- 女性がかかりやすいがんには乳がん、子宮がんなど女性特有のがんが多い。
- 乳がん、子宮がんなどは年齢が若いうちにかかることが多く、治療が長期化しやすい。
- 乳がん、子宮がんは手術・放射線・抗がん剤の3つの治療が主流のため、がん保険もそれらに対応したものを選ぶべき。
公開日:2020年3月1日
日本において男性が生涯でがんにかかる確率は約62%であるのに対し、女性は約47%です。
しかし、2019年10月の国立がん研究センターなどの「AYA世代(15~39歳)」のがん患者の分析によると、20歳以上の患者の約8割を女性が占めると報告されました。
このように男性と女性にはがんにかかる傾向に違いがあるため、女性ががん保険を検討するにはその違いを踏まえたほうがより効率的に必要な保障を得ることができるといえます。
そこで今回は、女性のがんの特徴を押さえ、保険の比較サイトなどで人気の商品の中から女性におすすめのがん保険をランキングでご紹介します。
まず初めに、女性がかかりやすいがんについて見ていきましょう。
女性が最もかかりやすいのは乳がんで、子宮がんも4位に入っています。女性特有のがんのリスクは高いと言えます。
順位 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1位 | 前立腺 | 乳房 |
2位 | 胃 | 結腸 |
3位 | 結腸 | 胃 |
4位 | 気管、気管支および肺 | 子宮 |
5位 | 直腸S状結腸移行部および直腸 | 気管、気管支および肺 |
次のグラフは男女の年代ごとのがん罹患率を表しています。
出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」
30代から50代半ばまでは、女性のほうが男性よりがんにかかりやすいことがわかります。
冒頭の国立がん研究センターなどの「AYA世代(15~39歳)」のがん患者の分析において、20歳以上39歳以下で女性がん患者の占める割合が大きい背景には、子宮頸がんと乳がんの増加が影響したと分析されています。ちなみに40代からは大腸がんが増えていきます。
がんの5年相対生存率は全体的に上昇しており、男女合計、全部位、全進行度で約62%です。
出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」
がんは一般的に、治療後5年間再発転移しないと完治とみなされています。女性に多い乳がんの5年生存率は90%を超え、子宮がんでも80%近くになっています。
膵臓癌のように生存率の低いがんもありますが、概ね70%前後の5年生存率となっており、がんは決して治らない病気ではなくなっていることがわかります。特に乳がんは早期発見ができれば完治する確率が高いがんと言われています。
もう一つ、性のがんで注意したいのが、子宮頸がんは上皮内新生物と診断される割合が約67%と高いことです。
上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内(組織の表層部分)にとどまっているもののことを言います。切除すればほぼ完治できるものであり、転移や再発の可能性もほとんどないと言われています。
上皮内新生物はいわば「がんの芽」であり、芽のうちに摘み取ることができれば治療は最小限で済むというわけです。
それに対し、悪性新生物は上皮の下の組織に浸潤しているものです。血液やリンパ液に乗って他の臓器へ転移する可能性があります。
上皮内新生物の場合、かかっても生命の危険は少ないため、治療費が高額になる可能性は低いです。そのため、がん保険も商品によっては上皮内新生物を悪性新生物とは同等に扱わない場合が多いので、注意してください。
上皮内新生物ががん保険で保障されなくても大きな問題はありません。しかし、女性がかかりやすい子宮頸がんでは上皮内新生物でも子宮全摘出をする場合もあります。ですから、できれば女性には上皮内新生物の保障があったほうがいいのではないでしょうか。
以上、女性がかかりやすいがんの特徴は以下の通りです。
がん保険の加入だけでなく、早期発見のために日頃から健康に留意した生活をすることも大切です。
では、これまでにわかったことを踏まえて実際にどのような保険を選べばよいかを考えていきましょう。
まず、女性がかかりやすいがんの治療について説明します。
女性がかかりやすいがんの上位である乳がんと子宮がんは、他のがんと同様に手術中心から「手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)」の3つの組み合わせが主流になりつつあります。
女性のがん保険で必要な保障は男性と女性で変わりはありません。使い道が自由な複数回支払われる一時金の診断給付金、特定のがんの治療のために支払われる抗がん剤・ホルモン剤・放射線治療への給付金があれば、長期化するがんの治療に対応できると考えます。
若いうちは収入も少ないし、資産もない場合がほとんどです。「せめてこれだけは」確保したい保障が上記の保障です。これらの保障を少ない負担で準備するとしたら、保険料の安い掛け捨て型に若いうちから入ることが合理的でしょう。
では、いよいよ具体的な女性におすすめのがん保険ランキングを発表します。
順位 | 保険会社 | 商品名 |
---|---|---|
1 | FWD富士生命 | 新がんベスト・ゴールドα |
2 | チューリッヒ生命 | 終身ガン治療保険プレミアムDX |
3 | 三井住友海上あいおい生命 | &LIFE ガン保険スマート |
4 | セコム損害保険 | メディコムワン |
5 | 東京海上日動あんしん生命 | がん診断保険R |
以下、それぞれのがん保険についての詳細を解説していきます。
主契約は悪性新生物診断給付金で、オプションのがん治療給付金特約で抗がん剤治療給付金・がん放射線治療給付金をセットにできます。上皮内新生物への診断給付金はオプションとなります。
女性がんケア特約で女性がん手術給付金と乳房再建術給付金がセットされ、女性特有のがんに備えることができます。
FWD富士生命生命の「新がんベスト・ゴールドα」は、ほとんどのがん保険ランキングで上位に選ばれる人気のある商品です。おすすめのポイントは次の2点です。
1つは、主契約の診断給付金が通院治療でも回数無制限で受け取れる点です。これは、入院しなくてもがんの治療が続いていればずっと一時金が受け取れるということを意味しています。
もう1点は、抗がん剤・ホルモン剤や放射線治療を受けた場合、治療給付金を回数無制限で受け取れるところです。しかも、再発予防を目的とする治療の場合でも受け取れます。
乳がんなどの長引く治療も安心して受けられる、まさに女性向けのがん保険です。診断給付金は悪性新生物のみ対象ですが、がん治療給付金特約では上皮内新生物も給付の対象となっています。
保障内容 | |
---|---|
基本保障 | 悪性新生物診断給付金(一時金100万円) |
オプション | 上皮内新生物診断給付金(一時金50万円) |
がん治療給付金特約(10万円/月) | |
がん先進医療特約 | |
女性がんケア特約(10万円/回) | |
30歳女性保険料 | 2,608円/月 |
若いうちから準備ししておけば比較的手ごろな保険料で充実した保障を得ることができます。治療費だけに関して言えば、この内容で賄えると思います。
上皮内新生物診断給付金と女性がんケア特約はどうしても必要というほどではありません。ただ、保険料がそれほど高くないので、できれば付けておきたいと考えました。
主契約は抗がん剤・ホルモン剤治療給付金と放射線治療給付金で、それらの給付額の倍額の自由診療抗がん剤・ホルモン剤治療給付金がセットされます。入院給付金、手術給付金、診断給付金などはすべてオプションになります。
チューリッヒ生命の「終身ガン治療保険プレミアムDX」も常にがん保険のランキング上位に選ばれる実力派です。がんを取り巻く医療環境の変化に対応し、抗がん剤給付金を主契約にしたユニークな商品です。
主契約のみというシンプルなプランからフル装備まで、目的に応じた柔軟なカスタマイズができます。若い女性が最低限の保障を格安の保険料で準備するのに適した商品です。
ただ、保険料が手ごろな半面、主契約の給付には限度があり、そこは多少の減点対象となります。
保障内容 | |
---|---|
主な保障 | 抗がん剤給付金(10万円/月) |
自由診療抗がん剤給付金(20万円/月) | |
オプション | 保険料払込免除 |
診断給付金(一時金100万円) | |
先進医療特約 | |
30歳女性保険料 | 2,701円/月 |
より保険料を安くしたい場合、診断給付金を50万円にすれば1,786円となります。
若い女性が支払いやすい保険料ながら、最低限の保障は確保できる内容ではないでしょうか。
主契約は従来型の入院給付金プラス手術給付金で、それぞれ支払いの限度はありません。入院は5日目まで入院日額の5日分支払われます。診断給付金、抗がん剤治療給付金、通院給付金、先進医療特約などがオプションになります。
この保険にはがんになったときに以降の保険料の払い込みが免除される「保険料払い込み免除」はありません。
「&LIFE ガン保険スマート」は2018年9月に販売がスタートした、今注目のがん保険です。最大のストロングポイントは診断給付金の受取りが1年に1回で給付回数無制限であることです。長期化するがんの治療に絶大な安心をもたらしてくれます。
抗がん剤特約には、健康保険適用の抗がん剤だけでなく、未承認でも厚生労働大臣が定める患者申出療養に該当する治療も対象になります。
(患者申出療養についての詳細は厚生労働省ホームページをご覧ください。)
ただ、2回目以降の診断給付金の受取り要件に入院が付くことと、抗がん剤特約の通算120月の制限は少し残念です。
保障内容 | |
---|---|
主な保障 | 入院日額(5,000円/日) |
オプション | 診断給付金(100万円/回) |
先進医療特約 | |
抗ガン剤給付金(10万円/月) | |
30歳女性保険料 | 2,708円/月 |
抗がん剤給付金の通算120月限度は残念ですが、診断給付金が年に1回受け取れるので、長期の治療にも十分対応できるでしょう。欠点の少ないがん保険だといえます。
補償内容はガン入院保険金とガン外来保険金です。入院での治療はかかった実費を無制限に補償します。通院での治療は5年ごとにかかった実費を1000万円まで補償します。保険期間は5年ごと90歳までの自動更新です。
「メディコムワン」はこのランキングでは唯一の損害保険、しかも乳がんになった人が加入する異色の保険です。がんになったことがある人が加入できる保険は他にもありますが、保障内容が十分でなく、おすすめできるものはありません。
ところが、「メディコムワン」はかかった治療費を全額補償してくれるため、再発・転移が心配な乳がん経験者にとっては検討に値する保険だといえます。
ただし、保険料は高いです。保険料は年齢、経験した乳がんのステージ、乳がんの手術日からの経過期間によって決まります。30歳で加入、乳がんステージⅠの手術日から1年6ヶ月後の場合で9,180円です。
保険料に関してはもともと割高ですが、更新型なので5年ごとに保険料が上がっていきます。また、この保険は自由診療による治療費も補償の対象となりますが、治療を受ける病院に「セコム損保の協定病院」などの条件があります。
もう1点、かかった治療費を補償とありますが、差額ベッド代は対象外です。
補償内容から考えると検討に値する保険だと言えます。ただ、やはり気になるのは保険料です。保険料が生活を圧迫するようなら加入しないほうがいいでしょう。
この保険は掛け捨てなので、加入したものの「やはりやめよう」と解約しても特に損はないので、とりあえず加入してみてもいいかもしれません。
主契約は診断給付金で、この部分の保険料の使わなかった分を70歳時に還付する仕組みになっています。入院給付金、治療給付金、通院給付金、先進医療特約、手術給付金などがオプションになります。
70歳以降は同じ保険料で継続もできますが、還付金を受け取って解約することもできます。この保険にはがんになったときに以降の保険料の払い込みが免除される「保険料払い込み免除」はありません。
「がん診断保険R」は払い込んだ保険料の使わなかった分が70歳になったら返ってくるという、特殊ながん保険です。東京海上日動あんしん生命の医療保険「メディカルKit R」と同じ仕組みのがん保険版です。
女性には「かかるか、かからないか分からないがんのために保険に入るのはもったいない」という考えの方がたくさんいます。そういう方に支持されているがん保険です。
掛け捨てでないため保険料は高くなりますが、一度もがんにならなかった場合はおトクになります。また、一通りの保障は揃っており、いざというときの女性のがんの治療にはきちんと役立ちます。
保障内容 | |
---|---|
主な保障 | 診断給付金(一時金100万円) |
オプション | 手術給付金(20万円/回) |
(抗がん剤)治療給付金(10万円/月) | |
がん先進医療特約 | |
70歳時健康還付金 | 1,512,000円 |
30歳女性保険料 | 4,081円/月 |
70歳時の健康還付金は診断給付金を受け取った場合、差し引かれます。70歳まで一度もがんにならなければ解約し、健康還付金を以後の医療費に充ててもよいでしょう。
女性のがんは乳がん、子宮がんなど女性特有のがんが多いこと、現在ではがんは治る病気であることが分かりました。
女性のがん治療に関しても、手術・放射線治療・抗がん剤治療の3つの治療の組み合わせが主流になっています。がん保険を選ぶときは、これらの保障に対応できるものをお選びください。
ご検討の際には、このランキングを参考にしていただけると幸いです。
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