- クレジットカードの支払いを滞納すると、カード会社によって返済のための措置が段階的に取られる。
- 返済を延滞すると生活上の悪影響が色々と発生する。
- 支払いに遅れた場合に適切なアクションを取ることにより、不利益を減少させることができる。
- 工夫をすることにより、今後の滞納を防ぐことができる。
公開日:2020年2月28日
クレジットカードを使って大きな買い物をしてしまって、銀行口座の残高を越えてしまったかもと心配になっているのでしょうか?あるいは、すでにカード会社から何か通知が送られているのかもしれません。
滞納してしまったらどうしようと思う反面、別に後で払えばいいかなと軽い気持ちにもなりがちですよね。実は一日または一回くらい支払いが遅れてもすぐに大ごとにはなりません。でも、連続して通知を無視していると本当に大変なことになるので注意が必要です。
ということで、この記事ではカードの支払いに遅れると起こることやその対処について解説していきます。
それでは、もしも支払いをしないでいると具体的にはどのようなことになるのでしょうか?レンタルDVDの時のように、延滞分の追加料金を払うことになるのでしょうか?
ここでは、支払いが行われなかった場合にクレジットカード会社がどういう措置を取ってくるのかについて述べていきます。
措置の段階としては、おおよそ下記となります。
以下でそれぞれについて述べていきます。
通常一回払いの場合には、カードを使用した翌月末に支払いという流れになります。支払い額よりも銀行口座の金額が少ない場合、未支払い分は翌月に回されることになります。そこでカード会社から支払いを督促するハガキが送られてきます。
実は、私も一度だけこのハガキが送られてきたことがあります。大きな買い物をあまり使わないカードで決済して、それに紐づいていた銀行口座もあまり使用しておらず残高不足になってしまっていたためです。幸い私はすぐに通知に気づいて他の銀行口座から振込をして事なきを得ました。
私の場合はすぐに滞納状態を解消しましたが、そのまま支払いをしないでいると何度か通知が来て、そのうちに自宅や勤務先に電話連絡をされることになります。ただし、本人が出ない場合には要件が話されることはありませんので、この段階で個人の情報が漏れることはありません。
何度督促されても返済に応じなかった場合、信用に傷がついてしまうことになります。すなわち、信用情報機関への登録という事態に進展してしまうのです。
ここは何かというと、CIC、JICCといった個人の年収や勤務先といった個人情報を収集している機関のことで、各々のクレジットカード会社が加入しています。もしも支払いの遅延が何度か起こってしまった場合には、「支払い遅延」と登録されてしまいます。
さらに延滞状態が61日以上または3回以上続いてしまうと、次に「異動」と登録されてしまいます。こうなってしまうと、たとえ最終的に完済したとしても後々色んな影響が出てきます。どのような影響が出てくるのかについては後述いたします。
ここに至ってもまだ滞納を続けた場合、いよいよカード会社から「一括請求」の請求書が来ます。つまり、まだ支払いが行われていない金額について一括で全て返済するようにと要求されるわけですね。
これはいわばカード会社からの最後通告とでもいうものです。カード会社のレベルでの対応はこれで最後で、これ以上は法的手段に訴えられるということを意味しています。ここまで来ると恐ろしいですね。こうなる前に支払っておきたいものです。
ということで、一括請求にも応じないでいると最終的にはカード会社から訴えられることになります。つまり、今度はカード会社からではなく裁判所からの通知が届くということになります。
それでも支払わないと、強制執行されることになります。給料や個人資産から強制的に取り立てが行われます。まあここまでになるのは余程の場合でしょう。
ここまでカードの支払いを滞納し続けるとどうなるのかについて述べてきましたが、実際にはこの段階のいずれかの所で完済することになります。
ただし、一旦支払いを延滞してその後なんとか完済したとしても話はそこで終わらないのが本当に恐ろしい所です。一度返済に間に合わないと、その後の生活に悪影響が出る場合があるからです。
そこで、ここからは支払いに遅れてから完済する前後に起こり得る事態について説明いたします。
まず、滞納が発生するとそのカードは即座に使えなくなります。もちろん、即座に支払いを済ませれば再開することができますが、停止をしている期間は使用できません。これは考えれば当然のことですね。
そして、日数に応じて延滞金が発生します。その金額については、カード会社によって利率が異なっていますので一概には言えません。また、カード会社によっては数日間くらいでは発生しない場合もあります。
さらに、通知書などが送付された場合にはその手数料も上乗せされて請求される場合があります。滞納日数が増えれば増えるほど通知も多くなり手数料も増えていきますので注意が必要です。
こちらは、先ほど述べた信用情報機関に登録された場合に起こり得るケースとなります。
通常、延滞・滞納情報は最長5年間記録に残ります。この情報は、支払いが遅れた先のカード会社だけでなく全ての金融機関に公開されることになります。特に、「異動」が登録されていた場合にはより信用への傷が大きくなります。
この傷がある状態で他社の住宅ローンやマイカーローンの申し込みをした場合、審査に通らないということになります。最終的に支払いを終えていても記録は一定期間残りますので、ローンを組めないというリスクを抱えてしまうことになります。
支払い遅れが何度も続いて金融事故扱いになってしまうといわゆる「ブラックリスト」扱いとなり、最長で5年間はどのクレジットカードに申し込んでも審査落ちをする可能性が高くなります。これは先ほどのローンの場合と同様なのですが、カードの場合には続きがあります。
つまり、滞納してしまったカード会社独自の「社内ブラックリスト」に掲載されてしまう、ということになります。そして、こちらには5年間といった期間の縛りはありません。すなわち、同じ会社またはグループ会社のカードは半永久的に審査落ち、という悲惨な結果が待っているわけです。
その他、間接的にも様々な悪影響が出てきます。
まず「家族や勤務先に知られる」という点ですが、カード会社から督促の電話が来る際には決して要件について口外することはありません。
しかし、何度も電話が来ると家族や会社の人も不審に思うようになり「ひょっとしてカードの支払いをしていないんじゃないか」と悪い評価を下される可能性があります。
また、通知書を同居の家族に見られてしまったら滞納がバレてしまうというケースだってあります。家族内でもめる原因になりますね。
次に「引っ越し時に影響が出る」ですが、基本的に不動産会社にブラックリストの情報が洩れることはありませんので、入居審査に影響するということは通常はありません。
ただし、家賃支払いをクレジットカードで支払うという形態になっている場合には問題となります。ここでの審査でブラックリストに載っていることがわかると入居できないという場合があります。
さらに「海外旅行」の場合、直接の影響はありませんが海外では現金支払いではなくカード支払いが中心になっていることが多いです。そんな時、カードが使用停止になっていると海外では色々と不自由になります。
このように、支払いを滞納してしまうと直接的・間接的にも、また完済した後でも色々な悪影響が出てきてしまいます。こうした不利益は少しでも減らしておきたいところでしょう。
そこで、そのために取り得るアクションについて説明いたします。
まず、支払いが遅れそうなことが判明したら、早急にカード会社に連絡しましょう。そして、返済が苦しいのであれば事情を説明して分割払いにできないかどうか相談してみましょう。
無理な場合もありますが、事情によっては分割返済が認められる場合があります。滞納を避けるため、ダメ元でもいいからトライしてみましょう。
延滞を防ぐためには、結論としては返済を早く済ませる以外に方法はありません。ただし、できるだけダメージの少ない方法でお金を返す方法を検討するようにしましょう。
カードの返済に使う銀行口座以外に口座を持っているのなら、そこから現金を振り込んで返済に回すのが第一の方法となります。これなら、自分のお金ですから利子もつきません。
そんな口座などあるはずないと思いがちですが、ゆうちょ銀行や以前軽い気持ちで作ったネット銀行の口座などに思わぬ残高があったりするものです。よく探してみましょう。そうして少しでも返済に努めて、カード会社の心象を良くしておきましょう。
次に検討するのが、他のクレジットカードのキャッシングや銀行ローンを使って早期に返済する、ということです。これを行うと、利子はついてしまいますが消費者金融よりは低いですし、なんといっても延滞を避けることができるというメリットがあります。
ただし、いうまでもありませんがこの方法は単なる借金の移動であり、いずれこちらも返す必要があるということに注意が必要です。借金の返済に借金で充てるということを繰り返していると、いずれ利子がかさんで借金の山になってしまいます。それだけは絶対に避けるべきです。
色々と努力しても上手くいかず、万策尽きてしまった場合には専門家に相談しましょう。この場合の専門家は弁護士や司法書士になります。
ただ、そうした専門家に相談するのは少し気が引けますよね。何か難しいことを言われそうだし、何といっても料金のことが気になって二の足を踏んでしまいます。お金が足りない時ですので、なおさらそういう気持ちになりがちです。
ただし、そうした専門家でも無料相談などを実施している場合もあります。あまり身構えずに、軽い気持ちで出かけてみましょう。
そうしてそういった専門家のアドバイスを受けながら、自己破産や債務整理といった最終手段を取らざるをえない場合もあります。そこまでになってしまったら、これも自己責任とあきらめて粛々と作業をしていきましょう。
最後は暗い話になってしまいました。こんなに深刻な事態にならないように、もう二度と滞納はしたくないものです。
単純にお金がない場合は仕方がありませんが、実は工夫をすればミスによる滞納は防ぐことができます。ということで、以下ではその方法について見ていくことにしましょう。
要は銀行残高の金額以上にカードで買い物をしてしまうから、後で支払いができなくなってしまうわけです。なので、カード引き落としの口座についてはできれば月ごとに残高を確認するようにしましょう。そうすれば、使い過ぎを防ぐことができます。
また、少しでも残高の金額を増やしておくため、できるだけ給与振り込み口座を引き落とし口座に設定しておきましょう。その後、他の口座に振り分けるようにするのです。そうすれば、口座の金額が減る一方ということはありません。
そして、使わない口座については早めに解約し、資金移動してお金が無駄に分散しないようにしましょう。そうすれば、後々支払いに困って残高を探し回る手間も省けます。
今度は、出ていく方のお金についてです。多額の買い物をカードでする前には、十分な金額を口座に用意しておきましょう。また、当たり前ですが無駄な買い物はしないようにすることが大切です。
ちなみに、リボ払いは利息が高く予期せぬ出費となってしまうケースもあるため、利用はなるべく抑えるようにしましょう。
そうはいっても、過去に滞納したことがあれば「この先どんなに頑張ってもブラックリストに載っているのでは?」という不安が消えないでしょう。無駄な努力であればする気が起きなくなりますね。
実は、個人信用情報機関に信用情報開示請求を行うことができます。これにより、自分の信用情報開示報告書を見ることができます。その結果を確認して、登録がなければ安心です。また、登録されていても「あと〇年すれば記録が消えるのでがんばろう」というモチベーションになります。
そして、引っ越しをしたらできるだけ早くカード会社に住所変更を届けるようにしましょう。同時に、いらなくなったカードは解約しておきましょう。延滞になっていた場合、通知状等が旧住所に届くと気づかない場合があるからです。こんなミスは馬鹿馬鹿しいですよね。
また、銀行口座の支店変更をした場合も早めにカード会社に届けましょう。こちらも、引き落としができなくなりますので注意が必要です。
カードの支払いを延滞してしまった場合について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
支払いに遅れると、カード会社から段階を踏んで徐々に厳しい対応が取られることになります。また、一度滞納してしまうと後で生活に色々な悪影響が出てきます。なので、適切に行動して二度と延滞しないようにすることが大切です。
クレジットカードはその時に現金がなくても商品やサービスを手に入れることができる、便利な道具です。ただし、使用するとそれはあくまでも借金であるという意識を持ち、適切な運用を心がけましょう。カードは打出の小槌ではないのですから。
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