- 受給期間は通常1年と決まっている。
- その1年の間に、申請から手当受給までを完了する流れ。
- やむをえない理由から受給期間延長の申請は可能。
- 主な理由は「妊娠出産など」「本人や家族の病気・介護」。
- 特例として定年退職者も申請可能。
- 一度認められた延長の解除も可能。
公開日:2020年1月3日
失業保険を受給する際、給付制限については自己都合と会社都合で条件が変わることはご存知の方が多いと思います。では、受給期間が延長されることはご存知でしょうか。
失業保険の受給期間は「退職した翌日から1年間」と決まっています。その間のうちの所定の日数について、ハローワークに申請して失業手当の受給開始となります。
しかしその受給期間内になんらかの事情があり、決められた受給期間である1年を過ぎる前に延長を申請できる場合があります。今回は「失業保険の延長」について詳しく解説していきます。
失業保険そのものの手続き方法については、こちらの記事をご参照ください。
目次
退職した理由によらず、失業保険の受給期間は一般的に1年間と決まっています。
この受給期間の1年間とはどういうことかというと、「この1年の間に、失業手当の申請から失業認定、実際に手当を受け取り始めて、受取終わるまでを1年以内に済ませてください」ということです。
自己都合の場合は待期期間の後、更に給付制限がありますので、受給期間1年以内にすべてを終わらせるためには、いち早く失業手当の受給申請をしなければなりません。
申請時期がずれ込んでしまい、受給期間を超えて手当を受給することになってしまっても、受給期間を超えて失業手当を受給することは出来ません。つまり残りの分は貰えないという事になります。
失業手当の給付制限に関しては、こちらもご覧ください。
この最長1年の受給期間のうち、以下の条件に該当して「働く意思があってもどうしても働けない場合が30日以上継続した場合」には、期間延長を申し出ることができます。
雇用保険加入で在職中に、妊娠出産から育児が理由で休業することになった場合「育児休業給付金」を受給できる場合があります。
育児休業給付金に関してはこちらの記事にまとめていますので、是非ご一読ください。
延長可能な期間は、どのような理由で延長を希望しているかによって違います。最初にも書きましたが、そもそも失業保険の受給期間のベースとなる部分は「退職日(離職日)の翌日から1年間」と決まっています。
この「1年」という誰にも平等に与えられる期間に上乗せして、さらに理由次第で最長1年または3年の延長が可能となります。
ベースとなる受給期間1年にどれだけ期間延長できるかは、以下の2パターンがあります。どちらに該当するかによって期間は変わります。また「最長」1年または3年である点のポイントです。
これらに事由に該当したら必ず1年または3年が上乗せされるわけではありませんのでご注意ください。
失業保険のそもそもの概念として「働く意思と能力が有るにもかかわらず働いていない状態」を指します。簡単に言うと「健康で、いつでも働くことのできる環境であるのに、仕事が見つからない状態」ということです。
上記の「期間延長できる条件」を見ていただくと分かる通り、期間延長の申請条件となる場合は、少なくとも「すぐ働ける状態ではない」ことがわかります。
この「やむを得ずすぐ働くことが出来ない」場合でも、失業保険の受給期間だけが過ぎていくのではなく、上限付きの猶予期間を設けることで、きちんと「働くことのできる状態」にしてから求職活動に専念することが出来ます。
無理をして仕事を探すことなく時期を待つことが出来るのは、受給期間延長の最大のメリットであると言えます。
まず、どのタイミングで期間延長を申し出るかについてですが、これは上にまとめた「期間延長できる条件」に該当して30日継続した翌日から申請可能です。また、その申請は受給延長期間満了日までに行わなければいけません。
ただし定年退職後にしばらく休暇を取る為に期間延長を申し出る場合は、退職後2カ月以内に申請しなければなりませんのでご注意ください。定年退職以外の理由の場合は「何カ月以内に申請せよ」という期間は現在設けられていません。
受給期間延長を申し出る場合も、当然ハローワークでの手続きが必要です。この場合、マザーズハローワークやヤングハローワーク等の簡易的なハローワーク関連施設ではなく、お住まいの地域の要となる大きなハローワークにて手続きをすることになります。
ヤングハローワークとは、主に30歳以下の若者を対象にしたハローワークの関連施設です。まだ正社員で働いたことの無い若者の正規雇用に向けたセミナーや、希望者との個別面談などに特化しています。
似たような関連施設で、マザーズサロン(マザーズハローワーク)もあります。一時預かり施設の併設など、子どもを持つ母親が仕事を探しやすいように工夫されています。
また、通常のハローワークは開所時間が平日の日中のみであるのに対して、このようなターゲットを絞った関連施設の場合は、土日でも開いていることが多く、平日も夜間帯まで開所している場合がほとんどです。より利用しやすい施設として親しまれています。
受給期間の延長を申し出る場合「受給期間延長申請書」という書類に記入してハローワークに提出する必要があります。これは、直接ハローワークに取りに行くか、郵送で取り寄せるしかありません。
今のところハローワークのHPなどでのデータダウンロードは出来ないようです。また、受給期間を延長する場合は、定年退職を除いて、ご本人またはご家族の体調不良などが理由です。
万が一ご本人が「受給期間延長申請書」を取りに行けない場合は、代理人の方が取りに行くことも可能です。
「受給期間延長申請書」とともに、提出しなくてはいけない書類は以下の通りです。これらの書類を揃えて提出し、申請に対する結果の記された「受給期間延長通知書」が郵送で手元に届くのを待ちます。
定年退職が理由の期間延長希望の方は、延長理由の確認書類は不要です。
期間延長を申し出た理由となる状態が解消された場合(例えば病気の治癒など)で、当初の延長期間を解除したい場合もハローワークに申請し手続きをする必要があります。
延長の申請、延長解除の申請、いずれにおいても「雇用保険加入者の意思に基づいて」自主的に行うものばかりです。
ハローワークの方から申請時期などを通知してくるものではありませんので、必ず最初の申請の際に申請時期などについてはチェックしておきましょう。
せっかく雇用保険に加入していて受給する権利が発生していても、手続きに漏れがあったり時期を逃してしまい不利益を被ることが無いように気を付けましょう。
いかがでしたか。様々な「どうしても働くことが出来ないやむを得ない理由」に該当すれば、受給期間の延長を申請することが出来ます。延長できる期間は最長で1年、または3年ですが、個別の状況によって実際どのくらいの延長が認められるかはまちまちです。
また、一度延長の申請をして認められた場合でも、病気の治癒や親族の介護の状態が緩和されたなどの理由から、延長解除の申請を行うこともできます。
今回の記事にまとめたように、一通りの要件は決まっていますが個々の事情はそれぞれです。個別の案件に関して判断に悩む場合は、ハローワークにてお早めにご相談ください。