- 一人暮らしの1カ月の水道光熱費の相場(平均額)は約1万2,000円。
- 収入による水道光熱費の差は小さい。
- 水道光熱費の節約には契約・設定の見直しと無駄使いをしない日頃からの行動が大切。
公開日:2019年9月6日
一人暮らしの水道光熱費の相場はどれくらいなのか。水道光熱費を抑えるにはどうすればいいのか。一人暮らしの水道光熱費の相場や節約術について解説します。
一人暮らし世帯における水道光熱費の相場は1カ月あたり約1万2,000円です。
総務省の家計調査によると、一人暮らし世帯の水道光熱費の全国平均額は月1万1,849円(年間142,183円・2018年)。内訳は電気代が月5,852円、ガス代が月3,103円、上下水道料が月2,142円、その他光熱費(灯油代など)が月751円となっています(年間の平均額であり季節による変動もあります)。
単身世帯 | (内 勤労世帯) | ||
---|---|---|---|
水道光熱費 | 1万1,849円 | 1万0,419円 | |
(内訳) | 電気代 | 5,852円 | 4,859円 |
ガス代 | 3,104円 | 3,162円 | |
上下水道料 | 2,142円 | 1,973円 | |
その他光熱費 | 751円 | 424円 |
居住形態別の水道光熱費の平均額は以下の通り。
居住形態別では「持家」世帯の水道光熱費が最も高く、特に電気代の高さが目立ちます。借家(賃貸住宅)に比べて部屋数が多い傾向があり、照明や冷暖房などにより多くの電気が必要になると考えられます。
給与住宅(社宅等)は水道光熱費が会社負担となるケースも多く、平均額は全体平均の半分以下となっています。
居住形態 | 水道光熱費 | (内訳) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
電気代 | ガス代 | 上下水道料 | その他光熱費 | |||
全体平均 | 1万1,847円 | 5,852円 | 3,104円 | 2,142円 | 749円 | |
持家 | 1万3,702円 | 7,175円 | 3,073円 | 2,398円 | 1,056円 | |
民間借家 | 1万0,273円 | 4,390円 | 3,612円 | 1,895円 | 377円 | |
公営借家 | 1万0,382円 | 4,442円 | 3,179円 | 2,232円 | 528円 | |
給与住宅 (社宅等) |
4,802円 | 2,384円 | 1,277円 | 1,104円 | 37円 | |
内 寮・寄宿舎 | 2,777円 | 1,449円 | 513円 | 799円 | 16円 |
性別、年齢階級別の水道光熱費の平均額は以下の通り。
女性のほうがやや高い傾向はありますが、性別による水道光熱費の差はあまり見られません。
年齢別では34歳以下の世帯の男女とも安くなっています。これは若年層は家を留守にする時間が比較的長いことなどが要因として考えられます。
性別 | 年齢階級 | 水道光熱費 | (内訳) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
電気代 | ガス代 | 上下水道料 | その他光熱費 | |||
男性 | 全体平均 | 1万1,121円 | 5,564円 | 2,989円 | 1,940円 | 628円 |
〜34歳 | 7,727円 | 3,395円 | 2,743円 | 1,484円 | 105円 | |
35〜59歳 | 1万1,956円 | 6,038円 | 3,328円 | 2,083円 | 507円 | |
60歳〜 | 1万2,306円 | 6,375円 | 2,826円 | 2,073円 | 1,031円 | |
女性 | 全体平均 | 1万2,490円 | 6,106円 | 3,205円 | 2,320円 | 859円 |
〜34歳 | 7,698円 | 3,315円 | 2,515円 | 1,799円 | 68円 | |
35〜59歳 | 1万2,351円 | 5,879円 | 3,725円 | 2,308円 | 438円 | |
60歳〜 | 1万3,480円 | 6,721円 | 3,199円 | 2,429円 | 1,132円 |
収入階級別の水道光熱費の平均額は以下の通り。
収入による水道光熱費の金額差は見られず、消費支出に占める水道光熱費の割合は年収が低いほど高くなっています。
年間収入階級 | 消費支出 | 水道光熱費 | 消費支出に占める水道光熱費の割合 | (内訳) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
電気代 | ガス代 | 上下水道料 | その他光熱費 | ||||
全体平均 | 17万4,682円 | 1万1,849円 | 6.8% | 5,852円 | 3,104円 | 2,142円 | 751円 |
100万円未満 | 11万0,971円 | 1万1,487円 | 10.4% | 5,529円 | 2,843円 | 2,078円 | 1,036円 |
100万円 〜200万円 |
12万5,050円 | 1万1,928円 | 9.5% | 5,744円 | 3,062円 | 2,066円 | 1,057円 |
200万円 〜300万円 |
14万9,078円 | 1万2,174円 | 8.2% | 6,009円 | 3,037円 | 2,332円 | 795円 |
300万円 〜400万円 |
17万3,183円 | 1万2,002円 | 6.9% | 5,871円 | 3,215円 | 2,242円 | 674円 |
400万円 〜500万円 |
19万7,106円 | 1万1,576円 | 5.9% | 5,641円 | 3,410円 | 2,009円 | 516円 |
500万円 〜600万円 |
21万8,022円 | 1万0,821円 | 5.0% | 5,551円 | 2,943円 | 2,049円 | 278円 |
600万円以上 | 27万4,125円 | 1万1,419円 | 4.2% | 6,276円 | 3,119円 | 1,745円 | 279円 |
都市規模別、地域別の水道光熱費の平均額は以下の通り。
水道光熱費は都市規模が大きくなるほど安くなる傾向が見られます。これは一人あたりの供給コストが人口の多い地域ほど下がることなどが要因です。また北海道・東北地方では暖房用に使う灯油などの影響で、その他光熱費が多くなっています。
水道光熱費 | (内訳) | ||||
---|---|---|---|---|---|
電気代 | ガス代 | 上下水道料 | その他光熱費 | ||
全国平均 | 1万1,847円 | 5,852円 | 3,104円 | 2,142円 | 749円 |
都市規模別 | |||||
大都市 | 1万0,411円 | 5,137円 | 2,866円 | 1,932円 | 476円 |
中小都市 | 1万2,719円 | 6,460円 | 3,195円 | 2,346円 | 718円 |
小郡市・町村 | 1万3,004円 | 6,271円 | 3,330円 | 2,242円 | 1,161円 |
地方別 | |||||
北海道・東北 | 1万4,771円 | 5,918円 | 3,357円 | 2,328円 | 3,168円 |
関東 | 1万1,234円 | 5,669円 | 3,098円 | 2,145円 | 322円 |
北陸・東海 | 1万2,193円 | 6,209円 | 3,166円 | 2,082円 | 736円 |
近畿 | 1万1,353円 | 5,897円 | 3,156円 | 2,057円 | 244円 |
中国・四国 | 1万1,755円 | 6,121円 | 2,857円 | 2,136円 | 641円 |
九州・沖縄 | 1万1,232円 | 5,673円 | 2,919円 | 2,144円 | 496円 |
今は利用者が電力会社、ガス会社を自由に選べるようになっており、より料金の安い会社を選べば電気代・ガス代を下げることができます。
従来の電力会社、ガス会社も相互に電力・ガス販売に参入しており、ひとつの会社で電気とガスをまとめて契約した場合に割引が受けられる特典などがあります。
2016年4月以降、利用者は電力会社を自由に選択できるようになり、選択次第で電気代を下げられるようになっています。
試算条件:東京電力管内・従量電灯B・30A・月間電気使用量170kWh(2019年9月1日時点)
電力会社 | 電気料金(月額・概算) | 節約額 |
---|---|---|
東京電エナジーパートナー | 4,485円 | – |
【ガスとのセット契約特典】 ・電気料金が月100円割引 ・ガス料金が東京ガス一般料金より約3%割引(当初12カ月は+5%割引) |
||
下町でんき | 4,260円 | 225円 |
楽天エナジー (楽天でんき) |
4,420円 | 65円 +楽天ポイント付与 |
電力会社の変更では電気代が劇的に下がるわけではありませんが、一度変更すれば同じように電気を使っていても節約効果が持続するメリットがあります。今より料金が下がる電力会社があれば乗り換えを検討する価値はあると言えます。
電力会社の変更は、現在利用している電力会社の契約名義が本人であれば、賃貸住宅であっても居住者の判断で原則自由に変更できます。
電力会社の変更に必要な工事はスマートメーターの設置のみ。送電線などはこれまでと同ものを使用するため、新たに電線を引くなどの大掛かりな工事は必要ありません。変更後の保守点検などは地域の電力会社(東京電力など)により引き続き行われます。
スマートメーター
通信機能を備え、電気使用量の遠隔検針、30分ごとの使用量計測などができるメーター。
スマートメーターの設置は現在契約している電力会社が行い、原則無料です(交換工事費用が別途発生する場合もあります)。
ガスは大きく都市ガスとLPガス(プロパンガス)の2種類に分けられます。
ガス料金は都市ガスよりもLPガスのほうが割高な傾向があり、利用条件が同じでも料金に2倍近い差がつくケースもあります。
都市ガス
・液化天然ガス(LNG)が原料
・ガス管を通じて供給されるため、ガス管が敷設されていない地域では利用できない
・1㎥あたりの熱量は約11,000kcal
LPガス(プロパンガス)
・液化石油ガス(LPG)が原料
・事業者がガスボンベを各家庭に配送して供給される
・1㎥あたりの熱量は約24,000kcal(都市ガスの約2.2倍*)
*LPガスの1㎥あたりの熱量(エネルギー量)は都市ガスの2倍以上あるため、同じように使えば都市ガスのほうが「使用量」は多くなります(ガスコンロなどの機器はガスの種類に応じて作られており、ガスの種類で火力が違うわけではありません)。
LPガスの料金はガス会社(販売店)が自由に設定でき、消費者は本来利用するガス会社を自由に選べます。しかし競争が少なく料金が高止まりしていたり、利用者自身がガス会社を選べることを知らず割高なガス会社で契約していたりすることも少なくありません。
他に利用できるガス会社あるなら、まずは料金の見積もりを依頼して現在の料金と比較してみましょう。
ただし賃貸住宅では大家さん(または管理会社)がガス会社と契約していることが多く、入居者の判断によるガス会社の変更は原則できません。大家さんの承諾が得られれば変更できますが、難しいケースが多いと言えます。
入居者自身が契約者となっており、ガス料金が明らかに相場(平均価格)よりも高いケースでは、ガス会社と個別に交渉して料金を下げてもらえる可能性はあります。
2017年4月以降、住んでいる地域でガスの提供・販売を行う事業者から利用者が料金プランやサービスを自由に選択できるようになっています。これにより選択次第でガス代を下げられるようになりました。
試算条件:東京ガス管内・月間使用量15㎥(2019年9月1日時点)
電力会社 | 電気料金(月額・概算) | 節約額 |
---|---|---|
東京ガス | 2,887円 | – |
【電気とのセット契約特典】 ・電気料金の0.5%相当額または基本料金から月270円(税込)割引 |
||
レモンガス | 2,778円 | 109円 |
JXTGエネルギー (ENEOS都市ガス) |
2,770円 | 117円 |
ガス会社の変更は乗換先のガス会社に連絡して申込・登録をするだけで完了します。
新規参入会社は従来の都市ガス会社に利用料を払い、既存のガス管などの設備をそのまま使ってガスを提供するため、変更に伴う工事などは必要ありません。
変更後もガスの品質は全く変わらず、ガス設備の点検や緊急時の対応は従来の都市ガス会社によってこれまで通り行われます。
都市ガスの場合、賃貸住宅であっても戸別にガスメーターが設置されていればガス会社の変更が可能です。大家さんや管理会社の承諾は原則不要ですが、気になる場合には事前に連絡しておくとよいでしょう。
従来の都市ガス会社もさまざまな料金プランを設定しています。自由化後も従来の契約のままという人は、より有利な条件で契約できないかプラン変更や他社へ乗り換えた場合の料金を比較してみましょう。
水道光熱費の節約するには日頃から電気・ガス・水を無駄に使わないことも重要です。ここではすぐにできる節約方法をご紹介します。
電気料金における基本料金は契約アンペア数が高いほど高くなります。同時に使用する電気量(アンペア数)よりも大きな容量で契約している場合、適正なアンペア数まで下げることで基本料金を抑えることができます。アンペア契約は1年契約が多く、頻繁に変更はできないため、1年で最も電気を使う時期を基準に設定する必要があります。
契約アンペアを下げる変更はブレーカー容量の変更だけで済み、賃貸住宅の場合も基本的に入居者の判断で変更できます。退去時に元に戻す必要があるかは、大家さんや管理会社に確認しておきましょう。
契約アンペア数 | 基本料金(税込) |
---|---|
10A | 280円80銭 |
15A | 421円20銭 |
20A | 561円60銭 |
30A | 842円40銭 |
40A | 1,123円20銭 |
50A | 1,404円00銭 |
60A | 1,684円80銭 |
◎エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から28℃にした場合(使用時間:9時間/日・外気温31℃)
◎エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日・外気温6℃)
◎フィルターが目詰まりしていない状態を保った場合(目詰まりした場合との差額)
◎必要以上に大きなサイズを使わない(3畳用→2畳用へ変更)
◎設定温度を【強→中】に下げた場合(3畳用・使用時間:5時間/日)
◎54Wの白熱電球から9Wの電球形LEDランプに交換した場合
◎プラズマテレビ(42V型)の画面の輝度を【最大→中央】に調節した場合
◎液晶テレビ(32V型)の画面の輝度を【最大→中央】に調節した場合
◎詰め込んだ場合と容量の半分に抑えた場合の差
◎設定温度を【強→中】にした場合(周囲温度22℃)
◎冷蔵庫を壁から離す
上と両側が壁に接している場合と片側が壁に接している場合との比較
◎容量の4割を入れて洗う場合と、容量の8割を入れて洗う回数を半分にした場合との比較(洗濯・脱水容量6kg)
◎自然乾燥8時間後に乾燥機を補助的に使う場合と乾燥機のみで乾燥させる場合の比較(2日に1回使用)
◎便座暖房の温度を【中→弱】へ下げた場合(冷房期間はOFF)
◎洗浄水の温度を【中→弱】へ下げた場合
※暖房期間:周囲温度11℃ 中間期:周囲温度18℃ 冷房期間:周囲温度26℃
◎1日1時間運転を短縮した場合(設定温度:20℃)
◎シャワー(45℃)の時間を1分間短縮した場合
水道光熱費は生活に欠かせない支出であり、明らかに無駄使いしているようなケースを除けば短期間で劇的に下げることは難しい支出と言えます。しかし、日頃の積み重ねが長い目で見れば大きな差を生みます。
水道光熱費を節約するには、ベースとなる電力会社やガス会社、契約内容などを見直すこと、電気・ガス・水を無駄使いしないような行動(生活)を心がけることがポイントです。
まずは一度行えば節約効果が持続する、契約や家電類の設定を見直すことから始めてみましょう。
光熱費を含めた生活費の見直しについては、以下の記事をご覧ください。
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