- すべて公立に進学した場合、平均1,043万円かかる。
- すべて私立に進学し大学が文系の場合、平均2,547万円かかる。
- すべて私立に進学し大学が理系の場合、平均2,647万円かかる。
- 大学の進学先の学部や、1人暮らしなどでさらに支出は増える。
- 早いうちから家族会議を行い、教育費をどう捻出するか決めておく。
公開日:2020年7月16日
お子さんの教育費、幼稚園から大学卒業までにいくらくらいかかるか、ご存知ですか?1,000万円や2,000万円などという数字を耳にすることも多いと思いますが、前提条件によって大きな差があります。本記事では、私立や公立など、条件別の教育費の平均額をまとめていきます。
学費も含めた子育て費用全般については、こちらの記事をご参考になさってください。
目次
文部科学省では2年に一度、子どもの学習費に関する調査を行い、発表しています。現段階での最新データは令和元年(2019年)発表のものです。
この調査は、子ども1人当たりにかかる1年間の学習費(経費)として、幼稚園、小学校、中学校、高校のそれぞれ公立と私立を対象とし、日本の子どもにかかる費用がどれくらいなのか、一般的な平均として目安になる数字です。
以下、その最新の調査結果より、費用の目安となるデータをご紹介します。
保育園は厚生労働省の管轄であるため、今回の調査では対象となっていません。また、認定こども園は内閣府の管轄で、同じく今回の調査対象ではありません。
幼稚園にかかる費用は、公立と私立では3年間で約93万円の差があります。
最近の動向として、公立幼稚園の費用は前回の平均とほぼ同等で、私立幼稚園に関しては前回よりも増加していて、近年増え続けているということです。
幼稚園に入園後にかかる費用の内訳として、一番割合の大きいものは「授業料」です。公立では、すべての費用のうちほぼ半分の割合を占めており、私立ではさらに上回り6割強を占めています。
そのほか「教科外活動費」として、習い事などに関する出費も増えているのが特徴です。
公立幼稚園は、全国的に設置数が減りつつあります。近年多いのは、幼稚園のみ私立に通園し、小学校以降から公立で試算するパターンです。教育費にかかるシミュレーションをする場合は、お住まいの地域の公立幼稚園の有無をリサーチした上で参考になさってください。
幼稚園の費用に関しては、こちらの記事もご参照ください。
小学校にかかる費用は、公立と私立では6年間で約762万円の差があります。
小学校にかかる費用は、幼稚園と同じく、公立に関してはこれまでの調査結果とほぼ同等であるというデータです。一方、私立に関しては前回調査よりも増加しており、近年増加傾向にあるということです。
公立と私立の小学校の1年間の費用は約127万円の差がありますが、大きく差をつけている要因は「授業料」です。公立の場合は授業料がかからないのに対して、私立は授業料がかかります。私立小学校の教育費のうち、5割強が授業料です。
このほか、公立・私立ともに、小学生になると、塾や習い事にかかる支出が大きくなってきます。
中学校にかかる費用は、公立と私立では3年間で約276万円の差があります。
公立と私立の教育費の大きな差は、小学校同様に「授業料の有無」です。公立では一切授業料がかからないところ、私立ではすべて負担することになり、私立中学校にかかる教育費のうち約4割を占めています。
次に多いのは「補助学習費」として、塾や習い事にかかる費用です。これは、公立・私立ともに全体の教育費の2〜3割程度を占めていますが、公立のほうが私立よりも、若干出費が上回っているという結果です。
高校の前提条件としては、いずれも全日制であるということです。夜間や通信制は含みません。
高校にかかる費用は、公立と私立では3年間で約153万円の差があります。
公立高校と私立高校の教育費は、約2倍の差があります。内訳としては、大きな違いがあり、公立高校の支出のうち「授業料」と「学校納入費」の合計が全体の3割程度であるのに対し、私立高校ではこれらの合計だけで全体の6割を占めています。
さらに、小学校や中学校よりも、塾や習い事に対する出費が多くなっています。例えば、小学校から同じ塾に通っているとしても、高校生になると月謝が高くなったり、受講する科目が増えたりすることで、出費が増えていると考えられます。
私立高校に関する内容は、こちらの記事に詳しくまとめられています。どうぞ参考になさってください。
令和2年(2020年)4月より、私立高校授業料の実質無料化が始まっています。教育費の心配をすることなく、どのような状況であっても子どもの学ぶ意欲を損なわないよう、教育費の負担軽減という形で国としてもサポートをしていくということです。
大学にかかる費用の平均(目安)となる数値は、日本政策金融公庫「令和元年度・教育費負担の実態調査結果」を参考に、以下まとめていきます。いずれも4年間在学した場合の平均費用です。
国公立大学へ進学した場合、以下の教育費がかかります。
私立文系大学へ進学した場合、以下の教育費がかかります。
私立理系大学へ進学した場合、以下の教育費がかかります。
学費の高い学部とは、専門スキルを身につけるものや、芸術系の学部が代表です。医学部、歯学部、薬学部などは、一般的に「学費のかかる学部」として有名ですが、ほかには音楽学部や芸術学部なども学費が高額であることで知られています。
医学部、歯学部、薬学部などの医学系は、4年制ではなく6年制で、通常よりも2年多く在籍することになるため、その分費用がかさむとも言えます。
日本政策金融公庫の調査によると、自宅外通学の学生は、大学生のいる世帯のうち27%ほどにのぼるということです。さらに、都心部よりも地方のほうが自宅外通学の割合が高く、大学の進学費用以外にも、住居費や生活費として大きな出費がともないます。
自宅外通学(ひとりぐらし)で親元を離れて通学する場合、仕送りの平均額は年間約102万円であるという調査結果があります(日本政策金融公庫より)。月額にすると毎月約8.5万円となり、学費以外でさらにこの金額を捻出するとなると、そう簡単な額ではありません。
さらに、同調査によると、自宅外通学をするにあたり入居する物件の諸費用として、平均約39万円必要であるという結果もあります。
自宅外通学にかかる費用は、入学する大学が決まらない限り、事前にはなかなか対策の打ちようがない必要経費です。進学する大学が都心部であるか、地方であるかによっても入居時の諸費用には差があります。
その大学の学生が住んでいる物件の一般的な家賃などもリサーチし、安心して暮らすことができる物件を選びましょう。
幼稚園から大学までの、教育費の平均の総額を算出してみます。ここまでご紹介してきたとおり、私立は公立よりも費用がかさみます。したがって、オール公立の場合の総額が一番安く、オール私立の総額が一番高くなります。
教育費の総額の目安として、最低でもオール公立くらいの費用がかかるとし、最高でもオール私立の費用までという風に、ひとつの目安にしていただければと思います。
幼稚園から大学まで、すべて公立とした場合、以下のようになります。
幼稚園から大学まで、すべて私立とした場合、以下のようになります。私立大学の中でも、文系と理系で学費が違いますので、オール私立の中でも、2つに分けてご紹介します。
一番教育費が安くなるオール公立で進学しても、最低でも約1,043万円教育費がかかります。さらに、国公立大学の中でも、特に学費が高い学部(医学部など)に進学した場合は、いくら公立とはいえかなりの教育費がかかることが予想されます。
また、成長にともない、幼少期から続けている習い事などの月謝は値上がりしていきます。月謝から年間出費を算出し、あらかじめ備えておくと安心です。
ここまで、幼稚園から大学卒業までにかかる費用総額(平均値)をご紹介しましたが、あまりに額が大きすぎてなかなかイメージがつかないかもしれません。もう少しわかりやすく、ステージごとに月額単位でまとめますので、ぜひ参考になさってください。
大学の場合は、入学費用以外で毎年かかる在学費用のみで計算します。
ここまで紹介した教育費の平均を基に、あらかじめ教育費としての資金対策をしておくと安心です。具体的には、毎月定額貯金をするなど、家庭全体の預貯金とは分けて、子ども専用の貯蓄をしておくことなどが挙げられます。
ほかにも、幼児から小学校低学年くらいまでであれば、子どもを対象としている貯蓄性の高い生命保険などで備えることもお勧めします。
教育資金対策として、子ども保険(学資保険)なども活用するとよいでしょう。
子ども向けの保険は、一般的に保険商品の中でも貯蓄性の高い商品がほとんどです。また、契約者にに万が一のことがあった場合は、その後の保険料の払い込みは免除されますが、保険契約自体は契約期間満了まで継続することができます。
保険契約自体が有効ということは、期間中に設定している「成長祝い金」のような節目のお祝い金や、期間満了時に受け取ることのできる満期金も、当初の契約どおりに受け取ることができます。
学資保険に関しては、こちらもご参照ください。
日本政策金融公庫の調査によると、教育費の捻出方法として一番多いのが「節約」でした。ご家族が、学費以外のお金に関して節制することで、学費に回しているということです。主に、食費や旅行・レジャー費を削っているという方が多い結果でした。
次に多いのが、生命保険や預貯金を切り崩しているという結果でした。
3番目に多いのは「学生本人がアルバイトをしている」という結果でした。近年、アルバイトをしている大学生は多く、その中で友人関係を築いたり、将来の就職に繋がるヒントを得たりと、学費のためだけではない貴重な体験をすることもできます。
どのように学費を捻出するか、最適な形を見つけるために、ご家族で話し合ってみることをお勧めします。
本記事で紹介した、お子さん1人当たりの幼稚園から大学までの教育費の平均額を参考にしていただき、考えられる範囲で早めに対策を練ることをお勧めします。
学資保険や預貯金など、手法はさまざまです。状況によっては、奨学金などのサポートを受けることもできますので、お子さんの成長を楽しみに、将来に備えましょう。
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