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知らないと損する?直接金融と間接金融についてゼロから解説します。

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大川 敦士

大川 敦士

大学卒業後、大手証券会社にて株式や投資信託等の販売営業に従事。2016年に退職し、FP事務所を開業。現在は、老後資金対策や介護と仕事の両立等の個別相談を中心に活動中。

この記事のポイント

・直接金融の中心は証券会社

・間接金融の中心は銀行

・証券会社と銀行のビジネスモデルの違い

・資産運用における直接金融と間接金融の違い

資産運用を検討する場合、主な選択肢として2つの方法が考えられます。

1つは株式や社債等への投資、もう1つは預金です。

専門用語では、前者を直接金融、後者を間接金融と言いますが、なかなかイメージが湧かないのではないでしょうか。

投資の重要性が高まる現代において両者の使い分けは非常に重要です。そこで今回は直接金融と間接金融の仕組みや特徴について詳しく解説します。

 

投資を始める前に知っておきたい予備知識はこちらをご覧下さい。

 

直接金融とは?

まずは直接金融について解説します。

投資を考えている人にとっては特に重要な内容です。

 

直接金融の仕組み

直接金融とは、資金の貸し手と借り手の貸借が当事者間で直接行われる取引のことです。

資金の貸し手を「投資家」、資金を貸すことを「出資」と言います。

冒頭で説明した通り、株式投資や債券投資等が代表例です。

株式や債券の発行は企業が効率的に資金を調達するための重要な戦略です。

例えば、株式を利用して資金調達する場合には、投資家に対して将来の値上がりや決算時の配当が期待できることをアピールする必要があります。

また、債券の場合には、金利や期間等の条件面だけでなく、財務状況の健全性も重要になります。

企業以外にも国や都道府県等が債券を利用して資金を調達することもあります。

株式も債券も元本保証ではない為、借り手が破綻した場合には貸したお金が返ってこない可能性が高く、大きな損失が発生することもあります。

そのため、投資家は借り手の情報を精査し、慎重に決断を下すことが重要です。

 

証券会社のビジネスモデル

直接金融における事務手続き等の仲介は主に証券会社が行います。

具体的には、資金調達を考えている企業の代わりに投資家を募集します。

投資を希望する投資家には条件面やリスク等の説明を行います。

投資家は株式や債券の購入資金を証券会社の口座に振り込み、配当金や利息も証券会社の口座に入金されます。

投資家が途中で株式や債券を売却する時も証券会社に連絡をすることで手続きが可能になります。

このように全ての手続きが証券会社を介して行われるため、証券会社にとっては仲介時の手数料が主な収益になります。

つまり、できるだけ多くの仲介を行うことが収益の拡大につながると言えます。

また、証券会社は株式や債券を買いたい人(貸し手)と売りたい人(借り手)の売買の仲介を行っているだけであり、取引の主体ではないので資金の借り手が破綻しても証券会社は損失を被りません。

 

間接金融とは?

次に間接金融について解説します。

基本的な内容ですが、知らないと損する可能性もあるので正確に理解しておくことが重要です。

 

間接金融の仕組み

間接金融とは、貸し手と借り手に対して金融機関が相手方となる取引のことです。

日常的な言葉に置き換えると、貸し手の立場からは「預金」、借り手の立場からは「借入」となります。

取引の相手方となる金融機関は主に銀行です。

銀行は貸し手から預かっているお金を使って資金を調達したい企業にお金を貸します。

また、間接金融の場合は個人にもお金を貸しており、住宅ローン等が該当します。

貸し手は預けているお金がどこに貸し出されているか分かりません。

そのため、借り手が破綻しても貸し手には損失が発生せず、銀行が損失を被ります。

貸し手に損失が発生する可能性があるのは預金先の銀行が破綻した場合です。

ただし、この場合でも預金保険制度により一定の範囲内の預金は保護されています。

 

預金保険制度の概要

預金保険制度とは銀行が破綻した場合に預金者のお金を保護するための制度です。

2002年3月までは全額が保護の対象でしたが2002年4月以降は現行のルールに変更になり、預金の種類や金額等の条件が定められているため、内容を正確に理解しておく必要があります。

例えば、当座預金や決済用預金は全額が保護されますが、定期預金や普通預金等については元本1,000万円とその利息までが保護の対象です。

また、外貨預金等は保護されないので注意が必要です。

そのため、具体的にどのような預金が「決済用預金」に該当するかを事前に預金先の銀行に確認しておくことが重要です。

預金総額が1000万円を超える場合には複数の銀行に分散することで安全性を高めることができます。

 

銀行のビジネスモデル

銀行業務の中心は預金業務と貸出業務です。

預金業務は銀行の資金調達手段であり、個人だけでなく企業からも幅広く預金を受け入れています。

この場合、銀行から預金者に一定の金利が支払われます。

貸出業務も同様に個人・企業に関わらず多種多様です。

この場合、銀行は借り手から金利を受け取ります。

つまり、銀行は預金者に支払う金利と出資先から受け取る金利の差額を収益としています。

銀行が収益を維持するためには借り手が破綻しないことが重要です。

しかし、何らかの理由で破産し返済が滞ることもあります。

そこで銀行は貸出額に応じて担保を要求することが一般的です。

借り手が保有している資産を担保として確保しておけば、借り手が破綻しても担保を売却することで資金を回収することができます。

 

投資(直接金融)と預金(間接金融)の比較

資産運用を考えている人にとって投資と預金の違いを理解しておくことは重要です。

ここでは両者の大きな違いについて比較しながら解説します。

 

収益性

収益性は投資の方が優れています。

株式投資であれば、非常に短期間で大きな値上がりが期待でき、決算時に保有していれば配当金を受け取れるチャンスもあります。

債券投資でも1%以上の利回りが期待できることもあります。

一方、預金については超低金利が長らく続いており、現状では収益性に期待することは難しいと言えます。

ただし、今後の状況次第では金利が上昇する可能性もあるので、預金金利は定期的に確認すると良いでしょう。

 

安全性

安全性は預金の方が優れています。

投資は収益性が高い反面、元本が保証されていることはなく、大きな損失が発生することもあります。

特に株式投資の場合は値動きが大きく、数日間で大きな損失が発生することもあります。

債券の場合は多少の値動きはありますが、事前に定められた期日まで借り手が破綻しなければ投資したお金が返ってくるので株式投資よりも安全性は高いと言えます。

一方、預金は投資と比較すると圧倒的に安全性が高いです。

先述した通り、預金先の銀行が破綻しても、預金保険制度により元本1,000万円とその利息分までが保護されているためです。

 

換金性(流動性)

換金性については、両者とも大きな問題が発生する可能性は低いと言えます。

例外的に、流通量の少ない株式や債券に投資する場合には注意が必要です。

 

まとめ:直接金融の担い手は証券会社、間接金融の担い手は銀行

直接金融において流動性を確保する上で証券会社が担う役割は大きく、企業の資金調達にとって欠かせない存在です。

一方、間接金融においては企業だけでなく個人の資金調達にも関与する銀行が中心的な役割を担っています。

投資家の視点で考えると両者の最大の違いは資金の借り手が破綻した場合の損失です。

直接金融の場合は資金の貸し手が損失を被るのに対して、間接金融の場合は銀行が損失を被ります。

つまり、安全性を重視するのであれば間接金融(預金)を利用するのが得策と言えます。

しかし、超低金利が続く中で直接金融(投資)の重要性も高まっています。

そのため、今後は両者の違いを理解し、直接金融と間接金融の適切に使い分けることが重要です。