- 公務員がほかの会社に勤めたり会社を経営したりすることは法律にふれる可能性がある。
- 公共性のある仕事であれば副業は可能。
- 年収を増やすためには、投資信託などの資産運用が公務員の副業としておすすめ。
- 公務員が副業をするには注意すべき点もある。迷ったら上司に相談すること。
公開日:2020年6月20日
現在公務員として働いていて、「副業をしてみたい」と思っている人はいるでしょうか?何となく別の仕事をしてはいけないような雰囲気があって、なかなか実行に踏み切れませんよね。
実は、うまくやれば公務員であっても副業をする方法はあるんです!この記事では、公務員の副業の可否、人気の仕事、および注意点について述べていきます。お読みいただければ、副業をすることに前向きになれると思います。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも、公務員が副収入を得てはいけないのでしょうか?
巷では、何となく「公務員は副業禁止」という雰囲気が漂っています。しかし、個人の自由が守られているわが国において、このような一見人権の侵害とも思えることが許されるのでしょうか?本当に副収入を得てはいけないのでしょうか?
ということで、まずはそのあたりが具体的にどうなっているのかについて見ていくことにしましょう。
まずは、国家公務員の場合についてはどのようになっているでしょうか?
国家公務員法第103条では、国家公務員は会社の職を兼ねたり、営利企業を営むことが禁じられています。さらに国家公務員法第104条では、営利企業以外で職を兼ねる場合には、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可が必要と定められています。
つまり、国家公務員は企業で副業をすることはできないし、企業以外で副業をする際には申請の上許可が必要となります。そのほかにも、第99条~101条では信用を失ったり、業務に支障をきたすようなことをしたりしてはならないと書かれています。
では次に、地方公務員の場合を見てみましょう。地方公務員法第38条では、任命権者の許可なしに私企業に勤めたり私企業を経営してはならない、と定められています。つまり、許可なしに会社で働いたり会社を立ち上げたりしてはならない、ということになります。
では、もしも公務員がこうした法律に違反して、お金を儲けるために会社に勤めたり会社を作ったりするとどうなるのでしょうか?それは当然、「法律違反」となります。なので、発覚すると懲戒処分が下されることになります。実際に過去そうした事例もありました。
さて、先ほどの法律をよく眺めて下さい。もうお気づきでしょう、ほかの会社に勤めたり、会社を作ったりしなければ副業は禁じられていないのです!ただしもちろん、信用を失うようなことはしてはいけません。
つまり、決して個人の自由を奪っているのではなく、公務員としての信用を確保しているわけです。これは、「営利をむさぼる」のがいけないと読み替えることができるでしょう。
そして、最近では公共的な活動であれば本業以外で行っても可、とされています。要は公務員としての信用を失わなければ、別の仕事をしてもとがめられることはないわけです。ここにさえ気をつければ、大手を振って副収入を得られるというわけですね。
それでは、どのような副業をすべきでしょうか?
「公務員であるからには公共の福祉の増大になるようなボランティアの活動をして、お金は一銭ももらってはならない」といった清廉潔白な意見は、理想論としてはありなのかもしれません。
ただし、公務員だって人間であり生活があるわけで、副収入を得ることを目指しても悪いわけではないでしょう。ということで、ここでは公務員をめぐる副業の状況と、公務員でもできる人気の仕事について紹介していきます。
最近では、副業を積極的に解禁している自治体が見られるようになってきました。
あくまでも公共性や市の活性化を重視した活動が中心ではありますが、奈良県生駒市では2017年8月より副業が認められています。また、同様な取り組みは兵庫県神戸市にも見られます。今後は公共的な活動を中心に副収入を認める自治体も増えていくのではないでしょうか。
信用を失わない活動で、かつ副収入を増やすには下記の3つがおすすめです。
これらはいずれも投資ですが、個人が問題ない範囲で自らの資産を増やし、かつ投資で得た知見を間接的に本業に生かすということであれば、ある程度公共性も認められるでしょう。そもそも、自らのお金を出して企業を応援するのは、本来は社会に貢献する活動なのですから。
ということで、以下ではそれぞれの副業について説明していきます。
こちらは物件の取得に多額の金額が必要なことから、あまり多くの公務員の人に勧められるわけではありませんが、不動産を購入し良心的な運用をするのであれば住民の福祉の向上につながるでしょう。
もちろん、転売を繰り返して利益を得る、いわゆるキャピタルゲインなどは営利をむさぼるとして許されないでしょうが、家賃収入というインカムゲインであれば、適切な家賃設定であるかぎり許容されると考えられます。
ただし、年収500万円以上になってくると許可を得なければならなくなりますので注意しましょう。また、大規模に行ってしまうと事業とみなされて営利目的と判断されかねません。営利とみなされない範囲で投資を行いましょう。
株式投資も、公務員にできる投資の1つです。デイトレーダーのように短期的な売買を繰り返すのであれば営利目的と判断されるかもしれませんが、応援したい企業の株を買って長期間持ち続けるのであれば一種の社会奉仕と考えられるでしょう。
その見返りに配当や株主優待を得たところで、それはささやかな報酬といったところで咎められることもありません。ただし、もしも何らかの理由で株式を売却したら、確定申告をして相応する税金を払うようにしましょう。
副業で株式投資をすることについては、下記の記事をご覧ください。
そして、公務員にもっともおすすめできる副業は投資信託といえるでしょう。こちらは特定の企業に投資するのではなく、いろいろな企業に投資することになりますので、まさに社会奉仕であり、公共性も高いといえるでしょう。
また、公務員自身にとっても、長期的な資産形成という意味で自分自身にも営利ではないと納得できますし、周りにも認められやすいと思われます。
さらに、運用については投資のプロに任せる形になるので、投資の初心者でも始めやすいです。ただし、銘柄選びは慎重に行いましょう。
よほど確信がない限り、市場のトレンドに従うパッシブ運用の投資信託を選ぶようにして、信託報酬などの手数料がなるべく少ない商品を選んでおけばまず間違いはありません。こちらについても、もしも投資信託を売却したら確定申告をするようにしましょう。
副業の確定申告については、下記の記事をご覧ください。
公務員は先に述べたような法律での縛りがあるため、副業には人並み以上に慎重でありたいものです。派手な副収入を得たりして「営利目的では?」と疑われてしまってはよくありません。下手をすれば営利ビジネスをしているとみなされて、法律違反で懲戒ということにもなりかねません。
ということで、ここでは問題なく副業をするにはどうすればいいのかについて解説していきます。
副業のほうにあまりにも力を入れすぎて、ほとんどダブルワークのようになって土日でも働くといったことをしてしまうと、疲れが残って本業にも支障が出てしまいます。そうなってしまっては本末転倒ですね。
副収入を得るために無理をして働くようなことは避けて、余裕を持ってほどほどに活動するようにしましょう。そういう意味では、投資は自分が働くのではなくお金に働いてもらうわけですから、こうした疲れとは比較的縁遠いといえるでしょう。
とはいえ、FXなどのリスクの高い投資をする際には十分に注意が必要です。FXについては、利益を得るためには常時レートを見ておく必要があり、公務員の仕事を持ちながらではあまり時間を取ることができず不利になります。上手く損切をしていかないと大損をする可能性もあります。
また、あまりにも細かく売買をして利益を稼ぐと「営利目的では?」と見なされる危険もあります。ハイリスクハイリターンの投資は十分慎重に行うようにしましょう。
公共性の高い仕事を副業に選んでいるのであれば、特に問題はありません。ただし、公共の仕事と思って継続していると、いつのまにか営利が入っていることがあるので気をつけましょう。
例えば、公共性の高いテーマを選んで、情報提供のためにブログを書いていたとします。そのとき、サイト運営をする中でブログに広告を付けるようにしていると、いつの間にかアフィリエイトサイトになってしまい、広告収入が目当てになっていることがあります。
こうなってしまうと営利そのものですよね。一般に、公務員はアフィリエイト禁止になっています。十分に注意しましょう。
自分のしようとしている副業が事前の届け出が必要なものかどうか、あるいは営利活動なのかどうかについては、なかなか判断がつきにくいものです。そのように迷いが生じた場合には、思い切って上司に相談してみましょう。
上司にしてみると、部下に黙って副業をされて後で問題になるよりも、事前に相談をしてくれたほうが安心できるでしょう。それによって、あなたの評価が下がることはありません。
また、自分がどうしてもやりたいと思っている副業について相談をする際には、なぜやりたいのかについて事前に考えをまとめて上司を説得するシナリオを作っておくことをおすすめします。
公務員が副業をすることについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
公務員が企業に勤めたり会社を経営したりすることは、法律によって禁止されています。ただしそれ以外の公共性の高い仕事であれば、本業に支障をきたさず信用を失わない限り副業は可能です。
特に、投資信託などの投資については公務員にも取り組みやすい人気の副業になっています。また、公務員が副業をする際にはさまざまな注意事項があります。
公務員が副収入を得たいと考えることは、少しも道に外れたことではありません。さらに、公共性の高い仕事であれば解禁している自治体も出てきました。この流れは加速していくと考えられるため、勇気をもって副業にチャレンジしましょう!
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