- ウェルスナビの利用手数料:預かり資産3000万円までは年率1.0%(税別)、3000万円を超える部分は年率0.5%(税別)。
- ETFの信託報酬0.11~0.14%を間接的に負担。
- 長期割で利用手数料が最大0.9%まで割引き。
- DeTAXにより年間0.4~0.6%の負担減が期待できる。
- 運用を任せられることができるので、手数料は安いと考えられる。
公開日:2019年7月6日
WealthNavi(ウェルスナビ)は、31万口座を突破(2020年6月4日時点)、預かり資産2500億円を達成(2020年6月4日時点)と、日本のロボアドバイザーで最も人気があります。
AIによるアドバイスを用いることができる便利なサービスですが、手数料などのコストがどの程度なのか気になる人も多いでしょう。今回の記事では、ウェルスナビの手数料を紹介するとともに、他のロボアドバイザーとの比較を行います。
また、ウェルスナビについては以下記事を読み進めるのもおすすめです。
目次
ウェルスナビの利用手数料は、預かり資産の1%(現金部分除く、年率・税別)です。ただし、預かり資産が3,000万円を超える部分に関しては、年率0.5%に変更されます。
そのほかのサービス(口座開設、売買手数料)はほぼ無料ですが、金融機関からの入金には手数料がかかる場合があります。入金方法は以下の2種類です。
自分で金融機関から振込を行います。国内の金融機関なら、窓口やATM、インターネット等を利用できます。ただし、振込手数料は顧客負担です。
3万円以上の振込で利用可能(「WealthNavi for ネオモバ」をご利用の場合は1万円以上)。ただし、対象金融機関においてインターネットバンキングの契約が必要です。クイック入金を利用した場合の手数料は無料です。
出典:ウェルスナビ
ウェルスナビの利用手数料1%の他に、ETFの手数料も間接的にかかっています。ウェルスナビでは、 ETF(上場投資信託)を通じて国際分散投資を行っています。
ETFとは、特定の指数、たとえば日経平均株価やS&P500などの値動きに連動する運用成果を目指し、金融商品取引所に上場している投資信託です。ウェルスナビは、海外上場ETFの中でも相対的に低コストなETFを投資対象としています。
ETFの運用会社は、経費をETFの中で控除しているので、投資家が間接的に負担していることになります。負担額は、ウェルスナビのリスク許容度によって、以下のように異なります。
リスク許容度1 | 0.14% |
---|---|
リスク許容度2 | 0.11% |
リスク許容度3 | 0.10% |
リスク許容度4 | 0.11% |
リスク許容度5 | 0.11% |
リスク許容度とは、資産運用の際にどの程度のリスクを取れるかということです。
一般的に、大きなリターンを求めればリスク許容度が大きくなり、リスク許容度の小さな資産構成では、リターンも小さくなる傾向があります。投資する金融資産の種類や量は、このリスク許容度によって決定されます。
出典:ウェルスナビ
ウェルスナビのサービス利用手数料は、預かり資産の1%。また、運用するETFの信託報酬が0.11~0.14%のコストがかかります。投資に慣れている人なら1%の手数料というのは高いと感じるでしょう。
たとえば、ウェルスナビが投資対象としている海外ETFを直接購入すれば、年間のコスト負担は信託報酬の0.11~0.14パーセントのみで済みます。売買手数料はかかりますが、長期で運用した場合は、自分で購入した方がコストはかからないのです。
しかし、ウェルスナビでは最適なポートフォリオ(資産の組み合わせ)を決定してくれ、リバランス(ポートフォリオ最適な状況にすること)も自動で行ってくれます。これらの売買を初心者が実行するのは大変です。
ウェルスナビがサービスを開始した2016年1月19日に100万円、その翌月から毎月3万円ずつ積み立て投資をした場合のパフォーマンス(2019年5月まで)は、以下の通りです。
出典:ウェルスナビ
リスク許容度 | 累積元本額(円) | 資産評価額(円) | リターン |
---|---|---|---|
1 | 220万 | 235万 | 6.7% |
2 | 220万 | 243万 | 10.4% |
3 | 220万 | 247万 | 12.2% |
4 | 220万 | 251万 | 14.2% |
5 | 220万 | 254万 | 15.5% |
このように、高い成果が期待できる運用を任せられると考えれば、ウェルスナビの手数料は安いと考えられます。
出典:ウェルスナビ
ウェルスナビでは、運用期間が長くなるほど手数料が割引きになる「長期割」があります。長期割とは、ウェルスナビを続けると、預かり資産に対する手数料を最大0.90%(現金部分を除く、年率・税別)まで割引する制度です。
ウェルスナビで運用し続けた期間と運用金額に応じて、6か月ごとに手数料が割引されます。50万円以上運用し続けて6カ月を超えた場合は7ヶ月目から0.01%、200万円以上の場合は0.02%ずつ割引されるのです。
手数料を割引く「長期割」は、投資家が資産運用を長く続けることを応援するプログラムです。
DeTAXとは、投資対象であるETFの分配金の受け取りやリバランスなどによって生じる税負担の一部または全部を、翌年以降に繰り延べるサービス。ウェルスナビのオリジナルサービスで、テオなど他のロボバイザーには無い機能です。
含み損のある資産の一部をウェルスナビに売却し、直後に買い戻すことで含み損を実現損にさせ、利益と相殺させて税負担を軽減させるのです。
ウェルスナビの柴山CEOは、DeTAXにより年間0.4~0.6%の負担減になると述べています。ウェルスナビの利用手数料は1%ですが、多くの場合、DeTAX機能により事実上のコストは少なくなると考えられます。
ウェルスナビでは、預かり資産の1%(現金部分を除く、年率、消費税別)が手数料としてかかります。また、預かり資産が3,000万円を超える部分は0.5%(現金部分を除く、年率、消費税別)の手数料です。
この手数料は、一カ月分の手数料を翌日の1日(休日の場合は翌営業日)に、投資家の口座の現金部分から自動的に引き落としされます。
実際にどのような計算方法で金額が決定されるのでしょうか。
投資対象のETFについては、日々のETF終値、為替レートで時価評価しています。たとえば現金部分を除く時価評価額が6,000万円の場合の年間手数料は以下の通りです。
これに消費税(8%)が加算された48万6千円となります。
しかし、この金額は時価が変動しなかった場合の例です。実際の時価は日々変動するので、手数料は毎日1日分を計算し、1カ月分の合計額を翌月1日(休日の場合は翌営業日)に支払います(1円未満は切り捨て)。
ただし、入金合計金額が最低投資金額を上回って運用が開始されるまでは、手数料の計算期間の対象となりません。
他の主なロボアドバイザーの手数料を確認しましょう。
出典:テオ
THEOは、お金のデザイン社が運営するロボアドバイザーです。ウェルスナビに次ぐ規模を誇っています。THEOの手数料体系は業界最低水準です。2019年4月から新手数体系である「THEO Color Palette」が始まったからです。
出典:テオ
預かり資産額に応じて最大0.65%(35%OFF)まで手数料が割引きされます。THEO Color Paletteは、預かり資産の時価評価額3,000万円以下の部分が対象。
時価評価3,000万円を超えた分にかかる手数料については、従来通り0.5%(年率・税別)です。テオで運用するETFの信託報酬に関しては、非公開となっています。
出典:楽天証券
楽ラップは、楽天証券が運営するロボアドバイザー。手数料体系は、「固定報酬型」と「成功報酬併用型」の2種類から選べます。
毎月運用資産残高に定率をかけた固定報酬を支払うタイプ。
固定報酬に加え、一定期間の運用成果に応じた成功報酬を支払うタイプ。楽ラップでは、約70%の方が「固定報酬制後型」を選択しています。ただし、一年間の収益率が2%を超えてくると固定報酬型の方がお得です。
出典:楽天証券
楽ラップが投資するファンドの信託報酬(運営・管理にかかる費用)は最大で年率0.288%。ただし、顧客の資産から直接引き落とされるのではなく、運営・管理の中で控除されるものなので、顧客が間接的に負担する費用です。
出典:マネックス証券
マネラップはマネックス証券が提供するロボアドバイザー。利用手数料は、運用資産残高に対して0.991%未満です。
また、投資対象としているETFの平均経費率を0.1%未満に抑えています。利用手数料を0.991%未満に抑えているのに加え、ETFと合わせた実質的なコストも低いのがマネラップの強みです。
利用手数料 | 信託報酬 | |
---|---|---|
ウェルスナビ | 1.0% | 0.14% |
THEO | 1.0%(0.65%) | 非公開 |
楽ラップ | 0.702% | 0.288% |
マネラップ | 0.991% | 0.1% |
※ウェルスナビとTHEOは、預かり資産3000万円以上は0.5%
このように見ると、ウェルスナビの手数料は他のロボアドバイザーと変わらないように思いますが、DeTAX(自動税金最適化)によって、事実上の手数料は0.5%程度になる可能性があります(ただし運用成果によって変動します)。
さらに、長く運用すれば長期割も適用(最大0.9%)されます。
DeTAXがあるロボアドバイザーサービスはウェルスナビだけなので、実質的な手数料を安くしたい投資家はウェルスナビをおすすめします。
ウェルスナビの手数料は、1%(預かり資産3,000万円を超える部分は0.5%)です。ただし、長期割やDeTAXで実際の負担は半分程度になる可能性があります。
ウェルスナビで1992年1月から2017年1月まで25年間の資産運用をシミュレーションすると、資産は2.4倍になり、1年あたりのリターンは6.0%(円建て)となりました。
出典:ウェルスナビ
年間6%利回りが期待できるので、たとえ1%の利用手数料を取られても高くないと考えられます。ただし、短期的にはドットコムバブル崩壊やリーマンショック・チャイナショックなど大きく下落する局面もあります。
ですから、ウェルスナビでは長期的な運用が推奨されているのです。さらに、国内外の株式や債券に積立分散すると、長期ではプラスの収益が期待できることが金融庁からも報告されています。
出典:金融庁
1985年以降に毎月同額ずつ国内外の株式や債券に積立・分散投資した場合、保有期間が5年ではマイナスリターンも発生しますが、保有期間が20年になるとプラスリターンに収れんし、さらにそのばらつきも小さくなるという結果になったのです。
短期的な値動きに一喜一憂することなく、10年・20年といった長期で運用を行っていくようにしましょう。
ウェルスナビでは、長期でコツコツ運用を続けるための機能として、「自動積立」があります。毎月一定額(最低1万円)をあらかじめ指定した日に銀行口座から自動的に引き落とし、運用するサービスです。
この機能を使えば、相場の値動きに一喜一憂することなく、淡々と運用を続けられます。
今回はウェルスナビの手数料について解説しました。利用手数料は以下の通りです。
また、間接的にETFの信託報酬として0.11~0.14%を負担しています。ただし、長期割によって最大0.90%まで利用手数料が割引きになることや、税金を最適化するDeTAXによって、実質的な手数料負担が半分程度になる可能性があります。
このようなウェルスナビ独自のサービスで、他社と比べて手数料は安いと考えられます。運用パフォーマンスも年率6%が期待できることを考えると、今後も人気は続くでしょう。