- 学資保険は「一般の生命保険料控除」の対象!
- 生命保険料控除は「保険への加入時期」で変わる!
- 学資保険だけでは教育費が足りないことも多い!
公開日:2019年11月1日
こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、この時に学資保険がどうなるのか気になる方も多いと言えます。年末調整の経験がある方なら生命保険の申告経験もあることが多いですが、何となく学資保険は対象外にも思えますよね。
でも、その感覚のままでは損に繋がってしまうかもしれません。そこで今回は、年末調整での学資保険の基本や申告書の書き方、注意点をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。
目次
まずは、そもそもの年末調整の基本についてお伝えします。年末調整とは、今まで仮払いしていた(源泉徴収されてきた)所得税について、正確な税額を計算して税金を精算することです。そして、正確な税額を計算するために「自分の情報」を申告することになります。
ちなみに、申告する自分の情報と申告書は、それぞれ以下の通りです。
総合的に言えば、年末調整では「家族のこと」「保険について」を申告します。それぞれ当てはまらないなら書く必要はありません(書けません)が、書けるなら書くようにしましょう。
なお、必要書類を詳しく知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
実際の申告書を見ると、節々に「〇〇控除」などと書かれていることに気づくでしょう。控除とは、簡単に言えば「税金計算上の経費」です。つまり、経費が増えるほどに税金計算の元になる利益も減るため、総じて納めるべき所得税の額も減っていくことになります。
「〇〇控除」は現在14種類あり、その種類や内容次第で控除額も変わり、ひいては還付金の額も変わってくるわけです。まずは、このような年末調整の基本について押さえておきましょう。
なお、還付金を詳しく知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
次は、学資保険と生命保険との関係についてお伝えします。結論から言えば、学資保険は「一般の生命保険料控除」の対象です。ちなみに各種の生命保険と生命保険料控除との基本的な関係は、以下の通りとなります。
なお、一般的には学資保険に加入している場合、学資保険だけにしか加入していないというのは稀で、他の生命保険にも加入していることが多いです。そんな場合は、控除の種類が違うか上限の範囲内であれば、他の生命保険についても申告することができます。
申告すればするほど、控除(経費)を沢山使うことができますから、所得税も割安にできるわけです。ちゃんと加入しているのに申告しないのは損なだけですから、忘れず申告しましょう。
先ほど、3種類の生命保険料控除をお伝えしましたが、年末調整の申告書も同じように書く欄が3種類に分かれています。学資保険は「一般の生命保険料控除の欄」に書きましょう。なお、他の加入中の生命保険についても、それぞれ当てはまる控除の欄に書いて下さいね。
なお、一定の生命保険に加入中であっても、対象となる控除が想像と違うこともあります。ひとまず加入時には、どの控除対象になるかどうかを確認しておきましょう。
今度は、年末調整での学資保険の書き方についてお伝えします。生命保険に加入しているのであれば、加入中の生命保険会社から「生命保険料控除証明書」が届くはずです。基本的には、この証明書の内容を書き写せば問題ありません。以下を参考に、試してみましょう。
出典:https://xn--u8j7eobcu5919bmmc333ats5h56fzlu.net/
年末調整とは、納税手続きを簡単にするための制度ですから、このように記入も簡単にできるように作られています。年末調整が初めての方でも、落ち着いて書き写しましょう。
ちなみに生命保険料控除証明書は、おおよそ10月頃には手元に届くはずです。そして生命保険料控除証明書は、単に書き写すだけでなく、基本的に申告書と一緒に提出する必要もあります。届かなかったり、無くしてしまったりした場合は、早めに生命保険会社へ問い合わせましょう。
唯一、気を付けて頂きたい事として、一般的に「生命保険料控除証明書には2種類の数字が書いてある」点が挙げられます。一つは「証明書発送時点での支払い保険料総額」、もう一つは「年末まで保険料を支払った場合の総額」です。以下の見本で、ご確認下さいませ。
基本的に年末調整で使うのは、年末まで保険料を支払う前提で後者のほうになります。初めて年末調整するという方は、しっかりと内容を読んで正しいほうの数字を書きましょう。
ここからは、年末調整における学資保険の注意点についてお伝えします。まず、生命保険は「加入時期」によって、受けられる控除が違ってくる制度です。少しややこしいので、注意しましょう。具体的には、以下のような違いがあります。
年間保険料 | 控除内容 |
---|---|
25,000円以下 | 支払った保険料の金額 |
25,000円超~50,000円以下 | 支払った保険料×1/2+12,500円 |
50,000円超~100,000円以下 | 支払った保険料×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
年間保険料 | 控除内容 |
---|---|
20,000円以下 | 支払った保険料の金額 |
20,000円超~40,000円以下 | 支払った保険料×1/2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下 | 支払った保険料×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
先ほどの年末調整の申告書や生命保険料控除証明書にも「新旧」の種別・区分がありましたが、このような理由があります。また他の2種類の生命保険料控除も同様の内容となっており、3つ合計で最大12万円の控除を受けることが可能です。
なお、上記の通り一般の生命保険料控除は「最大で8万円超支払った場合の4万円」になります。たとえば別の死亡保険で枠を使い切っている場合は、学資保険は控除を受けられません。この点にも注意しておきましょう。
基本的に学資保険は子供が小さいうちに入りますが、大きくなってから加入したような場合は注意が必要です。というのも、保険期間が5年未満の学資保険は、生命保険料控除の対象外になる可能性があります。念のため、自分の学資保険の内容を確認しておきましょう。
また、このような一定の条件というのは、他の生命保険についても同様にあります。何となく不安な方は、加入中の生命保険会社に連絡して確認してみましょう。
生命保険料の一括払い(一時払い)にも注意が必要です。基本的に生命保険の保険料は「毎月払い」ですが、他にも以下のような支払い方法があります。
一括払いのほうが有利に保険加入できることもありますが、この支払い方法では生命保険料控除は「支払った年」しか使えません。このため、毎年の生命保険料控除と比べてどちらの方が得かをしっかり考えて選んだほうが無難です。
強いて言えば、先ほども触れた通り生命保険料控除には「年間保険料8万円」という上限があります。このため、すでにこの上限を超えているなら控除は関係ありませんから、その時には一括払いするのもアリかもしれませんね。
年末調整で生命保険料控除の申告をうっかり忘れた場合は、少し面倒かもですが「確定申告をする」ことで対処できます。確定申告で、改めて生命保険料控除の申告をすれば良いわけです。確定申告の練習にもなりますし、一度やってみるのもアリかもしれませんね。
なお、確定申告の時期が過ぎたあとで生命保険料控除が使えることが分かった場合は、「還付申告」することも可能です。還付申告とは、簡単に言えば「お金を還付してもらう(返してもらう)前提の確定申告」になります。
還付申告なら、確定申告の時期に関係なく5年間できますから、この間に申告しましょう。
最後に、学資保険に付随する大切なことをお伝えします。一昔前なら、学資保険は「入っておけば大丈夫」と言われるほどのものでした。しかし今や時代は随分と変わり、一般的な学資保険は「大学費用の一部補助」程度にしかなりません。
昨今の大学費用は、一人当たり約700万円も必要です。
また「学資保険の利率」も、昔とは全然違います。昔は相応に増えるのが学資保険でしたが、最近の学資保険は微々たる程度にしか増えません。中には元本割れするような学資保険すらあります。このままで、十分な子供の教育費を準備できるでしょうか?
もちろん、現代でも学資保険には生命保険料控除など一定のメリットもあります。しかし少なくとも、学資保険に入っていれば大丈夫な時代ではありません。もっと色んな準備方法を考えて実行することをおすすめします。
従来の子供の教育費というのは、「絶対に不足してはいけないお金」でした。しかし現代は、半数程度の学生が奨学金を利用している時代です。それほど、準備が難しいお金とも言えます。また奨学金や教育ローンなどは、「単なる借金」ですから、利用するほどに家族の将来が苦しくなりかねません。
あくまで学資保険も含めてですが、子供の未来を、そして家族の未来を少しでも明るいものにするために、たとえば資産運用など一定の方法を考えていきましょう。
なお、教育費や貯め方を詳しく知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
学資保険に入っているなら、年末調整で申告することによって生命保険料控除を受けられ、その分だけ所得税が安くなります。少なくとも、加入しているのに申告しないのは「ただの損」です。決して年末調整は難しいものではありませんから、不慣れであっても挑戦してみましょう。
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