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役員報酬と税金の関係が丸わかり!計算方法&節税対策を専門家が詳しく解説

役員報酬と税金の関係が丸わかり!計算方法&節税対策を専門家が詳しく解説

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河野 雅人

河野 雅人

公認会計士、税理士、CFP

東京都新宿区に事務所を構え活動中。大手監査法人に勤務した後、会計コンサルティング会社を経て、税理士として独立。中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援している。独立後8年間の実績は、法人税申告実績約300件、個人所得税申告実績約600件、相続税申告実績約50件。年間約10件、セミナーや研修会などの講師としても活躍している。趣味はスポーツ観戦。

この記事のポイント

  • 役員報酬を受け取る役員は従業員と同様に給与所得者となる。
  • 役員報酬は会社法、税法上において一定の制限がある。
  • 役員報酬やその他の制度を組み合わせることで大幅な節税が可能となる。

この記事は約8分で読めます。

会社員であれば、自分の給料に対する税金については計算から納付までを会社が代わりに行います。しかし、自分で会社を設立し、自らが社長となる場合には、自分の役員報酬にかかる税金を自分で計算して納税する必要があります。

今回は、役員報酬にかかる税金や社会保険料の種類と計算方法、納付方法について解説していきます。

 

役員報酬とは

役員報酬とは

役員報酬とは、会社の役員となる人に支給される報酬です。ここでいう「会社の役員」とは、会社の経営に直接的に携わる人を指します。株式会社においては、一般的には取締役や監査役が役員にあたります。

個人事業主が法人化する場合は、ほとんどの場合で事業主自身が代表取締役に就任することになるでしょう。この場合、個人事業主は会社役員となり、自分の会社から役員報酬という形で給料を受け取ります。

役員報酬に対する税金については所得税と法人税の双方に影響があります。まずは所得税について見ていきましょう。

 

役員報酬にかかる所得税の計算方法

役員報酬は、従業員給与と同じく、税法上は給与所得として扱われます。そのため、役員報酬では所得税と住民税、社会保険料の3種類の税金が源泉徴収として天引きされます。原則として確定申告の必要はありません。

それでは、役員報酬にかかる所得税の計算方法を見ていきましょう。所得税は以下の計算式で求められます。

  • 所得税の税額 = 課税所得 × 税率

 

課税所得

所得税を算出するには「課税所得」を求めなければなりません。課税所得の計算は以下の算式で計算されます。

  • 課税所得 = 役員報酬 – 給与所得控除 - 所得控除

役員報酬には通勤手当や出張手当は含みません。

 

給与所得控除

給与所得控除とは、収入の額に応じて一定額を控除できる制度をいいます(下表参照)。

個人事業主であれば収入から経費を差し引くことが認められていますが、役員や従業員などの給与所得者は経費という概念がなく、この経費に代わるものとして、給与所得控除という形で収入から一定額を差し引くことが認められています。

給与所得控除
給与の収入金額 給与所得控除額
1,800万円以下 収入金額×40%-10万円
55万円に満たない場合には、55万円
1,800万円超~3,600万円以下 収入金額×30%+8万円
3,600万円超~6,600万円以下 収入金額×20%+44万円
6,600万円超~8,500万円以下 収入金額×10%+110万円
8,500万円超 195万円(上限)

 

所得控除

所得控除とは、課税所得を計算する上で、家族構成や個人的事情を考慮して、一定の金額を所得から控除することを認めるという制度です。

たとえば、「学費がかかる子どもがいる」「病気で医療費がかかった」など、国民一人ひとりがさまざまな事情を抱えている中で、税金の負担を軽くしようとするものです。所得控除には以下のような種類があります。

控除の種類 控除の概要と所得税計算での控除額
基礎控除 すべての人が対象となる控除(2020年分より48万円に。所得制限あり)
配偶者控除 控除対象となる配偶者の年収が103万円以下の場合、13~48万円
納税者の所得額が1000万円超の場合は適用なし
配偶者特別控除 控除対象となる配偶者の年収が103万円以上の場合、1~38万円
納税者の所得額が1000万円超の場合は適用なし
扶養控除 控除対象となる扶養家族がいる場合、一般の扶養対象親族で38万円~63万円(年齢によって控除額が変わる)
医療費控除

医療費支払った場合の控除(家計を同じくする家庭単位)
[医療費控除額=支払った医療費-保険金など-10万円※(※年間所得200万円未満の場合は総所得の5%)]
【特例】 セルフメディケーション税制
[所得控除額=対象医薬品の購入費-12,000円]
寄附金控除 ふるさと納税など「特定寄附金」に対し、合計金額から2,000円を引いた額
社会保険料控除 国民健康保険や国民年金など、公的な保険料の全額(家計を同じくする家庭単位)
生命保険料控除 民間の保険会社に生命保険料を支払った場合、最高額12万円まで
地震保険料控除 民間の保険会社に地震保険料を支払った場合、最高額5万円まで
小規模企業共済等掛金控除 共済や個人型年金など「確定捻出年金法」に規定する個人型年金の掛金の全額
寡婦・寡夫控除 控除対象となる寡婦・寡夫である場合、27万円(「特定」の場合は35万円)
勤労学生控除 控除対象となる勤労学生の場合、27万円
障害者控除 控除対象となる障害者の場合、1人につき27万円~75万円(障害の重度に応じて変わる)
雑損控除 災害や盗難などにより損害を受けた場合、[差額損失-所得金額の10%]

 

税率

所得税の税率は5%から45%で、所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていく累進課税となっています。また、日本の所得税は、課税所得が一定額以上となった場合、その超過部分に対して段階的に高い税率が課される超過累進税率が採用されています。

 

超過累進税率の例

たとえば、課税所得800万円の場合では、

  • 195万円(195万円以下の部分) × 5% = 9万7,500円
  • 135万円(195万円を超え330万円以下の部分)× 10% = 13万5,000円
  • 355万円(330万円を超え685万円以下の部分)× 20% = 71万円
  • 115万円(685万円を超え900万円以下の部分)× 23% = 26万4.500円

以上、合計で800万円の課税所得に対し、120万7,000円(=9万7,500円 + 13万5,000円 + 71万円 + 26万4.500円)の所得税がかかることになります。

単純に800万円に23%を乗じるわけではありませんので注意してください。この点は、上記の速算表にあてはめることで簡単に算出できます。

  • 800万円 × 23% - 63万6,000円 = 120万7,000円
所得税率表
課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円~330万円 10% 9万7,500円
330万円〜685万円 20% 42万7,500円
685万円~900万円 23% 63万6,000円
900万円~1800万円 33% 153万6,000円
1800万円~4000万円 40% 279万6,000円
4000万円超 45% 479万6,000円

 

税額控除

税額控除とは、上記で算出した所得税の税額から、さらに直接差し引くことのできる控除です。主な税額控除として住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除があります。

 

役員報酬にかかる住民税・社会保険料の計算方法

役員報酬にかかる住民税と社会保険料の計算方法

 

 

役員報酬にかかる住民税

住民税は大きく分けて「所得割」と「均等割」があり、この合計額を各自治体に納付します(原則として源泉徴収)。

  • 住民税の税額 = 所得割額 + 均等割額

 

(1)住民税所得割額

「所得割」は基本的には所得税と同じ計算方法になり、税率はほとんどの地域で一律10%が適用されます。

  • 所得割の税額 = (所得金額 − 所得控除額)× 10% − 税額控除額

ただし、各種所得控除の金額が所得税の場合より少ないのが特徴です。たとえば基礎控除額は、所得税の場合は48万円であるのに対し、住民税所得割では33万円(2021年からは43万円)となります。

 

(2)住民税均等割額

均等割は所得に関係なく、全員が一律の金額を居住している地域に納めます。地域によって多少金額が異なりますが、ほとんどの地域で年4,000円から5,000円となっています。 たとえば東京都の場合、均等割額は年5,000円です(2025年まで)。

 

役員報酬にかかる社会保険料

オーナー社長が協会けんぽの社会保険に加入した場合、健康保険料(介護保険料含む)と厚生年金保険料で報酬額の3割程度の負担が発生します。社長であっても社会保険料は会社と個人で折半となります。

所得税は所得に上がれば税率が上がる累進課税ですが、社会保険料についてはその割合が一定となっている点に違いがあります。

 

役員報酬と従業員給与との違い

役員報酬と従業員給与との違い

ここまで述べてきたように、役員報酬は給与所得に該当し、従業員給与の税額計算とまったく同じ計算方法となります。しかし、役員報酬と従業員給与は、税法において取り扱いが大きく異なります

というのも、役員報酬について無制限に経費への計上を認めると、法人税の面で問題が生じてしまうためです。

 

法人税の面における問題

役員報酬は個人の収入となるため、役員個人が自由に使えるお金です。役員報酬を経費に計上する場合、法人税の面で不都合が生じます。つまり、あまりにも高額な役員報酬を設定して利益を圧縮し、法人税を不当に抑えることも可能になるのです。

また、利益が大きく出た場合に、事業年度末において、役員報酬を増額し利益を意図的に減らすことで、法人税を不当に抑えることができてしまいます。

 

役員報酬を経費(損金算入)にするための条件

役員報酬には上で述べたような税務上の問題点があるため、役員報酬を経費として認められる条件として、法人税法上の一定の制限が設けられています。

 

①定期同額給与

役員報酬として受け取れる金額は毎月同額であることを要求する制度です。従業員の給与に近いものです。これにより、利益の変動に応じて役員報酬を増減させることが原則としてできなくなります。

 

②事前確定届出給与

事前確定届出給与は、ボーナスのイメージに近いものです。税務署に金額と支払い時期を届け出ることにより経費として扱われます

 

③利益連動給与

利益連動給与は、上場企業など同族会社ではない会社が、その事業年度の利益に関する指標を基準にして支給するものです。ほとんどの中小企業は同族会社に該当しますので、利益連動給与は適用できないことになります。

 

一般的には定期同額給与

上記で役員報酬の支給形態を3種類ご紹介しましたが、特に届出を要しない定期同額給与を採用することが多いでしょう。

定期同額給与は株主総会などで支給金額を決定し、決定した金額を毎月役員に支給するという形態ですので、支給方法としてシンプルです。ただし、原則として翌年の株主総会での決議まで報酬額を変更することはできません

 

確定申告の扱い

役員報酬は給与所得となるため、会社が年末調整を行い納税を済ませているなら、確定申告の必要はありません。ただし、役員に限らず給与所得者であれば、一定の要件に該当する場合には確定申告の必要があります。

たとえば、以下の要件に該当する場合は確定申告が必要となります。

  • 給与収入が年間2,000万円を超える人
  • 2か所以上から給与をもらっている人で、メインの給与収入以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
  • 1か所から給与をもらっている人で、給与及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人 など

 

役員報酬を利用した節税対策

役員報酬を利用した節税対策

役員報酬に関連して、さまざまな節税方法があります。

 

 

(1)配偶者への給与の支払い

フリーランスなどの事業所得者の場合、妻への給与を経費とすることは原則としてできません。青色専従者として雇用していた場合は妻への給与を経費とすることはできますが、配偶者控除を適用できなくなります。

一方、会社形態では、会社から妻への給与を会社の経費とすることが認められ、所得制限があるものの、配偶者(特別)控除を適用することもできます

 

(2)役員社宅制度を利用する

社長個人名義の住宅を会社名義にした上で、会社の社宅という扱いにすることができます。この場合、賃料相当額のうち、社長は一部の賃料を会社に払い、残りの賃料は会社の経費にすることが認められています。

会社にとっては経費が増えることによって法人税を抑えることができ、役員個人にとっても実質的な手取りが増えるというメリットがあります。

現在、役員報酬から個人で家賃を支払っているなら、一度検討してみるのもいいでしょう。ただし、あまりにも豪華な住宅の場合には適用できません。

 

(3)中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の活用

経営セーフティ共済は、毎月掛金(5,000円~20万円)を積み立てることで、無利子・無担保で借入ができる制度です。掛金は全額損金算入が可能ですので、積み立てを行いながら、節税も同時に行えます。

そして、役員を退任した際には、経営セーフティ共済を解約することにより、その解約金を退職金として受け取ることができます。退職金にかかる所得税はとても優遇されているため、経営セーフティ共済を役員退職金の原資とすることで大幅な節税が可能となります

 

役員報酬の税金に関するまとめ

役員報酬は、会社法や税法上でも一定のルールが設けられ、会社の業績にも影響するため、いくらが適切かというのは専門家でも判断が難しい面があります。

しかし、今回の記事でも述べたとおり、法人税や所得税など全体的な視点で判断し、その他の制度をうまく利用することで、大幅な節税も可能となることは知っておきましょう。

 

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