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過払い金請求のデメリットをFPが解説!弁護士に相談する前に知っておきたいこと

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森本 由紀

森本 由紀

行政書士、AFP(日本FP協会認定)、離婚カウンセラー

行政書士ゆらこ事務所・離婚カウンセリングYurakoOffice代表。法律事務所勤務を経て、2012年に行政書士として独立。メイン業務は協議離婚のサポート。養育費、財産分与など離婚の際のお金の問題や離婚後の生活設計に関するアドバイスなど、離婚する人の悩みを解決するためトータルなサポートを行っています。法人設立や相続に関する業務にも力を入れています。

この記事のポイント

  • 完済後の過払い金請求に大きなデメリットはない。
  • 過払い金請求を弁護士に依頼すれば返還額が増える可能性がある。
  • 完済後の過払い金請求は費用の持ち出し不要のこともある。

「過払い金請求をすればお金が戻ってくる!」と聞くと、「それならば手続きしたい!」と思う人も少なくないでしょう。過払い金請求をするなら、弁護士に依頼するのが一般的です。

過払い金が戻ってくるのは嬉しいものですが、過払い金請求してもデメリットはないのかが気になると思います。本記事では、過払い金請求を弁護士に相談する前に確認しておきたいデメリットについてまとめていますので、参考にしてください。

過払い金についてご不明な方はまず以下記事をご覧ください。

 

 

過払い金請求のメリットはお金が戻ってくること!

過払い金請求のメリットはお金が戻ってくること!

消費者金融などで借金したら、業者に支払う手数料として利息を払わなければなりません。ただし、利息には法律上の上限があり、上限を超えて払った場合には超過分が戻ってきます。

 

過払い金は消費者金融などに返還を請求できる

過去に消費者金融などを利用したことがある人なら、過払い金が発生していることがあります。過払い金とは、借金返済時に払いすぎた利息のことです。

借金の利息には利息制限法で上限が決まっていますから、これを超えて支払った分は返還請求できます。過払い金を返してもらいたい場合には、お金を借りた消費者金融などに対し、過払い金返還請求(過払い金請求)をする必要があります

 

利息制限法で定められている金利の上限

利息制限法で定められている上限金利(制限利率)は、借金の元本の額によって異なり、次のようになります。

  • 元本が10万円未満の場合:年20%
  • 元本が10万円以上100万円未満の場合:年18%
  • 元本が100万円以上の場合:年15%

 

既に完済している借金でも過払い金請求が可能

貸金業者との取引開始が2007年頃よりも前なら、利息制限法の上限を超える金利(グレーゾーン金利)が設定されていて、過払い金が発生していることがあります。既に借金を完済している場合でも、時効になっていなければ過払い金請求が可能です。

 

グレーゾーン金利が廃止されたのはいつ?

貸金業者が徴収する利息については、以前は利息制限法の上限を超えても出資法の上限までは刑事罰がありませんでした。さらに、「みなし弁済」という方法を使うことで、利息制限法を超えて払った利息も有効として扱われていたのです。

2006年に利息制限法を超過した分の利息は無効という最高裁判決が出され、グレーゾーン金利を禁止する形に貸金業法が改正されることになりました。改正貸金業法の施行は2010年ですが、大部分の貸金業者は2007年頃にグレーゾーン金利を廃止していいます。

 

過払い金が発生している借金の種類

過払い金が発生している借金は、消費者金融からの借入に限りません。クレジットカードでキャッシングした場合でも、過払い金が発生していることがあります

クレジットカードをショッピングに利用した場合には、借入ではないので、過払い金は発生しません。また、銀行カードローンでは以前からグレーゾーン金利は設定されていなかったので、過払い金も発生していないことになります。

 

過払い金が発生しているかどうかはどのようにしたらわかる?

借入したときの金利が利息制限法の制限利率を超えている場合、そのまま借金を完済していれば、過払い金が発生している可能性が高いと言えます。

貸金業者に取引履歴の開示請求をすれば、契約日、約定利率、借入日、借入額、返済日、返済額がわかるので、過払い金があるかどうかを調べられます

 

 

過払い金の返金交渉は弁護士に依頼しよう!

過払い金の返金交渉は弁護士に依頼しよう!

過払い金請求は、自分で手続きすることもできますが、弁護士等に依頼するのが一般的です。弁護士等に過払い金返金交渉をしてもらった方が、過払い金が多くなる可能性があります。

 

過払い金請求しても全額返金されるわけではない

過払い金請求をするときには、貸金業者との取引履歴を取り寄せて過払い金額を確定させた上で、過払い金の全額を返還請求します。しかし、請求後、すぐに全額を返金してもらえることはほとんどありません

貸金業者側も、請求があった過払い金のすべてについて返還に応じていれば、会社の経営が成り立たなくなってしまうからです。どれくらいの過払い金が戻ってくるかという過払い金の返還率は、貸金業者によって違います。また、交渉の仕方によっても、過払い金の返還率は変わってきます

 

貸金業者との交渉はプロに任せるのが安心

貸金業者を相手に自分で過払い金請求をしても、足元を見られてしまいますから、全額を返してもらうのは困難でしょう。一方、弁護士に代理人となってもらい貸金業者と交渉してもらえば、返還率は上がることが多くなります

弁護士は交渉事のプロですから、法的な根拠にもとづき、貸金業者と交渉します。貸金業者側も、弁護士が出てくると、あまり強くは出られません。裁判を起こされてしまうと、余計な費用負担が発生することも懸念しますから、交渉に応じる可能性が高くなるのです。

 

過払い金請求を依頼する弁護士の選び方

弁護士には、それぞれ得意分野があります。過払い金請求を成功させたいなら、あらかじめ事務所の評判を確認し、債務整理や過払い金請求など借金問題の実績がたくさんある弁護士を選ぶのがおすすめです

貸金業者と過払い金の返還について交渉する場合、その業者がどれくらい過払い金を返してくれるかを知っていれば、有利に交渉を進められます。過払い金請求をたくさん扱っている弁護士なら、各貸金業者の過払い金返還率を把握していますから、少ない金額で妥協することなく強気で交渉してくれます。


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過払い金請求のデメリットも知っておこう!

過払い金請求のデメリットも知っておこう!

過払い金請求でお金が戻ってくると、臨時収入のようで嬉しいはずです。ただし、過払い金請求にも以下のデメリットはありますから、事前にデメリットを把握した上で手続きしましょう。

  1. 返済中ならブラックリストに載る
  2. 弁護士費用がかかる
  3. 同じ会社のカードが作れなくなる
  4. 過去に借金していたのがバレることがある
  5. 裁判になってしまうこともある
  6. お金が戻ってくるまでに時間がかかる

 

過払い金請求のデメリット1:返済中ならブラックリストに載る

過払い金があるけれど、借金をまだ返済中ということもあると思います。借金返済中に過払い金請求をすると、信用情報にキズがつき、「ブラックリストに載った」と呼ばれる状態になります。ブラックリストに載れば、その後5年程度は新規でカードを作ったりローンを組んだりすることができません。

ただし、残りの借金額よりも過払い金額の方が大きく、過払い金で借金を完済できる場合には、手続き完了後に信用情報は回復します

借金を完済後に過払い金請求する場合には、ブラックリストに載る心配はありません

 

ブラックリストとは

ブラックリストという名簿があるわけではなく、信用情報機関に事故情報が登録されることを「ブラックリストに載った」と言います

信用情報機関とは、個人の信用情報を管理しているところです。信用情報機関に加盟している貸金業者や金融機関は、保有している利用者のデータを信用情報機関に登録し、情報共有しています。現在日本には3つの信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)がありますが、貸金業者・金融機関は必ずどこかの信用情報機関に加盟しています。

 

過払い金請求のデメリット2:弁護士費用がかかる

過払い金請求をするときには、弁護士に依頼するのが通常です。弁護士に手続きを頼んだ場合には、弁護士費用がかかります。貸金業者から戻ってきた過払い金が全額自分のものになるわけではありません。

ただし、自分で直接貸金業者と交渉するよりも、弁護士に頼んで交渉してもらった方が、返還額が増える可能性があります

 

過払い金請求の弁護士費用はどれくらい?

弁護士に事件を依頼するときにかかる費用は、着手金と報酬金の大きく2つに分かれます。着手金は事件依頼時に必ず払わなければならないお金です。一方、報酬金は事件終了時に払う費用で、事件の成功の度合いによって金額が変わります。

弁護士が債務整理や過払い金請求を受任する場合、報酬金については日本弁護士連合会(日弁連)で上限が設けられています。過払い金請求の成功報酬(過払い金報酬)の上限額は、次のとおりです。

  • 訴訟によらない場合 回収額の20%
  • 訴訟による場合 回収額の25%

たとえば、弁護士に依頼して貸金業者と交渉してもらい過払い金50万円を回収した場合、弁護士に支払う過払い金報酬は最大で10万円となり、手元には少なくとも40万円(※実費等を差し引かれる場合あり)が戻ってきます。

着手金については上限規制がないので事務所によって異なりますが、過払い金請求の場合には着手金無料のケースが多くなっています

 

過払い金請求は費用の持ち出しなしでもできることがある

過払い金請求は着手金無料のケースが多いので、弁護士に依頼するときにお金を用意する必要がありません。また、戻ってきた過払い金は一旦弁護士の口座に振り込まれ、そこから報酬金を差し引きした額を返金してもらえるしくみになっています。

つまり、過払い金請求では自分でお金を持ち出す必要がなく、返金を受けるだけということもあります。弁護士費用を準備しなくていいのは大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

過払い金請求のデメリット3:同じ会社のカードが作れなくなる

借金完済後に過払い金請求する場合には、ブラックリストに載ることはないので、その後の借入には影響がありません。ただし、過払い金請求した会社のカードは、作れないことがあります。貸金業者にとって、過払い金請求するような顧客はあまり嬉しくない顧客ですから、取引を断られる可能性があるのです。

過払い金請求をしても、貸金業者から直接嫌がらせを受けるようなことはありません。しかし、その会社のカードを作れないという点で不便が生じることがあります。

 

過払い金請求のデメリット4:過去に借金していたのがバレることがある

家族に内緒で借金していた場合には、過払い金請求することによって借金の事実がバレてしまうことがあります。

自分で過払い金請求をすれば、貸金業者と直接連絡をとらなければなりません。自宅に電話がかかってきたり、文書が届いたりすれば、家族に気付かれることがあります。

過払い金請求を弁護士に依頼した場合でも、弁護士事務所からの電話や郵便物で家族にバレる可能性はあります。家族に内緒にしたい場合には、連絡は携帯電話にしてもらい、郵便物を自宅に送らないように弁護士に頼んでおきましょう

 

過払い金請求のデメリット5:裁判になってしまうこともある

過払い金請求では、裁判を起こさなければ納得がいく返還額が得られないことがあります。たとえば、取引している間に借金を一旦完済したことがあるようなケースでは、貸金業者側は完済前の過払い金の時効消滅を主張してくるでしょう。このような場合には、返金額を増やすための交渉が難しく、裁判をしなければ決着がつかないことがあります。

交渉がスムーズに進めば問題ありませんが、裁判をしなければならなくなると、余計なコストや時間がかかってしまいます

過払い金の時効については、以下の記事で詳しく説明しています。

 

過払い金請求のデメリット6:お金が戻ってくるまでに時間がかかる

過払い金請求をしても、すぐにお金が戻ってくるわけではありません。手間をかけて手続きしても、お金が戻ってくるまでに何か月もかかってしまいます。

過払い金請求をするときには、取引履歴を確認して過払い金額を調べ、過払い金請求書を作って貸金業者に送る必要があります。過払い金請求書を送っても全額をすぐに返金してもらえるわけではないので、妥協せず交渉しなければなりません。過払い金請求後、過払い金が返金されるまでは、4~8か月程度はかかります。もし裁判になると、過払い金の返金まで1年くらいかかることもあります

 

過払い金の振込までの時間をできるだけ短縮するには

過払い金請求の手続きをするときには、事前に取引履歴を入手しておかなければなりません。取引履歴の開示請求は自分でもできますから、迷っているなら取引履歴だけでも先に取り寄せておきましょう。

過払い金を早く返してもらいたいなら、裁判ではなく交渉で和解するのがいちばんです。過払い金の交渉で実績のある弁護士に依頼し、手続きしてもらいましょう。

 

まとめ

返済中の過払い金請求ではブラックリストに載るデメリットがありますが、完済後の過払い金請求では大きなデメリットはありません。弁護士に依頼すれば弁護士費用がかかってしまいますが、費用の持ち出しも不要ですから、比較的手続きしやすいはずです。

過払い金請求には時効もありますから、手続きを検討しているなら早めに弁護士に相談するのがおすすめです。

 

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債務整理の手続きは複雑で難しいため、債務整理のプロへ相談することが賢明です。まずは相談料無料で債務整理に強い弁護士事務所に相談してみるのがいいでしょう。

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