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がん保険掛け捨てタイプの特徴(メリット・デメリット)や商品を分かりやすくご紹介

がん保険掛け捨てタイプの特徴(メリット・デメリット)や商品を分かりやすくご紹介

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岩崎真明

岩崎真明

CFP(日本FP協会認定)、一級FP技能士、証券アナリスト(日本CFA兼CIIA)

独立系ファイナンシャルプランナー、CFP歴20年の資格保持者です。現在は独立系FP会社の代表として、外資系金融機関に勤務した経験も活かしつつ、幅広い金融知識を簡単にわかりやすくお伝えし、ご相談者の生活に役立てていただく相談業務を中心に活動しています。保険のセールスを一切行わないという真にお客様の立場での保険相談業務にも定評があります。

この記事のポイント

  • がん保険掛け捨てタイプのメリット:保険料負担を抑えながら、必要な保障が得られる
  • がん保険掛け捨てタイプのデメリット:保険期間が終わった時や保険をやめる時に戻されるお金が無いか、あってもごくわずか
  • 「掛け捨て」ではないタイプの商品もあり、一定の年齢まで継続すると払込保険料総額の8割程度が支払われる。その代わりに保険料は「掛け捨て」タイプよりも割高

現在のがん保険は「掛け捨て」タイプの商品が多いと言われています。「掛け捨て」と聞くとなんだか損をするようなイメージをお持ちの方も多いでしょう。逆に「掛け捨て」ではないタイプの商品はあるのでしょうか?

今回はがん保険の「掛け捨て」について分かりやすく説明していきたいと思います。

 

そもそも保険商品での「掛け捨て」とはどういう意味?

生命保険や生命保険の商品についてネットで調べていると、「掛け捨て」という言葉に出会うことが多いと思います。

がん保険も含まれる生命保険でいうところの「掛け捨て」とはどういうことを意味しているのでしょうか?

「掛け捨て」とは、保険の終わる時(満了する時)に、「掛け」たお金が戻ってこない、すなわち掛け金とも言われる保険料が、満期金となって戻ってこない、ということです。言い換えれば、貯蓄ではない、ということになります。

また「掛け捨て」には、保険の終わる時ではなく、途中で保険をやめる時にも、返戻金が無い、という意味でも使われることがあります。

まとめると、「掛け捨て」とは、自分が支払った保険料が、保険の終わる時や保険を途中でやめる時に、満期金や返戻金という形でお金が戻ってこないことであり、貯蓄性がない、ということになります。

したがって、「掛け捨て」のがん保険とは、保険の終わる時や途中でやめる時に、加入者にお金が返ってこない商品ということになります。

反対に、積立型がん保険について詳しく知りたい方は以下記事をご覧ください。

 

がん保険掛け捨てタイプの特徴

がん保険掛け捨てタイプのメリット

「掛け捨て」と聞くとなんだか損をするようなイメージを持たれる方が多いですが、本当に「掛け捨て」は損をする、ということなのでしょうか?

そんなことはありません。「掛け捨て」ということは、がん保障に必要な分だけの掛け金を払っている(保険料を負担している)ということです。「掛け捨て」られたわけではなく、がん保障にしっかりと充当されているわけです。

結果、必要以上の保険料を支払いませんので、同じ保障を用意するなら、保険料の負担が軽いということが出来ます。

 

がん保険掛け捨てタイプのデメリット

保険期間が終わった時(保険期間満了時)や保険をやめる時(解約時)に、保険の加入者に払い戻されるお金がないかったり、あってもごくわずかであることです。

 

実際にある「がん保険掛け捨てタイプ」商品の金額や保証内容を確認

では、がん保険の「掛け捨て」タイプにはどのような商品があるのでしょうか?具体的な商品を取り上げて確認していきましょう。

 

「掛け捨て」のがん保険:定期型

まず最初に紹介するのは、定期型の「掛け捨て」がん保険である、東京海上日動あんしん生命の「がん治療支援保険NEO(10年タイプ)」です。

東京海上日動あんしん生命「がん治療支援保険NEO(10年タイプ)

10年タイプということは、10年間という一定期間だけ、がんの保障をする、ということになります。これを「定期型」の商品といいます。

そして、この商品は10年間経過して、保険の終わる時には満期金がありません。また途中で解約した時も返戻金はありません。まさに「掛け捨て」の商品です

保障内容を確認しましょう。

 

<がん治療支援保険NEO(10年タイプ)>

・保険期間:10年
・保険料払込期間:10年
・月払保険料(30歳女性):1,582円

診断給付金 1回 100万円
入院給付金 1日につき1万円 1日につき 1万円
手術給付金(放射線治療含む) 1回につき 20万円
通院給付金 1日につき 1万円

今回のケースでは、30歳女性の月払保険料は1,582円となっています。のちほどご紹介する「掛け捨て」ではない貯蓄性のある商品(がん診断保険R)で同じ30歳女性の保険料は4,030円ですから、「掛け捨て」タイプの保険料負担の軽さがお分かりいただけると思います。

 

「掛け捨て」のがん保険:終身型

では次に、終身型のがん保険を考えてみましょう。

保険期間が10年間などを「定期型」と呼ぶのに対して、「終身型」というのは、一生涯の期間、すなわち亡くなるまでがんの保障をしてくれる、という商品です。また、保険料も一生涯にわたって払い続ける必要があります。

こちらも具体的な商品を取り上げて確認していきましょう。紹介するのは、先ほどと同じ東京海上日動あんしん生命の「がん治療支援保険NEO(終身タイプ)」です。

 

<がん治療支援保険NEO(終身タイプ)>

・保険期間:終身
・保険料払込期間:終身
・月払保険料(30歳女性):2,975円

診断給付金 1回 100万円
入院給付金 1日につき1万円 1日につき 1万円
手術給付金(放射線治療含む) 1回につき 20万円
通院給付金 1日につき 1万円
悪性新生物保険料払込免除特則 保険料支払免除

保障内容は先ほどの10年タイプとほぼ同じですが、1点だけ重要な相違点があります。それは保険料支払免除の機能がついているということです。

10年タイプと異なり、終身タイプは長期間の保障となり、保険料も長期に支払っていくことになります。がんに罹患した以降は、保険料払込負担を軽減するという意図から、以後の保険料支払いを免除するという保障が付いています。

こちらの商品は、途中で保険をやめる時には、返戻金が無いか、あってもごくわずかです。したがって、終身型(保険期間および保険料払込期間が終身)の商品も「掛け捨て」タイプに分類されるのです。

 

逆に「掛け捨てではない」がん保険の金額や保証内容を確認

では、がん保険で「掛け捨て」ではない商品はないのでしょうか?実は、がん保険にも「掛け捨て」ではない商品はあります。ここではそうした商品を紹介していきましょう。

 

貯蓄性のある「がん保険」

先ほどの「掛け捨て」商品との比較を容易にするため、再度東京海上日動あんしん生命の商品に登場してもらいましょう。「がん診断保険R」です。まずは保障内容を確認してみましょう。

東京海上日動あんしん生命 がん診断保険R

 

<がん診断保険R>

・保険期間:終身
・保険料払込期間:終身
・月払保険料(30歳女性):4,030円

診断給付金 1回 100万円
入院給付金 1日につき1万円 1日につき 1万円
手術給付金(放射線治療含む) 1回につき 20万円
通院給付金 1日につき 1万円
健康還付給付金(注) 151万2千円

(注)70歳までの払込保険料から、それまでに支払った診断給付金(100万円)を差し引いた金額をお受け取りいただけます。

保障内容をご覧になってお分かりの通り、健康還付給付金が貯蓄性の部分になります

もし、がんにならずに70歳まで継続したとすると、151万2千円が支払われる、ということになります。(その後も保険は継続となります。)

仮に70歳までにがんになって診断給付金100万円をすでに受け取っていたとしたら、健康還付給付金は51万2千円となります。

30歳から70歳まで毎月4,030円を支払うと総払込保険料は1,934,400円となりますので151万2千円を受け取るとしたら、割合は78.2%、約8割が戻ってくる、ということになります。

 

まとめ

がん保険は「掛け捨て」タイプが多いと言われていますが、「掛け捨て」にはどのような特徴(良い点と注意点)があるのかを確認してみました。

「掛け捨て」というと損をする、というようなイメージが先行しますが、「掛け捨て」にしたことで、毎月の保険料の支払い負担を軽減できるのは、「掛け捨て」の良いポイントです。・掛け捨てだからといって損するというイメージではなく、保険料負担を抑えながら、必要な保障が得られるというメリットは大きいのです。

逆に注意点は「掛け捨て」の言葉通り、保険期間が終わった時(保険期間満了時)や保険をやめる時(解約時)に、保険の加入者に払い戻されるお金がないかったり、あってもごくわずかであることです。

一方で「掛け捨て」ではないタイプの商品もあります。70歳など一定の年齢まで継続した時に健康還付給付金というような名称で、払込保険料総額の8割程度が支払われる商品がその一例です。その代わりに保険料が「掛け捨て」タイプの商品よりも割高になっています。

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