- 住んでいる自治体によってクレジットカード納付の可否や方法は異なる。
- 住民税をクレジットカードで支払う場合にもポイントがつく。
- ポイント還元率や決済手数料によっては必ずしも得になるとはいえない。
- 納付方法を選べる場合は、比較して自分にとって有利な方法を選べばよい。
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住民税は給与天引きで支払っている人も多いですが、給与所得者ではない自営業やフリーランス(個人事業主)、あるいは副業で給与以外に収入を得ている会社員など、自分で住民税を支払わなければならない人もいます。
そのような人はクレジットカードを使って支払うことで、よりお得になる可能性があります。ここではその方法と注意すべき点について解説します。
住民税とは、都道府県に納める道府県民税と、市町村に納める市町村民税(東京23区の場合は特別区民税)を合わせたものです。その税額は前年の所得などを基準に計算され、6月以降に納付します。納付方法には「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法があります。
会社員など会社から給料を受け取っている人の場合、住民税は給与天引きでの納付が原則です。この給与天引きでの納付する方法を「特別徴収」といいます。天引きされた住民税は、会社がまとめて市町村に納付します。給与以外の収入がない人は、住民税に関して自分で行う手続きはありません。
給与所得者ではない自営業やフリーランス(個人事業主)、無職の人などは、住民税を給与から天引きできません。このような人は、市町村から届く「納付書(振込用紙)」を使って住民税を自分で納付します。この自分で納付する方法を「普通徴収」といいます。
納付は一括(6月末までに納付)または年4回(6月末・8月末・10月末・翌年末までにそれぞれ納付)に分けて行います。
副業で給与以外の収入を得ている会社員で、給与に対する住民税が特別徴収されている人の場合、給与以外の収入に対する住民税の納付方法を選ぶ必要があります。
納付方法の選択は、確定申告書の徴収方法選択欄にある「給与から差引き(特別徴収)」と「自分で納付(普通徴収)」のいずれかに◯をして行います。
※筆者作成
副業であっても、給与所得となるアルバイトの収入などは自分で納付(普通徴収)を選択できません。この場合には、原則として副業の給与に対する住民税も合わせ、本業の給与からまとめて天引き(特別徴収)されます。
住民税を自分で納付する人は、市町村から届く住民税の納付書を使い、納付書に指定された金融機関や役場の窓口、コンビニなどで納付するのが原則です。Pay-easy(ペイジー)に対応した納付書であれば、ネットバンキングやATMを使って納付することもできます。
このほか、最近ではクレジットカードで住民税を支払える自治体も増えてきており、次のような方法があります。お住まいの自治体で住民税をクレジットカードで支払えるのか、まずは自治体のホームページ、または以下のリンクからご確認ください。
「F-REGI公金支払い」を導入している自治体では、自治体の納付サイトからクレジットカードで住民税を支払えます。
納税サイトから住民税をクレジットカードで支払うには、1枚あたりの合計金額が100万円未満、納付番号・確認番号が記載された利用期間内の納付書が必要です。
出典:F-REGI 公金支払い
出典:仙台市税 納付サイト
大阪市や横浜市など一部の自治体では、Apple Payで支払うこともできます。Apple Payに対応したiPhoneやiPadがあれば、納付書のバーコードをカメラで読み取り、納付番号や確認番号、カード情報の入力なしで住民税を納付できます。
出典:F-REGI 公金支払い
納付サイト(F-REGI公金支払い)で住民税を納付できる自治体は、こちらから確認できます。
「Yahoo!公金支払い」を導入している自治体では、Yahoo!JAPANのサイトからクレジットカードで住民税を支払えます。Yahoo!公金支払いの場合、支払いにTポイントを使うこともできます。
Yahoo!公金支払いを使って住民税をクレジットカードで支払うには、1枚あたりの合計金額が100万円未満、納付番号・確認番号が記載された利用期間内の納付書が必要です。
出典:Yahoo!公金支払い
Yahoo!公金支払いで住民税を納付できる自治体は、こちらから確認できます。
「モバイルレジ」は納付書のバーコードをスマホのカメラで撮影し、ネットバンキングやクレジットカードを使って住民税などを支払えるアプリです。
モバイルレジを使って住民税をクレジットカードで支払うには、1枚あたりの合計金額が30万円以下、バーコードが印刷された利用可能期間内の納付書が必要です。
出典:港区HP
モバイルレジで住民税を納付できる自治体は、こちらから確認できます。ネットバンキングのみの対応で、クレジットカード払いができない自治体もあるため注意が必要です。
モバイル決済サービスのLINE Payの請求書払いで住民税を支払える自治体もあります。2020年5月1日以降「チャージ&ペイ」というサービスを使えば、住民税を「Visa LINE Payクレジットカード」で支払うことができます。
LINE Payでは住民税の支払いでポイントは貯まりませんが、クレジットカード払いで必要になる決済手数料は原則かかりません。
LINE Payを使って住民税を支払うには、1枚あたりの合計金額が30万円以下、バーコードが印刷された利用可能期間内の納付書が必要です。
出典:神奈川県HP
LINE Payで住民税を納付できる自治体は、こちらから確認できます。
住民税をクレジットカードで支払うことで、次のようなメリットが期待できます。
住民税をクレジットカードで支払った場合、買い物をしたときと同じようにポイントが貯まります。たとえば、ポイント還元率1%のカードで30万円の住民税を支払えば、3,000円相当のポイントが貯まります。
年間利用額に応じてポイント付与率や付帯保険の補償がアップしたり、年会費が優遇されたりするカードも多く、金額が大きくなりやすい住民税を支払えば、それらの特典や優遇を受けやすくなります。
インターネットが利用できる環境であれば、窓口やレジまで出向かなくても、スマホやタブレット、PCを使って24時間どこでも住民税の支払いができます。大金を持ち歩いたり、窓口の人に納付内容や金額を見られたりすることもありません。
住民税の支払いは一括または年4回の分割払いが原則ですが、クレジットカード払いであれば、それ以外の回数の分割払い(たとえば12回払い)やリボ払いを選ぶことができます(選択できる回数は利用するカードにより異なります)。
分割払いには手数料がかかるため、どうしても必要な場合のみ利用するようにしましょう。
住民税をクレジットカードで支払う場合には注意すべき点もあります。
買い物などでカードを利用する際にかかる決済手数料は、お店が負担するのが一般的です。しかし、住民税など税金の支払いにかかる決済手数料は納税者が負担しなければなりません。
たとえば、世田谷区で住民税30万円をクレジットカードで支払う場合、2,354円(税込)の決済手数料がかかります。
ポイント還元率1%のカードであれば3,000円相当のポイントを受け取れてお得ですが、還元率0.5%のカードでは1,500円相当のポイントしか受け取れないため、逆に負担が増えてしまいます。利用するカードを選べるのであれば、なるべく還元率の高いカードを選びましょう。
納付する住民税額 | 手数料(税込) |
---|---|
5,000円以下 | 0円 |
5,000円超 1万円以下 | 25円 |
1万円超 1万5,000円以下 | 64円 |
1万5,000円超 2万円以下 | 105円 |
2万円超 2万5,000円以下 | 145円 |
以降、5,000円ごとに手数料が加算 |
※出所:Yahoo!公金支払いより筆者作成
クレジットカードで住民税を支払った場合、領収書は発行されません。支払内容はクレジットカードの利用明細書で確認できますが、正式な領収書が必要な場合には、金融機関や役場の窓口、コンビニなどで納付しましょう。
クレジットカードで住民税を支払った場合、実際にカード会社から市町村に支払いが行われるまで納税証明書は発行できません。納税証明書の発行ができるようになるまでに、通常は決済から1〜3週間程度かかります。
すぐに納税証明書が必要となる場合には、金融機関や役場の窓口、コンビニなどで納付しましょう。
クレジットカード払いには、納付書1枚あたり30万円あるいは100万円までという上限があります。また、利用するカード自体にも利用限度額があり、納税額がこれらの限度額を超えるとクレジットカードでは納付できません。
一括納付で納付書1枚あたりの限度額を超える場合、限度額を下回る分割納付の納付書で支払うのもひとつの方法です。カード自体の利用限度額をオーバーする場合には、一時的な限度額を増額(一時増枠)に応じてくれるカード会社もあるため、コールセンターに連絡してみるとよいでしょう。
便利でお得に利用できることも多いクレジットカード納付ですが、手数料が高くついて損するケースなどもあります。現金納付とクレジットカード納付を比較して、あなたにとって有利な方法を選ぶようにしましょう。