公開日:2019年7月10日
本記事ではイオン銀行の投資信託人気ランキング上位のファンドを筆者が考察します。また、最後に筆者の考えるイオン銀行の投資信託の「おすすめ銘柄」をランキング形式でご紹介します。(※各数字およびランキング内容は記事執筆時点の内容です。)
目次
それでは、イオン銀行の月間購入件数ランキングを見てみましょう。多数あるラインナップの中から多くの方が選んだ銘柄(評判の高い銘柄)は、このようになっていました(取材時)。
ランキング | 名称 | 対象 | 信託報酬(持っている間にかかるお金/年率) | 買うときにかかるお金 | 売るときにかかるお金 |
---|---|---|---|---|---|
5位 | ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型) | 世界株 | 1.7% | ゼロ | ゼロ |
4位 | 野村 インデックスファンド・日経225『愛称:Funds-i 日経225』 | 国内株 | 0.43% | ゼロ | ゼロ |
3位 | iFree日経225インデックス | 国内株 | 0.15% | ゼロ | ゼロ |
2位 | 日経225ノーロードオープン | 国内株 | 0.86% | ゼロ | ゼロ |
1位 | SBI 日本株4.3ブル | 国内株(先物) | 0.95% | 2.16% | ゼロ |
イオン銀行の人気投資信託ランキング5位の「ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)」は、日本を含む世界の株式に広く投資をすることを目的としている投資信託です。また、毎月分配金も支払われます。初心者の方に大変な人気のあるタイプが毎月分配型です。
それでは、イオン銀行の人気投資信託ランキング2位~4位までを見てみましょう。
2位~4位までは、いずれも次の共通点があります。
イオン銀行の人気投資信託ランキング2位~4位までが株式主体のインデックス型投資信託であることには、筆者としては大変共感できます。なぜなら、資産運用を考えた場合には、合理的な投資対象は以下のような点が欠かせないからです。
上記の理由をとてもコンパクトに解説します。
「手数料は運用成績を押し下げるだけなので手数料は引く方が良い」「債券はローリターンなので、同じお金で投資をした場合の期待収益額が株式と比べて低い」「市場平均は世界中の機関投資家(専門家)の平均なので、長期的に見るほどに市場平均を超え続けることが難しい」という理由です。
詳細な解説は下記関連記事をご覧いただければ幸いです。
取材時のイオン銀行の人気投資信託ランキング1位の銘柄は「SBI 日本株4.3ブル」という投資信託です。これはどのようなものなのでしょうか。イオン銀行のサイト説明によると、国内株式市場のおおむね4.3倍になる投資成果を目指すもの、という内容が記載されています。
この名称「SBI 日本株4.3ブル」 の「ブル」とは何でしょうか?このブルとは牛のことです。牛というのは相手を攻撃するときに、角を下から刺し、上に放り上げるそうです(見たことはありませんが)。
その動き(下から上)を指して金融の世界では、ブルと名がつく投資信託は「対象の数倍の値動きをすることを目指す投資信託」を指すことが一般的です(てこの意のレバレッジともいう)。
ちなみに、何倍動くかも種類によって異なります。この「SBI 日本株4.3ブル」は日本株式市場の4.3倍の値動きをすることを目指しています。
このブル型の投資信託は前述のように、対象の株式市場などが上昇すると数倍の値動きをします。大変に乱暴に言うと、株式市場が上がる前に仕込んでおいて、高くなった時に売却すると通常よりも大きな利益が得られる、というものです。
ちなみにこの投資信託は、以下のような費用がかかります。
以上5本の投資信託人気ランキングのラインナップをざっくりと見て参りました。ただ、どのようなランキングであっても、基本的に「ほとんどあてにならない」という風に考えておくことが重要かと思います。
何しろ投資信託を含め、どのような金融商品であっても、過去の値動きは未来を予測するのに役に立たないからです。また、上位に来ているものが必ずしも投資家にとって有利なものとは限りません。
それでは5位の「ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型)」から見ていきましょう。結論から申しますと、筆者はこの「毎月分配型」という種類の投資信託は中身がどのようであれ、個人の資産形成に不向きであると考えています。
なぜでしょうか。それは、分配金と呼ばれるお金を「毎月受け取れてしまう」ことに原因があります。分配金は利益のこともありますが、運用がうまく行かない時は自分の投資したお金が戻ってくる仕組みです。そのため、長期的に見ると資産形成がうまく行きません。
わかりやすく言うと、無駄が多いのです。合理的な資産形成とは時間経過とともに利益が利益を生み、雪だるま式に大きくなっていくことを目指します。
しかし、分配金を毎月受取れてしまうということは、せっかくのお金を大きくするチャンスを失うことになります。雪だるまが次第に小さくなってしまうのです。
毎月分配型のデメリットについては下記記事に詳しく記してありますので、ご興味のある方はご一読いただければ幸いです。
ランキング2位~4位までは、インデックス型の投資信託なので、個人的には合理的だと思います。
2位:日経225ノーロードオープン
3位:iFree日経225インデックス
4位:野村 インデックスファンド・日経225『愛称:Funds-i 日経225』
突然ですが問題です。
上記3つの投資信託は「連動を目指す指標が同じ・いずれもインデックス型投資信託」という共通点がありますが、3つのうちどれが理論上合理的でしょうか?
筆者の考える正解は3位の「iFree日経225インデックス」です。なぜでしょうか。それは、3つの中で唯一、持っている間にかかる費用が0.1%台だからです。他の2つは0.4%台、0.8%台とともに高い数値です。
同じ日経平均株価に連動することを目指すインデックス型投資信託なら、表面的な運用成果は同じになると考えられます。そして、実質的な運用成果はコストがかかる分だけ下がります。
つまり、仮に平均リターン(年率)が3%なら、次のようになります。
極端に言うと、まったく同じ内容でも名前とコストが違うだけで運用成果に差が出てしまいます。同じ投資対象とインデックス型投資信託であるならば、名前やランキングで選ばずにコストで選ぶことが合理的だと考えます。
また、2位~4位までに国内株式のインデックス型投資信託が固まっているのも少し偏りがある気がします。国内株式が悪いわけではありませんが、同じ値動きをするものばかりを選んでも分散効果はそれ以上生まれません。
どこの国でも自国の株式や債券を多く保有したがる、という考え方の偏り(自国バイアス)があることが知られていますが、これには注意が必要です。
分散投資の効果(リスクを低減させる)をより有効に発揮させるためには、日本株式のみならず、先進国株式も保有することが重要だと考えます。
1位の「SBI 日本株4.3ブル」について見てみましょう。これは「投資」には向きません。「投機」向きの商品です。(※投機が悪いわけではありません。投資とは違うという性質の解説です。)
投機がしたい方にはうってつけの金融商品と言えるでしょう。この商品には以下のようなデメリットがあります。
ブル型は対象の値動きを増幅したような値動きをします。そのため、対象が大きく値下がりすれば、大きく含み損を抱えます。つまり、リスク(値動きの幅)が大きいのです。
「でも、長期間保有していれば、いつか大儲けできるでしょう」という意見もあるかと思います。その可能性はあります。しかし、このブル型は中身が複雑な金融商品ですので、長期保有していると値動きが予期しない動きをすることがあります。
そのため短期的・投機的な運用方法になることが予想されます。しかし、短期的・投機的な運用は結果がランダム・ウォーカー(でたらめ)になります。
このような理由から、投資ではなく投機であり、それは老後のための資産形成・運用には向いていないと筆者は考えます。
ここでのおすすめとは、筆者が合理的だと考えるものです。個別銘柄を推奨する意図はありません。特に儲かるわけでもありませんし、損をしないわけでもありません。運用成果は市場次第です。
イオン銀行の投資信託ラインナップから筆者が選んだ銘柄は以下の5つです。
ランキング | 名称 | 投資対象 | 持っている間にかかるお金(年率) | 買う時と売るときにかかるお金 |
---|---|---|---|---|
5位 | iFree新興国株式インデックス | 新興国株式 | 0.37%(少し高いのが残念) | ゼロ |
4位 | iFree日経225インデックス | 国内株式 | 0.15% | ゼロ |
3位 | iFreeTOPIXインデックス | 国内株式 | 0.15% | ゼロ |
2位 | iFreeS&P500インデックス | 米国株式 | 0.24% | ゼロ |
1位 | iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし) | 先進国株式 | 0.21% | ゼロ |
いずれも次のような特徴があります。
上記のような投資信託を保有し、65歳や70歳などのお金が必要になる時期まで積立投資に徹するのが良いと筆者は考えます。
もちろんまとまった資金で行っても構いませんが、認知的なエラー(高いと買いたくなり、安いと売りたくなる)が起こりやすいので、何も考えなくてもよい積立投資に徹するのが良いやり方だと思います。
また、つみたてNISAという税制優遇口座を利用するのも重要です。運用結果を向上させようという意思があるのなら、「何もしない」で数十年間積立投資に徹するのが良いでしょう。
そうするだけで認知的なエラーを防ぎ、誰でも市場平均に近い運用成果を得られると考えられるからです。
本記事ではイオン銀行のおすすめ投資信託について考察してみました。本文内でも触れましたが、ランキングを過信するのは危険です。
「売れ筋ランキング」もそうですが、他に「トータルリターンランキング」「利回りランキング」「〇〇賞受賞ファンド一覧」などにも注意が必要です。
それらから探しても合理的な運用商品に出会うのは難しくなります。かえって「魅力的すぎる」投資信託に惑わされやすいでしょう。本記事が皆様の合理的な資産運用の一助になれば幸いです。