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iDeCo(イデコ)年末調整のやり方・書き方

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佐々木 裕平

佐々木 裕平

中立・公正な立場から金融リテラシーを発信します。お金の疑問を「なるほど!」に変えます。書籍「入門お金持ち生活のつくり方」(こう書房)にてAmazon kindle全体1位達成。【所属・学会・協会:金融教育研究所代表/行動経済学会/NPO法人日本FP協会広島支部運営委員】

この記事のポイント

  • iDeCo(イデコ)では掛け金が全額所得控除になってお得!
  • ただし、税金が戻ってくるには年末調整などが必要
  • 年末調整・申告の仕方は意外とカンタン!

iDeCoって何?という方は、まずこちらの記事を御覧ください。

 

iDeCo(イデコ)をしていたら年末調整をした方が良いの?

iDeCo(イデコ)のメリットの一つは「掛け金が全額所得控除される」ということでした。ザックリ言いますと、税金が戻ってくるわけですね。戻ってくる金額は人によって異なりますが、人によっては一生で数百万円も戻ってくることもあります。

でも、自動的に戻ってくるわけではありません(本文で触れますが、iDeCo(イデコ)掛け金を給与から天引されている会社員や公務員の場合は、基本的に手続きは不要です)。

今回は「どのようにしたら、iDeCo(イデコ)で税金が戻ってくるのか」について見てみましょう。

 

iDeCo(イデコ)をしているなら年末調整をしましょう

iDeCo(イデコ)と呼ばれる「もう一つの年金・個人型確定拠出年金」を利用しているなら、掛け金が全額所得控除になります。例えば、元本保証タイプの金融商品(預貯金タイプ)を選択していても(もちろん投資信託を選択していても)、税金が戻ってきます(課税される所得がある場合)。

そして、そのためには「年末調整」と呼ばれる手続きをしないといけません。

  • iDeCo(イデコ)のメリットの一つは、掛け金が全額所得控除になること
  • 所得控除とは、所得額から掛け金を引くことによって、税金の負担を軽くすること
  • 税金が戻ってくるためには、年末調整が必要

 

iDeCo(イデコ)で必要な年末調整って何のこと?

年末調整と聞くと、難しい印象ですが、簡単に言いますと「税金や所得のズレ(不一致)を清算するために、年末に正しく計算すること」です。

例えば、iDeCo(イデコ)でお金を毎月1万円積み立てていると、年間の掛け金の全額12万円が所得控除されます。つまり、本来の所得より掛け金分の12万円が、低く計算されるのが正しいのですが、何も手続きをしていないと12万円分低く計算されないのでズレていますね。

すなわち、12万円分にかかる税金を多く払いすぎている状態になってしまいます。そのズレを正して、払いすぎている税金を戻してもらうための作業が「年末調整(または確定申告)」というわけです。

  • 年末調整とは、所得のズレを直すために行う
  • iDeCo(イデコ)での年末調整とは、所得控除を受けるために掛け金の分を正しく申告・計算すること

 

iDeCo(イデコ)の掛け金を年末調整したら、いくら戻ってくるの?

「年末調整(または確定申告)」と聞くと、なんだか面倒でやる価値があるのか疑問に思う人もいるかもしれません。

そして、人によって、税金のかかり方や計算方法は、働き方・収入・各種控除・家族構成などにより、それぞれ違います。つまり、一概にいくら出したら、いくら税金が戻ってくるのかが言えないのですね。

それをふまえた上で、少しシミュレーションをしてみましょう。

 

iDeCo(イデコ)で毎年いくら掛けていたら年末調整で金額はいくら還付されるの?わかりやすい計算方法(シミュレーション)を教えて!

iDeCo(イデコ)での年末調整により、いくら税金が戻ってくるのかは、節税メリットシミュレーションでザックリと概算が確認できます。

ただ、シミュレーション・下記の一例はあくまでも概算であり、実際には個人の状況(働き方や年収・税率やその他控除など)により異なりますので、個人における金額を保証するものではありません。個別具体的なご相談は税務署や税理士などにご確認ください。

節税メリットシミュレーション

 

年齢 毎月の掛け金 年収 年間の

節税額

60歳までの

合計節税額

自営業者

Aさん

20歳 68,000円 500万円 244,800円 9,792,000円
企業年金がない

会社員Bさん

20歳 23,000円 500万円 55,200円 2,208,000円
主婦・主夫

Cさん

20歳 23,000円 103万円 0円 0円

※節税メリットシミュレーションを元に筆者作成

あくまでも一例ですが、このようになりました。

このように、課税所得がある人や働き方によっては、大きく節税効果があることが分かります。また、一例の主婦・主夫Cさんは年収が103万円以下ですので、課税される所得がありませんので、シミュレーション上は節税額が0円になっています。

Cさんにとっては節税効果はこの場合ありませんが、その他にもiDeCo(イデコ)には運用益非課税や60歳以降の引き出し時に税制優遇がありますので、必ずしも無意味ではありません(そして、iDeCo(イデコ)の本旨は節税ではなく、老後の資金形成です)。

 

iDeCo(イデコ)での働き方別の年末調整、必要な書類は?いつやる?手続きの仕方は?

年末調整の手順は、意外とシンプルです。会社員・公務員の場合と、自営業者と主婦・主夫のiDeCo(イデコ)での年末調整する場合を見てみましょう。

※本記事の年末調整の書き方は、iDeCo(イデコ)掛け金に限った書き方です。

 

iDeCo掛け金の年末調整【会社員・公務員の場合】

掛け金を給与天引きしている場合

iDeCo(イデコ)掛け金を給与から天引されている会社員や公務員の場合は、年末調整での手続き自体が不要です

 

掛け金を給与天引きしていない場合

iDeCo(イデコ)掛け金が給与から天引きされていない会社員・公務員(国民年金の第2号被保険者)の場合は、年末調整の際に掛け金額を申告します。つまり、年末調整をすることで申告となり、控除を受けられるのですね。

iDeCo(イデコ)をしている場合、11月ごろに「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。

画像は平成29年版のサンプルイメージです。

この書類は、iDeCo(イデコ)加入者が(12月までに払う予定額も含んだ)年間の合計掛け金額を証明するものです。しっかりと保管しておきましょう。

  • 11月ごろに届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を保管しておく

 

そして、年末調整の手順は以下の流れです。

  1. 勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書※1」を受け取る
  2. 1年間の掛け金総額を上記1の申告書の「個人型及び企業型年金加入者掛金」の欄に記入する
  3. 上記申告書に先ほどの「小規模企業共済等掛け金払込証明書」をつけて提出する

その後の流れとしては、年末の給与受け取り時に所得税が還付されます。

 

※1「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」サンプル

 

iDeCo掛け金額の年末調整【自営業者の場合】

自営業者(国民年金の第1号被保険者)の場合は、年末調整ではなくて、確定申告を行います。

申告の期限は2月16日~3月15日です。

  • 11月ごろに届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を保管しておく

 

画像は平成29年版のサンプルイメージです。

 

年末調整の手順は以下の流れです。

  1. 確定申告書B・第一表※1「小規模企業共済等掛金控除」の欄にその年の掛け金額を記入
  2. 確定申告書B・第二表※2「小規模企業共済等掛金控除」の「掛け金の種類」に「個人型確定拠出年金」と記入
  3. 2の「支払い掛金」と「合計」の欄にその年の掛け金額を記入

お金が戻ってくるのは5月ごろです。指定口座に振り込まれます。

 

※1 確定申告書B・第一表

 

※2 確定申告書B・第二表

 

iDeCo掛け金の年末調整【収入のない主婦・主夫の場合】

結論から言うと、配偶者の扶養に入っている主婦・主夫(国民年金の第3号被保険者)で特段に収入のない方は掛け金の年末調整・確定申告はしなくてもかまいません。

※ただし、主婦・主夫で年収が103万円未満であっても、数か月だけ月収が極端に高い、などの場合は、年末調整・確定申告をすることで税金が戻ってくることがあります。詳細は税務署などで相談をされてください。

既に述べていますが、iDeCo(イデコ)では掛け金が全額所得控除になります。そのため、課税される所得がある人にとっては(払いすぎていることになる)税金が戻ってきます。ということは、課税される収入がない人の場合は、戻ってくるお金がないのですから年末調整・確定申告を(iDeCo(イデコ)の掛け金に関しては)してもメリットがありません。

ただ、iDeCo(イデコ)のメリットには、運用益の非課税や受け取り時の税制優遇もあり、本来の目的は「もう一つの年金」としての自分のための資産形成ですので、全額所得控除のメリットがないからと言って無意味であるわけではありません。

 

iDeCo掛け金の年末調整【収入が103万円よりも多い主婦・主夫の場合】

一方で年収が103万円を超える(あるいは、ある程度の収入がある)主婦・主夫に関してはどうでしょうか。

この場合は、働いている場所(企業など)で年末調整があるのでしたら、上記の会社員・公務員の場合と同じように年末調整をします。

また、年末調整がない(または複数の場所で働いている)ようでしたら、この下に記してある要領で自分で確定申告をすることによりiDeCo(イデコ)の掛け金を申告します。

また、一概にある程度の収入と言っても、その種類により税金がかかる・かからないが異なりますので、詳細は税務署などで相談をされてください。

 

会社員・公務員だけどiDeCoの掛け金額の申告を年末調整の時に忘れてた!間に合わない!どうする?

次のようなケースでは、会社員や公務員でも確定申告が必要です。また、年収が103万円を超える主婦・主夫の場合も同様です。

  • 年末調整の時にiDeCo(イデコ)の掛け金額の申告を忘れたとき
  • 初回のiDeCo(イデコ)掛け金の払い込みが10月以降になった場合
  • iDeCo(イデコ)の掛け金払込で「年単位」拠出で10月以降しか掛け金を払い込みしていない
  • 年収103万円を超える(あるいはある程度の収入のある)主婦・主夫

※申告の期限は2月16日~3月15日です。

2と3の場合は、本来11月ごろに届く予定の「小規模企業共済等掛金払込証明書」は翌年の1月末ごろに届きます。そのため確定申告の手続きを行う必要があります。1と4の場合は、11月ごろに届いているはずですので、保管しておきましょう。

  • 届いた「小規模企業共済等掛金払込証明書」を保管しておく

 

画像は平成29年版のサンプルイメージです。

 

年末調整の手順は以下の流れです。

  1. 確定申告書A・第一表※1「小規模企業共済等掛金控除」の欄にその年の掛け金額を記入
  2. 確定申告書A・第二表「小規模企業共済等掛金控除」の「掛け金の種類」に「個人型確定拠出年金」と記入
  3. 3の「支払い掛金」と「合計」の欄にその年の掛け金額を記入
  4. 「小規模企業共済等掛金払込証明書」と「源泉徴収票」をつけて期限内に提出

お金が戻ってくるのは5月ごろです。指定口座に振り込まれます。

 

※1確定申告書A・第一表

 

※確定申告書A・第二表

 

iDeCo(イデコ)掛け金の年末調整についてのまとめ

  • iDeCo(イデコ)では掛け金が全額所得控除になってお得!
  • ただし、税金が戻ってくるには年末調整などが必要
  • 年末調整・申告の仕方は意外とカンタン!

シミュレーションで見ましたが、人によっては、戻ってくるお金が数十年間の合計で数百万円にもなることがあります。低金利の時代においては、とてもお得な制度と見ることもできます。iDeCo(イデコ)で掛け金を拠出しているのなら、その恩恵を最大限に受けたいところです。

 

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