- 確定申告をすると住民税計算、納税までいける。
- 所得税と住民税の違いを混同し易いので気を付ける。
- 控除額も異なる為、この点は気をつけておく。
公開日:2019年12月6日
今回は住民税の申告について解説していきます。よくお問い合わせ頂くのが「確定申告と別ですか?」と聞かれます。納税に関する事ですので、指摘は受けたくないですよね。どんな方法で申告するのか?条件や違いは?等気になる疑問を解消していきますね。
最初に確定申告について触れておきたいと思います。
毎年やっている方、来年初めて手続きする方、聞いた事はあるという方様々ですが、一般的には個人事業主や生命保険募集人のようにお給料が歩合制の場合、給与収入が2,000万円を超える方などは確定申告を行う必要があります。
申告納税という方法に該当し、1月1日から12月31日までの売上(報酬)に対し所得控除や事業に使用した経費等を差し引き、最終的に所得税の納税額が決まります。
この時に還付といって払い過ぎた税金が返ってくる事もあります。ですから納税額の最終精査とお考え頂ければいいかと思います。サラリーマンでいう所の年末調整と同じ役割を果たします。
確定申告の事について触れましたが、所得税が決まると解説しました。しかし、この計算過程において、課税における重要な所得が決定されるため、結果住民税の納税額も計算される事になります。
馴染みのある税金である事に変わりはありませんし同じ工程を経て計算される訳ですが、ちょっとした違いがありますので次に解説をしていきます。
まず違いの1つとして税区分が異なります。所得税は「国税」に該当します。住民税は道府県民税と呼ばれるいわゆる「県民税」と市町村民税や区民税と呼ばれる「市民税」から構成され「地方税」に該当します。
そして税率も異なります。所得税は累進課税といって、計算された所得に応じて最低5%・最高45%の範囲で課税される事になっています。
対して住民税は一律10%となっており(自治体によって異なりますが殆ど10%となっています)、結果として納税額も異なりますね。
納税額を決めるに当たっていくつかの「控除」が発生します。まず先に所得控除があり、課税所得が決まり納税額が決まった後に税額控除という流れになります。この控除も金額が異なります。
文章だけでは分かりにくいのでイメージ図を作成しました。こちらをご覧頂ければ計算までの流れがお分かり頂けると思います。
上記の図は住民税が決まるまでの流れですが、市県民税率の所が所得税率に代り所得税となり納税額が決定していきます。
次に所得控除に関して控除額が異なりますので、参考までにこちらをご覧頂ければと思います。また控除額が同じものもありますので、そちらも合せてご確認下さい。
控除 |
---|
社会保険料控除 |
医療費控除 |
雑損控除 |
小規模企業共済等掛金控除 |
控除 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
基礎控除 | 38万円 | 33万円 |
配偶者控除 | 38万円 | 33万円 |
配偶者特別控除 | 38万円 | 33万円 |
扶養控除 | 38万円 | 33万円 |
勤労学生控除 | 27万円 | 26万円 |
障害者控除 | 27万円 | 26万円 |
寡婦・寡夫控除 | 27万円 | 26万円 |
生命保険料控除 | 最大12万円 | 最大7万円 |
地震保険料控除 | 5万円 | 2万5000円 |
寄附金控除 | 控除対象の寄付金額は 総所得の40%まで |
控除対象の寄付金額は 総所得の30%まで |
控除の額が異なる事で少し余談を挟みます。皆さん103万円って聞かれた事あると思いますが、よく言われる103万円は所得税がかからない基準額の事です。
では住民税はとなると、住民税はかかります。もしお勤め先で収入の調整が可能であれば98万円で収めると住民税もかかる事はありませんので、混同しない様にしておきましょう。
申告期間と支払方法や期間の違いもあり、所得税は2月16日~3月15日まで、住民税は2月1日~3月15日と定められています。最終の期限は同じですので3月15日までには必ず申告を終える様にしましょう。
納付期間も異なり、所得税は現金納付では3月15日まで振替納付(口座引落)は4月20日前後と少しタイトです。
住民税は6月、8月、10月、1月の4期に渡って支払いするか、6月中に一括納付、納付が厳しい方等は相談にもよりますが12カ月での分割納付も認めてもらえる事もあります。
先程の流れを辿ると確定申告を行う事によって控除の違いはあれど、結果住民税の計算までできてしまいます。この点は後述します。
つまりわざわざ所得税、住民税と切り離さなくてもいいという事になります。確定申告を行うメリットとしては、わざわざ住民税を別にして計算しなくて良い点でしょう。
必要な書類を揃え、期限である3月15日までにお住いを所轄の税務署へ提出しなければなりません。そこで受け付けは終了となり、納税や還付等が始まります。
私も確定申告を行っていますが、3月15日には税務署がごった返すほど列を成します。ギリギリになって慌てるより早めに準備しておく事をお勧めします。
先程後述しますといった点の補足になります。確定申告に関して解説しましたが、確定申告の書類提出が終わると、そこで計算されたデータがお住いの自治体に送られる事になります。これによってお住いの市区町村から住民税の納付書が発送される流れとなる訳です。
所得税に関しては住民税と違い納付書は無く、4月20日前後期日までに納付しなければなりません。住民税は前述の通りです。
確定申告と住民税については所得税と同じ計算で納税までいけますので、特に忘れる事などは無いでしょう。但し申告自体を期限内までしっかり行う事は大切ですので、期日を守って臨んで下さいね。
先程までは確定申告を行う場合について解説しました。しかし、確定申告を必要とせず住民税の申告をしなければならないケースも存在しますので、そちらも解説しておいたいと思います。
下記に該当する方は住民税を申告する必要があります。
一番該当が多いのは副業を行っているケースでしょう。最近では副業解禁の流れとなっており、推奨している企業もあるくらいです。通常年末調整は、自社で支払った給与や社保等を元に計算される為、他の収入は知りようがありません。
しかし所得に対して納税額が決まる仕組みですので、お勤め先、副業といった収入を合算したものに対し課税される事になります。
先程副業に関して解説しましたが、混同しやすい情報として、「給与以外の所得が20万円以下なら申告しなくていい」という事ですが、これはあくまで「所得税」に関する申告をしなくていいわけであって、住民税に関しては申告必須となりますのでご注意頂きたいです。
結構ありがちな誤認ではありますが、悪質と見なされると罪に問われる可能性もあります。くれぐれも注意しておきましょう。
住民税の申告だけであっても、前述した申告期間である2月1日~3月15日までに行う必要はあります。但し、所得税と違って税務署ではなく、お住いの役場に行って手続きを取る必要があります。
必要な書類は各自治体によって異なりますので、行く前に必ず役場ホームページを確認するか、納税課にお問い合わせしておく事をお勧めします。
今回は住民税の申告と確定申告について具体的な違いなど解説してきました。税務はただでさえ分かりにくいですが、確定申告する方は非常に簡単ではないでしょうか。
ただそうではない方はご自身で住民税の申告を要しますので、忘れる事が無いようにだけしておきましょう。
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