- 自己破産は裁判所が認めない限りはできない。
- 自己破産を認めてもらうためには、裁判所へ提出する書類と面接の内容が重要。
- お金がなくても失敗しないためには、相談料・着手金無料の弁護士事務所へ。
公開日:2019年7月19日
「返済できないくらいの借金を抱えたら自己破産すればいい」そう安易に考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、自己破産はそんなに簡単にできるものではありません。裁判所が認めてくれないと自己破産をすることはできないのです。
自己破産を裁判所が認めてくれることを免責許可、裁判所が認めてくれないことを免責不許可と言いますが、免責許可になるケースと、免責不許可になるケースとはどのような場合なのでしょうか?
自己破産が成功する条件について解説していきます。
目次
冒頭で述べたように、自己破産は申請すれば100%できるわけではありません。
若い人の中には「困ったら自己破産すればいい」という意見が増えているようですが、誰でも自己破産ができるとは限らないのです。
自己破産は裁判所の許可が必要で、許可が降りない場合にはどんなに借金の返済に苦しんでいても自己破産ができないのです。
自己破産のおおよその流れは以下の通りです。
裁判所が破産手続開始決定をするためには、書類の提出と面接から、裁判所が「自己破産をする事由として妥当で、手続きにも不備がない」と判断する必要があります。
書類を不備なく提出できれば誰でも自己破産ができるわけではありません。
裁判所が自己破産を認めない場合には自己破産ができません。
例えば、債務のほとんどが税金などの非免責債権である場合など、自己破産をしてもそれほど意味がない場合は、自己破産をしてもその後に税金の支払義務が残ってしまいますので、この場合には「自己破産をする妥当性がない」と判断されて自己破産を認めてもらうことができません。
自己破産は裁判所に自己破産をすることを認めてもらえない限りは、自己破産をしたくてもできないのです。
自己破産で免責されて借金がゼロになるにはいくつかの要件があります。
書類的な条件と借金の状況や借金の理由などが裁判所にしっかりとチェックされ、裁判所が「自己破産すれば再起できる見込みがある」と判断された場合のみ、自己破産が可能になります。
自己破産申請で免責許可が降りるための条件を解説していきます。
自己破産には書類がいくつも必要になります。自己破産申立書や陳述書の他に以下のような書類が必要です。
自己破産の申し立てには用意しなければならない書類が多いですが、まずはこの書類が不備なく揃っていることが最初の条件です。
裁判所に提出する書類である陳述書には「なぜ借金をしたのか」「反省しているか」などを記載する必要があります。
また、申立後に行われる面接である債務者審尋でも、同じように裁判から「なぜ借金をしたのか」「反省はしているか」「今後はどのように生活を立て直していくのか」ということを尋ねられます。
ここで、反省が見られたり、再起の可能性が認められる場合には自己破産が認められる可能性があります。
裁判官の印象も大事になるので、陳述書や債務者審尋で話す内容はとても重要になります。
そもそも借金が支払い不能と認められない限りは自己破産はできません。
自己破産をすると、債権者はお金を返済してもらうことができないため、債権者にとっては損失を被る行為です。
返済しようと思えば返済できる程度の借金なのに、安易に免責許可を裁判所が与えてしまったら、債権者に不平等になってしまいます。
自己破産が認められる時は、あくまでも返済不能なほどの多額の借金に限られるということも覚えておきましょう。
反対に、自己破産申請をしても裁判官から免責不許可となる場合があります。
自己破産しなくても支払いができると判断される場合や、自己破産申請中に違法行為をしたような場合には自己破産をすることができません。
どんなに借金をしても自己破産をすれば人生をリセットすることができますが、以下のいずれかのケースに該当してしまうと、裁判所にリセットボタンを押してもらうことができなくなってしまいます。
どんな状況で自己破産を認めてもらうことができないのか、詳しく見ていきましょう。
前述したように、大前提として自己破産が認められるのは、支払不能な借金を抱えている場合です。
頑張って返済していけば、返済することができる借金を自己破産によって安易に免責されようと考えても、裁判所は認めてくれない場合がほとんどです。
自己破産をするためには予納金を納めなければなりません。
予納金とは、自己破産にかかる様々な費用を支払うために裁判所に納めるお金で、自己破産で同時廃止をする場合の予納金は東京地方裁判所では以下の通りです。
官報広告費が10,000円〜15,000円程度、郵券が5,000円程度が相場ですので、2万円前後の予納金が必要になります。
予納金は自己破産申立の際に支払う必要がありますので、申立時にこの予納金を支払うことができない場合には自己破産ができません。
借金の原因が浪費やギャンブルの場合には自己破産を認めてもらいにくくなってしまいます。
「他人の連帯保証人になって返済できない借金を背負った」「経営している会社が倒産してしまった」などの止むを得ない事情であれば、自己破産を認めてもらえる可能性は高いと言えますが、ギャンブル、飲酒、風俗などの自分に原因がある借金の場合には認めてもらえないこともあるので注意が必要です。
自己破産をすれば借金がゼロになる代わりに財産も没収されてしまいます。
そのため、自己破産前に自分の財産を名義だけ自分以外の人の移すなど、意図的に財産を隠したことを裁判所が知ってしまった場合には自己破産を認めてもらうことができなくなってしまいます。
裁判所からすると、隠した財産を売却して借金の返済に充てるべきという考えになりますので、当然と言えば当然です。
自己破産をすると決めてしまえばどれだけ借金をしても免責になってしまいますので、自己破産をする前にクレジットカードの現金化などの換金行為によって現金をできるだけ作っておこうと考える人も存在します。
このような換金行為が裁判所にバレてしまった場合にも自己破産を認めてもらうことができません。
債権者はあくまでも平等ですので、本来であれば特定の債権者に対してだけ返済する財産があるのであれば、その財産は債権者皆に比率に応じて分配されるべきものです。
しかし、自己破産の前に、特定の債権者に対してだけ「損をさせたくない」という思いから借金を返済するような場合にも自己破産を認めてもらうことができません。
過去7年以内に破産宣告(2005年からは破産手続開始決定)や破産手続開始決定(2005年より破産宣告から変更)を受け、自己破産をしたことがある人は自己破産の許可を得ることが難しくなります。
自己破産は債権者に迷惑をかける行為ですので、短期間の間に何度も行うことはできません。
7年以内に自己破産をしたことがある人が、再度自己破産申立を行なったとしても、裁判所が認めてくれない可能性が高いと考えた方がよいでしょう。
このほか、裁判所に対して嘘をついたことが裁判所に発覚してしまうと、裁判所からの信用を失い、自己破産を認めてもらうことが難しくなってしまいます。
そのため陳述書の内容や債務者審尋での面接の内容は非常に重要になります。
裁判所に対しては正直な態度で臨むとともに、書類や面接で「反省している」ということを伝え、裁判所が「再起のチャンスを与えたい」と感じることが大切なのです。
このように、自己破産は書類上の手続きに不備がないことや、陳述書の内容に問題がないことなどがどを非常に重要になり、問題がある場合には裁判所に自己破産を認めてもらうことができません。
自己破産は「下手にやれば」失敗しますし、「上手にやれば成功する」という側面がどうしてもあるのです。
自己破産に失敗しないように「上手にやる」ためには弁護士に依頼する方がよいでしょう。自己破産に失敗しない方法を紹介していきます。
前述したように、自己破産の手続きは書類の用意が膨大で、自己破産申立書や陳述書の内容が免責許可を得られるかどうかを大きく左右します。
自分で手続きを行おうと思えば不可能なことではありませんが、不備なく裁判所から自己破産を認めてもらうことができる書類を作ることができるかどうかは非常に不透明です。
素人が自己破産申立を行なったことが原因で裁判所が自己破産を認めてくれないことも少なくありません。
また、このような煩雑な手続きを、返済できないほどの借金を抱えながら行なっていくことは、時間的にも精神的にもかなりの負担となってしまうことは間違いありません。
自己破産を裁判所に認めてもらうためには、書類を不備なく用意し、裁判所の心象を良くするテクニックが必要になります。
失敗しないためにはプロに依頼することが最も確実な方法です。
また、債務整理には自己破産以外にも方法があるので、プロに相談することで、自己破産以外に最適な道があれば別の方法を示してもらうことも可能です。
さらに、弁護士に依頼をすると、弁護士は債権者全員に対して「受任通知」という書類を送ります。
この書類が債権者へ送られることによって、以後は債権者は弁護士に対してしか督促をすることができなくなります。
これによって、これまで頭を悩ませてきた督促から解放されることになるので、精神的な負担はこれだけでかなり軽くなるでしょう。
自己破産にかかるお金は、自分で手続きをするのであれば、前述した予納金くらいしかお金はかかりません。
しかし、弁護士に自己破産を依頼すると、トータル50万円程度の弁護士報酬が必要になります。
弁護士によってはこの費用の半分程度が、契約時に着手金として必要になることがあります。
自己破産はプロに依頼することがベストなのは間違いありませんが、着手金が必要な法律事務所に依頼する場合には、手元に20万円〜30万円程度のお金がないと自己破産手続きをすることができないのです。
法律事務所の中には、手付金や相談料がなく自己破産の弁護士費用は免責後に分割で支払うことができるイストワール法律事務所のようなところも存在します。
このような弁護士へ自己破産を依頼すれば、手元にお金がなくても清算は全て後払いで行うことができるので、お金がない人でも自己破産を成功させることが可能です。
債務整理に強い弁護士事務所は無料相談会なども積極的に開催していますので、近くで無料相談会があれば気軽に参加してみるとよいでしょう。
自己破産は申請すれば誰でもできる訳ではありません。
自己破産は債務者は借金から解放されますが、債権者とすれば貸したお金が返済されなくなってしまう大きな損失を被る行為です。
そのため、裁判所が自己破産を認めてくれない限りは免責にはなりません。
裁判所から免責を認めてもらうためには裁判所へ提出する書類や面接での印象が非常に重要になってきます。
自己破産申立は自分で行うことも可能ですが、自己破産手続に精通した弁護士に依頼した方が確実です。
弁護士に自己破産を依頼するためには費用がかかりますが、弁護士の中には着手金なし相談料無料で手元に全くお金がない人でも自己破産ができるように配慮されているところも存在します。
「お金がないけど自己破産をしたい」という人は無料相談会などを活用して、初期費用がかからない法律事務所を探すようにしましょう。