とは、所得制限によって、全額支給とはならなかったが、一部の金額については児童扶養手当を支給するという制度です。一部支給の場合は、所得金額に応じて10円単位で引き下げられます。
※「具体的な所得制限の判定の流れ」で行った計算結果で判定
「住んでいる地域 児童扶養手当」で検索すると市のHPにて詳しく説明されておりますので合わせてご確認ください。
児童扶養手当は、ひとり親世帯や、両親が離婚してしまった世帯など、一定の要件を満たした場合に支給される給付です。そのため、児童手当に比べるとあまり知られていないところがありますが、万一の事態に陥った時には、児童扶養手当の内容を知っていることで備えをすることは可能です。
また、改正によって、児童扶養手当の支給回数が年3回から年6回に増えるため、児童扶養手当の制度を利用することができる人については、ぜひとも、新しい情報を確認しておくことが大切になります。
他の制度についても同様の事が言えますが、情報は常に最新の状態にすることで、さまざまな備えをしておくことが望まれます。