- 死亡保険には2つの代表的商品「定期保険」「終身保険」がある
- 定期保険は終身保険と比較すると保険料を安く抑えることが出来る半面、途中で解約したときや満期のときにお金は戻ってきません。また一生涯の保障ではありません。
- 定期保険同士の比較では保険期間が長くなればなるほど保険料が高くなりますが、一定期間保障を続けるのであれば短い保険期間で更新するより当初からその保険期間で加入したほうが結果的にトータル保険料は安く抑えることができます。
公開日:2019年2月18日
掛け捨てタイプの死亡保険とは具体的にどのような生命保険なのでしょうか?
掛け捨てという言葉ばかりが先行してしまいがちになりますが、どういった特徴を持つ生命保険なのかがよく理解されていないこともあるようです。
今回は掛け捨てタイプの死亡保険についてわかりやすく説明していきたいと思います。
まず最初に死亡保険について説明していきたいと思います。
死亡保険とは生命保険の一種類で、保険をかけられた方が亡くなった場合に死亡保険金が受取人に支払われる保険種類のことです。
最近の生命保険は様々な保険種類が販売されており、一つの商品の中に様々な保障が組み込まれているものもありますが、死亡保険金が支払われるという保障があるのであれば、死亡保険の要素があるということができます。
そうした数多く種類のある生命保険のなかで、死亡保障のみに保障が絞られた生命保険もあります。それが死亡保険の代表的商品である定期保険と終身保険です。
定期保険と終身保険、どちらが掛け捨てタイプの死亡保険かというと、それは定期保険です(※一部(100歳満了定期保険など)を除く)。
掛け捨てとは中途解約や満期の時に、支払った保険料が戻ってこないことを意味します。したがって、この定期保険を解約したり満期になったりした際には解約返戻金(払戻金)や満期金はない、ということになるのです。
終身保険に関する詳しい説明は「終身保険とはどのような生命保険?契約加入する前に考えていただきたいポイントをまとめて紹介」をご覧下さい。
それでは掛け捨てタイプの死亡保険である定期保険について詳しくみていきましょう。
定期保険の特徴をよりよく理解していただくために、まずは貯蓄・積立タイプの死亡保険である終身保険と比較していきましょう。そして次に定期保険の中での違いについて説明をしていきます。
では定期保険と終身保険のそれぞれの具体例として実際に販売されている商品を紹介しましょう。ともにオリックス生命の商品で、定期保険がBridge(ブリッジ)、終身保険がRISE(ライズ)です。両商品の概要と特徴を以下の通り比較表で確認しましょう。
定期保険 | 終身保険 | |
---|---|---|
商品名 | Bridge(ブリッジ) | RISE(ライズ) |
保険会社 | オリックス生命 | オリックス生命 |
死亡保険金額 | 1,000万円 | 1,000万円 |
保険期間 | 10年 | 終身 |
保険料払込期間 | 10年 | 60歳 |
月払保険料(30歳女性) | 945円 | 20,760円 |
月払保険料推移(30〜39歳) | 945円 | 20,760円 |
月払保険料推移(40〜49歳) | 1,600円 | 20,760円 |
月払保険料推移(50〜59歳) | 2,873円 | 20,760円 |
払込保険料総額(見込) | 650,160円 | 7,473,600円 |
中途解約の返戻金や満期金 | 無し | 解約返戻金あり(ただし60歳で保険料の払込が終わるまでは返戻金が抑制されている) |
商品リンク | 商品リンク | 商品リンク |
いずれも死亡保障として1,000万円を設定していますが、最大の特徴は保険料の違いです。
定期保険Bridge(ブリッジ)が30歳女性で毎月945円であるのに対して、終身保険RISE(ライズ)は20,760円となっています。
トータルの保険料負担である払込保険料総額で比較してもその差は歴然としています。(保険料負担期間を同一で比較するために、定期保険は60歳まで2回自動更新をしたという設定です。)
ただし、定期保険Bridge(ブリッジ)は保険料が格段に安い分、途中で解約した時や満期(更新するタイミング)での解約返戻金や満期金はありません。まさに掛け捨てなので、そうした戻ってくるお金はないのです。
一方で貯蓄・積立タイプの死亡保険である終身保険RISE(ライズ)には解約返戻金があります。特に60歳で保険料の払い込みを終えた後は、払込保険料総額の9割以上が解約した場合に戻ってくるという仕組みになっています。
こうしたことから掛け捨てタイプの死亡保険である定期保険は、保険料負担を抑えながら、一定期間だけ必要な死亡保障が準備出来る保険であるといえます。
また、当然ながら定期保険という名称のとおり、定期保険は一定期間だけ死亡保障がある保険であり満期(※)があります。そして繰り返しになりますが、満期といっても保障が終わるということだけであり、満期金などの戻ってくるお金はありません。
これに対して貯蓄・積立タイプの死亡保険である終身保険はその名の通り一生涯にわたって保障が続きます。
(※)定期保険の中には超長期定期保険という名称で99歳満了や100歳満了といった実質終身保険と同様の性質を持つ定期保険もあります。ただし掛け捨てタイプの死亡保険ではないため本記事では触れておりません。
次に、掛け捨てタイプの死亡保険である定期保険における保険期間の違いによる特徴をみていきましょう。
保険期間が1年の定期保険には、楽天生命のスーパー定期保険を具体例としてご紹介し、保険期間が10年と20年の定期保険には、先程と同様にオリックス生命の定期保険Bridge(ブリッジ)を具体例にして比較表を作成しました。
定期保険 | |||
---|---|---|---|
保険期間 | 1年 | 10年 | 20年 |
商品名 | スーパー定期保険 | Bridge(ブリッジ) | Bridge(ブリッジ) |
保険会社 | 楽天生命 | オリックス生命 | オリックス生命 |
死亡保険金額 | 1,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
月払保険料
(30歳女性) |
710円 | 945円 | 1,181円 |
保険料推移 | 30〜34歳710円
35〜39歳1,010円 40〜44歳1,300円 45〜49歳1,910円 |
30〜39歳945円
40〜49歳1,600円 |
30〜49歳1,181円 |
払込保険料総額 | 295,800円 | 305,400円 | 283,440円 |
商品リンク | 商品リンク | 商品リンク |
まず最初に確認できることは、保険期間が1年から10年、20年と長くなるにしたがって月払保険料が少しずつ高くなっていることです。
これは、年齢が高くなるほど少しずつ死亡リスクが上がっていくため、30歳からの1年間だけなのか、20年間なのかでそのリスクに違いがあり、20年間の定期保険のほうがより高いリスクを必要とするために保険料が高くなるのです。
しかし次に気をつける点は、同じ期間だけ継続したと仮定したときには結論が違ってきます。
保険期間1年のスーパー定期保険を20年間続けた場合の払込保険料総額は295,800円に対して、保険期間20年の定期保険Bridge(ブリッジ)の払込保険料総額は283,440円で安くなっているのです。
もちろん保険会社が異なるので厳密な比較ではありませんが、オリックス生命の保険期間10年と20年で比較しても、保険期間10年の定期保険Bridge(ブリッジ)の払込保険料総額は305,400円となり、保険期間20年の定期保険Bridge(ブリッジ)のほうが払込保険料総額283,440円となり安くなっているのです。
ここからいえることは、当面の短い期間(1年~数年)だけ死亡保障が必要であるという方には保険期間1年の定期保険が適していると思いますが、10年以上にわたって死亡保障が必要という場合にはその期間に応じた定期保険に当初から加入するほうがトータルで考えると保険料負担が軽くなるのです。
掛け捨てタイプの死亡保険である「定期保険」は、貯蓄・積立タイプの死亡保険である「終身保険」と比較すると保険料を安く抑えることが出来るのが最大の特徴です。
その一方で、定期保険を途中で解約した場合や満期を迎えた場合には、返戻金や満期金といった戻ってくるお金はありません。
また定期保険という名称の通り死亡保障される期間が定まっており、終身保険のような一生涯の保障ではありません。
定期保険の中で比較をすると、保険期間が長くなればなるほど保険料が高くなります。しかしながら10年以上など一定期間保障を続けるのであれば、1年というような短い保険期間で更新を続けるよりも、当初からその保険期間で加入したほうが結果的に払込保険料総額を安く抑えることができます。