- インデックスとは、市場の賢い人々の平均のこと
- インデックス型投資信託のメリットは、世界中のプロの分析結果を低コストで利用できること
- インデックス型投資信託のおすすめの組み合わせは、株式主体であること
公開日:2019年4月4日
インデックス型投資信託を使えば、低コストで合理的な資産運用をしやすくなります。今回は、初心者の方にも良くわかるようにかみ砕いて、インデックス型投資信託の基本から解説していきます。
インデックスと聞くと難しい印象を受けますが、ポイントを理解するととても合理的な投資に近づきます。図解を交えながら見てみましょう。
投資信託の種類の中に、インデックス型と呼ばれるものがあります。大変乱暴に言いますと、インデックスファンドとは、各種指標に連動することを目的とする投資信託のことです。
ファンドと投資信託:本記事内のファンドとは、投資信託を指しています。より広義の意味ではみんなから集めたお金を運用する機関を指すこともあります。投資信託とは、複数の金融商品を入れた「大きな入れ物」のようなものだと直感的にイメージしていただければ、まずは良いかと思います。
※図表は筆者作成
そのインデックスというのは日本語にすると「指標(しひょう)・指数(しすう)」などとも呼ばれます。
指標というと、身近ではあまり聞かないので、少しわかりにくいかと思います。指標をイメージ的にとらえると「平均」のような存在が近いかと思います。
例えば、株式には株式の市場があります。ということは、その株式市場の値動きの平均のようなものが存在することになります。これが指標です。
世の中には様々な投資信託がありますが、多くはこの各種指標を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げています。
そのため、インデックスのことをベンチマークなどとも呼んだりします。
ベンチマークとは:測量の世界で使われる「基準」のようなもの。転じて、投資の世界では、「インデックス(指標)」を指すことが一般的。
インデックスとは、市場の平均のような存在。
先ほど述べましたように、投資信託には、各種指標(インデックス)を「超えよう」または「連動しよう」という目標を掲げているものに大別できます。
以下の図のようなイメージです。※図表は筆者作成
スタイル | 名称 |
---|---|
目標としている指標(インデックス)を超えようとする投資信託 | アクティブ型投資信託 |
目標としている指標(インデックス)に連動しようとする投資信託 | インデックス型投資信託 |
結論を先に言えば、理論上、投資において合理的だと考えられるものは目標としている指標(インデックス)に連動しようとするインデックス型投資信託だと考えられます。
合理的なのはインデックス型投資信託だと考えられる。
なぜ、インデックスに連動するスタイルのインデックス型投資信託が理論上、合理的だと考えられるのでしょうか?
例えば、ここにお金の神様がいるとします。神様が「世界中の投資家よ、頭が良くなれー」と魔法をかけたとします。途端にみんなが賢くなりました。
するとどうでしょう。世界中の投資家は、世界中の株式市場などで「割安な株式を買って、割高な株式を売る」という賢い行為を行います。
そうすると、それぞれの市場の平均であるインデックスが非常に効率的になります。※図解は筆者作成
現実の市場もおおむね効率的であると考えられる。
このように「市場の参加者がおおむね賢い」世界においては、平均を超えようとするアクティブ型よりも、平均に連動することを目的とするインデックス型の方が合理的になると考えられます。
なぜなら、みんなが賢いから、効率の良い平均点を超えにくいのです。
直感的なイメージとしては、みんなが頑張るから、自然と平均が良く(効率的に)なるイメージです。※図表は筆者作成
先ほどの神様のお話はあくまでも例えですが、現実の各市場も、世界中の金融機関の賢い人々によって見張られているので、「おおむね効率的であるだろう」と考えられます。このような考え方を効率的市場仮説と呼んだりもします。
効率的市場仮説:市場の参加者(機関投資家など)はみな賢いので、割安な株式などを買い、割高なものを売るはず。そして、彼ら機関投資家が優れていればいるほどに、それは市場平均(インデックス)が効率的になる、という考え方。
市場の参加者が賢い(あるいは同じような能力)の場合、市場の平均は効率的になる。つまり、アクティブ型が優れていればいるほど、それらの投資手法は通用しない、とも考えられる。つまり、現代の投資における最善策とは市場の平均に連動することではないか。
では、そんなインデックスには、どのような種類があるのでしょうか。
国内株式市場で代表的な指標と言えば、トピックスと日経平均株価が挙げられます。また、先進国株式のインデックスと言えば、MSCIコクサイインデックスが挙げられます。
どのような内容なのでしょうか。見てみましょう。
テレビやラジオのニュースの最後の方で「今日のトピックスと日経平均株価の数値」が発表されていますので、耳馴染みもあるかと思います。トピックスも日経平均株価も、いずれも国内株式市場のインデックスの一種です。
特徴だけをまとめてみましょう(表現は初心者向けであり、厳密には異なります)。
国内株式市場の代表的なインデックス | 中身 |
---|---|
トピックス | 東証一部上場企業およそ二千社の平均のようなもの |
日経平均株価 | 東証一部上場企業225社の平均のようなもの |
トピックスがおよそ二千社近い株式の市場平均であるのに対して、日経平均株価は、225社です。
しかし、およそ二百社にも分散をすると、理論上は分散投資がされているので、トピックスも日経平均株価も同じように推移することが知られています(もちろん、差はあります)。
もちろん、世界各国の株式市場にもそれぞれの市場平均があります。ということは、それらの各市場にインデックスがあります。また、それらのインデックスに対応する形のインデックス型投資信託もあります。
ここでは、重要な先進国株式のインデックスについて見てみましょう。
先進国株式の代表的なインデックス | 中身 |
---|---|
MSCIコクサイインデックス | 米国・英国などの先進国20か国以上の株式千数百社の平均のようなもの |
いわゆる外国(先進国)株式の投資信託と言えば、上記のMSCIコクサイインデックスに連動する(または超えようとする)投資信託を指すことが一般的です。
では、インデックス型の投資信託で投資をするメリットとは何でしょうか。また、おすすめの組み合わせ(ポートフォリオ)とはどのようなものだと考えられるでしょうか。
ポートフォリオ:金融商品の組み合わせを指すことが一般的。金融資産の組み合わせはアセットアロケーションと呼ぶが、本文内では混乱を防ぐために、ポートフォリオで統一します。
インデックス型投資信託での投資と、個別の株式投資の違いは、分散がしやすいかどうかです。
前述のように、インデックス型投資信託を選択すれば、多くの株式を保有したのと同じような効果が得られます。
もちろん、個別の株式を個人で数百銘柄ほど保有すれば同じような効果が得られるのですが、その場合は、大変に高額な資金が必要になってしまいます。
その点、インデックス型投資信託であれば、証券会社によっては数百円から分散投資が容易にできます。
インデックス型投資信託を選択すれば、個別の株式にピンポイント投資をするよりは理論上は合理的な分散投資ができていることになる。
基本的な利益の上げ方はシンプルです。
ちなみに、株式市場の値動きはランダム・ウォーカーですので、残念ながら、機動的に「タイミングを読んで、安く買って高く売る」ことで勝ち続けることは、できないと考えられます。
ランダム・ウォーカー:効率的な市場においては、みんながそれぞれに分析をして、効率的に売買を繰り返している。その結果として、通用する分析方法や運用手法があれば、皮肉なことに通用しなくなる。結果として、株式などの金融商品の値動きは「なにもない原っぱを酔っ払いがフラフラ歩く」ように、法則性がないものになってしまう、と考えられる。
そのため合理的な資産運用において大切なのは、短期的にタイミングを読んで「丁か半か」のバクチ的な行為をするのではありません。タイミングを読まずに、ひたすらに「長期×分散×積み立て投資」に徹することです。
インデックス型投資信託での投資において重要なことは、「長期分散積み立て投資」
インデックス型投資信託の大きなメリットの一つに「アクティブ型と比較するとコストが安い」ということが挙げられます。
具体的な数字としては、保有している間にかかる信託報酬と呼ばれるコストがモノにもよりますが、平均的には1%程度違う、と言われています。※図表は筆者作成
1%違う:運用において1%というのは、大変に大きな数値です。ここをきちんと下げられるかどうかが、長期では大きな差になると考えられます。ランダム・ウォーカーな市場では個人の頑張りで運用成績を上げることはできないと考えられます。私たち個人投資家にできることは、コストを下げることくらいです。
前述のように、インデックスというものは、市場平均です。そのためインデックス型投資信託を選ぶということは、世界中の機関投資家の採点の終わったテストをカンニングするようなものです。しかも、それを格安で。
インデックス型投資信託を選択すると、世界中のプロの運用成果を安いコストで拝借できるのと同じような効果が得られる。
デメリットとは少し違いますが、インデックス型投資信託は魔法ではないので、経済状態が悪い時はインデックス型投資信託であっても、長期間運用成績が悪くなります。
仮に私たちが今日からインデックス型投資信託で投資を初めても、数年間運用成績がマイナスかもしれません。
また、長期間行っても、数十年後に大きく株価などが下落した時(金融危機時など)に、慌てて売却をすると、マイナスになったり、それほど大きなリターンが結果として望めないことも十分に予想されます。
インデックス型投資信託でポートフォリオを組む際には、株式主体のインデックス型投資信託を選択することが理論上は重要だと考えられます。
一例を挙げると次のような感じです。※図表は筆者作成
中身 | 比率 |
---|---|
トピックス連動型 投資信託 | 40% |
MSCIコクサイインデックス連動型 投資信託 | 60% |
上記のような組み合わせはいわゆる、「株式が100%」の組み合わせです。
そして、この特徴はハイリスク・ハイリターンです。なぜこれがおすすめなのでしょうか。
それは、資産形成が目的だからです。
長期×分散×積み立て投資でできるだけ「お金を大きくすること」を目指すためです。ただ、あくまでも理論の上でのお話であり、未来は不透明です。そのため、これで絶対儲かる、とは言えません。
確かに、債券の入った投資信託を主体にすると、リスクは下がります。
また、バランス型と呼ばれる投資信託のように、株式や債券を入れた投資信託の場合、リターンは平均化され、リスクはより低減されます。
一見すると良いですし、理論上も優れていま。しかし、果たして本当に良いのでしょうか。
考え方によるので正解はありませんが、数十年間という、長期間お金を使う必要がない資産形成期(老後に備える期間)においてはできるだけお金を大きくすることこそが重要ではないでしょうか。
この点においては、正解はありません(ちなみにつみたてNISAでは株式主体のインデックス型投資信託がメイン)。ローリスク・ローリターンが良いか、ハイリスク・ハイリターンが良いかを決められるのは、投資家その人しかいないのではないでしょうか。
インデックス型投資信託を選択すると、自然と合理的な分散投資に近づきます。また、コストも安いので比較的「マシ」な資産運用に近づきます。インデックス型投資信託の中でも、長期×分散×積み立て投資において、より重要なのは国内外の株式のインデックス型投資信託だと考えられます。
本記事が皆様の資産形成の一助になれば幸いです。
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