- 生活費には「固定費」と「変動費」がある。
- 共働き夫婦の生活費は、世帯収入の約6割程度が平均である。
- 夫婦の負担割合はしっかり相談して決めること。
- 2人で家計管理をしているという意識を忘れずに。
公開日:2020年8月20日
近年、日本でも共働き夫婦が珍しくない時代になりつつあります。共働き夫婦の生活費に関しては、世帯ごとに負担が違い、一概にパターン化しているものではありません。本記事では、一般的な目安としての平均相場や、夫婦それぞれの負担の割合についてまとめます。
共働き夫婦も含めた一か月の生活費の目安は、こちらの記事もご参照ください。
「生活費」とは、生活にかかるすべての費用の総額であり、きちんと名前の付いたお金の集合体です。この生活費の中でも、毎月金額が変わらない「固定費」と、毎月変動する「変動費」の二つに分けられます。さらにその中で細分化されます。
ここからは、それぞれの名称と役割について把握しましょう。
固定費とは、その名のとおり「毎月固定の費用」、つまり毎月ほぼ変わらない費用のことです。以下、固定費のうち代表的な3つをご紹介します。
住居費とは、賃貸にお住まいの方は「家賃」、持ち家購入で住宅ローン返済中の方は「住宅ローン返済額」のことを指します。住まいにかかる費用は、通常毎月変動しません。契約時に決めた金額を支払います。
例えば、住居にかかる修繕費や維持管理費などの突発的な費用に関しては、住居費以外とするのが家計管理上わかりやすいでしょう。
各種保険料には、生命保険料、損害保険料などが含まれます。これも住居費と同じく、契約時に決めた額で変動しません。
定期型の生命保険に関しては更新時に、損害保険に関しては期間満了後に保険をかけ替える場合に、それぞれ新たな保険料になりますが、その後またしばらくは一定額で固定ですので、各種保険料は「固定費」として管理します。
自動車を購入した場合のマイカーローンや、住宅購入にかかる住宅ローンなどは、月々の返済額が一定なので「固定費」です。
住宅ローンを変動金利で契約している場合は、一定期間の後に返済額が変動しますが、毎月変動するものではありませんので、住宅ローンは全般的に「固定費」として管理するとよいでしょう。
住宅ローンに関しては、こちらもご参照ください。
変動費とは、毎月一定額ではないため、家計管理に少し注意が必要です。だいたい毎月同じ位の金額であっても、シーズンによって大きな出費となる費用もあります。
例えば、夏場の電気代は、ほかの時期より高額である場合が多いですよね。請求が来てびっくり、思った以上に高かったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
このような「請求が来てみないとハッキリしない費用」のことを「変動費」と呼びます。変動費は「おおよそいくらくらいかな?」という予測が立てづらく、家計管理では注意しなければいけない出費です。
食費は変動費に含まれます。とはいえ「月の食費5万円以内」などと、目安となる金額を決めているご家庭も多いのではないでしょうか。
目安となる金額をあらかた決めておくことは、とてもよい管理法であると言えます。その決めた額を上回って使ってしまったのか、それとも残金を残すことができたのか、変動費とはいえ工夫をしながら管理することは十分に可能です。
変動費についての冒頭でも触れましたが、光熱費は変動費の中でも季節による影響が大きい費用です。夏場はどうしても空調代として電気代がかかります。冬場の電気代も馬鹿になりませんし、ガスヒーターをご利用のご家庭では、ガス料金がかさむこともあります。
通信費とは、固定電話の料金や携帯料金、Wi-Fi料金などが含まれます。Wi-Fiの場合は、通信量に関わらない使い放題プランなら固定費として管理してもよいでしょう。
携帯料金に関しては、あらかじめアプリやホームページ上で料金の確認ができます。こまめにチェックしておくことで、使い過ぎを防ぐことができるでしょう。
変動費の中で最も予測を立てづらいのが、冠婚葬祭費や交際費などの突発的な費用です。お祝い事に関しては前もって準備しておくことができますが、お悔やみに関しては当然不可能です。
では、どう対策をするかというと「緊急予備資金」をあらかじめプールしておくことをお勧めします。
毎月数千円でもよいので、使い道を限定しない予備資金を積み立てておくことで、このような緊急の出費に備えることができます。これは、毎月の貯金とは別に管理しておくほうが安心です。
子育てにかかる費用(教育費)は、一般的には「固定費」に含まれます。月々の学費や習い事の月謝などは、毎月一定額であるからです。
しかし「生活費」という大枠に入れ込んでしまうと、子供にかかる貯蓄額などが見えづらく、把握しづらくなります。生活費とは別に「子育て費用(教育費)」として管理したほうがわかりやすいでしょう。
教育費の平均については、こちらもご参照の上、ご家庭に応じた目標額を設定いただくことをお勧めします。
ここまで、生活費についてご紹介してきました。ここからは、共働き夫婦ではどの程度の生活費が必要なのかをリサーチしてまとめます。
以下で紹介するデータは、総務省統計局が毎月実施している「家計調査」を参考にしています。ちなみに、この調査結果のうち「消費支出」という項目が、本記事のテーマである「生活費」にあたります。
総務省統計局の「家計調査報告」2020年(令和2年)5月発表分によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯(いわゆる共働き夫婦)の実収入は、50万2,403円でした。
そのうち消費支出(いわゆる生活費)は28万883円でした。
最新のデータでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて消費活動が通常よりも落ち込んでいます。「8カ月連続の実質減少」と調査結果に追記されています。
共働き夫婦の家計の内訳として、生活費は約6割を占めていることがわかります。もちろん、ここまでに解説してきたとおり、生活費といってもさまざまな費用が含まれていることはおわかりかと思います。
この約6割のうち、さらに固定費と変動費に分けられ、そこから細かい費目に枝分かれします。
結婚したばかりの20代、30代の新婚共働き夫婦の場合でも、世帯の収入に対して生活費の占める割合がおおよそ「6割程度」というのはポイントとなります。
例えば、世帯収入が30万円だとすると、生活費全体の目安として18万円以内であれば平均値であるとわかります。
共働き夫婦の世帯収入は、世代によって変化します。若い世代では、世帯収入が2〜30万円代であることも少なくありません。反対に、50代60代の共働き夫婦の場合は、世帯収入がかなり高額となる場合もあるでしょう。
一概に「生活費は毎月いくら」と決めるよりも、ここまでご紹介したように、世帯収入に応じた割合で把握することが、柔軟に家計管理を実現するためのポイントとなります。
生活費の分担割合についてですが、大きく3パターンがあります。
夫婦共働きであっても、夫の収入から生活費や各種支払いを捻出する場合、夫のみが負担することになります。妻の収入が夫の収入よりも少ない場合は、この①のパターンで家計管理をしていることが多いです。
共働き夫婦で多いのは、この②のパターンです。それぞれ一定額を出し合って、出し合った額の中から生活費を清算するシステムです。例えば、生活費が30万円かかるとしたら、夫婦それぞれが15万円ずつ出し合い、その30万円の中でやりくりをするというものです。
この場合、夫婦で決めた出し合う一定額以外のお金の使い道がわからないという点には注意しましょう。生活費として一定額さえ出せば、それ以外のお金に関してはお互いオープンにしなくてもよい、ということにもなり得ます。
家計にかかる費用以外の金銭管理について、ご夫婦で事前に話し合っておくとスムーズです。
お互いの収入に関わらず、生活費の内で支払いを担当する費目を決め、その担当している金額のみ支払うというパターンもあります。例えば、わかりやすく「固定費全般は妻が支払う」「変動費全般は夫が支払う」と決めてもよいですね。
ほかにも、夫の収入が妻よりも多い場合は夫が担当する割合を増やし、「食費と光熱費は妻が支払う」「その他すべてを夫が支払う」などの分け方でもよいでしょう。
共働き夫婦はどちらも収入があるということですが、働き方によって夫婦それぞれの収入に差があるのは仕方がありません。
そのことも踏まえた上で、それぞれの生活費に対する負担の割合がシビアになりすぎないよう、夫婦できちんと話し合って進めていくことが大切です。
当初決めていた割合にストレスがかかるようであれば、早めに夫婦で相談の場を設け、無理のない家計管理をしていきましょう。
共働き夫婦の場合、特にどちらもフルタイムで勤務していれば、家事や育児に関してもご夫婦で協力している場合が多いのではないでしょうか。
お金の管理に関しても、夫か妻のどちらか片方だけが任されるのではなく、夫婦の共有財産として「2人で管理している」という意識を忘れないことが大事です。
生活費には、固定費と変動費があることをご紹介しました。固定費は、毎月一定額なので家計管理がしやすいのが特徴です。
一方の変動費は、これまでの経験則(去年の同時期の出費を参考にするなど)から、だいたいの目安となる金額を設定しておくことをお勧めします。
夫婦それぞれの給料日が同じであれば、給料日をスタートとして当月の家計管理をスタートさせてもよいでしょう。給料日がバラバラである場合は、節目となる日にち(例えば毎月1日など)を決め、そこから一か月の家計管理を始めてもよいですね。
実際に請求がくるまで不確定である変動費に関しては、「だいたいの目安となる金額をあらかじめ仕分けておく(予算として計上しておく)」ことで、ほかの出費に対して予算が組みやすくなります。
変動費の予算をだいたいでもよいので計上しておくと、生活費以外のお金についても仕分けやすくなります。この一環として、先取貯金を是非お勧めします。
貯金で最も失敗しやすいパターンは「月末に生活費が余ったら、余った分を貯金する」という方法です。これでは生活費が余らなかったら貯金はできませんし、不思議なことに生活費は毎月ほとんど月末にはキレイさっぱりなくなるものです。つまり、永遠に貯金ができない場合もあります。
これらを防ぐためにも、生活費などはあらかたの目安でよいので先に一か月分を仕分け、月末に生活費の残りを貯金するのではなく、月初の生活費の仕分けの段階で先に貯金をしてしまいましょう。これが確実に貯まる近道です。
結婚前からお持ちの預貯金がある場合、結婚後のパートナーに正直に話すかどうかはご夫婦の関係性にもよります。
日常生活を送っている分には、特に預貯金について言う場面もないと思いますが、一般的に「独身時代からの預貯金」についてお悩みになるのは住宅購入時です。
購入後の住宅は夫婦の共有財産となりますから、頭金のとして預貯金を使うかどうか、非常に悩む方が多くいらっしゃいます。
共働き夫婦の場合で、例えば生活費も折半している場合などは、「住宅ローンの頭金の一部として50万円ずつ出し合う」というフラットな提案をするのもよいでしょう。
共働き夫婦の生活費の平均の目安は、収入に対して約6割程度であるとわかりました。これを参考に、理想としては6割を切って5割に近い金額にすることができれば、家計におけるほかの支出や預貯金に回すことのできる余裕が生まれます。
夫婦それぞれが、あと何年ずつ働くことができるか、勤務先の定年時期なども考慮し、それぞれの収入において負担のない割合で生活費を分担し合うことが大事です。決してどちらか一方だけにしわ寄せが来ることのないよう、じっくり話し合って決めましょう。
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