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交通事故の示談金は増やせる?相場&多く受け取るためのポイントをFPが解説!

交通事故の示談金は増やせる?相場&多く受け取るためのポイントをFPが解説!

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棚田 健大郎

棚田 健大郎

行政書士、国土交通大臣指定 マンション管理士、ファイナンシャルプランナー

大手人材派遣会社に正社員として入社。 主要取引先であったJASDAQ上場(当時)の株式会社エイブルへ出向。 その後ヘッドハンティングされ、完全に移籍。およそ3,000人の社員の中で、トップセールスを記録するなどして活躍。 その後管理職として複数年勤務後、独立。 行政書士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得し、棚田行政書士リーガル法務事務所を設立。現在に至る。

この記事のポイント

  • 交通事故の示談金とは、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益など交通事故に起因する損害賠償全てを意味している。
  • 示談金を増額するためには、各請求項目ごとに提示されている金額が適正かどうかを検証していくことが重要である。
  • 慰謝料を増額するためには、弁護士に依頼した上で裁判基準の金額で相手を説得してもらうことが有効である。

交通事故の被害に遭われた際には、損害賠償として示談金を請求することができます。

示談金の金額については交渉次第で大きく変わってくるため、被害者自身も示談金の相場や請求する際のポイントを正しく理解しておくことがとても重要です。

そこで今回は交通事故に遭った際に、より多くの示談金を受け取るために必要な知識やポイントについて詳しく解説します。

 

車の事故で被害者が請求できる示談金の内訳とは

そもそもいわゆる示談金とは、交通事故における損害賠償金の総額を指していることが多いですが、交渉によって増額できる幅は項目によって異なりますので、まずは示談金の内訳について正しく理解することが大切です。

示談金の主な内訳についてまとめてみました。

車の事故で被害者が請求できる示談金の内訳とは

被害者の方の中には示談金=慰謝料というイメージを持っている方が時々おられますが、上記の通り慰謝料とは示談金の中の1つの内訳に過ぎません。

 

治療に関係する請求について

治療に関係する請求について

治療に関連する損賠賠償については、基本的にかかった実費を確実に請求していくことがポイントになりますが、中には実費がかかっても請求が認められなかったり、制限されたりするケースがあるため注意が必要です。

項目ごとに見ていきましょう。

 

治療費

交通事故によって負った怪我の治療に費やした費用について加害者側に請求します。請求する金額は基本的に治療費の実費なので、交渉によって大きく増額できる部分ではありません。

ただし、治療費として認められる範囲について争いになることがあるため注意が必要です。

例えば追突事故でむち打ちになった場合、本来受診すべきなのは整形外科ですが、被害者の中には病院ではなく接骨院や整骨院、場合によってはマッサージなどに通うケースがあります。

整形外科での治療については基本的に治療費の対象として扱われますが、接骨院等は医師ではなく柔道整復師という別の資格者になるため、相手方から治療ではないと主張されることがよくあるのです。

そのため、治療についてはできるだけ医師による診察、治療を受けることを心掛けるとともに、どうしても接骨院などを受診したい場合は医師に相談の上、医師の指示のもと紹介された接骨院等に通うようにしましょう。

 

病院なら内訳が何でも請求できるわけではない

基本的に病院やクリニックなど医師の診察、治療を受けていれば基本的に治療費として請求することが可能です。(※症状固定後については請求できません)

ただし、病院なら何でも損害賠償の対象になるかというとそうとは限りません。

例えば、むち打ちで整形外科で治療を受けているような場合において、病院に通院しているものの湿布を処方してもらっているだけのような場合については、治療費とは認められない可能性がありますので注意しましょう。

 

通院交通費

病院に通う際に支出した交通費についても、交通事故に起因して発生した損害なので相手方に対して請求することができます。

ただし、病院に行くために支払った交通費であればどんな交通手段でも認められるのかというとそうではありません。

例えば目安として、公共交通機関である電車やバスなどを利用して病院に通院した場合については、社会通念上妥当な金額として認められる可能性が高く、往復の運賃額さえ分かれば、領収書がなくても通院した日時などの記録があれば支払われるケースが多いです。

問題となるのは自家用車を使って通院した場合の交通費の算出です。自家用車を使って通院した場合、交通費として浮上するのは以下のような項目です。

 

ガソリン代

実際に支払った実費が必ずしも請求できるとは限りません。例えば、自賠責保険ではガソリン代について1kmあたり15円と基準が決められているため、外車でハイオクを入れているような場合だと基準を超える可能性があります。

 

駐車場代

病院の駐車場が有料の場合については、駐車場代についても認められる可能性があります。ただし、領収書については必要になるため忘れずに保管しておく必要があります。

 

高速道路代

自動車を使って通院する場合は基本的に一般道を使いますが、高速道路を利用したい場合については合理的な理由がある場合に限られます。

どうせ加害者に請求するからと考えて、近い病院にわざわざ首都高を使って通うと請求が認められない可能性がありますので注意しましょう。

 

慰謝料だけじゃない!相手方保険会社との交渉で増額しやすい項目

慰謝料だけじゃない!相手方保険会社との交渉で増額しやすい項目

治療に関係する項目については、基本的に実費が上限となるため交渉によって極端に増額することはほとんどありません。そのため、示談金の総額を増額するためには、これからご紹介する項目の交渉がとても重要になってきます。

  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益

 

 

休業損害

交通事故によって仕事を休まなければならなくなると、その分収入が減ることになるため加害者に対して請求することが可能です。請求できる金額については、被害者の勤務先状況によって異なるため、それぞれのポイントを解説します。

 

会社員の相場

事故前の給与を基準として考えて、欠勤したことによって実際に発生した減収分が休業損害となります。

被害者の中には会社に気を使って有給を使うことがあり、欠勤しても減収が発生しないケースもありますが、その場合についても欠勤したと仮定して休業損害を請求することが可能です。

 

自営業者の相場

直近の確定申告書の金額を基準に考えますが、業種によっては年度によって利益の浮き沈みが激しい場合があるため、たまたま利益が落ち込んでいた時に交通事故に遭うと少ない休業損害を相手から提示される可能性があります。

その場合は、過去数年間の確定申告書の控えなどを提出し、平均的な利益を主張して休業損害の増額交渉をすることが重要です。

 

主婦の相場

主婦については実質的な収入はないため、加害者側が支払いに応じないこともありますが、原則としては家事労働を労働と考えて休業損害を請求することが可能です。

金額については賃金センサス女子労働者の全年齢、もしくは年齢別の平均値をベースに、家事ができなくなった日数分請求します。

主婦がパートをしていて収入がある場合については、賃金センサス以上の場合はパート収入を基準に、以下の場合は賃金センサスを基準に休業損害を請求できます。

 

無職の相場

仕事をしていない場合については、原則として休業損害は請求できません。

ただし、すでに就職活動していて内定が決まっていたなどの事情があれば、事故に遭わなければ収入を得ていた可能性が高いとして就職先の給与を基準に休業損害を請求できる可能性があります。

 

入通院慰謝料

交通事故の示談交渉において、最も金額が増額できると言われているのが慰謝料です。慰謝料とは精神的な苦痛による損害賠償請求で、ここまで解説してきた治療費や休業損害などの財産的損害とは性質が大きく異なります。

 

慰謝料の算定方法

精神的損害である慰謝料は、財産的損害のように実際に発生した損害を金銭的に見積もることが簡単ではありません。人の悲しみは人それぞれ違うため、金額に換算して加害者に請求することはとても大変です。

そのため、慰謝料については慰謝料基準という一定の基準金額を定めており、基本的にはその中であてはめて計算することになります。

 

3つの慰謝料基準の内容とは?

慰謝料が交渉によって増額する一番の理由は、慰謝料の算定基準が3つも存在するからです。慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあり、それぞれ次のような位置付けとなっています。

 

自賠責基準の内容

自賠責保険における慰謝料の算定基準で、1日あたり4,200円という固定金額で計算します。自賠責保険は強制加入保険で最低限の保障が目的なので、基準となる金額は非常に低いです。

 

任意保険基準の内容

損保会社が設定している保険金の支払い基準で、基本的に一般には公開されていません。

いわば損保会社の内規のような位置付けですが、私の経験上では自賠責基準とほとんど変わらないほど低い金額であることがほとんどです。

 

裁判基準(弁護士基準)の内容

過去の判例などをもとに作られている基準で、裁判によって認められる可能性がある最も高い慰謝料算定基準です。

同じ入通院日数だとしても、自賠責基準による算定額の3倍程度になることもあるくらい非常に高い基準であり、最も正当な金額であるともいえます。

 

慰謝料増額は弁護士の力が必要

裁判基準とネットで検索すれば、すぐに算定表が出てくるので一般の被害者の方でも簡単に裁判基準による慰謝料を計算することができます。ところが慰謝料の増額はそんなに甘くはありません。

基本的に裁判基準とは、実際に裁判を起こした場合に認められる可能性がある金額なので、加害者側の保険会社としてはそもそも相手が訴えそうな素振りを見せなければ、裁判基準による慰謝料を突きつけたところで支払いに応じません。

簡単にいえば、弁護士を通じて裁判基準による慰謝料を提示されない限り、基本的には支払いに応じないのです。

つまり、慰謝料を増額するためには裁判基準で慰謝料を計算するだけではダメで、弁護士という専門家に依頼して交渉してもらう必要があるのです。

 

後遺障害慰謝料

慰謝料は入通院慰謝料の他に、後遺障害が残った際に請求できる後遺障害慰謝料があります。

後遺障害等級認定を受けることで、等級に応じた慰謝料を請求できますが、算定基準については入通院慰謝料と同じように、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つの基準があり、金額が大きく異なります。

 

 

むち打ちは金額に差が出やすい

後遺障害慰謝料でよく争いになるのがむち打ちです。仮に医師からむち打ちと診断されたとしても、後遺障害認定という手続きにおいて等級が認定されなければ後遺障害慰謝料は請求できません。

むち打ちについては、後遺障害14級に認定される可能性があるのですが、後遺障害認定の際に提出する後遺障害診断書の書き方によっては、認定されない可能性があるため注意が必要です。

例えば、いつ痛むかという点について「雨の日に痛む」などと記載すると認定されないなど細かな基準があるため、できるだけ後遺障害認定に強い弁護士や行政書士に相談してから提出したほうがよいでしょう。

むち打ちは金額に差が出やすい

 

逸失利益

交通事故によって後遺症が残ると、事故前と同じように働くことができなくなり収入が減ることがあるため、その減収を逸失利益として加害者に請求することができます。

逸失利益の計算は、被害者の治療が終わった時点(症状固定時)の年齢に応じて、次のように計算します。

 

18歳以上の有職者または就労可能者の場合

  • 逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数or新ホフマン係数

ライプニッツ係数・新ホフマン係数とは、中間利息を控除するための係数のことです。逸失利益は将来得られるはずの金額を現在において加害者に支払ってもらうため、受取りが前倒しになる分の中間利息をライプニッツ係数や新ホフマン係数をかけることで控除する必要があります。

 

18歳以下の未就労者の場合

  • 逸失利益=賃金センサス男女別全年齢平均×労働能力喪失率×67歳までのライプニッツ係数orホフマン係数-18歳になるまでのライプニッツ係数orホフマン係数

18歳未満の場合は現時点で収入が発生していないため、67歳になるまでの係数から18歳になるまでの係数を差し引いて計算をします。

労働能力喪失率は後遺障害の等級に応じてある程度決められており、症状が重いほど高くなります。

 

高齢被害者は提示額が低いため注意

被害者が高齢者の場合は、基礎収入を非常に低く見られるため保険会社からの提示額も低くなる傾向があります。

中には逸失利益という項目自体が示談金に盛り込まれていないこともあるため、金額を提示されたら必ず内訳を確認しましょう。

たとえ高齢者であっても、就労の蓋然性があれば賃金センサスを基準に逸失利益が請求できる場合がありますので、納得いかない場合は弁護士に相談しましょう。

 

まとめ:保険会社は味方ではない?交通事故の示談金交渉のポイントとは?

示談金を増額するためには、示談金の内訳を理解した上で項目ごとに適切な金額が提示されているのかを厳しくチェックすることが重要になります。

その上で、項目に応じて適切な金額を計算して増額交渉していくことで、相対的に示談金の総額が増えていくのです。

「大手保険会社だから弁護士に相談しなくてもきちんと補償してもらえるのでは?」そんな風に楽観的に考えている人もいますが、相手方の保険会社の顧客はあくまで加害者であり被害者ではありません。

保険会社は支払う保険金をできる限り低く抑えるために、あの手この手で交渉してきますので、油断していると相場よりも低い金額で示談書を交わしてしまう恐れがあるので注意が必要です

物損事故はそこまで大きな増額は見込めませんが、人身事故については慰謝料をはじめ増額できる要素が多いので、できるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。

 

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