- 国民健康保険の保険料は全額が「社会保険料控除」。
- 国民健康保険以外の社会保険料もお忘れなく!
- 確定申告は税務署で聞きながら書くことも可能。
公開日:2019年10月29日
こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、それでもイマイチ分からない方も極めて多いと言えます。特に転職などを挟み、自分で支払った国民健康保険料があるような場合、わずかでも周囲と違うことで分からなくなることが多いです。
しかし、分からないからと記入しなかったら損に繋がります。そこで今回は、年末調整や確定申告での国民健康保険の基本や対象、世帯主以外の申告や書き方などをお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。
目次
まずは国民健康保険と税金の基本についてお伝えします。簡単に言えば国民健康保険の保険料は、「支払った分だけ税金が安くなる」のが基本です。このため、せっかく支払ったのなら申告しないのは「単なる損」と言えます。しっかり理解して、申告するようにしましょう。
もう少し言えば、国民健康保険の保険料は「社会保険料控除」という所得控除に該当します。そして社会保険料控除は、「支払った保険料の金額全て」が控除金額です。極めて効果が大きいものですから、年末調整でも確定申告でも忘れず申告することをおすすめします。
ちなみに年末調整の場合、会社から差し引かれている分は会社が把握していますから、特に何もする必要がありません。転職など、何らかの事情で「自分で支払った分がある場合に限り」手続きしましょう。
自分で国民健康保険の保険料を支払った場合、支払い時に領収書をもらうはずです。この領収書を、社会保険料を支払った証明書として、年末調整の書類に添付することになります。万一「無くした」という場合は、早めに役所の国民年金課に問い合わせましょう。
ただし、役所や会社によっては添付が不要ということもあります。とは言え必要なこともありますから、基本的には添付する前提で用意しておいたほうが無難と考えておきましょう。
次は、社会保険料控除の対象についてお伝えします。まず社会保険料控除を使える人は、「実際に納付(納税)した人」です。自分の国民健康保険料は元より、たとえば子供の保険料を支払った場合も、自分の社会保険料控除として使えます。
また、年末調整で社会保険料控除の対象になるのは国民健康保険料だけでなく、以下のものも対象です。支払った場合は、全てを忘れず申告しましょう。
なお、転職前の会社で支払った社会保険料がある場合は、退職時にもらえる源泉徴収票に記載がありますので、今の会社に提出するだけで済みます。転職活動中に自分で支払った分についてのみ申告しましょう。
ちょっと勘違いしがちな要素に、「世帯主以外の人が支払った保険料」が挙げられます。たとえば夫の保険料を妻が支払った場合、社会保険料控除として申告できるのは妻です。世帯主かどうかではなく「実際の納付者かどうか」で判断されますから、少し注意しましょう。
まれに、妻の公的年金から夫の介護保険料が特別徴収されているようなケースがあります。こんな時も、申告できるのは妻です。あくまで自分で支払った分だけを申告しましょう。
今度は、年末調整での国民健康保険の書き方についてです。国民健康保険については、年末調整における「給与所得者の保険料控除申告書」という書類に書きます。書類の右側中ほどにある「社会保険料控除」の欄です。そこに、以下の要領で書きましょう。
強いて言えば、国民健康保険の保険料は基本的に「支払った保険料の合計額が記載された証明書」のようなものがもらえません(稀にもらえる自治体もあります)。
このため、数字を間違えてしまう可能性があります。保険料の領収書とともに電卓を用意し、落ち着いて間違いのないよう計算しましょう。
また、中ほどの「保険料を負担することになっている人」は、必ずしも本人とは限りません。家族の誰かの分を支払うこともありますからね。名前と続柄にも注意しましょう。
一般的に、転職活動中に国民健康保険料を支払ったような場合は、合わせて国民年金保険料も支払っていることが多いです。先ほども触れた通り、(自分で支払った)国民年金保険料も社会保険料控除の対象になります。年末調整時には、他の支払いもなかったか確認しましょう。
ちなみに計算期間は、毎年1月から12月までです。この期間に支払った保険料を申告することになります。まれに4月から3月までで数える人もいますから、ご注意下さいませ。
確定申告の場合についてもお伝えします。一般的な会社員が確定申告をする場合は、「確定申告書A」という書類を使うのが基本です。そして第一表の社会保険料控除の欄に合計額を記載し、第二表の社会保険料控除の欄に内訳を記載することになります。以下を見本として、やってみましょう。
年末調整とは、あくまで会社に勤めている方に限り利用できる制度です。たとえば退職した後に就職活動に励んだものの、年内に転職先が見つからないケースも十分にありえます。そんな時には確定申告が必要になることもありますから、しっかり覚えておきましょう。
確定申告になると、途端に難易度が高いと感じて面倒になり、書かなくなってしまう方も一定数おられます。お気持ちは分かるものの、転職活動時の確定申告は還付金がもらえる可能性が高いので勿体ない行為です。
どうしても書き方がわからない方は、税務署に直接行って相談しながら書くこともできます。最近ではインターネットで簡単に調べることも可能です。なんとか書き上げましょう。
なお、還付金が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
最後に、年末調整における国民健康保険の注意点についてお伝えします。すでに触れた通り、国民健康保険は毎年「1月から12月の間に支払った保険料」が対象です。これは少し広範囲に解釈され、たとえば翌年分の一部を今年支払った場合は、今年の控除にすることができます。
また過去の未納分を追納した場合も、追納した年の年末調整で社会保険料控除にすることが可能です。これは家族の分でも同じ扱いになります。
ただし、家族の分を支払う場合は「生計を一にしている」ことが条件なので、たとえば生計が別の別居している子供の分を支払った場合は対象外です。逆にたとえば子供が大学生で、定期的に仕送りをしているような場合は「生計を一にしている」と見なされ、控除対象になります。
国民健康保険のことに限らず、年末調整に不慣れなうちは面倒に感じ、これでいいのか分からなくて不安にも感じがちです。しかし、だからといって何も書かずに提出するのは、実益は元より経験のうえでも損と言えます。この理屈は確定申告であっても変わりません。
そもそも年末調整も確定申告も、毎年することです。何回かこなせば、誰もが相応に慣れてこなせるようになります。最初は調べながら、誰かに聞きながらでもチャレンジしましょう。
なお、書き方を詳しく知りたい方は以下記事も参考にどうぞ。
今年中に自分で支払った国民健康保険の保険料は、年末調整で社会保険料控除の対象になり、その分だけ税金が割安になります。せっかく支払ったのなら、申告しないのは損になりかねません。不慣れだと面倒に感じるでしょうが、練習の意味でも年末調整に挑戦しましょう。
なお、年収と税金の関係が気になる方は以下記事も参考にどうぞ。
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