- 連帯保証人契約は、他の人を連帯保証人にするなどによって解除できる場合があります。
- 勝手に連帯保証人にされた場合などは、連帯保証人契約自体が無効となるケースがあります。
- 連帯保証人契約は、1円でも返済した場合など解除できないケースがあるので注意が必要です。
公開日:2020年3月2日
連帯保証人になってしまった場合、自分以外の借金に苦しめられる可能性があります。できることなら連帯保証人契約は解除したいものですよね?そこでこの記事では、連帯保証人契約を無効にする方法と、できないパターンについて解説いたします。
連帯保証人は基本的に外せないという認識が必要ですので、まずは外せない具体的ケースから把握しておく必要があります。それだけに頼まれた際には慎重にならなければなりません。では、連帯保証人を外せないケースとは、具体的に以下のとおりです。
それぞれの内容を1つずつ見ていきましょう。
もしも連帯保証人が債権者に対して借金の返済をしてしまうと、連帯保証人契約の解除はできません。なぜなら、借金の返済をしたということは、自分が連帯保証人であると認めたことになるからです。
たとえ知らない間に結ばれた連帯保証契約であったとしても、返済してしまえば認めたことになります。よく分からない請求に対しては、安易に支払ってはいけません。ちゃんと中身を吟味してから支払いましょう。
人によっては、何らかの請求書が届いたら取り敢えず返しておこうとする人や、中身をしっかり読まずに支払う人がいます。しかし、これらのケースは単に余分な出費となるだけでなく、契約上大きな不利益を被る可能性があるのです。
連帯保証人の経済的理由で外れたいという人もいるでしょう。
「連帯保証人になった時には払える状況だったけれど、その後経済状況が悪化した場合」「債務者がちゃんと返済してくれると思って契約したけれど、借金がこちらに回ってきた場合」など、払いたくても払えない状況に陥る可能性もあります。
そもそも、経済事情というのは流動的ですので、いつどのようなタイミングで悪化するか分かりません。どうにもならなくたったら、さすがに連帯保証は免れると甘く考える人もいらっしゃるようですが、それでも連帯保証人は免れません。
このような状況の時には、合法的に借金を軽減してくれる「債務整理」を検討しましょう。
離婚によって連帯保証人から外れたいというケースはありがちです。夫の住宅ローン契約に対して妻が連帯保証人になっている場合には、離婚を機に連帯保証人契約を外したいと思うのは当然かもしれません。
しかし、残念ながら離婚理由で連帯保証人契約を外すことはできませんので、ほかの連帯保証人を立てるか、住宅ローン完済・借り換えなどで対処しましょう。
連帯保証契約自体が有効であったとしても、契約解除する手立てはあります。連帯保証人になってしまったら、主債務者と同等の債務を背負う可能性がありますので、逃げ道を把握した方が良いでしょう。ここでは、連帯保証人を解除する方法として以下を解説いたします。
債権者の同意を取りつけられれば、連帯保証から免れる可能性があります。連帯保証契約は、債務者が借金返済できなくなった場合に備える、債権者に対する保証であるため、債権者さえ同意してくれれば免除されるのです。
特に、残債が残り少なくなっていて、債権者にとっても影響のない額まで減っている場合は、同意してくれる可能性もあるでしょう。ただし、債権者が金融機関や貸金業などの企業の場合には、同意してくれる可能性は低いです。
担保を提供する場合にも、連帯保証人から外れられる可能性が高いです。先述したように連帯保証人が必要な理由は、債権者に対する返済保証です。逆に言うと、借金返済さえ保証されれば、わざわざ連帯保証人契約をする必要がありません。
借金返済の保証を連帯保証人という形ではなく、連帯保証人の不動産を担保にすれば済むわけです。ただし、連帯保証人を免れても、不動産を取られる可能性がありますので、効果が薄いと考える人も多いようです。1つの方法論として知っておきましょう。
自分以外の人に連帯保証人を代わってもらえれば、あなたは連帯保証人から外れることができます。借金の契約や賃貸契約などで、長期間契約が続く場合には、人間関係が変わってしまう可能性もあります。
契約当初は親密だった相手が、時間の経過とともに疎遠になった場合、連帯保証人をバトンタッチした方が適切でしょう。ただし、連帯保証人になりたがる人はなかなかいませんので、代わりが見つからないことが想定されます。
それでも手を挙げてくれる人がいれば、バトンタッチが可能です。もちろん、代わりの人に返済能力(信用力)が必要となります。手を挙げてくれる人が出てきたとしても、その人に返済能力がなければバトンタッチできないのです。
連帯保証人が死亡し、あなたが相続によって連帯保証を引き継がなければならない時には、相続放棄という手段があります。相続放棄とは、相続発生を知った日から3カ月以内に行う手続きで、家庭裁判所に申述します。
相続発生を知った日から3カ月が過ぎてしまうと、自動的に相続してしまうため注意が必要です。また、相続人全員の同意があれば、相続財産以上に借金を背負わない「限定承認」という方法もあります。
被相続人が連帯保証人になっていないか、ハッキリ分からない場合には、限定承認するのも良いでしょう。
連帯保証人契約の取消とは、最初は契約が効力を発揮しているものの、解除後は契約時に遡って無効となることを指します。無効と取消のニュアンスは微妙ですが、最初から契約がないものとされるのが無効、あとから無効となるのが取消です。
では、連帯保証人契約を取消できるのはどのような時でしょうか?以下にて具体的に紹介します。
騙されて連帯保証人になってしまった場合は、契約の取消が可能です。たとえば、債務者から潤沢に資金繰りができていると聞いていたのに、実際は破綻寸前だった場合などは、事実と異なるため契約解除とできる可能性が高いです。
連帯保証人に対して重要事項をしっかりと説明しなければなりませんので、このようなケースを「不実の告知」として、契約解除の根拠となります。また、詐欺などのケースでも契約の取消ができます。そもそも詐欺は犯罪行為です。犯罪行為の上に法的契約は成り立ちません。
脅されて連帯保証人にさせられた場合も取消が可能です。脅しというのは自由な意思決定を奪いますので、連帯保証契約を自分の意思でしたということにはなりません。脅してきた人に対して連帯保証契約の取消を書面にて通知しましょう。
ただし、脅しというのは脅迫罪に該当する可能性が高いですし、無理に契約させるというのは強要罪となる可能性が高いです。刑事事件に問われる内容である上、報復の可能性も否定できませんので、弁護士などの専門家に相談した方が良いでしょう。
未成年者による連帯保証契約は、親権者や成人になってからの本人が取消せます。ただし、成人になりすましたり、親権者の同意を取り付けているとの虚偽で行った契約は取消せません。
また、未成年者であっても結婚しているケースや、成人になってから5年過ぎているケース、親権者が本当に同意したケース、親権者や成人になってからの本人が後から認めたケースも取消は不可となります。
連帯保証人契約が無効になるとは、最初から契約が効力を発揮していないという状態です。たとえ契約した人同士で合意があったとしても、契約の効力はありません。では、連帯保証人契約が無効となるケースとして、以下を紹介します。
本人の意思に反して、勝手に連帯保証人にされていた場合には、その契約は無効となります。分かっていたら拒否していたであろう連帯保証人契約を、勝手に結ばれていればちゃんと無効となるのです。
たとえば、契約書のサインを偽造されたり、勝手に押印された場合や、親が勝手に契約した未成年の連帯保証の場合などは契約自体が無効です。連帯保証契約が無効だと主張するには、債権者に対して書面でその旨の連絡が必要です。内容証明郵便にて通知しましょう。
ただし、実印が押されている連帯保証契約の場合は不利となる可能性もあります。実印を勝手に押されたなどの主張が必要であることと、できれば弁護士などの専門家に相談しましょう。
専門家に相談する前に、素人が自己判断で当事者と話をするとこじれる場合もあります。特に、偽造や勝手な押印の場合、最初からあなたを軽視している可能性が高いです。悪質な状況が想定できますので、事情によりますが最初から専門家に相談すべきかもしれません。
勘違いによって連帯保証人になってしまったケースも、契約が無効となる可能性があります。勘違いで連帯保証人になった人に過失がないことが前提となりますが、勘違いしてしまってもおかしくない状況が認められれば、契約無効を勝ち取れるでしょう。
たとえば、数十万円程度の借金に対する連帯保証だと思っていたのに、実は数百万円の連帯保証だった場合などが該当します。
もちろん、このようなことも想定して契約すべきですが、あなたに落ち度がなければ無効の可能性はあります。このケースも、債権者に内容証明郵便にて通知しましょう。
根保証の場合には、契約更新しない旨を書面で通知することで、それ以降の契約が無効となります。というのも、根保証は5年を上限に契約期間が決められており、連帯保証人が通知しなければ自動更新となることが一般的です。
裏返して言えば、契約更新のタイミングで解除すれば、連帯保証人から解放されることになります。契約更新しない旨を内容証明郵便で通知しましょう。自動更新しないという選択のためには、契約期間をチェックしておく必要があります。
連帯保証人から外れたい場合には、外れられるにしても外れられないにしても、いくつかの注意点があります。特に、人間は感情の生き物ですので、感情面に気を付けなければなりません。ここではその注意点として以下を紹介します。
契約書面や通知書のほか、請求書などを廃棄したり紛失しないよう気を付けましょう。たとえば、連帯保証人契約を外したい場合は、契約書面が証拠と成り得ます。弁護士などの専門家に相談する際にも、各種書面があるとスムーズです。
また、あなたが連帯保証人でありながら死亡した場合、書面がなければ相続人たちが困ってしまいます。相続人は連帯保証契約の内容を精査すべきですし、そもそも連帯保証契約の有無も確認しなければなりません。そのためには契約書面や付随する書面は全て残しておく必要があります。
遺産相続において、相続人が弁護士から言われて、遺品整理に大あらわになることがあります。財産や借金がどれくらいあるのか分からずに苦労して調査するのです。
特に連帯保証人になった場合には、家族にも言えず、勝手になる人もいるようですので、相続人がそのことを知らずに連帯保証も相続してしまうこともあります。残された家族のためにも情報のシェアは重要です。
連帯保証人から外れたいケースでは、人間関係のトラブルとなる可能性があります。債務者の抵抗に遭ったり、連帯保証人が強引な態度で迫ったりなど、いずれにせよ感情的になってしまいがちです。
このようなケースでは、当事者同士の人間関係が崩壊した上、場合によっては周りの人も巻き込むこともあります。仕事上の付き合いに影響が出たり、友人関係が変わったりする可能性もありますので、感情的にならない対応が必要となります。
よく金の切れ目が縁の切れ目といいますが、とても後味の悪い関係破綻につながり、それが広がってしまわないよう気を付けましょう。
人間関係への影響としては、家族関係にも気を付けなければなりません。連帯保証人になってしまうと、家族にも多大な迷惑をかける可能性があるからです。あなたにとっては信頼できる相手の連帯保証だったとしても、家族からすると縁もゆかりもない相手です。
そのような相手の借金によって自分たちの生活が苦しめられると、不満が爆発しても仕方ありません。連帯保証人になったことによって家族が崩壊することもあり得ますので、家族関係も踏まえた上で連帯保証人になる必要があります。
既に連帯保証人になっているなら、なるべく外れる方向に持って行きましょう。
どうしても外れられず、債務者の焦げ付きで借金を被った場合には、冷静な金策が大切です。借金の全容と自分の財産を比較し、計画的な返済を行いましょう。急に降ってわいた借金に対応ができず、借金返済のために借金する人もいます。
しかし、慌てると判断を誤る可能性が高くなるでしょう。返せない場合には債務整理という手段もありますので、セイフティーネットは整っていると考えましょう。
連帯保証人契約は、他の人を連帯保証人にするなど解除できる場合があります。連帯保証人契約からどうしても外れたい場合には、解除方法をトライしましょう。
また、連帯保証人契約は、勝手に連帯保証人にされた場合など契約自体が無効となるケースがあるほか、騙されて連帯保証人になった契約を取消できるケースもあります。ただし、1円でも返済した場合など、解除できない場合もあるので注意が必要です。
債務整理の手続きは複雑で難しいため、債務整理のプロへ相談することが賢明です。まずは相談料無料で債務整理に強い弁護士事務所に相談してみるのがいいでしょう。
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