- 学資保険は、教育費の貯蓄と保護者の万一の際に保障が得られる保険商品。
- 低金利の場合は、早期解約をすると元本割れすることもある。
- 教育環境が激変しているので、契約して安心せずに、他の商品にも目配りを。
公開日:2018年11月5日
赤ちゃんの誕生は、周りの人みんなが幸せになる素敵なことですね。
ご両親は、その子の将来に思いを馳せて、ワクワクすることでしょう。どんな友達と遊ぶのでしょうか。どんな学校で学ぶのでしょうか。
あれこれ想像すると、お父さんやお母さんはふと気が付かれるかと思います。「そうだ、教育費をどうしよう!」。
そんな皆さんと一緒に、教育費の備えとしてよく耳にする学資保険について、メリット・デメリットや他の金融商品と比べた際の長所などを見ていきましょう。
なお、学資保険にいつから加入するべきかお悩みの方は、こちらの記事をご覧ください。
目次
学資保険は、お子さんの学費が一番掛かる大学入学に備えるため、毎月の積立や一括納入で保護者が子供の学資を貯めていくというもの。また、貯蓄に向いているというだけではなく、保護者が万一の際には、その後の保険料の納入が免除されるという保障がついています。
保護者も人間ですから、事故に遭ったり、病気になったりして高度障害になったり、最悪亡くなることも考えられます。その際の保障があるというのは、保険商品である学資保険の大きな強みです。銀行預金や投資信託などにはないメリットと言えるでしょう。
一定期間の積立を経て運用し、お子さんが18歳くらいに満期を迎えるような設計をする学資保険が多いようです。契約時の金利や、運用成績によって、掛け金や受け取り金額が変わってくる商品もあります。
学資保険の契約に際して、備えなければならないお子さんの学費は、いったいいくらくらいかかるのでしょうか。次項で一緒に確認してみましょう。
学資保険を考える際に、お子さんの教育費は、ざっくりいくらくらい掛かるのか知りたいモノですね。公立がよいでしょうか。それとも「うちは絶対小学校から私立!」とそれぞれのご家庭で好みが別れるところだと思います。
それぞれのケースについて、頼りになる公的機関の統計から見てみましょう。幼稚園~高等学校は文部科学省の、ケタ違いに費用が掛かる大学は日本学生支援機構の統計をまとめてみました(四捨五入などがありますので、細かい数字が合わない際はご容赦ください)。
文部科学省が発表している、「平成28年度子供の学習費調査」を参考に表にまとめて見ました。“おおよその高等学校卒業までの合計”欄は、公立は全部公立で、私立は全て私立で通した平均の合計です。
実際は、「幼稚園は公立入れなくて私立だったけど、小学校からは公立」など、それぞれのケースで違ってくるかと思います。参考値とお考えください。
(円)/1年間
区分 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 233,947 | 482,392 |
小学校 | 322,310 | 1,528,237 |
中学校 | 478,554 | 1,326,933 |
高等学校 | 450,862 | 1,040,168 |
おおよその高等学校卒業までの合計 | 5,423,949
|
17,717,901
|
幼稚園~高校までとケタ違いに大きなお金が掛かるのが大学の学費です。文部科学省の平成29年度学校基本調査によると、大学(学部)進学率は52.6%で、過去最高でした。大学・短大・専門学校などの高等教育機関進学率は80.6%でこちらも過去最高。多くの高校生が上の学校へ進学するようです。
気になる学費は、国立大学の平均4年間合計で約600万円、私立大学の平均で約800万円と大きな金額になります。
区分 | 学費(通学費含む) | 生活費 | 4年間の合計 |
---|---|---|---|
国立 | 2,570,000 | 3,476,800 | 6,046,800 |
公立 | 2,645,200 | 3,080,400 | 5,725,600 |
私立 | 5,443,600 | 2,572,000 | 8,015,600 |
幼稚園から、大学卒業までの学費統計をご覧になっていかがでしょうか。最近は、「お子さん一人あたりの教育費は約1千万円から2千万円」と言われますが、統計的にも正しいようですね。幼稚園からオール公立で大学卒業までに1千万円超え、全部私立ですと2千5百万円を超えてきます。
「えー、こんな大金・・・うちの子は通えるかしら」「自分が通った頃より多くない?」と不安になられたかもしれません。また、最近は、世間の物価はデフレで下がり気味なのに、学費は高くなってきています。
そのため、救済策も充実してきました。各種奨学金も準備されていますし、2017年からは、国が給付型奨学金制度をスタートして、“学びたい学生”の後押しをしています。実際に大学生の51%が何らかの奨学金を利用して学んでいるようです(日本学生支援機構ホームページより)。
このマンションが買えそうな大金は、一度にいきなりは準備できそうもありません。一方で、一番お金が掛かる大学入学までは、お子さんが小さければ長い時間があります。しっかり計画して地道に準備すれば、教育資金はいつの間にか貯まっていきます。その手段の一つが学資保険です。学資保険の仕組みやメリットを次項で確認してみましょう。
大きな金額を準備する必要があるお子さんの学費。その準備の手段の一つが学資保険です。大きな金額の契約になりますので、メリット・デメリットをしっかり確認してから契約を検討しましょう。
また、今まで貯蓄の習慣のなかった人でも、毎月給与口座から引き落とすなどの設定をすれば、自動的にお金が貯まっていく仕組みができます。貯蓄入門商品としてオススメかもしれません。
大切な子供の学費ですから、滞りなく払い続けたいもの。しかし、家計が厳しい時もあるでしょう。そんな際も、多くの家庭で「学資保険だけは手をつけない」と別格扱いが多いようです。
この別枠感、多くのご家庭が経験されていまして、「家計が苦しい際に家族で相談したが、学資保険だけは解約せずに残した」という意見が多数派です。教育費は子供の将来の大事な備え。この点も、“預金や投資とは別枠”とキッパリ特別扱いができ、しっかり貯めていけるメリットと言えるでしょう。
学資保険の大きな安心材料が、この保護者の万一の際への備えです。高度障害や重病なども含む契約もありますので、各社の学資保険を比べて見ることをお勧めします。
「子供の学費が貯められて、しかも保護者の保証までついてくるなんて、素晴らしいわね!」そうなんです。素晴らしい商品ですが、学資保険にデメリットはないのでしょうか。
学資保険も保険商品なので、貯蓄や投資と違って、一定の手数料がかかっています。
現在はあいにく金利がとても低い状態なので、契約してから日が浅いうちに解約してしまうと、解約手数料がとても高いものになってしまいます。
大手保険会社の保険商品の手数料が高いことは有名ですが、学資保険も同じような設計になっています。
このデメリットをよく考えて、学資保険を契約する際には、解約しなくて済むような毎月払える金額を設定することをお勧めします。
また、最近は金利が低くなっているので、投資商品としての旨味(うまみ)はあまりありません。
というのも、昭和の高度経済成長期の頃は、普通預金金利が年率7%台のこともあったのです。
その頃の学資保険は掛け金がとても安く、大きな補償を得ることができました。最近の超低金利状態ではそのような恩恵は望めません。
それでも、保険会社各社の懸命の努力で、長期金利を上回る運用成績を上げる学資保険は数多くあります。なるべく運用成績のよい会社と契約したいですね。
保護者の万一の際の保障を除けば、長期金利より運用成績が悪いなら、国債を買った方が安定して有利に運用できます。
学資保険から離れて少し大きな視点に立ちますと、教育環境の激変も見逃せません。世界の有名大学がインターネットを使って無料講座を発信したり、国内でも、2017年から政府による給付型の奨学金がスタートしたり、教育をめぐる環境がこれからどうなっていくか、誰にも予想がつかないような状態です。
お子さんが元気に18歳になる頃を夢見て、無理のない範囲で積立型の学資保険に加入することは、大きな安心になります。
保険料負担が増えた分、家計の見直しをすることが必要となり、「我が家にぴったりのお金の使い方」を考えるよいきっかけとなることでしょう。
一方で、機械的に積み立てするだけではなく、我が子を取り巻く環境の変化に目配りをしたいところです。投資の勉強にもなりますので、ご家族で検討されてはいかがでしょうか。
子供の学費を貯められて、保護者の万一の際には払い込みがいらなくなる保障がついている学資保険。学費を貯めたい際には、頼りになる存在です。一方で、現在の低金利では投資商品としての魅力はそこそこ。他の教育費を得る方法もあわせて検討しましょう。
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