- 債務整理をすれば、信用情報機関に事故情報が登録されてブラックリストに載る。
- ブラックリストに載っている間はクレジットカードを作れない。
- 信用情報機関に事故情報が登録されている期間は5年程度。
- 自分の信用情報は信用情報機関に開示請求できる。
公開日:2019年6月26日
最近は、インターネットなどでクレジットカード決済する場面も増えてきました。債務整理をするときに、「クレジットカードが使えなくなるのでは?」ということが気がかりな人も多いはずです。
本記事では、債務整理後にクレジットカードが作れるかどうかについて説明します。クレジットカードの審査の際に重要になる「信用情報」について理解しておきましょう。
目次
債務整理とは、今ある借金を整理して、支払いができる状態にする手続きです。債務整理をすることで、毎月の支払額を減らしたり、借金自体を減額・免除してもらったりすることが可能になります。
債務整理には、次の4つの方法があります。
消費者金融などの債権者と直接話し合いをし、借金の支払い方法を変更してもらう方法です。任意整理をすれば、毎月の支払額を減らせます。将来発生する利息も免除してもらえるので、トータルの支払額も減額します。
簡易裁判所で債権者と話し合い、借金の支払い方法の変更に合意する方法です。特定調停で債権者と合意するのは困難なケースが多いので、あまり利用されません。
今あるすべての借金について、裁判所に減額を認めてもらう手続きです。借金を減額してもらうには、裁判所が認可した再生計画どおりの返済を少なくとも3年は続けなければなりません。
抱えている借金をすべて免除してもらえる手続きです。借金がなくなる代わりに、家や車など手持ちの財産もとり上げられてしまいます。
債務整理は、それぞれの方法でメリットとデメリットがあります。自分の置かれている状況や借金の残額によって、どの方法を選ぶかを検討しなければなりません。
債務整理の共通のメリットは、借金の支払いが楽になることです。借金を返済するために他社から借金していたのでは、借金はなくなりません。借金問題を根本的に解決できる方法は、債務整理だけと言ってよいでしょう。
債務整理の共通のデメリットは、ブラックリストに載ってしまうことです。「ブラックリストに載る」と言っても、ブラックリストという名簿があるわけではありません。信用情報機関というところに「金融事故を起こした」という情報が登録されると、ブラックリストに載ったと言われます。
債務整理の中で一番ダメージの少ない方法が任意整理です。任意整理は裁判所を通さずに手続きでき、整理する借金も選べます。任意整理なら手持ちのクレジットカードを残すことも可能です。
任意整理できるのは、消費者金融からの借入に限りません。銀行カードローンも任意整理が可能です。また、クレジットカードについてはキャッシングのみならず、ショッピング代金も任意整理できます。
任意整理するときには、消費者金融やカード会社の担当者と交渉して、毎月の支払額を減らしてもらわなければなりません。個人で交渉しても相手にしてもらえないため、専門家に依頼する必要があります。
任意整理を依頼できるのは、弁護士または司法書士です。司法書士に依頼できるのは債権額が140万円以下の場合で、依頼できる司法書士は簡易裁判所の訴訟代理権を持っている認定司法書士のみになります。
任意整理で債権者の了承を得て和解するには、残っている借金の元本を3~5年で分割返済する約束をする必要があります。利息についてはカットしてもらえるので、支払期間が延びても借金が増えることはありません。
任意整理時の約束通りに借金の支払いができたら、任意整理は成功です。任意整理しても、もし途中で支払えなくなった場合には、再度債務整理を検討する必要があります。
任意整理は裁判所を通さないため、スピーディーに手続きができます。整理する借金を選べるので、整理する必要がないカードを手元に残すことも可能です。
しかし、任意整理も債務整理の1つですから、ブラックリストに載るというデメリットがあります。ブラックリストに載れば、他社のローンやクレジットカードにも影響が出てしまいます。
債務整理をすれば、信用情報に傷が付き、ブラックリストに載ります。ブラックリストに載れば、クレジットカードを作ることができません。
信用情報とは、簡単に言うと、その人のクレジットカードやローンの利用実績になります。クレジットカードやローンは、金融業者や金融機関がお金を貸してくれる(または立て替えしてくれる)ものです。
金融業者・金融機関も、誰にでもお金を融通してくれるわけではありません。信用できる人でないと、お金を貸してはもらえないのです。
お金を貸しても大丈夫な人かどうかは、これまでの借金と返済の実績を見ればある程度判断できます。信用情報は、金融業者や金融機関が貸付の審査をする際に重要な参考とする情報なのです。
なお、信用情報のうち、金融事故に関する情報を「事故情報」と言います。金融事故とは、延滞、強制解約、債務整理などが該当します。つまり、約束通りお金を返せなかった場合に、金融事故となります。
個人の信用情報の取りまとめを行っているのが、信用情報機関です。クレジットカードやローンの申し込みや契約を行ったときには、その金融業者や金融機関によって、利用者の信用情報が信用情報機関に登録されます。
信用情報機関には、次の3つがあります。
ノンバンクが加盟する信用情報機関で、貸金業または割賦販売業を行う会社が加盟しています。
ノンバンクが加盟する信用情報機関で、貸金業を行う会社が加盟しています。
銀行利用者の信用情報が集められているところで、一般社団法人全国銀行協会内に設置されています。
貸金業や割賦販売業を行う業者や銀行は、いずれかの信用情報機関に加盟しており、自らが加盟している信用情報機関の情報を照会できます。
また、3つの信用情報機関は、CRINやFINEと呼ばれるコンピュータネットワークを通じて情報交流を行っています。これにより、どの会社で金融事故を起こしても、他の会社にわかるようになっています。
消費者金融、クレジット会社、カード会社、銀行などの金融業者・金融機関でカードやローンの申し込みをした場合には、審査が行われます。審査の際には、必ず信用情報機関に情報照会をし、信用情報を調べます。
信用情報機関に事故情報が登録されていれば、その人は信用できないと判断されるため、審査には通りません。事故情報はすべての信用情報機関で共有されていますから、たとえ1社のみで任意整理をしたとしても、他社にわかってしまいます。
債務整理をしたときには、信用情報機関に事故情報が登録されます。事故情報が登録されている状態で借入の新規申し込みをしても、審査に通ることはありません。債務整理後には、新規でクレジットカードを作ることができなくなってしまいます。
債務整理のうち、任意整理をした場合には、3~5年で借金の返済は終わります。借金の返済が終わっても、すぐにカードを作れるとは限りませんから、注意しておきましょう。
信用情報機関に登録された事故情報は、永久にそのままではありません。事故情報には登録期間が定められており、定められた期間が経過すると事故情報は削除されます。
債務整理をした場合の事故情報登録期間は、概ね5年以内です。ただし、全国銀行個人信用情報センターでは、個人再生及び自己破産の情報登録期間は、最長10年となっています。
任意整理をした場合、早ければ3年程度で借金の返済は終わります。しかし、信用情報機関には5年程度は事故情報が残っています。たとえ借金を完済しても、事故情報が消えるまではクレジットカードを作ることができないということです。
債務整理で任意整理を選ぶ場合、すべての借金を整理する必要はなく、整理する借入先を選べます。しかし、任意整理時に手元に残したカードも、使えなくなってしまうことがあることを知っておきましょう。
クレジットカードを利用する場合、信用情報をチェックされるのは、申込時だけではありません。実は、契約中にも時々、信用情報はチェックされています。これは、「途上与信」と呼ばれるものです。
カード会社等は随時利用者の信用情報をチェックし、その成績に応じて与信限度額を変更しています。カード会社も、信用できる人にはたくさんお金を借りてもらいたいはずですし、逆に信用できない人にはできるだけお金を貸したくないからです。
カード会社が信用情報機関で利用者の信用情報を確認したときに、他社で任意整理した情報が登録されていれば、カードが利用停止や強制解約になる可能性があります。
特に、カードの更新時には必ず信用情報は確認されます。手元に残したカードの更新が近づいていれば、すぐに使えなくなると思っておいた方がよいでしょう。
信用情報機関に事故情報が登録されていれば、クレジットカードを作ることはできません。債務整理後にクレジットカードを申し込むなら、事故情報の登録期間が経過してからにするのが安心です。実際に事故情報が削除されているかも確認しておきましょう。
債務整理後にクレジットカードを作りたい場合には、信用情報から事故情報が削除されていることが条件になります。事故情報が残っている状態でカードの申込をしても、審査で落とされてしまいますから、契約はできません。
信用情報機関での事故情報の登録期間は決まっていますが、実際に信用情報がきれいになっているかどうかは、信用情報機関に確認してみなければわかりません。
そもそも、債務整理の場合、延滞や保証会社の代位弁済などの事故も合わせて起こっていることが多く、いつから期間が起算されるのかがわかりにくいはずです。
また、各信用情報機関で定められている登録期間は上限の期間になりますから、どの段階で削除されているかはわかりません。
債務整理後にクレジットカードを申し込みたい場合には、申込前に信用情報を調べておくのがおすすめです。
信用情報機関に登録されている信用情報の内容は、本人が開示請求すれば教えてもらえます。開示請求の際には運転免許証などの本人確認書類のほか、手数料1,000円が必要になります。
信用情報の開示請求の方法は、各信用情報機関のホームページに記載されていますので、詳しくはそちらを参考にしてください。
郵送請求、窓口請求のほか、パソコンやスマートフォンを使ってインターネット経由で登録されている信用情報を確認・印刷することもできます。
郵送請求、窓口請求のほか、スマートフォンによる開示請求(開示結果は郵送)も可能です。
郵送請求のみ可能です。
債務整理をしたら、5年程度はクレジットカードを作ることはできません。個人再生や自己破産をした場合には、クレジットカードを作れない期間が10年程度になることもあります。
任意整理で一部のクレジットカードを手元に残したとしても、後日利用停止や強制解約になる可能性は高くなっています。
債務整理をするときには、しばらくはクレジットカードが使えなくなることを覚悟しておきましょう。債務整理後の期間は、借金を増やさずに済む期間と前向きに捉えることが大事です。
債務整理の手続きは複雑で難しいため、債務整理のプロへ相談することが賢明です。まずは相談料無料で債務整理に強い弁護士事務所に相談してみるのがいいでしょう。
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